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急性汎発性発疹性膿疱症
AGEP





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図1(a,b):AGEP の臨床像
a) b)紅斑上に多発する小膿疱
AGEPの画像 AGEPの画像

図2:
AGEP の臨床(拡大像) 
散在、融合する小膿疱
図3:
AGEP の臨床  
鼠径部〜大腿部の皮疹
AGEPの画像 AGEPの画像





急性汎発性発疹性膿疱症
AGEP
英語名:acute generalized exanthematous pustulosis :AGEP
同義語:toxic pustuloderma, generalized pustular eruption     
厚生労働省
  • 重篤な皮ふ症状などをともなう「急性汎発性発疹性膿疱症」は、その多くが医薬品によるものと考えられています。
    抗菌薬、痛風治療薬、抗てんかん薬などでみられ、また、総合感冒薬(かぜ薬)のような市販の医薬品でもみられることがあるので、何らかのお薬を飲んでいて、次のような症状がみられた場合には、放置せずに、ただちに医師・薬剤師に連絡してください。
    • 「高熱(38℃以上)」、
    • 「皮ふの広い範囲が赤くなる」、
    • 「赤くなった皮ふ上に小さな白いブツブツ(小膿疱)が出る」、
    • 「全身がだるい」、
    • 「食欲がない」
    などがみられ、その症状が持続したり、急激に悪くなったりする。
急性汎発性発疹性膿疱症とは
  • 急性汎発性発疹性膿疱症とは、高熱(38℃以上)とともに、急速に全身が赤くなったり、赤い斑点がみられ、さらにこの赤い部分に多数の小さな白っぽい膿みのようなぶつぶつ(小膿疱)が出現する病態です。血液検査値の異常も認められます。

    大部分は医薬品を飲んだ数日後に発症することが多く、原因医薬品の服用を中止すると、約2週間で発疹は軽快します。しかし、原因医薬品に気づかずに投与が続けられると高熱や皮ふの症状がなおらず、重篤な状態になります。
    急性汎発性発疹性膿疱症の欧米での発生頻度は人口100 万人あたり年間1〜5 人と推定されています。
  • 原因医薬品としては
    • ペニシリン系・マクロライド系・セフェム系抗生物質、
    • キノロン系抗菌薬、
    • イトラコナゾール(抗真菌薬)、
    • テルビナフィン(抗真菌薬)、
    • アロプリノール(痛風治療薬)、
    • カルバマゼピン(抗てんかん薬)、
    • ジルチアゼム(降圧薬)、
    • アセトアミノフェン(鎮痛解熱薬)
    などが多くを占めています。発症メカニズムは医薬品などにより生じた免疫・アレルギー反応によるものと考えられています。基礎疾患として感染症が存在する場合により発症しやすい傾向があります。







早期発見と早期対応のポイント
(1)早期に認められる症状
  • 医薬品服用後急速に出現する無数の小膿疱をともなうびまん性の紅斑、浮腫性紅斑に加え、発熱(38℃以上)、全身倦怠感、食欲不振。
    医療関係者は、上記症状のいずれかが認められ、その症状の持続や急激な悪化を認めた場合には早急に入院設備のある皮膚科の専門病院に紹介する。
(2)副作用の好発時期
  • 原因医薬品の服用後数時間〜数日以内に発症する場合(すでに薬剤に対して感作されている場合)と服用後1〜2 週間後に発症する場合(初めて服用した場合)がある。
(3)患者側のリスク因子
  • 感染症、乾癬、関節リウマチ、白血病、糖尿病などを基礎疾患として有している患者では、発症しやすい傾向がある。また、高齢者や肝・腎機能障害のある患者では、当該副作用を生じた場合、症状が重症化しやすい。
(4)推定原因医薬品
  • 推定原因医薬品は、抗生物質としてペニシリン系(アンピシリン、アモキシシリン)、マクロライド系(ロキシスロマイシン)、セフェム系(セファロスポリン)、オキサセフェム系(フロモキセフ)、カルバペネム系(イミペネム)、テトラサイクリン系(ミノサイクリン)、キノロン系抗菌薬(ノルフロキサシン、オフロキサシン)、イトラコナゾール・テルビナフィン(抗真菌薬)、アロプリノール(痛風治療薬)、カルバマゼピン(抗けいれん薬)、ジルチアゼム(降圧薬)、アセトアミノフェン(鎮痛解熱薬)などが報告されている。この他、ブフェキサマク含有外用薬や水銀摂取でも発症することがある。
(5)医療関係者の対応のポイント
  • 39〜40℃の高熱、全身性に急速に出現する多数の5mm 大以下の小膿疱を有する浮腫性紅斑あるいは小膿疱を有するびまん性の紅斑が主要徴候である(図1 参照)。小膿疱は毛孔に一致しない(図2参照)。いずれの場合も紅斑の色調は間擦部(頸部、腋窩部、陰股部など皮膚が密着して摩擦する場所)あるいは圧迫部に強い傾向があり、この部分に小膿疱も多発密生する(図3参照)。
    (4)の薬物の処方を受けている患者などで、このような症状を認めたときは、原因医薬品の服用を中止した上で、血液検査を実施する。血液検査では好中球優位な白血球増多や炎症反応の上昇の有無を確認する。また、敗血症を否定するために血液の細菌培養を行うことが望ましい。
[早期発見に必要な検査項目]
  • 血液検査(血液像を含む)、炎症反応(C 反応蛋白)、血液細菌検査




