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薬剤性ギランバレー症候群



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ギラン・バレー症候群                   (厚生労働省)
英語名: Guillain-Barré syndrome
同義語:急性炎症性脱髄性多発神経根ニューロパチー、急性炎症性脱髄性多発根神経炎
両側の手や足の力が入らなくなり、しびれ感が出た後、急速に全身に広がり進行する「ギラン・バレー症候群」は、医薬品によっても引き起こされることがあります。
主に、インフルエンザやポリオなどのワクチン、インターフェロン製剤、ペニシラミン、ニューキノロン系抗菌薬、抗ウイルス薬、抗がん剤などでみられることがあるので、何らかのお薬を使用していて、次のような症状がみられた場合には、放置せずに医師・薬剤師に連絡してください。

など





早期発見と早期対応のポイント
  1. 早期に認められる症状
    1. 両下肢の筋力低下で初発し、上行する場合が多い。
    2. 遠位筋のみでなく近位筋の筋力低下もみられる。
    3. また、上肢が初発の例もある。多くは両側対称性に筋力低下が出現するが、多少の左右差がみられることもある。
    4. 感覚障害は手袋靴下型を呈するが運動障害に比して軽度のことが多く、ほとんど感覚障害がみられないこともある。
    5. 腱反射は低下ないし消失するが、例外もある。
    6. 顔面神経麻痺、眼球運動障害、球麻痺などの脳神経症状で発症する例もある。
  2. 副作用の好発時期
    • 医薬品の種類によっても異なるが、医薬品の服用ないし接種後、2週以内の発症が多い。
      ①インフルエンザワクチン:
      • ワクチン接種後2週目がピークで、6週間以内の発症がほとんどである。
      ②ポリオワクチン:
      • 接種後まもなく下痢が起こり、1~2週後に運動麻痺が発症することが多い。
      ③インターフェロン製剤:
      • 発症は投与2日~数ヶ月後までさまざまである。
      ④ペニシラミン:
      • 発症は投与7日~14 ヶ月後までさまざまである。
      ⑤ニューキノロン系抗菌薬:
      • 2週間以内の発症が多い。
  3. 患者側のリスクファクター
    • 症例数が少なく、患者側のリスクファクターは不明である。
      過去に通常のギラン・バレー症候群に罹患した患者がワクチン接種をした場合、ギラン・バレー症候群の再発率が高まる可能性がある。
      また、基礎疾患に遺伝性ニューロパチーなどの末梢神経障害を有する場合は、ビンクリスチンなどの投与でギラン・バレー症候群類似の急激な末梢神経障害を呈したとの報告がある
  4. 推定原因医薬品
    • これまで国内外を含め、ギラン・バレー症候群、ギラン・バレー症候群類似の末梢神経障害として報告された主なものを記載する。
    • ①ワクチン類
      • インフルエンザHA ワクチン、肺炎球菌ワクチン、HBs 抗原ワクチン、ポリオワクチン、狂犬病ワクチン、日本脳炎ワクチン、沈降精製百日咳ジフテリア破傷風混合ワクチン
      ②インターフェロン製剤:「インターフェロン-α」
      ③ペニシラミン製剤:「ペニシラミン」
      ④ニューキノロン系抗菌薬:「ノルフロキサシン」
      ⑤真菌症治療薬:「ボリコナゾール」
      ⑥抗ウイルス薬:
      • ・ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬:
        • サニルブジン(d4T)、ラミブジン(3TC) 、硫酸アバカビル
        ・非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬:エファビレンツ
        ・HIV プロテアーゼ阻害薬:ロピナビル・リトナビル
      ⑦免疫抑制薬:「タクロリムス水和物」
      ⑧モノクローナル抗体製剤:「インフリキシマブ」
      ⑨抗悪性腫瘍薬:
      • クラドリビン、シタラビン、メトトレキサート、トレチノイン、塩酸イダルビシン、塩酸ダウノルビシン、塩酸ミトキサントロン、リン酸フルダラビン、オキサリプラチン
      ⑩A 型ボツリヌス毒素製剤:A 型ボツリヌス毒素
      ⑪高脂血症治療薬:「シンバスタチン」





