静座不能 |
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| 関連情報 |
「うつ病」「むずむず脚症候群」「アキネトン」 |
| アカシジアになる・・・医薬品 | |
| 「アーテン」「アナフラニール」「アモキサン」「ウインタミン」 「グラマリール」「コントミン」「ジプレキサ」「セレネース(ハロペリドール)」「デプロメール」「トレドミン」「ニューレプチル」「リスバダール」「ルボックス」「ロドピン」 | |
| アカシジア akathisia |
=「静座不能」「静止不能」「アカシジア」 ・筋強直により長時間静座不能になる状態。 ・運動的に落ち着きのない状態で、内面的な動揺を感じる程度から、静かに坐ったり横になったり、あるいは眠ることができない程度まで様々な反応がある。 ・錐体外路症状の1つ。 ・フェノチアジンの中毒症に見られる |
| 症状 | ●座ったままでいられない、 ●じっとしていられない、 ●下肢のむずむず感 ●灼熱感 ●下肢の絶え間ない動き・足踏み、 ●姿勢の頻繁な変更、 ●目的のはっきりしない徘徊 |
| 治療薬 | 他の錐体外路症状を伴うとき: 「アマンタジン」100~200mgを経口投与、1日2回。 「トリフェキシフェニジル」2~7mgを経口投与、1日2回。 「ビペリデン」1~4mgを経口投与、1日2回。 「プロシクリジン」3~10mgを経口投与、1日2回。 「プロプラノロール」10~30mgを経口投与、1日3回。 「ベンズトロピン」1~2mgを経口投与、1日2回。 |
| 極度の不安を伴う時: 「クロナゼパム」0.5mgベンズトロピン1~2mgを経口投与、1日2回。 「ロラゼパム」1mgベンズトロピン1~2mgを経口投与、1日3回。 |
| アカシジア (厚生労働省) 英語名:akathisia |
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| アカシジアは静座不能症と訳されていて、座ったままでじっとしていられず、そわそわと動き回るという特徴があります。アカシジアの原因薬では抗精神病薬によるものが多いのですが、抗うつ薬や一部の医師から処方された胃腸薬などによっても引き起こされることがあります。多くの場合には、服用を始めて数日後に出現しますが、数カ月間以上同じ薬を飲み続けた後に出現する場合もあります。前述の症状がみられ、落ち着かず、廊下を行ったり来たりなど、ずっと歩き回ったりします。 このように落ち着きがなくなったり、興奮して歩き回ったりするアカシジアの症状を、抗精神病薬などの服用を必要とした元来の精神疾患による精神症状であると勘違いしてはいけません。 病気が悪化したと勘違いして、自分で勝手に服用中のお薬をたくさん飲んでしまうと、一般的にはさらにアカシジアが悪化します。 あまりに苦しくて衝動的に自分を傷つけたり、自殺したいとさえ感じ危険な行為に及ぶ場合さえもあります。 |
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抗精神病薬などの医薬品を服用していて、前述のような症状、すなわち「座ったままでいられない」、「じっとしていられない」、「下肢のむずむず感」、「灼熱感」、「下肢の絶え間ない動き、足踏み」、「姿勢の頻繁な変更」などの症状がみられる場合には、自己判断で服用を中止したり放置したりせずに、早急に医師または薬剤師に連絡してください。自己判断での服用の中止で、さらに異なる重篤な副作用が出現する場合があるので注意して下さい。
アカシジアの症状は、薬物の投与開始や増量後「数日以内」に出現することが多いのですが、数カ月間以上服用を続けた後に出現することもあります。 症状は可逆的なもので、薬物の投与中止や減量によって消失または軽減します。また、アカシジアを治療するためのいくつかのお薬があります。アカシジアの症状が重篤な場合には、これらのお薬の筋肉内注射によって、速やかに症状を軽減することができます。 |
