ACONITI TUBER
附子(ぶし)
 

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関連情報
トリカブト生薬の薬性と薬向」「臓腑の主治薬」「臓腑の引経薬

附子の種類
中国産
キンポウゲ科RanunculaceaeカラトリカブトAconitum carmichaeli Debx.の塊根(子根)をそのまま乾燥:
   中国名「干附子、川附子」
   日本名「塩附子」
外皮を剥ぎ2縦割りしてニガリ水に浸けて乾燥:
   日本名「炮附子」
   中国名「附子瓣、瓜片」
外皮を付けたまま輪切りにし、ニガリ水に浸けて乾燥:
   「順黒片」「熟附片」
それを硫黄で白く晒す:「白附片」
野生
「草烏頭」「草烏」
日本産
母根・子根を混ぜる。
○オクトリカブトA.japonicum Thunb.の塊根を乾燥:「草烏頭」
○塩水に浸けて石灰をまぶして乾燥:「白河附子」
韓国産
○ミツバトリカブトの塊根を乾燥:「草烏頭」
○キバナトリカブトの塊根を乾燥:「白附子」「関白附]


【処方名】 [附子][熟附子][附片][熟附]
【基原】 中国四川省の山地に自生する多年草
【性味】 味は辛甘、性は大熱、大毒。Q熱補燥升散R
【帰経】
  • 三焦・命門に入る《湯液本草》
  • 手の厥陰・命門・手の少陽に入り、あわせて足の少陰・太陰の経にも入る。また足の太陽にも入る《神農本草経疏》
  • 足の厥陰肝経・足の少陰腎経・手の太陰肺経に入る《本草経解》
  • 心・肝・腎《本草再新》
  • 心・脾・腎経《中薬大辞典》
【分類】 温裏ム寒薬。
【薬性歌】 附子辛熱走不留 厥逆回陽宜急投
附子、辛熱。性走って守らず。四肢厥逆に陽を回らして功あり。《万病回春》
効能

効果
(強心・鎮痛・利尿)
陽を回復し、逆を救い、火を補い、風寒湿邪を退ける。
  <1>大汗亡陽
  <2>四肢厥逆
  <3>腎陽衰弱
  <4>畏寒自汗
  <5>心腹冷痛
  <6>脾泄久痢
  <7>陽虚水腫
  <8>風湿関節疼痛
新陳代謝機能が沈衰した者を振起復興させる。
利尿、強心作用がある。
虚弱者の腹痛・下痢・失精に応用。
  <1>三焦の厥逆
  <2>六腑の寒冷。
  <3>寒湿痿躄を治す
【修治】 ■厥冷回陽には:(生用)
■諸薬を引いて経を行らすには:麺に裹(つつ)み、火にて゚し皮臍を去り、四片に切り、童便を用いて浸し透し、焼いて乾燥《万病回春》
【成分】 アルカロイド・・・草烏>川烏>附子の順に含有量
  1. Aconitine Type
    • aconitine:毒性が強いが、加水分解されると、低毒性のaconineになる。毒性は1/50〜1/200に低下する。
    • mesaconitine
    • hypaconitine
    • jesaconitine
  2. AtisineType
    • atisine
    • napelline
    • songorine
    • ignavine
    • hypognavine
    • kobusine
薬理作用 <1>心臓運動抑制
<2>呼吸中枢抑制
<3>降圧作用
<4>強心作用
<5>冠血管拡張作用
<6>下肢血管拡張作用
<7>局部麻酔作用
<8>アドレナリンβ受容体刺激
<9>DNA合成率を高める
<10>性ホルモンを調整する
【品質】 “附子は今烏頭を用う。奥州南部津軽松前に出ずる者尤も上品となす。舶来の附子は塩蔵にして自然の物に非ず、其の効も亦、仲景氏の用うる所に適せず、雷は附子一個の重さ一両なる者は則ち是れ気全しと曰う。陶弘景は附子烏頭を若干枚、皮を去り畢り半両を以て一枚に準ずと曰う。此の説是なり。李時珍は一両に及ぶは得がたく、但だ半両以上を得る者は皆良しと曰う。按ずるに明秤の一両は大抵当今の十銭なり、現今舶来の品は其の重さ十銭内外なり、即ち時珍の説と符す、蓋し培養して塩蔵す、大且つ重なる所以なり。本邦の烏頭は其の軽重は雷陶二氏の説と略ぼ同じにして、其の効は仲景氏の用うる所と亦祗に同じ、故に今彼を用いずして此を用うるなり、韓保昇は正なる者を烏頭となし、両岐する者を烏喙となり、細長三四寸なる者を天雄となし、根旁に芋の如きを散生する者を附子となし、旁に連生する者を側子となし、五は同じく出でて名を異にすと曰う。李時珍は初種を烏頭となすは烏の頭に象るなり、烏頭に附いて生ずる者を附子となし、子の如く母に附くなり、烏頭は芋魁の如く附子は芋子に如し、蓋し一物なりと曰う。為則按ずるに其の効皆同じ、而して後世之を弁別す、従うべからず。水洗しtみ用う”《重校薬徴》
参考 トリカブトの古字=「菫」
毒性を減弱させたもの
→「(エキス剤として利用されている)
高橋真太郎・大阪大学薬学部教授によって、附子減毒の加工処理が開発され、1963年村山慶吉(三和生薬社長)が製法特許406780号を取得。この加工処理によって、附子のジエステル型のアルカロイドである亜コニチン・メサコニチン・ピパコニチン・ジェサコニチンは、モノエステル型に変わり、毒性を確実に減じることができ、非アルカロイド性の強心因子が破壊されずに保存され留用になりました。
また、三和生薬では附子の成分含量のバラツキを少なくするため、北海道豊浦町に専門農場をもうけ、品種改良を進めた結果、「サンワオクカブト1号」が1988年12月に品種登録されました。
鎮痛作用 加工ブシ末の鎮痛作用
加工ブシは現在、
リウマチ
神経痛
などの疼痛性疾患および
四肢の冷え