副作用の概要
ギラン・バレー症候群は、感染やワクチン接種などに続発して免疫異常を生じることにより起こる末梢神経系の炎症性脱髄性疾患である。
  1. 急性炎症性脱髄性多発神経根ニューロパチー             ( Acute Inflammatory DemyelinatingPolyneuropathy : AIDP)とも呼ばれ、急速に進行する運動麻痺を主症状とする。
    • 原因は、一般的には細菌やウイルスなどの先行感染が引き金となって生じた自己の末梢神経の構成成分に対する抗体による異常な免疫反応で、感染から1~3週後に発症する。
    • 予後は一般に良好であり、6ヶ月以内に完全回復することが多いが、歩行障害が残る例も多く、また呼吸障害で死亡することもある。
  2. 亜型として
    • 外眼筋麻痺、
    • 運動失調、
    • 腱反射消失
    を3徴とし、比較的予後良好なフィッシャー症候群がある。
  3. 医薬品や予防接種によってもギラン・バレー症候群と同様の病態が起こることがある。
    • また、薬剤性の末梢神経障害が急激に起こると急速に上行する運動感覚障害を呈し、ギラン・バレー症候群との鑑別が困難となることがある。このような類似の症候も含めて薬剤性ギラン・バレー症候群ないし、ギラン・バレー症候群類似症候として報告されている。