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| アカシジアは、主に抗精神病薬による副作用の1つとして広く知られているが、一般診療で使用される制吐薬や胃腸薬などもその原因になりうることを念頭に置く必要がある。 アカシジア自体は直接生命を脅かすものではないが、それが見逃され長期にわたって患者を悩ませていたり、時にはアカシジアによる症状の治療目的で入院となるケースもある。 この苦痛を伴うアカシジアによる異常行動は、しばしば元来の精神疾患に伴う治療抵抗性の精神症状や不安発作と誤診され、適切な処置がなされないまま不安・焦燥が悪化し、時に自傷行為や自殺に繋がる可能性も指摘されている。そこで早期発見のポイントとしては、アカシジアを引き起こす可能性のある薬剤の使用にあたり、積極的な問診により現症を十分に評価し、薬剤投与後に発現した「投与前の精神症状とは異なる落ち着きのなさ」に注目することが肝要である。また、全身状態の悪い患者の診療においては、足や臀部の違和感、同一姿勢が保てない点などに注目した、積極的な問診による症状の把握が求められる。特に、アカシジアを惹起する可能性のある薬剤の注射による処置後の30 分から2 時間以内に、急速に「投与前の精神症状とは異なる落ち着きのなさ」が出現した際は、まずアカシジアを疑うことから鑑別診断を始める。 |
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| (1)好発時期 | |
アカシジアは、
一方、遅発性アカシジアは原因薬剤を投与開始後3 ヶ月以上経ってから発現するものをいう。また、離脱性アカシジアは、すでに3 ヶ月以上原因薬剤が投与されており、その中断により6 週間以内に発症したものである。アカシジアの症状が3 ヶ月以上続いたものは、慢性アカシジアと呼称されるが、その際には慢性アカシジア急性発症あるいは慢性アカシジア遅発性発症と付記される。 |
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| (2)患者側のリスク因子 | |
| 統合失調症や気分障害患者では、複数の抗精神病薬を投与される機会が多く、常に注意を要する。化学療法や緩和ケア医療においては、全身状態が悪化していても多剤併用療法が必要となる場合が多く、制吐薬と抗潰瘍薬あるいは向精神薬などの相互作用にも注意すべきである。特に、広く用いられるメトクロプラミドなどの制吐薬は、その通常用量や1 回の注射による使用の際にもアカシジアが出現する場合があり、アカシジアの発現が見逃されている場合もあり得るので注意を喚起したい。さらに、鉄欠乏や糖尿病がアカシジア発現の危険因子であることも指摘されており、身体面の評価も忘れてはならない | |
| (3)投薬上のリスク因子 | |
| アカシジアは、古くはハロペリドールなどの定型抗精神病薬によって発現する副作用である錐体外路症状の一型として、パーキンソニズムと同様に良く知られていた副作用である。定型抗精神病薬によるアカシジアは、一般的には他覚的に観察できる症状が特徴的であるため、診断は比較的容易であった。一方、最近ではリスペリドンなどのような錐体外路系の副作用の発現が少ないと言われている非定型抗精神病薬が主に使用される機会が多くなったが、非定型抗精神病薬によってもアカシジアの発現は高頻度である。しかしながら非定型抗精神病薬によるアカシジアは、定型抗精神病薬のそれと比較して自他覚症状とも軽症な場合が多いようであり、そのため見逃されてしまうこともあり、症状が重篤化して初めて診断される場合もある。 | |
| (4)患者が早期に自覚しうる症状 | |
| 典型的な自覚症状は、強い不安焦燥感や内的不隠と、手足や体全体を揺り動かしたくなる、駆り立てられるような強い衝動である。患者は足をじっとしていられず、足を動かしたい欲求に気づいている。静止を強いられると内的不隠が増強する。 アカシジアの評価は、患者の主観的な訴えが強く反映されるため、客観的な評価が難しいとされてきた。診断や観察の参考のために、稲田らにより紹介された日本語版のBarnes による薬原性アカシジア評価尺度6,7)を紹介する(表1)。これは客観症状、主観症状、主観症状に対する苦痛の3項目に、6 段階評価の総括評価1 項目を加えた計4項目で構成されており、各アンカーポイントの記述は、アカシジアの発現から重症化の病像を理解する上でも参考になる。臨床医は、その発現を低く認知していることが各研究から指摘されており、各評点の合計点数とその推移は、経時的な病状変化の把握を可能とする。 |