副作用の概要
急性汎発性発疹性膿疱症(AGEP)は、
  • と並ぶ重症型の薬疹である

  • 高熱とともに急速に全身性に5mm 大以下の小膿疱が浮腫性紅斑やびまん性紅斑上に多発する。
  • 通常粘膜疹は伴わず、肝障害や腎障害はあったとしても軽度である。
  • 血液検査で、好中球優位な白血球増多と炎症反応(CRP)の上昇がみられる。
    抗菌薬などの医薬品が原因となることが非常に多く、服用後数時間〜数日以内に発症する場合(すでに薬剤に対して感作されている場合)と服用後1〜2 週間後に発症する場合(初めて服用した場合)がある。
  • 原因医薬品の中止により約2 週間で軽快する。


1)自覚症状
  • 38℃以上の高熱、
  • 紅斑上に多発する小膿疱、
  • 全身倦怠感、
  • 食欲不振
2)他覚症状
  • 間擦部(頸部、腋窩部、陰股部など皮膚が密着して摩擦する場所)あるいは圧迫部に5mm 大以下の毛孔に一致しない小膿疱を有する浮腫性紅斑あるいはびまん性紅斑がみられ、全身に拡大する。
    原因医薬品が除去されれば小膿疱は数日で乾燥し、落屑となる。
    時に小膿疱は融合し、角層が薄く剥がれるようになる(図4参照)。
  • AGEPの画像
図4: AGEP の臨床

角層がはがれる所見
3)臨床検査値
  • 末梢血で好中球優位な白血球の増加やCRP の上昇を認める。
    白血球中の好中球数は7000/mm3 が目安とされている。
    好酸球も軽度増加することがある.肝・腎機能障害はあっても軽度である。
    血液、尿、膿疱の細菌検査で有意な細菌は検出されない
5)病理組織所見
  • 表皮は軽度の海綿状態を示し、角層下膿疱、あるいは表皮上層に膿疱を認める。真皮上層は浮腫性で、血管周囲に好中球、好酸球、リンパ球の浸潤を認める(図5参照)。時に、血管炎がみられることがある。
  • 画像図5:皮膚病理組織像
6)発症機序
  • 病変部のT 細胞の解析により、通常の播種状紅斑丘疹型の薬疹に比べて本症では末梢血や皮膚病変組織にCXCL8(interleukin-8)を産生する薬剤特異的T リンパ球(HLA-DR+CD4+ やHLA-DR+CD8+)が有意に多いことが指摘されている。
    最初に薬剤特異的T リンパ球が表皮に集まり、このTリンパ球やケラチノサイトからgranulocyte/macrophage-colonystimulating factor (GM-CSF)やCXCL8 が産生される。
    CXCL8 により病変部に好中球が集積するため、膿疱を形成するという機序が関与していることが考えられている。
7)医薬品ごとの特徴
  • ペニシリン系抗生物質が原因の場合には過去にこの薬剤に経皮的に感作されているため、薬剤使用後短期間で発症することが多い。