  1. 自覚症状
    • 筋力低下が最も重要で、両下肢の筋力低下による歩行障害から始まり、上行性に進行し、上肢や全身に波及する型が多い。
      また、両上肢の筋力低下で発症する型や両側顔面筋の筋力低下、複視、嚥下障害で発症する型もある。
      筋力低下は全身に進展し、歩行不能、臥床状態になることも多く、嚥下・咀嚼困難、喀痰喀出困難、呼吸困難を呈することもある。感覚障害は、四肢遠位部のしびれ感や痛みなどの異常感覚を訴えるが、運動麻痺に比べて軽度であり、感覚症状がないこともある。立ちくらみなどの起立性低血圧が起こることもある。また、亜型のフィッシャー症候群では複視やふらつきなどで発症する。
  2. 他覚的所見
    • 筋力低下は、
      1. 四肢対称性(ある程度の左右差はみられることもある)にみられ、近位筋、遠位筋ともに強く障害される。
      2. 頸筋、体幹筋、顔面筋の麻痺、咽頭筋麻痺による嚥下障害、呼吸筋麻痺がみられることもある。
      3. しばしば、手袋・靴下型の感覚障害が認められるが、認められないこともある。
      深部腱反射は全般性に減弱ないし消失する。
      頻脈、不整脈、血圧の変動、起立性低血圧などの自律神経障害を認めることがある。
      まれではあるが、膀胱直腸障害や乳頭浮腫を認めることもある。
  3. 臨床検査所見
    1. 髄液所見:
      • 蛋白細胞解離(蛋白は高値,細胞数は正常)を示すが、発症早期には認められず、発症1週後から蛋白の増加が出現し、4~6週後にピークに達する。蛋白量は様々であるが、60 mg/dL~1,000 mg/dL 以上に達することもある。臨床症状が回復に向かっている時点でも髄液蛋白は上昇傾向にあることがある。細胞数は正常であることが多いが, 20~30/mm3 程度のリンパ球増加がみられることもある。薬剤性のギラン・バレー症候群類似の末梢神経障害の場合は蛋白が上昇しないことも多い。
    2. 電気生理学的検査:
      • 末梢神経伝導検査にて、伝導ブロック、時間的分散(temporal dispersion)、神経伝導速度の遅延、複合筋活動電位の低下などの脱神経所見がみられる。伝導速度の遅延は初期にはみられず、発症2 週間ほどしてから認められるようになる。複合筋活動電位が消失あるいは著明な低下し、早期から脱神経所見を示す症例は、一般に回復が悪く機能的予後も不良である。
    3. 血中抗糖脂質抗体:
      • 医薬品によるギラン・バレー症候群の場合では抗糖脂質抗体の有無や陽性率は不明である。一般的なギラン・バレー症候群では、急性期に血中にGM1、GDla、GalNAc-GDla、GM2、GQlb などの糖脂質に対する抗体が約60%の症例で上昇する
  4. 病理所見
    • 通常、本疾患では末梢神経生検は行わない。
      剖検では、リンパ球、マクロファージなどの炎症性細胞が脊髄前根・後根、後根神経節、末梢神経にみられる。
      末梢神経では、節性脱髄所見を認め、ランヴィエ絞輪周辺の脱髄が初期病変として認められる。
      重症例では脱髄性変化に加えて軸索変性が認められる。
  5. 発症機序
    1. 感染等による通常のギラン・バレー症候群
      • ギラン・バレー症候群の病態は、ウイルスや細菌感染が契機となって引き起こされる自己免疫疾患で、細胞性免疫と液性免疫の両方が組織障害に関与しているとされている8)-10)。急性期の血中に神経系の表面抗原であるガングリオシドなどの糖脂質を認識する抗体が発症直後に最も高くなり、症状の軽快とともに低下する。このことは、感染性病原体(Campylobacter jejuni など)などの前駆因子が糖脂質に類似した抗原構造を有し、それに対して上昇した抗体が、エピトープが似ている患者本人の神経組織に交差反応して発症すると推定されている(分子相同性仮説)
    2. 薬剤によるギラン・バレー症候群ないしギラン・バレー症候群類似症候
      • 薬剤性ギラン・バレー症候群の発生機序を考える場合、ワクチン類など医薬品そのものが先行因子となり免疫性機序を引き起こすもの、医薬品により末梢神経障害を起こしてギラン・バレー症候群類似の症候を呈するもの、医薬品による免疫力の低下などにより日和見感染などの感染症を起こし、それが先行感染となりギラン・バレー症候群を起こすものなどの3種類の機序が推定される。
        ワクチン類の場合は、上記の感染等と同様にワクチン接種が先行因子となり免疫性機序による末梢神経障害を起こし、6週以内に発症することが推定される。また、免疫抑制剤や抗悪性腫瘍薬などによる免疫力低下に起因したウイルス感染などの感染症などを併発し、それが先行感染となりギラン・バレー症候群を起こすことも推定され、その場合には上記の自然発症のギラン・バレー症候群と同様の機序が考えられる。しかし、医薬品によるギラン・バレー症候群類似の末梢神経障害の場合は、医薬品の神経毒性により急激な脱髄や軸索変性がおこり、その結果急激な四肢麻痺が進行してギラン・バレー症候群類似の病態をとることが推定される。これらの医薬品には抗悪性腫瘍薬や抗ウイルス化学療法薬、その他の医薬品が含まれると考えられる。たとえば、硫酸ビンクリスチンなどの抗悪性腫瘍薬を投与した場合、急激なニューロパチーを呈することがあり、医薬品によるギラン・バレー症候群として報告されている。その他のものについては以下の医薬品ごとの特徴に記載する。
  6. 医薬品ごとの特徴
    1. ワクチン類:
      • インフルエンザワクチン(典型的症例概要の症例1参照)
      • 一般集団でもギラン・バレー症候群の発症は人口100 万人あたり6~19人と推定されるため、自然発症とワクチン接種後ギラン・バレー症候群との鑑別は困難である。しかし、インフルエンザワクチン接種によりギラン・バレー症候群の発病率が有意に上昇することが確認され、ワクチン接種後6週間以内に発症した症例は「インフルエンザワクチン接種関連ギラン・バレー症候群」と定義されている。接種後第2週に発症のピークがあり、重症度はワクチン非接種群と比較して差はなかった。進行性の筋力低下、感覚障害を呈し、髄液蛋白の上昇も82%でみられる。発症した25%の症例で人工呼吸器が必要となり、6%が死亡した。
