DNAデオキシリボ核酸  
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遺伝子」「核酸」「ユビキチン」「活性酸素

DNA (デオキシリボ核酸)
・タンパク質を作る情報を担っている化学物質。
・デオキシリボースと呼ばれる炭素数5の単糖(五炭糖)とリン酸基(PO43−)が交互につながってできた鎖上の糖にアデニン・グアニン・シトシン・チミンの四つの塩基のどれかがくっついて長い鎖になる。
その鎖ともう一本の鎖の塩基同士が水素結合でつながり、螺旋階段状になっている。
「ねじれた縄梯子のような二重螺旋構造をしています。
その縄梯子の部分は4種類の塩基と呼ばれる小さな分子でできていて、その配列そのものが、細胞から細胞へ、親から子へ遺伝する情報そのものです。しかもその情報の多くの部分があらゆる生物に共通であることが分かりました。
二重螺旋は
  ・アデニン(A)
  ・チミン(T)
  ・グアニン(G)
  ・シトシン(C)
という4つの塩基分子の配列で、生命の設計図を作り上げています。        
暗号文字(塩基) 大きさ 高さ
アデニン(A) 高い
チミン (T)
グアニン(G) 低い
シトシン(C)
走査型トンネル顕微鏡で見たDNA
人間の場合DNAの長さは2メートルもあり、約31億の塩基配列があります。この全情報をゲノムと呼んでいます。
 生物の設計図を作っているDNAは、人間とほかの生物がどれだけ似ていてどれだけ違うのかを明確にする目安にもなる。たとえば500万年前に分かれたとされるチンパンジーと人間の遺伝子配列の差はわずかに1.23%にすぎないことが明らかになりました。またネズミと人間では遺伝子の80%は共通で全く異なる遺伝子は約1%しかないことがわかってきました。
折りたたみ
長さ2メートルもあるDNAが細胞核内にうまく納まる仕組みを解明する手掛かりを自然科学研究機構・基礎生物学研究所の堀内蒿教授と定塚勝樹助教のチームが突き止めた。
成果は2009年モレキュラーセルに掲載。
研究チームは酵母細胞の中野直径1µmの核の構造を調べた。
DNAの中に特殊な塩基配列が繰り返し現れており、この配列がタンパkプ質の複合体と結合していることが分かった。
ミトコンドリア (mito=糸)(chondrion=粒子)の合成語。
単数形をミトコンドリオン、複数形をミトコンドリアという。独立した1つの構造体ではなく、お互いに融合したり分裂したり出来る集合体。
細胞核内のDNAとミトコンドリア内のDNAとがある。ミトコンドリアが持っている独自の遺伝子が母親から子供へと直接伝わることから、1987年米国のアラン・ウィルソン博士らが「ミトコンドリア・イブ仮説」を唱え、世界各地の人々のミトコンドリアDNAを調べ人類の家系図を作った。その結果、現代人の祖先は人種を越えて共通の祖先にさかのぼれると発表した。
○細胞核内のDNAからミトコンドリアは作られない。
○DNAの遺伝情報を受け持つ部分を「エクソン」といい、
 それ以外の部分を「イントロン」という。
エクソンが傷つい(ex活性酸素で)た時に、それを修復するのがイントロンです。
○エクソン=核内DNAの5%
  ミトコンドリアDNAの99.8% 
○縄梯子のステップの数:
  (1)核内DNAには30憶個。
  (2)ミトコンドリアDNAには500個。
2009年、産業技術総合研究所は、ミトコンドリアの膜タンパク質が6種類しかない可能性が高いことを突き止めた。
ミトコンドリアを覆っている生体膜を貫いて外部との物質のやりとりを制御するβ型外膜タンパク質に特有の『βシグナル』というアミノ酸配列に着目。
ミトコンドリアを構成する9000種類以上のタンパク質の配列をコンピューター解析したところ、既に知られているものを含めて6種類しか見つからなかった。
細胞内で働くミトコンドリアは、生物が酸素を呼吸してエネルギーを作り出す上で大きな役割を担っている。