副作用の判断基準(判別方法)
1)概念
  • 薬剤使用後、高熱とともに急速に出現する多数の無菌性小膿疱を有す
    る汎発性の紅斑で、末梢血の好中球増多を伴う。
2)主要所見
  • @急速に出現、拡大する紅斑
    A紅斑上に多発する無菌性の非毛孔性小膿疱
    B末梢血の白血球中の好中球増多(7,000/mm3 以上)
    C発熱(38℃以上)
    主要所見のすべてをみたすものを急性汎発性発疹性膿疱症とする。
3)副所見
  • @皮膚病理組織学的に角層下膿疱あるいは表皮内膿疱
    A除外疾患:膿疱性乾癬、角層下膿疱症、中毒性表皮壊死症、汗疹、敗血疹
4)参考所見
  • ・皮疹は間擦部や圧迫部に出現しやすい
    ・膿疱は5mm 大以下のことが多い
    ・多くで粘膜疹は認めない
    ・ウイルスや細菌感染が先行あるいは増悪因子となることがある
    ・基礎疾患(乾癬、関節リウマチ、骨髄性白血病、潰瘍性大腸炎、掌蹠膿疱症、糖尿病など)が存在していることが多い






判別が必要な疾患と判別方法
  • AGEP は臨床症状、血液検査所見、病理組織所見、経過などの特徴を重視した概念で大部分が薬剤に起因すると捉えられる。
  • 一方、膿疱型薬疹は膿疱の出現という形態的特徴を重視した薬疹の1つの臨床病型である。
  • このため、AGEP と膿疱型薬疹の概念は一部重複している部分がある。

1)膿疱性乾癬
  • 過去に乾癬の既往があり乾癬局面が存在する。
  • 医薬品の摂取歴にかかわらず発症する。
  • 発症は比較的緩徐で、小膿疱は乾癬局面内にみられる。
  • 発熱の持続期間は長い。
  • 皮膚病理組織学的には表皮肥厚、錯角化がみられる。
  • 発症より2週間以上経過しても小膿疱が完全に消退しないことが多い(図6参照)。


図6(a,b):膿疱性乾癬の臨床像
AGEPの画像a) AGEPの画像b)

2)角層下膿疱症
(Sneddon-Wilkinson 病)
  • 発熱などの前駆症状は通常なく、間擦部中心に米粒大前後の弛緩性の膿疱を形成することが多い。
  • 膿疱は融合傾向を示し、しばしば環状あるいは蛇行状を呈す。
  • 数日から数週間の間隔で繰り返し出現する。
  • 臨床検査で特徴的な所見はない。

3)中毒性表皮壊死症
(toxic epidermal necrolysis: TEN
  • 38℃以上の発熱が認められる。
  • AGEP の経過中に小膿疱が融合し、角層が薄くはがれる所見を呈することがあるがTEN では全身の10%を超える表皮の壊死性障害による水疱、表皮剥離・びらんを認め、粘膜疹を伴う。皮膚病理組織検査により鑑別できる

4)薬剤性過敏症症候群
(drug-induced hypersensitivity syndrome:DIHS)
  • 全身に紅斑丘疹や多形紅斑がみられ、進行すると紅皮症となる。
  • 通常、膿疱を伴わないが、ときに顔面〜頸部に小膿疱が多発することがある。
  • 限られた原因医薬品の内服歴、全身のリンパ節腫脹、肝機能障害をはじめとする臓器障害、末梢白血球異常(好酸球増多あるいは異型リンパ球の出現)、原因医薬品中止後にも遷延する経過などが鑑別点である。
  • 経過中にヒトヘルペスウイルス-6 の再活性化をみる

5)急性汎発性(全身性)膿疱性細菌疹
  • 多くは上気道の連鎖球菌感染症に引き続いて全身に散在性に膿疱、小紫斑が出現する。
  • 皮疹は手掌・足蹠に初発することが多く、
  • 膿疱はAGEPでみられる膿疱より大きく、紅暈を有している。関節痛などの全身症状を伴う。

6)膿疱性汗疹
  • 高熱が出現した後に間擦部に汗疹が出現し、これが膿疱化した病変である。
  • 医薬品摂取に関わらず高熱後に生じる。
  • 末梢血の好中球増多を伴う白血球増多はみられない。