更年期不定愁訴などの治療に広く用いられています。
プロスタグランジン(PGs)生合成阻害作用を機序とする非ステロイド系鎮痛・抗炎症薬とは異なる作用機序である。
非ステロイド系の鎮痛薬は、PGs生合成阻害により鎮痛作用をもたらす。これは、PGsが痛みに対する増感作用を有することに基づく。他方、PGsは細胞の膜組織に存在し、膜の恒常性を維持する働きがあり、PGs生合成阻害剤は副作用として胃腸障害を有するとされている。
中枢性の作用機序と考えられている。
麻薬性鎮痛薬とは異なる作用機序であり、モルヒネとの併用でモルヒネの鎮痛作用を増強することが報告されている。
強力な鎮痛薬でないとその活性が認められないとされる試験法「圧刺激法」において鎮痛効果を現す。
慢性関節炎モデルのアジュバント関節炎における疼痛に対して、用量依存的な鎮痛作用を示す
各種の鎮痛活性測定法で用量依存的な鎮痛作用が認められている。
   酢酸ライシング法
   フェニルキノンライシング法
   圧刺激法
   ホットプレート法
   ランダルセリット法
   アジュバント関節炎疼痛


附子の薬能&出典
  • 《神農本草経》
    • 風寒、ゥ逆邪気、温中、金瘡を主り、堅積聚、血を破り、寒湿のJ躄、拘攣膝痛し行歩能わざるを治す
  • 《名医別録》
    • 脚疼冷y、腰脊風寒、心腹冷痛、霍乱転筋、赤白痢を治し、筋骨を堅くする。
    • 陰を強くする
    • 堕胎する。
    • 百薬の長である。
  • 《医学啓源》
    • 臓腑の沈寒を去る。
    • 陽気の不足を補助する。
    • 脾胃を温め熱くする
  • 《李晃》
    • 臓腑の沈寒、三陰厥逆、湿淫腹痛、胃寒回動を除く。
    • 経閉を治す。
    • 窒補い壅を散らす。
  • 《王好古》
    • 督脈の病、脊強による厥を治す。
  • 《本草綱目》
    • 三陰傷寒、陰毒寒疝、中寒中風、痰厥気厥、柔珮溂秩A小児慢性ひきつけ、風湿麻痺、脚気による腫れ、突発性頭痛、腎厥による頭痛、暴瀉脱腸、久痢嘔。、反胃噎膈、癰疽、久漏冷瘡を治す。
  • 《薬性提要》
    • 風寒を散じ、停水を行らし、頭風脳痛を治す
  • 古方薬品考》
    • 裏を温め、痰を除き、水を利す
  • 《薬徴》
    • 悪寒を主るなり
  • 《重校薬徴》
    • 水を逐うことを主る
    • 故に悪寒、腹痛、厥冷、失精、不仁、身体骨節疼痛、四肢沈重痛を治し、下利、小便不利、胸痺、癰膿を兼治す