ミトコンドリアはバクテリアが祖先と考えられ、バクテリアと同じように100種類以上の膜タンパク質を持つと見られていた。
cDNA (相補的デオキシリボ核酸)
「生命の設計図と言われるゲノム(遺伝情報)には、意味がない情報も含まれている人間のゲノムは30億個の塩基対で構成されるが、タンパク質を作る部分はその5%ほど。これに役立つ塩基配列だけを取り出して、医薬品開発などに利用しやすくしたものを『cDNA(相補的デオキシリボ核酸)』と呼ぶ。
cDNAはDNAを複製したmRNA(伝達リボ核酸)を基にして作られる。ゲノムのうち酵素などのタンパク質を作る部分を遺伝子と呼んでいる。
cDNAはその“金型”と言える。天然には無いため『人工遺伝子』とも呼ばれる。
cDNAを動物細胞などに組み込めば、目的のタンパク質が出来る。すでに組み替え医薬品の生産など幅広く応用されており、この技術を使って肝炎治療薬のインターフェロンなどが作られている。2000.6.13《日経産業新聞》」
東京湾岸の横浜・鶴見にある理化学研究所ゲノム科学総合研究センターの林崎良英プロジェクトディレクターは「ゲノムだけでは遺伝子の本当の情報はつかめない。我々の研究はセレーラとは異なるアプローチだ」と語る。強力な武器はcDNA(相補的デオキシリボ核酸)のデータベース。cDNAとはゲノムからタンパク質を作らない部分を除いて、有用な遺伝子部分に純化したDNAだ。自然の細胞には存在せず、細胞内でゲノムからタンパク質が出来るプロセスの中から人間の手で情報をコピーして作り出す。cDNAデータベースをうまく利用すれば、どの遺伝子がどんなときに働いているかを突き止める近道になる。ゲノム解読で米英にリードされた日本の研究者はcDNAで逆転を狙う。
理研だけでなく、東京大学医科学研究所、官民出資のバイオベチャーのヘリックス研究所などが先頭に立ち研究を進める。
理研ではマウスのcDNAをすべて集めたデータベースを作成、これを足がかりに人間の遺伝子探索に進む作戦だ。しかも「体内での遺伝子の働きを個別に追うのではなく、網羅的に解明する。これで治療法も格段い進歩するはずだ」と林崎ディレクターは言う。
例えばガン。ガン関連遺伝子は毎月のように発見されるが、全体でどれほど多くの遺伝子がガン化や、ガン細胞の増殖に関わっているのか見えていない。
個別の遺伝子が分かっても、遺伝子が相互に作用する変化の全体像が分からないままでは、治療薬が作れない場合も多い。逆に全体像がつかめれば、ガン化プロセスの止めやすいところに的を絞って薬を造り、確実な効果が期待できる。9月に開いた日本癌学会でも遺伝子解析技術を使ってガン関連遺伝子を見つけたという発表が目白押し。中には優れた研究もあるが、「遺伝子の微妙な個人差であるSNP(一塩基多型)だけで病気が分かるというのはほんとうだとうか?」と財団法人・癌研究会癌研究所の樋野興天実験病理部長は疑問を呈する

cDNAで特許
「2003年7/24日。神奈川科学技術アカデミー(KAST)は、タンパク質のひな形になる『相補的DNA(cDNA)』と呼ぶ遺伝子を人工合成する技術の特許を取得したと発表。タンパク質の構造解析や新薬の開発などに重要な技術で、今後、製薬会社などに実施権の供与を検討する。
生命の設計図であるDNAがタンパク質を作る際に出来るmRNA(伝令リボ核酸)からcDNAを合成する。mRNAの末端を酵素で切り離し、塩基配列の分かっている人工DNAを継ぎ足し、これを鋳型にしてcDNA を作る。
これまでの合成法では一部の塩基配列が入れ替わり、ねらったタンパク質を作れなかった。新手法では9割以上の確率で狙った通りの塩基配列をもつcDNAを取り出せる。」

DNA修復・・・DNA切断を修復
  • 切れたDNAを接合・修復するタンパク質
    • 「東京大学医科学研究所の池田日出男教授は、遺伝子の本体であるDNAが放射線などで切れてしまったときに、元通り結びつける『のり』の役割を果たす新しいタンパク質を発見した。この修復タンパクがガンや遺伝病の発病にも関係していると考えられ、こうした病気の解明や治療法解明にもつながる成果だ。