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| (5)早期発見に必要な検査と実施時期 | |
| 現時点では、日常臨床で利用できる早期発見のための特別な検査法はない。運動亢進症状を客観的に捉える目的で、運動センサーを内蔵した測定器具や、市販の万歩計で定量的に運動量を測定できても、診断的な意義は少ない。したがって、表1 のアカシジア評価尺度等を参考に、日常診療の中での詳細な問診や観察を注意深く行う必要がある。その際には、躯幹、上肢、下肢の3 つの身体領域と、臥位、座位、立位のそれぞれの姿勢で評価することが望ましい。一方、アカシジアの原因薬剤の同定は重要であるので、原因になりうる主な医薬品リストを表2に示した。 | |
| (表1)薬原性アカシジア評価尺度(Barnes TRE) | ||||||||||||||||||||||||||||
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| (表2)アカシジアを引き起こす可能性のある薬剤 | ||||||||||||||||||
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(A)[患者指導の実際]
(B)[患者家族等への指導]
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| 副作用の概要 | |
| 急性アカシジアとは、静座不能症とも呼ばれ、強い不安焦燥感や内的不隠を伴う「じっとしていられない、じっと座っていられない」状態を示す。20世紀前半には、アカシジアはパーキンソン病や脳炎後のパーキンソニズムの患者に稀に発現する脳器質性の神経症状と考えられていた。しかし、1950 年代のドパミン遮断を薬理作用とする抗精神病薬の開発以降は、アカシジアは薬剤誘発性の錐体外路系の副作用として広く知られるようになった。したがって、一般にアカシジアは主にドパミン遮断薬により発現し、その中止ないし減量、あるいは中枢性抗コリン薬の併用などにより症状は軽減ないし消失する。その発生頻度は定型抗精神病薬では20~40%と報告されているが、錐体外路症状の軽減を図って開発された非定型抗精神病薬でも、発生頻度はそれほど減っていないという指摘もある。アカシジアの発生機序はドパミン遮断作用が一因と考えられているが、十分に解明されているわけではなく、最近では選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などドパミン遮断作用を有しない薬剤での報告もなされており、アカシジアを起こしうる薬剤は抗精神病薬以外にも多岐にわたる。 | |
| (1)自覚的症状と他覚的症状 | |
| 表1に示したように、アカシジアの症状は客観症状と主観症状の二つの側面から評価する事が必要である。主観症状は内的不隠と手足や体全体を動かしたいという強い衝動に駆られるものである。具体的には、足の裏や臀部がむずむずして落ち着かずイライラするが、歩き回ったり、足を組みかえたり、貧乏揺すりのような運動をしたりすることで、この症状は軽減する。このため、症状悪化に伴い自制が困難となると、明確な運動亢進症状が客観症状として観察されることとなる。また、苦痛が耐えられないものとなると、自傷行為や自殺企図に至ることもあり注意を要する。一方、軽症例では他覚的な症状に乏しく、自覚症状も「もともとじっとしていることが苦手」という患者の安易な返答によって見逃されてしまう場合もあり、最近の状態に焦点を当てた詳細な問診により初めて明らかにされることもある。 | |
| (2)臨床検査値 | |
| アカシジアを直接支持する検査所見はないが、血清鉄の低下や糖尿病がアカシジアの促進因子として指摘されており、血液生化学検査での評価は参考になる。 | |
| (3)発生機序 | |