    • 《本草綱目》附子の条に神農は味辛と曰い、岐伯雷公は甘と曰い、別録は甘大熱と曰い、李当之は苦大温と曰い、張元素は大辛大熱と曰い、李時珍は辛温と曰う、五味の口に於けるや嘗めて能く弁知すべく、其の説同じからざること猶此の如し、故に凡そ薬性を論じ其の寒熱温涼を云う者は皆諸れ臆を断ず、其の説紛々として適従すべからず、夫れ仲景の附子を用いて水を逐うを以て主となす、故に熱あるの証と雖も、苟も水気ある者なる時は則ち附子を用うること、麻黄附子細辛湯真武湯、大黄附子湯の如し、豈顕然として著明ならざらんや、学者諸を思え、孔子は、名正しからざる時は則ち言順わず、言順わざる時は則ち事ならずと曰う。医の理も亦然り、今の所謂中風は、古の中風にあらざるなり。仲景氏は頭痛発熱汗出で悪風する者は名けて中風となると曰い、而して今の所謂中風は則ち半身不随、口眼沁ホ、或いは肢体疼重、拘急不仁する者なり。 其の目轤ゥに《金匱要略》に見ゆ、其の論は皆空理臆度にして徴するに足ることなき者は、其の治方も亦備らず、附方中に載せる所の古今録験、続命湯、千金三黄湯の如きは絶えて効験あることなし、是を以て爾来医人此の証に未だ能く全効を収むる者を見ず、之を名けて正しからずとす。事将に安んぞならんや、蓋し其の肢体沈重、拘急、不仁、不遂、口眼沁ホ等は皆仲景氏の附子剤を用うるの証なり、按ずるに烏頭桂枝湯の証に手足不仁、身疼痛、灸刺諸薬治する能わずと曰い、桂枝附子湯及び去桂加朮湯の証に身体疼痛掣痛し転側する能わすと曰い、甘草附子湯の証に骨節疼痛掣痛し屈伸する能わずと曰い、、桂枝加附子湯の証に四肢微急以て屈伸し難しと曰う。余毎に今の所謂中風、肢体沈重、拘急、不仁、口眼沁ホ等の証を療するに此の諸方を撰用して、一として中らざるなく、中れが則ち瞑眩す、瞑眩すれば則ち疾随ってゆ、故に今の所謂中風は古の所謂中風に非らずして仲景氏の附子剤を用うるの証なり。
  • 《古方薬議》
    • 陽を回らし、寒を散じ、痛みを去る。陰証の主薬とす
  • 《勿誤薬室方函口訣》
    • 仲景、陰虚ニハ附子ヲ主トシ、陽虚ニハ人参ヲ主トス。
    • 後世ニテ云ヘバ、人参ノ脾胃ニ入リテ脾元ノ気ヲ温養シ、附子ハ下元ニ入リテ命門火ノ源ヲ壮ニスル
  • 《虞搏》
    • 附子は雄壮の質を稟け、斬関奪将の気を有するもので、能く補気の薬を導き、十二経に行らして、散失した元陽を回復し、補血の薬を導き、血分に入って不足した真陰を滋養し、発散の薬を導き、ネ理を開いて表にある風寒を駆逐し、温暖の薬を導き、下焦に到達せしめて裏にある冷湿を除去する
  • 中薬大辞典》
    • 回陽補火し、寒を散じ湿を除く
    • 陰盛格陽、大汗亡陽、吐利厥逆、心腹冷痛、脾泄冷痢、脚気水腫、小児慢驚、風寒湿痺、L躄拘攣、陰疽瘡漏及び一切の沈寒痼冷の疾を治す



【薬対】 『附子+黄蓍』
『附子+乾姜』
『附子+桂枝』
『附子+虎骨』
『附子+大黄』
『附子+肉桂』
『附子+人参』
『附子+白朮』
『附子+麻黄』