       池田教授はこの物質を酵母で見つけた。
      酵母の中に切断した遺伝子の断片を入れてどのように修復が進む調べた。その結果、5種類のタンパク質がDNAの断片にくっつきのりのように働いて、2本にちぎれたDNA断片を1本に戻していることが分かった。
       この5つのタンパク質の中には、細胞の寿命を決めるとされる染色体の末端(テロメア)がすり減る現象に関係するタンパク質も含まれていた。
       DNAは放射線や活性酸素などの影響を受けて日常的に切断と修復を繰り返しており、何らかの原因で修復に失敗するとガンなどの病気につながるとみられる。
       修復タンパクは過去にマウスで見つかった例があり、池田教授は酵母で見つけた今回のタンパク質と同様の物質が人間にもあるとみている。
      RuvBL1/2
  • タンパク質が修復
    • 武田俊一・京都大学教授とオーストラリア・イギリスなどの研究チームは、染色体の壊れたDNAを修復するタンパク質を見つけた。
      放射線が当たってDNAが切断されると『SSB1』というタンパク質が働くのを突き止めた。成果はネイチャー電子版に掲載。
  • TDGチミンDNAグルコシラーゼ
    • 京都大学の白川昌宏教授らのチームは、DNA(デオキシリボ核酸)の損傷を修復するタンパク質の1つが自ら変形しながら機能を切り替えていくことを突き止めた。
    • 2005年6/16のネイチャーに掲載。
      1種類のタンパク質が多彩な機能を発揮する仕組みの解明に役立つ成果。
      紫外線や活性酸素などによって壊れたDNAを切り取る働きのあるタンパク質『TDG』を調べた。
      SUMOと呼ぶ別のタンパク質と結合し、立体構造を大きく変化する。
      角のような突起を現し、修復が終わったDNAをはじき飛ばしていた。DNAを外すのに新たな構造を作り出したという。
      TDGはDNAにとりついて修復する。修復した後も次に働くタンパク質が来るまでは患部に張り付いている。どのような仕組みでDNAから離れ、次のタンパク質に受け渡しているのかが不明だった。
      体内のタンパク質はしゅるいが限られる割には、多くの働きをこなす。構造の変化でいくつもの機能を切り替えるお考えると、説明が付く可能性がある。
  • コヒーシン・・・修復タンパク質
    1. 「東京工業大学の白髭克彦教授とスウェーデンのカロリンスカ研究所のチームは、細胞分裂の際に損傷したDNAを修復する新たなタンパク質を発見。細胞のガン化や老化の仕組みに関連していると見られる。
      細胞分裂の過程では、まず核内にある同じ染色体同士が重なり合うようにくっつく。この接着を担うタンパク質として知られていた『コヒーシン』がDNAの修復にも重要な役割を果たしていることを見つけた。
      接着した染色体のどちらかのDNAに損傷があると、損傷部位にコヒーシンが結合し、細胞に損傷を知らせる。すると、細胞分裂の進行が一旦停止し、正常な染色体を鋳型にして正しいDNAが作られ、損傷したDNAと置き換わる。
      実験は酵母細胞で行ったが、ヒトの細胞でも同じ現象が起きていると見られる。
      先天的にコヒーシンが作れないと、ある種の先天性疾患になることが分かっている。
  • OTUB1
    • 2010年、慶應義塾大学の中田慎一郎特別研究講師らと産業技術総合研究所などのチームは、傷ついたDNAの修復を制御する新たなタンパク質を突き止めた。
    • 必要なときにだけ修復機能が働くようにしていた。
    • 成果は、8/19のネイチャーに掲載。
    • 研究チームは、ヒトの培養細胞で、細胞内の情報伝達などに働く酵素である「OTUB1」に注目した。
      1. DNAがキズついて切断されると、切断部分に「ユビキチン」というタンパク質が多数くっつき、ユビキチンを目印にしてDNA修復機能が働き出すことが知られている。