| 急性アカシジアは他の錐体外路症状とは異なり、運動亢進症状という運動過多に加え、強い不安焦燥感や内的不隠という精神症状を有していることが特徴である。従ってその発生機序も黒質線条体系と関連する他の錐体外路症状とは異なり、中脳辺縁系や中脳皮質系のドパミン遮断作用が原因のひとつとして想定されている。事実、中枢性抗コリン薬への反応性も、アカシジアでは50%程度と低く、中枢性抗コリン薬の薬原性パーキンソニズムに対する80~90%の有効性に比べて明らかに低い。一方SSRI
のような薬剤もアカシジアを誘発するが、セロトニン神経系の亢進は、腹側被蓋野から中脳辺縁系と中脳皮質系のドパミン神経系に対して、抑制的に働くことが原因と考えられている。 また、アカシジアに効果がある薬剤の作用機序から、アカシジアの病態を説明しようとする考え方もあり、各種の仮説が提唱されている。ベンゾジアゼピン系薬剤の有用性からはGABA 系機能の低下説が、プロプラノロールなどのβブロッカー等が有効なことからノルアドレナリン系機能の亢進説などが提唱されている。また血清鉄の低下、糖尿病との関連や、その他の神経伝達系の相互作用が関与していると考えられ、最終的には大脳基底核回路の機能不全によりアカシジアが発生すると考えられている。 なお遅発性アカシジアは、抗精神病薬の長期投与による後シナプスの感受性亢進が原因と考えられている。 |
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| (4)医薬品ごとの特徴 | |
| 薬剤の種類によって発現するアカシジア症状の相違はないが、非定型抗精神病薬が主流となり、重症例に遭遇する機会は減っている。しかし、アカシジアの発現頻度が減っているのではなく、むしろその過小診断が危惧されている。非定型抗精神病薬の中でのアカシジアの発現頻度については、セロトニン・ドパミン遮断薬に分類されるリスペリドンなどでは比較的頻度が高く、クエチアピン、オランザピンでは少ない傾向がある。非定型抗精神病薬のなかのアリピプラゾールは、これらの薬剤の中ではアカシジアの発現が8.9%と他の非定型抗精神病薬の2.3%に比べやや頻度が高い。アリピプラゾールの開始時、あるいはアリピプラゾールへの薬剤変更時には、急性および遅発性アカシジアの出現に特に注意を払うべきである | |
| (5)副作用発現頻度 | |
| 参考1「薬事法第77条の4の2に基づく副作用報告件数」を参照 | |
| (6)自然発症の頻度(年間推定患者数) | |
| アカシジアの発現頻度については、文献により大きな差異があるが、定型抗精神病薬では平均20~40%と報告されている12)。一方、最近行われた大規模な試験では、定型抗精神病薬のペルフェナジンを対照として検討した結果、非定型抗精神病薬の錐体外路症状の発現率との間には有意差が認められなかったという報告もある13)。わが国での非定型抗精神病薬によるアカシジア出現率は、各長期試験の結果からは、リスペリドンが22.9%、ペロスピロンが40%、クエチアピンが5.2%、オランザピンが17.6%であった | |
| 副作用の判別基準(判別方法) | |||||||||||
| 臨床研究に推奨されており、アカシジアの判別で参考となる診断基準を表3に示す。典型例のアカシジアは、抗精神病薬などの原因薬の投与後に患者が静座不能の苦痛を訴えるので、判別は容易である。しかし、錐体外路系の副作用を軽減した非定型抗精神病薬、制吐剤、眩暈剤のみならず、ドパミン遮断作用を有しない他の薬剤によるアカシジアでは、当初は症状が軽微なために判別に苦慮する場合もある。また急性ジストニア、パーキンソニズムなど、 他の錐体外路症状を併発していると、運動亢進症状が目立たないこともある。したがって運動亢進症状の原因が内的不穏感によるなどを充分問診したり、急性ジストニアやパーキンソニズムなど他の錐体外路症状の併存や、むずむず脚症候群(restless legs 症候群)の併存などを参考にして総合的に判断する。判断が難しい場合は、積極的に疑わしい薬剤の減量や中止を試みることも大切である。なお薬剤誘発性アカシジア以外にも、アカシジアが嗜眠性脳炎や鉄欠乏性貧血の患者、あるいは脳炎後遺症の患者やパーキンソン病患者に見られることが報告されているが、極めて稀ではある。 |
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| 表3 | DSM-Ⅳ-TR の333.99 神経遮断薬誘発性急性アカシジアの研究用基準案