7)敗血疹
  • 38〜40℃の高熱が生じ、熱型は弛張熱、時に稽留熱で持続する。
  • 全身に膿疱が散在性にみられる。
  • 汎発性の紅斑は認められず、膿疱は、AGEPで認められるものよりやや大型である。
  • 血液細菌培養で菌が検出される。




治療方法
  • まず、被疑薬の使用を中止する。
  • 薬物療法としてステロイド薬の全身投与が有効である。
  • 急性期にプレドニゾロン換算で、0.5〜0.7mg/kg/日から開始し、症状に応じて適宜漸減する。
  • 抗菌薬による発症が疑われる場合には代替の抗菌薬は化学構造の異なるものを選択する。





典型的症例概要
[症例1]
  • 40 歳代、男性
    (家族歴):特記すべきことなし
    (既往歴):10 歳代に抗生物質による薬疹
    (現病歴):初診6 日前に作業中に転倒し左足背に外傷を受けた。2 日後に同部の発赤・疼痛と発熱が出現し近医受診。蜂窩織炎と診断され、フロモキセフナトリウムの点滴を受けた。点滴数時間後から体幹に紅斑が出現し、翌日には紅斑は全身に拡大するとともに潮紅が増し、高熱を認めたため緊急入院した。AGEPの画像
    (入院時現症):
  • 顔面から体幹、上肢はびまん性に紅斑を認め、頸部、前胸部、背部などでは1〜2mm 大の非毛孔性の小膿疱が多発散在していた(図7参照)。39℃台の発熱を認めた。また、左足背は蜂窩織炎のため発赤、腫脹が著明であった。
  • (入院時検査所見):
    • 白血球15500/μL(好中球 86.0%、好酸球 5.0%、単球3.5%、リンパ球 4.5%、異型リンパ球 1%)、赤血球 474×104/μL、Hg14.4g/dL、Ht 42.0%、血小板20.1×104/μL、血沈 83/114、AST 24 IU/L、ALT 19 IU/L、 ALP 205 IU/L、 LDH 517 IU/L 、BUN 33.4 mg/dL、 Cr1.2 mg/dL、 CRP 15 mg/dL 以上、ASO( anti-streptolysin O antibody)44 IU/mL、 ASK (anti-streptokinase antibody)160x.(倍)、各種ウイルス(単純ヘルペス、水痘-帯状疱疹ウイルス、Epstein-Barr ウイルス、サイトメガロウイルス)抗体価に有意な所見なし。細菌学的検査;背部の小膿疱・血液より一般細菌の検出なし。咽頭:常在菌のみ。左足背部:Streptococcus pyogenes (Group A)検出。心電図および胸部レントゲン検査にて異常なし。
  • (入院後経過及び治療):
    • 入院時の臨床所見で足背部の蜂窩織炎は深部へ進展する可能性が危惧されたため、入院時よりホスホマイシンの点滴、さらに翌日からヒト免疫グロブリン製剤の投与を開始した。全身の皮膚の潮紅は第2病日目より消退しはじめ、また、小膿疱も乾燥傾向を示し、第5 病日目には解熱し、所々に落屑がみられた。その後、蜂窩織炎の発赤・腫脹も軽快傾向を示した。第15 病日目には全身の発疹は軽度の色素沈着を残して軽快した。
  • (入院時病理組織所見):
    • 背部の小膿疱を含む紅斑では軽度の表皮肥厚があり、表皮内にリンパ球の浸潤がみられる。角層下には膿疱が認められた。また、真皮では上層の浮腫と血管周囲性に好中球、リンパ球、好酸球の浸潤を認めた。
  • (臨床診断):
    • 急性汎発性発疹性膿疱症
      (原因医薬品の検討):
      フロモキセフナトリウムのパッチテストを施行した。
      フロモキセフナトリウム貼付部に48 時間後にICDRG 基準で(2+)の所見がみられ陽性と判断した。
      ・フロモキセフナトリウムの薬剤添加リンパ球刺激試験(DLST)入院第 5病日 153% (S.I.値):陰性
      入院第24 病日 336% (S.I.値):陽性以上よりフロモキセフナトリウムによる急性汎発性発疹性膿疱症であることが確定した。
 







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