      2. OTUB1は、ふだんはDNAにユビキチンをつなげる酵素に結合して働きを抑え、DNAの修復機能を止めていることが分かった。
    • DNAがキズついた時にOTUB1の働きが弱まることで、DNAの修復機能が働き始めるという。実験的にOTUB1の働きを抑えた細胞では、DNAの修復が活発に起こることも確かめた。
  • ACF1複合体
    • 2011年、東北大学の安井明教授らは、細胞のDNAが切断されたとき修復に働く新しいタンパク質を突き止めた。
    • 成果は米専門誌モレキュラー・セル(電子版)に掲載。
    • ヒトの培養細胞のDNAを実験的に切断し、切断部位に集まるタンパク質を調べた。その中から、細胞分裂の際にDNAの複製にかかわる「ACF1複合体」に着目。
    • ACF1複合体を無くした細胞では、DNAの切断部位を修復できないことを確認した。
    • これまでDNA切断の修復には「KU70」「KU80」という2つのタンパク質が関わっていることが知られていた。
    • ACF1複合体はDNAの切断部位を見つけて速やかに結合し、2つのKUタンパク質(KU70・KU80)を呼び寄せる働きをしていることが分かった。
    • 実際のガン細胞の中から、ACF1複合体を作るタンパク質の一部が正しく作れない細胞も見つけた。
  • 植物・・・・
    • 2011年、動物は損傷した細胞を細胞死させるが、植物は細胞分裂を止めることで影響の広がりを抑えていることを、梅田正明・奈良先端科学技術大学院大学教授らが見つけた。
    • 植物がDNAが損傷した細胞を修復するメカニズムは不明だった。

ヒトGタンパク共役型受容体(GPCR)
  • 膜たんぱく質遺伝子
    • 膜タンパク質に働く「ヒトGタンパク共役型受容体(GPCR)
      東京湾岸のお台場に今年4月に開所した産業技術研究所「臨海都心センター」内の生命情報科学研究センターは、つい最近、製薬産業にとって最大のターゲットである「膜たんぱく質遺伝子」を新たに550個発見した。情報科学と生命科学の共同作業で、重要なタンパク質である「ヒトGタンパク共役型受容体」の遺伝子をわずか半年で、ほぼすべて見つけだした。
      薬は服用すると体内の細胞膜上にあるタンパク質に作用する。
      このうち半数の薬は受容体と呼ばれる膜タンパク質に働くため、膜タンパク質が新薬開発のカギとなる。
      ゲノムからの遺伝子探しは、既知の遺伝子と似た塩基配列をゲノムデータベースから検索するのが主流だが、従来方法では見つけられないものも多い。
      浅井・諏訪チームはヒトGタンパク共役型受容遺伝子が全体で少なくとも888個ある可能性が高いことを突き止め、新発見の550個については特許申請した。このうち約90個は薬の作用に重要な役割を果たすと見られている。
      国際研究チームによって無償公開されたデータを利用、米セレーラによる制約も受けない。セレーラにデータ使用料を払って遺伝し検索を進める武田薬品工業などとは別の道を行く取り組みだ。
      「遺伝子1つでも大型医薬品開発につながれば大きな特許収入になる」と浅井潔副センター長は期待する。
      細胞中には化学物質のDNAが存在する。
      遺伝子は有用な働きをするDNAからなり、どのようなタンパク質を作るかを細胞に命令している。体内で実際に働き生命の維持を担うタンパク質は数万種以上あり、複雑に組合わさって活動している。
  • 新薬候補を判別・・・20分で
    • 2011年、バイオベンチャーのProbeXと東京大学の小沢岳昌教授らは、大量の化合物から新薬候補物質を短時間で絞り込む技術を開発した。
    • 実験用細胞の表面にある受容体(タンパク質)に化合物が結合したかを発光反応で見分ける手法で、従来の約1/7の20分で結果が分かる。