        破傷風トキソイ、B 型肝炎ウイルス、狂犬病、ポリオ、インフルエンザ菌、MMRなどのインフルエンザ以外のワクチンでもギラン・バレー症候群の報告があり、これらの発症時期はワクチン接種後1日~3週間に多い。
    2. インターフェロン製剤
      • C型慢性肝炎の症例にインターフェロン-α製剤を使用した症例にギラン・バレー症候群あるいはフィッシャー症候群を発症した報告がある。
        インターフェロン-α製剤投与から発症までの期間は2日~3ヶ月と幅広い。中には人工呼吸器を装着するまで重症化するものもあるが、免疫グロブリン静注療法や対症療法で軽快している。インターフェロン製剤がマクロファージを活性化し、マクロファージの遊走とMHC クラスⅡ抗原の発現を誘発し、その結果神経内に細胞障害物質を生じて脱髄性病変を惹起すると推定されている。
    3. 抗TNFαモノクローナル抗体製剤:
      • インフリキシマブ
        インフリキシマブは、炎症性サイトカイン活性を阻止する抗サイトカイン療法の中心になる薬剤で、治療抵抗性関節リウマチに対して高い有効性を示す。しかし、肺炎、結核、日和見感染などを誘発するといわれ、使用する上で注意する必要がある。
        ごくまれではあるが、ギラン・バレー症候群あるいはフィッシャー症候群を誘発することも報告されている。報告例での発症年齢は34~84 歳と幅広く、インフリキシマブの初回投与から発症までの平均期間は約4ヶ月(1.5 ヶ月~2年)、投与回数は2~12 回の報告がある。症状は、進行性の四肢筋の脱力、呼吸筋麻痺を呈するものから、運動失調などのフィッシャー症候群を呈する患者まで様々である。電気生理学的には、急性脱髄性の末梢神経障害パターンを呈することが多いが、軸索型多発ニューロパチー型を呈するものある。症例によっては投与再開で症状の再燃をみることもある。治療には多くの症例で、免疫グロブリン静注療法や人工呼吸器管理など、通常のギラン・バレー症候群の治療が施行され、2週~数ヶ月で部分回復した例が多い。
    4. 抗ウイルス化学療法薬:
      • ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬(サニルブジ
        ン(d4T)、ラミブジン(3TC) 、硫酸アバカビル)を含む多剤併用療法におけるギラン・バレー症候群類似症候
      • サニルブジンなどのヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬(NRTI)はHIV感染症に対するHAART(Highly Active Anti-Retroviral Therapy)の第一選択薬として多く処方されている。このNRTI の場合、ごくまれではあるが重篤な副作用としてギラン・バレー症候群類似の症候及び乳酸アシドーシスが報告された。これらの副作用はNRTI によるDNA 合成障害作用によるミトコンドリア障害によると推測されている。すなわち、NRTI はHIV の逆転写酵素のみならず、弱いながらヒトミトコンドリアのDNA 合成酵素も阻害するため、NRTI を長期に投与するとミトコンドリア障害が起こり、その結果ギラン・バレー症候群類似の末梢神経障害が出現すると推定されている。
        これまでの報告では、サニルブジンなどのヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬(NRTI)の投与開始4~30 ヶ月後に発現している。多くの症例で神経症候に先行して発現の数日から数週間前より、乳酸アシドーシスを示唆する徴候(倦怠感、嘔気、嘔吐、腹部不快感)がある。神経症状として急激に上行する運動神経筋障害で、筋力低下や麻痺を伴う。前駆症状がある点や、神経症状及び経過がギラン・バレー症候群に類似する。若干例ではあるが、死亡することもあり、死亡のリスクファクターとして投与期間、女性、肥満、サニルブジン投与などがある。対策として、前駆症状が疑われたら直ちに血中乳酸値モニタリングを行うに上行する運動神経筋障害で、筋力低下や麻痺を伴う。前駆症状がある点や、神経症状及び経過がギラン・バレー症候群に類似する。若干例ではあるが、死亡することもあり、死亡のリスクファクターとして投与期間、女性、肥満、サニルブジン投与などがある。
        対策として、前駆症状が疑われたら直ちに血中乳酸値モニタリングを行う。乳酸値が2nmol/L(18mg/dL)未満であれば他の原因を検討し、2~5nmol/L(18~45mg/dL)なら注意深い経過観察や定期的乳酸値のモニタリングを実施し、症状の悪化や乳酸値の増加傾向が認められる場合はNRTIの変更や補助療法を考慮すべきである。5nmol/L(45mg/dL)以上を示す場合は、至急、乳酸値をモニタリングし、再度5nmol/L(45mg/dL)以上であればHARRT そのものを早急に中止する。
    5. A 型ボツリヌス毒素製剤(Botulinus Toxin Type A)
      • A 型ボツリヌス毒素製剤によるギラン・バレー症候群類似症候(急性根神経炎)の発症が少数例であるが報告されている。その特徴としては、A型ボツリヌス毒素療法を7ヶ月~2年間にかけて複数回受けており、最終投与から神経症状発症までに、6週間~11 ヶ月間経て発症している。全身倦怠感や関節痛など慢性持続性の前駆症状が発症前にみられ、四肢の急激な筋力低下、感覚障害を呈する。また、呼吸困難などの重症化がみられた。
        電気生理学的検査では脱髄型を呈した。治療は免疫グロブリン静注療法の効果が不十分であったが、徐々に軽快した。
    6. ペニシラミン製剤:ペニシラミン
    7. ニューキノロン系抗菌薬:ノルフロキサシン
    8. 副作用発現頻度
      • 発症はどの薬剤もきわめてまれであり、副作用の頻度は不明である。
        インフルエンザワクチン接種により誘発される危険率は1~2人/100 万回接種と推定されている







