| ドーモイ酸 |
| ドーモイ酸 | ●神経性貝毒であるドーモイ酸は、グルタミン酸受容体刺激作用がある。 ●中毒症状・・・・はじめは胃腸炎・頭痛・ケイレンなど引き起こす。長期の後遺症には[記憶障害][運動性ニューロパシー][軸索変性]などを引き起こす。 ●致死量・・・300mg/60kg。 |
| 含んでいるもの | 「ハナヤナギ」 「ムール貝」 「ムラサキイガイ」 |
| ハナヤナギ | 海藻の「ハナヤナギ」に含まれるアミノ酸の一種。 駆虫作用があり、神経伝達物質であるL-グルタミン酸の構造に類似する。そのためL-グルタミン酸の受容体にくっつきやすい(親和性がある)。 |
| 鳥 | 1961年鳥が人を襲った: 「イギリスでハイイロミズナギドリが人を襲った。当時まだ原因は解明されなかったが、それをヒントにヒットコックが映画「鳥」を作った。 その年、エルニーニョ現象が起きていて、海水温度が上昇、ケイ藻が大量にドーモイ酸を作り、それをイワシが食べ、そのイワシを鳥が食べて、ドーモイ酸(アミノ酸の1種で毒性がある)の毒で中枢神経が冒されたため。」 |
| ム ラ サ キ イ ガ イ |
1987年の暮れ: 「カナダのプリンスエドワード島で、養殖のムラサキイガイによる食中毒が発生した。被害者は107名に及び、食後15分〜38時間の間に、嘔吐・腹痛・下痢・などの中毒症状が現れ、1/4の患者には記憶障害(記憶喪失など)が見られた。死者は4名に及んだが、生存者の中の12名がアルツハイマー病に似た重度の記憶障害に陥った。ドーモイ酸は脳の海馬に多く含まれるL-グルタミン酸と親和性があるので、海馬に大量のドーモイ酸が取り込まれて中枢神経が侵される。 被害者の食べ残したムラサキイガイを調べたところ、通常は含まれないはずの「ドーモイ酸」が、多量に含まれていた。このドーモイ酸は貝自身が作ったのではなく、赤潮の原因となる植物プランクトンの一種(ケイ藻)がつくった毒を、貝が蓄積したものである。 ドーモイ酸の量は、貝100g当たり31mg〜128mgと多量で、中毒した患者のドーモイ酸摂取量は、60mg〜290mgと推定された。ドーモイ酸orカイニン酸が、回虫駆除薬として使用される量は、たかだか30mg程度であり、このような大量の摂取は例を見なかった。ケイ藻が活動を停止する時にドーモイ酸をつくる。 |
| 血液脳関門 | ドーモイ酸やカイニン酸のほうが、グルタミン酸よりも、脳と血液のあいだにある「血液脳関門」を通りやすい。 |
| ケイレン | マウスに[ドーモイ酸]or[カイニン酸]を投与すると、ウェット・ドッグ・シェイク(ぬれた犬のよいな身震い)と呼ばれる、テンカンに似たケイレンや、ものを噛むような独特の動作が見られる。 食中毒を引き起こしたムラサキイガイの抽出物をマウスに注射すると、これと非常によく似た行動を示した。 又、ドーモイ酸で死亡した人の脳を調べると、海馬と呼ばれる部分の細胞が選択的に破壊されていた。海馬は記憶に関連した脳の代表的な部位である。 中毒の原因は、脳のグルタミン酸受容体に働いて、過剰な興奮を引き起こしたためと解釈された。では、グルタミン酸も多量に摂取すれば、中毒を引き起こすだろうか? |
| 関連情報 |
「血液脳関門」 「食中毒」 |