    • 製薬会社は研究開発のために膨大な化合物リストから、多くの時間とコストをかけて新薬候補の化合物を探している。
    • 現在、神経系や循環器、呼吸器などの生体機能にかかわる「Gタンパク質共役型受容体(GPCR)」と呼ばれる受容体が、注目されている。
    • GPCRはガンやウツなどの病気に関係があり、製品済みの医療用医薬品の4割がGPCRに働きかけるといわれる。ただヒトが持つ約800種類のGPCRのうち、約120種類は結合する化学物質が分かっていない。
    • プロベックスと小沢教授らは短時間で強い光を放つヒカリコメツキムシの発光反応を利用して、約20分でGPCRと化合物の結合がわかる技術を確立した。従来は化合物とGPCRの結合を大腸菌の酵素を使った反応で判定していた。あたらしい手法は化合物を加えてから20分で発光するのに対し、従来手法では酵素の反応が進むまで150分必要だった。


7割 ヒトなどほ乳類が持つDNAの7割以上の部分が生命維持に不可欠な役割を担っていることを、理化学研究所など11カ国の共同チームがまとめた。これまではDNAの7割以上が役割を持たない無意味なものと考えられてきたが、この通説を覆す成果。2005年9/2付けのサイエンスに掲載。
DNA(デオキシリボ核酸)はところどころにタンパク質の設計情報が書き込まれている。
DNAからRNAが作られ、タンパク質が合成される。
これまでRNAはタンパク質の設計情報を伝え、材料のアミノ酸を運ぶ仲介役として考えられており、DNAの約3割の部分で作られていることしか確認できていなかった。
研究グループはマウスを中心に、RNAを高感度で分析。RNAがDNAの7割以上から作られていることを突き止めた。さらに全RNA53000種のうち、タンパク質に設計情報を持つものは57%にすぎず、設計情報は持たないが、タンンパク質の合成を調節する別のタイプのRNAが43%も存在することを発見した。
RNAはこれまで100種類ぐらいしか見つかっていなかった。研究を主導した理研の林崎良英プロジェクトディレクターは、大航海時代の新大陸発見にたとえて「RNAの新大陸を発見できた」と語る。
電気を通す DNAは電気を通すことで知られ、電子材料やコンピューター素子に応用が期待されている。
東京大学のグループがDNAを人工的に作製し、二重螺旋構造の中に2種類の金属イオンを最大20個、ねらい通りの順番に閉じこめることに成功した。2006年11/27のネイチャーナノテクノロジーに掲載。
DNAの二重螺旋構造の内側ではアデニンやグアニンなど4種類の塩基が相互に結合している。東大の塩谷教授らはアデニンのかわりに特定の金属と結合しやすいように設計した人工的な塩基ならなるDNAを作製。1本づつバラバラにして金属が溶けた水溶液に入れると、銅と水銀のイオンを内側に閉じこめる形で螺旋構造が完成した。
コヒーシン ヒトの遺伝子(約2万5千)が互いにジャマをせず正しく働くのに必要なタンパク質『コヒーシン』を白髭克彦・東京工業大学教授らが突き止めた
三菱総合研究所やオーストラリアのIMP研究所(分子病理学研究所)等との共同研究成果で、2008年1/31のネイチャー電子版に発表。
発見したのはリング状をしたタンパク質『コヒーシン』。
DNAには転写を促進したり抑制したりする制御配列があるが、コヒーシンはDNA鎖を区画分けして制御配列の働きを限定していた。
遺伝子が周囲の環境に影響されずに機能を発揮できるのは、このため。
これまでは、細胞分裂の際にDNAの分配をコヒーシンが助けることが知られていた。
研究チームによると、人間のDNA上にはコヒーシンが作る区画が約13千カ所あるという。」
オリゴDNA 医薬用の人工DNA
2010年、福井大学や国立感染症研究所などは、薬として有望なDNAを開発した。、ウイルスや差KJ院のゲノムの一部をまねて合成した人工DNAで、鼻や皮膚に塗布して感染症ワクチンの免疫増強剤(アジュバンド)やアレルギー治療薬になる。