副作用の判別基準
  • ギラン・バレー症候群は細菌やウイルスなどの先行感染に引き続き出現することが多く、医薬品によるものはまれである。医薬品によるギラン・バレー症候群の場合、ワクチン類による場合は、自然発症の典型的なギラン・バレー症候群と同様の経過をとることが予想されるが、その他の医薬品の場合、医薬品による末梢神経障害がギラン・バレー症候群類似の症候を呈することもあるので注意が必要である。
  • 本症候群の患者を診た際、問題となることは原因が医薬品なのか、感染などの自然発症によるものかの鑑別である。自然発症例では先行感染などの前駆症状がみられることが多く、鑑別上重要である。また、前述したように医薬品の場合は、投薬開始後比較的早期に発症する例が多く、特に4週間以内の場合は医薬品を疑い、投与を中止すべきである。医薬品によると思われるものの中には投与数ヶ月以降に出現する場合もあり原因かどうか迷うことがあるが、前項にあげた医薬品に該当する場合は中止した方がよいと考えられる。

  • 診断の参考のため薬剤性ではない自然発症のギラン・バレー症候群の診断基準を表に示す





ギラン・バレー症候群の診断基準
(Asbury A, et al. Ann Neurology より改変43)
I.診断に必要な特徴
  • A.)2肢以上の進行性の筋力低下、その程度は軽微な両下肢の筋力低下(軽度の失調を伴うこともある)から、四肢、体幹、球麻痺、顔面神経麻痺、外転神経麻痺の完全麻痺まで
    を含む完全麻痺まで様々である。
  • B.深部反射消失。全ての深部反射消失が原則である。しかし、他の所見が矛盾しなければ、上腕二頭筋反射と膝蓋腱反射の明らかな低下と四肢遠位部の腱反射の消失でもよい。