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| 判別が必要な疾患と判別方法 | ||
| 不安・焦燥、精神運動興奮、感覚障害、運動亢進症状を示す全ての疾患や薬物による副作用が鑑別の対象となる。具体的にはうつ状態、躁状態、不安・焦燥状態、パニック発作、精神病状態、精神運動興奮、心気状態などの精神症状および抗うつ薬によるactivation syndrome や、運動亢進や異常感覚などにおいてアカシジアと類似した症状を呈する遅発性ジスキネジア、またむずむず脚症候群(restless legs 症候群)、及びごくまれに見られる非薬剤性のアカシジアとの鑑別を考慮する必要がある。低血糖状態との鑑別の必要性も指摘されている | ||
| (1)精神症状との鑑別 | ||
| 薬剤投与後に精神症状が悪化した場合、投与薬剤が抗精神病薬や抗うつ薬であった場合には、原疾患の増悪と判別する必要があるのはいうまでもない。抗精神病薬以外の薬剤の投与後にアカシジアが発症した場合には新たに出現した精神症状と誤認される可能性がある。したがって、特に抗精神病薬以外の薬剤を投与している場合には、それらの薬剤の投与後に焦燥感、衝動性、興奮といった症状が出現したときには、アカシジアを少しでも疑ってみることがなによりも重要であり、原発性の症状が静座不能なのか不安・焦燥なのかを確認する。アカシジアでは症状が歩行や運動によって軽減されることも特徴だが、アカシジア以外の精神症状による焦燥・精神運動興奮の場合には、歩行ではあまり軽減されない。アカシジアでは下肢等に異常感覚(むずむず感、じりじり感)を伴うことも多く、さらにそうした症状に対する対処行動として診察室場面でも足踏みをしたり、そわそわと動かしたりすることも多く、こうした症状の存在はアカシジアであることの傍証となる16)。しかし、精神症状等のために意志の疎通が困難な場合には、精神症状とアカシジアとの鑑別は困難であり、急性アカシジアに対する治療を行ってみて、改善の有無で事後的に判断せざるを得ない場合もある。 Activation syndrome(またはstimulation syndrome)とは、特に抗うつ薬による中枢神経刺激様症状全般を指す用語であり、近年抗うつ薬による自殺関連事象をめぐって注目されているが、その用語の意味する病態や症状は多種多様であり、まだ十分に確立された概念とはいえない。一般にactivation syndrome とされている症状としては、不安、易刺激性、軽躁、焦燥、敵意、躁、パニック発作、衝動性、不眠、アカシジアがあり15)、その意味では薬剤誘発性のアカシジアもactivation syndrome の一症状と捉えることも可能である。Activation syndrome の中でもアカシジア以外の症状群では、歩き回らずにはいられないといった運動亢進への傾向はそれほど強くなく、またアカシジアと異なりβ遮断薬は有効ではないといった点が鑑別点になるが、いずれにせよSSRI の処方がかつての三環系抗うつ薬とは比べ物にならないほどに一般的になっている今日では、activationsyndrome の1型としてのアカシジアにも十分な注意を払うべきである。 |
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| (2)むずむず脚症候群との鑑別 | ||
| むずむず脚症候群(restless legs 症候群)は 特に夕方から夜間にかけて、多くは下肢の深部に「むずむずする」「虫が這うような」「ちくちく刺されるような」「ひっぱられるような」などと表現されるような、名状しがたい不快感が生じるものであり、このため入眠困難をきたすことを特徴とする病態である。異常感覚は下肢を動かすと消失するため、患者は下肢をばたばたと動かしたり、屈伸を繰り返したり、締め付けたりこすったりする。症状が強い場合には一晩に何度も起き上がって歩き回ることがある。すなわち両者とも体を動かさないではいられないといった運動亢進への傾向を有することなど類似点が多いために、その両者の異同が古くから問題とされてきた。さらに薬剤誘発性アカシジアの患者がむずむず脚症候群を併せ持つ場合も多いが、むずむず脚症候群では下肢の異常感覚が一次症状としてあり、症状は夜間就床時の眠気が訪れてくる時期に発現し、入眠困難をきたすといった特徴があるのに対して、アカシジアでは眠気と関係なく、日中でも座位や臥位などじっとしていると症状が増強し、運動への強い衝動が一次症状となる。睡眠に対する影響も両者で異なっており、睡眠ポリグラフによる検討では、アカシジアではむずむず脚症候群に比べて睡眠障害がより軽度であるとの報告がある |