開発したのは福井大学医学部の伊保澄子助教と感染研の前山順一主任研究官ら。ウイルスや再帰のゲノムで共通な塩基配列に着目。グアニンという塩基を数個連ねて、DNAの断片(オリゴDNA)を合成した。
人為的に起こしATアレルギー反応で耳が腫れたマウスに、抗原と一緒に合成したオリゴDNAを耳に注射した。その結果、腫れが引いて耳がやや薄くなったマウスが多かった。
血液を調べたところ、オリゴDNAを一緒に注射したマウスではアレルギー反応が起きていることを示す抗体(IgE)が少なかった。
金(gold) 2重螺旋
2009年、米アリゾナ州立大学のチームはナノサイズの金の微粒子を使って、DNAの二重螺旋構造を作る技術を開発した。塩基が1本鎖に並んだ状態で金粒子を加えると金の大きさに応じて螺旋状に集まる事を突き止めた。
鎖状につながった塩基が入った溶液に直径5ナノbと直径10ナノbの金粒子を混ぜ、生物が持つ二重らせん構造のDNAを人工的に作ることに成功した。
金粒子は鎖状のDNA同士を弧状にくっつける性質は以前から知られていた。
研究チームは金粒子の大きさの違いによって鎖状のDNAの動きが変わることを見つけ、作製に成功した。
3重/4重 2009年、二重らせん構造をしているDNAだが、細胞内ではその一部が三重らせんや四重らせんを形成している可能性があることを甲南大学先端生命工学研究所の杉本直己所長らが突き止めた。
細胞内には核酸やタンパク質・化合物などがギッシリと詰まっている。
杉本所長らは、ポリエチレングルコールなど分子量の異なる複数の高分子を使って試験管内で実際の細胞内に近い環境を作り、詳しく調べた。
その結果、二重らせん構造だと、従来の試験管内より大幅に不安定になるのが分かった。逆に、三重や四重らせん構造は安定していた。
ジャンクション構造
2009年、甲南大学の杉本直己先端生命工学研究所長と三好大輔准教授らは、2重螺旋構造のDNAが細胞内では2重らせん構造が2個連結した「ジャンクション構造」も一部でとっている可能性が高いことを突き止めた。
従来の試験管内実験では水が主な成分となり、細胞内の高密度な環境を再現するのは難しい。そこで、ポリエチレングリコールなどの高分子を使って、実際の細胞の内部状態に近い環境を試験管内に再現した。
その結果、2重らせん構造が従来の試験管内より不安定になるのが分かった。逆に二重螺旋同士が高速道路のジャンクションのように連結した構造になると、通常の2重螺旋より安定していた。DNAの形の変化には、水の分子が深く関わっていた。
塩基対3対 2009年、3つ以下の塩基対からなるDNAの二重鎖を世界で初めて作製することに藤田誠・東京大学教授らのチームが成功した。
成果は2/22のネイチャー・ケミストリー電子版に掲載。
塩基の数が少なくなると結合力が弱くなるため、細胞内にある短いDNAはこれまで作ることができなかった。
生物の細胞内ではDNAは塩基のペアが多数連なり二重鎖構造になっている。塩基対が数十〜数万つながった人工DNAは比較的簡単に作成可能だが、三塩基対以下の短いものは作れなかった。
短いDNAはDNAの複製や遺伝子がタンパク質を作る際に働く。
研究チームは有機化合物でできたナノサイズのかご状構造物を作り、その中で塩基対を結合させて、短いDNAを作ることに成功した。かご状構造物は高さ0.6ナノb、底面直径2ナノb程度の空間で、塩基が1〜3対入る。
かごの中は水素結合が強く作用する状態で、三対以下の塩基でも安定して結びつき二重鎖になった。
DNA複製機序の解明に役立つ。
一塩基対のDNA異常で発生するガンの診断・分析に役立つ。
サンプル 世界で収集
全米地理協会が、世界に住む人々からDNAサンプルを集めて大昔の人類の移住ルートを探る研究に取り組んでいる。
研究のネライは、アフリカで生まれた人類が、どんなルートで世界に広がったかを明らかにする。収集数は約35万人分と、十分なサンプル数に近づきつつあると、リーダーのスペンサー・ウエルズ博士は語る。

メチル化 (Methylation/メチレーション)    DNAメチレーション
  • メチル化とは?
