防已    SINOMENI CAULIS ET RHIZOMA
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関連情報
木通生薬の薬性と薬向」「臓腑の主治薬」「臓腑の引経薬
中国産 基原・参考
粉防已 ツヅラフジ科シマハスノハカヅラStephania tetrandra S.Mooreの根。
  • 中国での通称「漢防已」
  • 【成分】tetrandrine。demethyl tetrandrine。fanchinoline。
広防已
(木防已)
ウマノスズクサ科Aristolochia fanchi Wuの根。
  • 通常2縦割り。輸入される唐防已がこれ
漢中防已 ウマノスズクサ科Aristolochia heterophylla Hemsl.の根
木防已 ツヅラフジ科アオツヅラフジCocculus trilobus(Thunb.)DC.の根

日本産 基原・参考
漢防已 ツヅラフジ科オオツヅラフジSinomenium acutum Rehder et Wilsonの茎・ 根茎。
  • 日本薬局方の防已。
  • 【成分】sinomenine
漢防已 ツヅラフジ科 清風藤Sinomenium acutum(Thumb.)Rehd.et Wils(オオツ ヅラフジ)を漢防已としている。
  • 【成分】sinomenine。disinomenine。tuduranine。sinoacutine
木防已 ツヅラフジ科アオツヅラフジCocculus trilobus(Thunb.)DC.の茎・根。

【基原】 暖地の山野に自生する落葉つる性木本
ツヅラフジ科オオツヅラフジの茎または根茎
【性味】 味は辛苦、性は平、無毒
【薬性歌】 “防已気塞癰腫減 風湿脚痛膀胱熱”《万病回春》
効能

効果
<1>湿風と口眼沁ホ
<2>手足の疼痛
<3>瘟瘧熱気を治し
<4>大小便の通りを良くさせ
<5>水腫・風腫と
<6>脚気
<7>膀胱熱をなくし
<8>癰腫の悪結を散らし
<9>すべての瘤と
<10>疥癬虫瘡を治す。
◎膀胱の熱を冷ます。「水煎服」
◎十二経脈を通す。「水煎服。」
◎湿風の口・面の沁ホを治す。
◎主薬の防已は、末梢血管を拡張し、胸管リンパ流出を増大させる
【修治】 ◎皮を去り、(酒浸)し洗う。《万病回春》
【成分】 sinomenine
<1>リウマチ・神経痛の疼痛を軽減する:内服、皮下注射。
<2>中枢神経作用:(マウス・犬・蛙)  
  イ)自発運動を抑制。
  ロ)血圧降下。
  ハ)子宮運動を少量で促進、多量で抑制。
<3>脳下垂体後葉ホルモン作用を増強する。
<4>histamine遊離物質
薬理作用 <1>抗アレルギー作用
<2>抗炎症作用
<3>抗アナフィラキシー作用
<4>鎮痛作用
<5>血圧降下作用
<6>自発運動抑制
<7>リンパ形成促進
参考 一般に漢防已と呼ばれているオオツヅラフジの根を用いている。木防已と呼ばれているアオツヅラフジより優れている《大塚敬節》

防已の薬能
  • 《神農本草経》
    • 風寒、瘟瘧の熱気、諸癇を主る”
      “邪を除き、大小便を利す
  • 《薬性提要》
    • 下焦の湿熱を除き、二便を利す
  • 《古方薬品考》
    • 尿を瀉して水腫当に消すべし
  • 《重校薬徴》
    • “水を主治す”
      防已は漢木の二種あり、余が家は漢防已なる者を用う。按ずるに防已は漢中より出ずる者は之を漢防已と謂う。譬えば漢朮、遼五味子の如し、後世之を岐って二とす。其の茎を之を木防已と謂う、誤りと謂うべし。木防已を試用するに終に寸効なし。漢防已はよく水を治す、是に於いて断乎として之を用う、陶弘景は大にして青白色、虚軟の者は好く、黒点木強なる者は佳しからずと曰う。李当之は其の茎は葛の如く蔓延し、其の根は外白内黄桔梗の如し。内に黒紋あり車輻解の如きは良しと曰う。雷は凡そ木条にして色黄腥きは用うるなかれ、皮皺上に丁足子あるは用うるに堪えず、惟だ心に花文あり黄色なる者を要すと曰う。蘇頌は漢中に出ずるものは之を破るに文、車軸解を作し黄実にして香しと曰う。蘇頌は木防已は用うるに堪えずと曰う。”
  • 《古方薬議》
    • 水を利し、湿を去る
  • 《中薬大辞典》
    • 水を行らし、下焦の湿熱を瀉す”
      “水腫膨張、湿熱脚気、手足攣痛、疥癬瘡腫を治す


【薬対】 『防已+桂枝』
  • 利湿作用
  • 表部の水滞による浮腫・神経痛・リウマチを治す。
  • 防已茯苓湯《金匱要略》
『防已+石膏』
  • 清熱利水作用
  • 裏部の水滞による心臓性浮腫・心臓性喘息を治す。
  • 木防已湯《金匱要略》

要注意 国内では流通していない漢方薬で腎障害を起こす例が続いているとして、厚生労働省は2004年4/23、医薬品・医療用具等安全性情報を出して注意を呼びかけた。
承認されているものと名前が似ており、中国などで間違えて購入するケースがあると見ている。
 同省によると、最近報告されたのは、腎毒性のある“アリストロキア酸”という成分を含む『広防已』という生薬による腎障害。同成分を含む漢方薬は日本では認められておらず、承認されている別の生薬『防已』と誤ったものとみられる。
 このほか、中国などでは、同成分を含む植物を用いた『関木通』や『青木香』『南木香』が、含まない別の生薬『木通』や『木香』と同じ略称で売られている場合があるという。
 渡航先で購入したり、インターネットで個人輸入して腎障害を起こしたりする例が報告されている。

防已(ボウイ Fangji)
日本国内で「生薬として流通している防已,漢防已並びに木防已」及び「漢方製剤の中で原料として用いられている防已,漢防已並びに木防已」は,いずれも日本薬局方で定めるボウイである。この原植物は,オオツヅラフジ Sinomenium acutum Rehder et Wilson(Menispermaceae)のつる性の茎及び根茎であり,アリストロキア酸は含有していない。
しかし,中国などでは,利尿作用などの薬効が顕著であることから,アリストロキア酸を含有する「广防己(Guangfangji)」(Aristolochia fangchi Y.C. Wu ex L.D. Chow)が用いられている場合があるので注意が必要である。
類似した名称で「粉防己」(原植物はツヅラフジ科のシマハスノハカズラ Stephania tetrandra S. Moore)があり,これ自体はアリストロキア酸を含有せず毒性はないが,外国で广防己と取り違えたために多数の腎障害の患者が発生したとの報告がある。また,単に「防己」と記載してあっても,略称表示であり,実際には「广防己」が用いられている場合があるので注意が必要である。
なお,日本,中国とも歴代の本草書では,防已(ボウイ),防己(ボウギ,ボウキ)の両者を用いているが,現代では日本薬局方では,防已(ボウイ)と規定され,中国では,薬典で防己(Fangji)と規定しており,両国で,以下のとおり漢字表記も異なっている点にも注意が必要である。
ボウイ = 防已  ……日本
ボウキ = 防己  ……中国
(已と己で字が異なる。) 厚生労働省安全情報200号