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| (3)遅発性ジスキネジアとの鑑別 | ||
| 遅発性ジスキネジアは抗精神病薬の慢性投与、すなわち通常は3 カ月以上継続投与した後に生じる不随意運動である。 主に口、頬、舌、下顎など顔面周囲に生じ、時に四肢、躯幹に舞踏病様の不随意運動として発現する場合もある。同様に通常は抗精神病薬を3 カ月以上継続投与した後に生じる遅発性アカシジアはこの遅発性ジスキネジアを合併しやすく、またアカシジア自体、遅発性ジスキネジアの前駆症状として出現することもある。下肢や躯幹に生じる遅発性ジスキネジアではアカシジアにみられる静座不能との鑑別が必要だが、患者はこの不随意運動に対する苦痛をアカシジアほどには訴えないし、苦痛の軽減のために歩き回ることもない。また遅発性ジスキネジアで生じる運動は不随意運動であるが、アカシジアの運動亢進は苦痛の軽減のための歩き回るなどの随意運動である |
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| (4)非薬剤性のアカシジア | ||
| アカシジアは薬剤の投与によるものだけではなく、脳炎、脳炎後パーキンソン症候群、パーキンソン病、両側前頭部の外傷といった中枢神経系の疾患でも発現する。 これらによるアカシジアと薬剤性のアカシジアとの鑑別は、アカシジアの出現前に抗精神病薬やアカシジアを発現させうる薬剤が投与されていることや、投与と発症時期や臨床経過の間の時間的な関連が認められることで区別できる。薬剤の投与時期が不明瞭な患者や多種類の薬剤が併用投与されている患者、あるいは他の身体疾患を有している患者で慢性アカシジアがみられる場合には、アカシジアの原因が困難となる症例もある。 |
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| 治療方法 | |
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| 典型的症例概要 | |
| 【症例1】48 歳、女性 | |
| 1年前より意欲低下、不安、恐怖感、過食、不眠、動悸、過呼吸などを呈し、A病院にてパロキセチンを主剤として加療されていた。 48歳時B精神科病院を受診。 うつ状態にて1日量としてパロキセチン40mg、炭酸リチウム300mg に加え、アモキサピン50mg が追加処方された。2 週後には気持ちがすっきりしてきて、意欲が回復し、恐怖や不安も和らぎ、自覚的には抑うつ気分はかなり改善した一方、ちょっとソワソワするような感じがあると述べた。しかし更なる抗うつ作用を期待し、アモキサピンは100mg に増量された。 その2 週後には、さらにイライラ、ソワソワ、じっとしていられない感じが強くなったと訴えた。 歩き回っても楽にはならないが、歩き回らずにはいられないという。 アカシジアであると判断し、クロナゼパムを1mg 追加したが、十分な効果を示さず、翌週にはアモキサピンを50mg に減量し、クロナゼパムを中止、プロプラノロールを30mg 追加した。 血圧138/90mmHg、脈拍80/分であった。 プロプラノロールを追加した翌週になると、ソワソワはまだ完全には軽快していなかったが、耐えられないほどではないと述べた。血圧は118/88mmHgであった。プロプラノロールを60mg に増量したところ、その翌週にはソワソワはおさまり、じっとしていることができ、気分的にも落ち着き、意欲もそこそこ維持できていると述べた |
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