    • メチル化とは、DNA(デオキシリボ核酸)を構成する塩基の1つ「シトシン」のメチル基という化学構造がつく変化を指す。
      ガンなどの病気では細胞のDNAにメチル化が起こっていることが多いことが知られている。腫瘍を抑えるためのタンパク質ができなくなると考えられている。
  • IBM1
    • 2008年、国立遺伝学研究所はDNAの「メチル化」と呼ぶ反応を抑える遺伝子を突き止めた。
      DNAにはメチル化が起こると、正常に働かなくなる部分があり、[ガン]などを起こす。
      ヒトを始めとする生物がゲノム(全遺伝情報)の働きをうまく調節しながら生きる仕組みの解明につながる成果。
      DNAにはメチル化が起こるべき部分と、起きてはいけない部分がある。[突然変異]を誘発する部分ではゲノムを安定にする役割がある一方、通常の遺伝子で起こるべき機能が果たせなくなる。この不要なメチル化が起きないようにする仕組みはナゾだった。
      ゲノムを解明済みのモデル植物「シロイヌナズナ」でしらべた。本来はメチル化されない遺伝子がメチル化されている突然変異体を解析、『IBM1』と呼ぶメチル化を抑える遺伝子を発見した。IBM1と似た遺伝子は、ヒトを含むほ乳類にもある。
      これまでDNAのメチル化を促す遺伝子は多く見つかっていた。メチル化を抑える遺伝子で、ヒトでも保存されている発見したのは今回が初めて。
  • 働きを抑制
    • 京都大学の白川昌弘教授、有吉真理子助教と東京大学の中村祐輔教授らのグループは、DNAの働きをオフするシステムである『メチル化』が起こる際の詳しい構造変化を解明した。
      メチル化は正しく実行されないと細胞のガン化を引き起こす原因にもなる。
      成果は2008年9/4のネイチャー電子版に掲載。
      DNAのメチル化は、塩基のシトシンに生じる反応で、メチル化された遺伝子は働きを抑えられる。受精卵から特定の細胞ができる際や、細胞分裂の際に起こる基本的な現象。
      ガン細胞ではメチル化の異常が起きている
      研究チームは、メチル化で働く「UHRF1」というタンパク質の立体構造を明らかにした。
      UHRF1は両側から抱え込むようにDNAと結合。メチル化された塩基部分は、DNAの二重らせんから外に引き出されて、UHRF1のポケットのような形をした部分に入り込んでいた。
      UTRF1は、発ガンにも関係しているとみられ、メチル化の際にともに働く「Dnmt1」という酵素は抗ガン剤の標的として注目されている。
      また、iPS細胞の作製過程で、Dnmt1の働きを抑えると作製効率が大幅に上がる
  • 簡単に検出
    • 2009年、九州大学の竹中繁織教授らのチームは、ガンと関係のあるDNAの異常を簡単に高精度に検出する技術を開発。細胞から抽出したDNAを増やして色素を加えて識別する手法で病院や診療所でも利用できる。
      5/16からの分析化学討論会で発表。
      開発したのは『メチル化』というDNAの変化を、特殊な機器などを使わずに簡単に識別する技術。
      まず、患部から採取した細胞のDNAを抽出し、亜硫酸を加える。
      亜硫酸にはメチル化したDNAだけを識別する働きがある。
      そのあと、PCR法(ポリメラーゼ連鎖反応法)でDNAを増やしてから、研究チームが独自開発した『FKA』という蛍光色素を混ぜると、亜硫酸で処理されたDNAに蛍光色素がくっつく。これに紫外線を照射するとDNAの成分によって赤色や赤褐色に変化するので、この色を分光器で捕らえて判定する。
      実験では、大腸ガンの患者の便中に含まれるDNAを調べたところ、DNAのメチル化の有無を判定できた。
      大腸ガンでは[CDH4]という遺伝子にメチル化が起こることが知られている。
  • 量子ドットで・・・ガン早期発見
    • 2009年、米ジョンズホプキンス大学のチームは、DNAの生化学的変化を量子ドットと呼ばれる半導体の微細構造で検知し、ガンを早期発見する技術を開発した。
      直径数ナノbの半導体の結晶でできた量子ドットとDNAの一部を組み合わせ、ガンの進行に関連する「DNAメチレーション」と呼ばれるDNAの生化学的変化を検知する。
  • JHDM2A
    • 『JHDM2A』という酵素。この酵素は生まれた後に遺伝情報が変化するDNAのメチル化と呼ぶ状態から、元のDNAの状態に戻す働きがある肥満
