| 薬物送達 (DDS) |
| DDS | =薬物送達システム(ドラッグ・デリバリ・システム) |
| 骨折 | 注射で骨折を治す 「武田薬品工業は1999年、骨折の回復を助ける新しい化合物の臨床試験を始めた。骨の形成を促すタンパク質の働きを活発にする作用を持っており、うまくいけば治療期間を2/3に短縮出来る。 この薬の特徴は、薬そのものの作用もさることながら、その効き方にある。幹部に注射するとおよそ1ヶ月間にわたって徐々に成分を放出し、幹部の薬の濃度を一定に保つ。 技術のポイントは乳酸グリコール酸共重合体と呼ぶ特殊な高分子材料だ。武田はこの技術を前立腺ガン治療薬「リュープリン」で確立。 |
| 24時間 | 24時間効果が持続する飲み薬 「山之内製薬は効果が24時間持続する飲み薬の技術を開発した。通常の薬は水分に乏しい大腸に達すると、成分が溶け出さなくなってしまう。この問題を解決するために、秋水性の高分子材料で薬の表面を覆った。胃や小腸を通過する際に高分子が水分を吸収し、これを大腸まで運んでいく。大腸でも薬の溶出が続くため、効果が長持ちする。 |
| 胃酸から | 多層カプセルで胃酸から守る 腸の健康を保つビフィズス菌を特殊加工して確実に腸まで届ける・・・そんな健康食品が登場した。医薬品の世界で駆使されているドラッグ・デリバリ・システムを応用している。 腸の常在菌であるビフィズス菌は消化吸収・ビタミン合成・免疫の向上などの働きをもつ「善玉菌」で、年を取るにつれ数が少なくなる。健康維持には、全腸内細菌の25%をビフィズス菌が占めると理想的と言われているが、一般に成人でも15%程度、80歳を越えると1%程度に低下する。補うために菌を飲んでも、胃酸によって死んでしまう。欠点があった。 森下仁丹・医薬品開発部の小崎俊雄課長は言う。「胃酸は消化を助けるだけでなく外部から体に入る菌を殺す役割もある。相手が善玉菌でも、自然の摂理に反して殺さないで腸にまで運ぼうとするには工夫がいる。 ビフィーナは3層構造をしている。最外層のゼラチンは胃酸で溶ける。その内側に胃酸に強い油層があり、ビフィズス菌を守る。腸に入ると、油層が胆汁や腸液で溶け、ビフィズス菌が活動を始める。 日新製品も同種の製品として「ビフィズスリブロン」を販売している。ビフィズス菌の常住場所が大腸であることに着目し、大腸でカプセルが壊れる方式を開発した。食物繊維キトサンの硬カプセルを、医薬品に使われている樹脂シェラックで覆った。 最外層のシェラックは胃酸では溶けず、そのまま通貨。小腸にはいると、胆汁などの消化液で溶ける。大腸では他の腸内細菌によってキトサンカプセルが壊され、内部のビフィズス菌が放出される。カプセルの厚さなど最適条件や生産工程を決めるために約10年かかったという。 |
| ガン | ガン組織に集中蓄積 「DDSシステム開発ベンチャーの「ナノキャリア」(千葉県柏市)はガン組織に蓄積されやすいDDSを開発した。直径がナノメートル(1/10億)サイズの中空粒子の内部に薬物を閉じ込めるもので、血管の壁をすり抜けてガン組織に入り込む性質がある。水に混ぜて投与できるなど、取り扱いも容易だという。動物実験で確認済み。 開発したDDSは材料にポリエチレングリコールとポリアミノ酸を結合した分子を使った。ポリエチレングリコールは水となじみやすい親水性、ポリアミノ酸は油となじむ疎水性で、ポリエチレングリコール部分が外側に、ポリアミノ酸が内側に並んだミセルと呼ぶ構造になっていて、直径数10〜200ナノメートルの球状をしている。そして、抗ガン剤の多くは疎水性のため、ミセルの内部に閉じこめられる。 ガン組織が発達すると周囲に新しい血管(新生血管)が出来るが、粒子はこの新生血管の細胞の隙間を通過しやすい大きさをしているため、ガン組織に集中的に蓄積される。肺ガンのマウスを使った実験では通常の7倍の濃度まで抗ガン剤が蓄積された。 ミセルがガン組織に到達するとガン細胞の作用で壊され、中の抗ガン剤が放出される。ミセル化することで水の混ぜて投与できるようになる。抗ガン剤のほとんどが、水に溶けないためアルコールに溶かして投与しているが、今回のDDSはこの点もクリアしている。 |
| 抗がん剤を 「東京大学発創薬ベンチャーのメビオファーム(東京港区)は、抗がん剤を患部周囲に集中させ、治療効果を高めて副作用を減らす投薬技術を開発した。ガン細胞にくっつくように表面加工した直径120ナノbの微小カプセルに薬を封入して注射する。動物実験で大腸ガンに対する効果を確認。 開発したのは、薬をリポソームと呼ぶ脂質のカプセルで包み、患部を狙い撃つ薬物送達システム(DDS)技術。 カプセルが長期間体内にとどまる用にするための一般的な表面処理技術はあるが、米社が特許を保持している上に、品質にばらつきが出やすかった。 メビオファームは安定なリン脂質の一種で代替。この物質を足場にして、ガン細胞への結合力が強いタンパク質をくっつけた。大腸ガンに有効な抗がん剤を封入して鼠に注射したところ、カプセルを使わないときの1/60〜1/100の分量で同等の効果が得られた。 効果は従来のカプセルと同等だったが、ガンに吸収されずに血中にとどまる薬量が低減し、神経障害などの副作用が起きにくくなる。投与量が少なく、体内の残存しにくいため、点滴でなく注射での投与が可能。2005年9月にFDAに申請する。 |
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| 難治性ガン | 国立がんセンター東病院と○○は大腸や胃・肺・膵臓などに出来る難治性ガンに有効な薬物送達システムを開発。 通常の抗ガン剤が届きにくい血管の少ないタイプのガンに作用する。 直径数十ナノbの油や水になじむ特殊な微粒子(ミセル)に既存の抗ガン剤を入れた。新粒子は血管壁を通りやすく患部に届きやすい。 |
| タンパク質 | 東京大学の相田卓三教授と金原数講師らは、タンパク質の内部にナノメートル(ナノ=1/10億)レベルに加工した超微粒子を入れたり出したりすることに成功した。『分子シャペロン』と呼ぶ樽型のタンパク質で確認した。たるの真ん中に直径4.5ナノメートルの空間がある。実験で黄緑色の傾向を出す直径3ナノメートルの硫化カドミウムを取り込ませた。 樽型タンパク質は本来、異常なタンパク質を包み込み、筋肉を動かすエネルギーとなるアデノシン三リン酸(ATP)を使って正しい構造に戻す機能がある。実験でATPを加えると、樽の構造が変わり、微粒子を放出した |
| ニトロ | 祟城大学の前田浩教授(熊本大学名誉教授)らは、狭心症治療に使うニトログリセリンを、ガン病巣部に塗布することで抗ガン剤を効果的に送り込めることを発見した。 マウス実験で、ニトログリセリンを塗布しない場合に比べ、ガン細胞に2倍の濃度で薬剤が集積した。腫瘍の大きさも塗布しない場合に比べて半分以下になった。 成果は、2008年の日本癌学会で発表。 |