  • エピゲノムの1つ
    • 2010年、京都大学iPS細胞研究所の山田泰広教授は岐阜大学と共同で、ガン細胞で起きているエピゲノム(後天的な遺伝子制御)の異常を制御すると、細胞増殖が止まることを突き止めた。
      • エピゲノムは生まれた後から起きる後天的な遺伝子の変化。ウイルス感染のほか、慢性的な炎症や喫煙など生活習慣でも遺伝子の違いが起きる現象。
      • エピゲノムは、遺伝子配列によらずに遺伝子の働きを制御する仕組み。
      • ある細胞内に起こっているDNAメチル化、ヒストン修飾すべてのことを指す。
    • 研究チームは、ガン細胞でエピゲノムの異常が起きていることに着目。
    • 大腸ガンのモデルマウスで実験した。エピゲノムの1つである「メチル化」という化学反応が起きた際に、それを維持する遺伝子の働きを人工的に止めると、ガン細胞の性質が変化した。通常のガン細胞は未分化状態を保って増殖するが、実験では分化が促進され、正常細胞と同様に増殖が止まった。
    • メチル化を制御すると、ガン細胞の増殖を抑えられることが分かった。
    • ガン細胞では特定個所でメチル化が高まっている。これを抑えた結果、増殖しにくくなった可能性がある。
  • 抗体を作る遺伝子組み換え
    • 2010年、京都大学の本庶佑客員教授らは、病原体から身を守る免役システムで起こる遺伝子の組み換えが、精子や卵子ができる際の減数分裂とよく似た仕組みを持つことを突き止めた。
    • 組み換えに必要なDNAの切断の目印となるヒストンの「メチル化」という減少が同じ場所で起きていた。
    • 成果は米科学アカデミー紀要に掲載
    • 大学院生のアンンドレ・スタンリー氏、ナシム・ベガム特定助教、相田将俊特定研究員らとの成果。
    • 体内には侵入した病原体に合わせて、様々な抗体を作り分ける「クラススイッチ」という仕組みがある。組み換えでは抗体を作るBリンパ球のDNAをいったん切断し、再びつなぎ合わせている。
    • マウスの細胞実験で、組み換えが起こる様子を詳しく調べた。
    • 遺伝情報を写し取る「転写」に必要なタンパク質であるFACTの機能を失わせるろ、DNAが切れなくなった。
    • DNAが巻き付くタンパク質のヒストンの特定個所で起こる「メチル化」が抑えられていた。
    • このメチル化がDNA切断酵素が働く際の目印になっていた。
    • 今回特定したメチル化は、減数分裂時にみられるDNA切断の目印と同じだった。
    • 働く切断酵素も似ており、本庶客員教授は“生物の進化過程で、後からできた免疫のクラススイッチが、従来ある減数分裂の仕組みを改変して使用した可能性ある”と話している
  • 個人差
    • 2011年、東京大学の岩本和也特任准教授と理化学研究所の加藤忠史チームリーダーらは、遺伝情報が書き込まれたDNAの働きを左右するメチル化という状態が、人の神経細胞では他の細胞に比べ、個人間ではバラツキが大きいとする研究成果をまとえた。
    • メチル化はDNA配列によらずに遺伝子の働きを調整する仕組み。ガン発症や精神疾患に関わっている可能性が指摘されている。

DNA鑑定
  • 法医学分野に応用
    • 2010年、近畿大学は、ごくわずかな量のDNAがあれば、100%近い確率で本人や親子関係の鑑定ができる最新の解析システムを本格稼働させた。
    • 警察・司法当局と連携し、身元不明者や犯罪など鑑定向けに年間100例程度を解析する。巽信二教授は「冤罪防止や未解決事件の捜査に役立つはず」という。
    • システムは米国製。
    • 日本でもガン研究などで一部使われているが、法医学分野に適用した例は無かった。
    • FBI(米連邦捜査局)はDNA鑑定に利用している。
    • DNA配列には微妙な個人差であるSNP(一塩基多型)が多数存在。
    • 照合するSNP数が47個あれば、他人と誤認する確率が5兆に1人という高精度で、正確に個人を特定できる。
    • DNAの量は1ナノ(1/10億)cあればよく、従来難しかった数十年間保管して劣化した遺留品からも鑑定できるという。
    • 1日で解析できるという。
    • 費用は、1回約5万円
    • 4月から約10件の身元不明遺体の鑑定に使い、効果が出ている。