II.診断を強く支持する特徴
  1. 臨床的特徴(重要順)
    1. 進行:筋力低下は急速に出現するが、4 週までには進行は停止する。約50%の症例は2週までに、80%は3週までに、90%以上は4週までに症候はピークに達する。
    2. 比較的対称性:完全な左右対称性は稀である。しかし、通常1肢が障害された場合、対側も障害される。
    3. 軽度の感覚障害を認める。
    4. 脳神経障害:顔面神経麻痺は約50%にみられ、両側性であることが多い。その他、球麻痺、外眼筋麻痺がみられる。また外眼筋麻痺やその他の脳神経障害で発症することがある(5%未満)
    5. 回復:通常症状の進行が停止した後、2~4週で回復し始めるが、数ヶ月も遅れることもある。ほとんどの症例は機能的に回復する。
    6. 自律神経障害:頻脈、その他の不整脈、起立性低血圧、高血圧、血管運動症候などの出現は診断を支持する。これらの所見は変動しやすく、肺梗塞などの他の原因によるものを除外する必要がある。
    7. 神経症状の発症時に発熱を認めない。
  • ・非定型例(順不同)
    1. 神経症状の発症時に発熱を認める。
    2. 痛みを伴う高度の感覚障害
    3. 4週を越えて進行。時に4 週以上数週にわたって進行したり、軽度の再燃がみられる。
    4. 症状の進行が停止しても回復を伴わない。または、永続的な重度の後遺症を残す。
    5. 括約筋機能:通常括約筋機能は障害されない。しかし、症状の進展中に一時的に膀胱麻痺が生じることがある。
    6. 中枢神経障害:GBS は通常末梢神経障害と考えられている。中枢神経障害の存在は議論のあるところである。小脳性と考えられる強い運動失調、構音障害、病的反射、境界不明瞭な髄節性感覚障害などの症状が時にみられるが、その他の所見が典型的であれば診断を除外する必要はない。
  •  
  • B.診断を強く支持する髄液所見
    1. 髄液蛋白:発症から1週以降で髄液蛋白が増加しているか、経時的な腰椎穿刺で髄液蛋白の増加がみられる。
    2. 髄液細胞:単核球10/mm3 以下。
  • ・亜型
    1. 症状の発症後1~10 週の間に髄液蛋白の増加がみられない。(稀)
    2. 髄液細胞が11-50/mm3の単核球
  • C.診断を強く支持する電気生理学的所見
    • 経過中のある時点で症例の80%に神経伝導速度の遅延あるいは伝導ブロックを認め、伝動速度は通常正常の60%以下となる。しかし、症状は散在性であり、全ての神経が障害されるのではない。遠位潜時は正常の3 倍にまで延長していることがある。伝導速度検査は発症数週間までに異常を示さないことがある。F 波は神経幹や神経根近位での伝導速度の低下をよく反映する。20%の症例では伝導速度検査で正常を示す。伝導速度検査は数週後まで異常を示さないことがある。


III.診断に疑いをもたせる特徴
  1. 高度で持続性の非対称性の筋力低下
  2. 持続性の膀胱直腸障害
  3. 発症時の膀胱直腸障害
  4. 髄液中の単核球が50/mm3 以上
  5. 髄液中の多核球の存在
  6. 明瞭な感覚障害レベル


IV.診断を除外する特徴
  1. ヘキサカーボン乱用の現病歴(揮発性溶剤:n-ヘキサン、メチルn-ブチルケトンなど)。塗装用ラッカー蒸気や接着剤を吸入して遊ぶことを含む。
  2. 急性間欠性ポルフィリン症を示唆するポルフィリン代謝異常。尿中へのポルフォビリノーゲンやδ-アミノレブリン酸の排泄増加がみられる。
  3. 最近の咽頭または創傷へのジフテリア感染の既往または所見:心筋炎はあってもなくてもよい。
  4. 鉛ニューロパチーに合致する臨床所見(明らかな下垂手を伴った上肢の筋力低下、非対称性のことがある。)および鉛中毒の証拠。
  5. 純粋な感覚神経障害のみの臨床像
  6. ポリオ、ボツリヌス中毒、ヒステリー性麻痺、中毒性ニューロパチー(例えばニトロフラントイン、ダプソン、有機リン化合物)など。
    • これらはしばしばGBS と混同される。




判別が必要な疾患と判別方法
(1)その他の末梢神経疾患
  • ①慢性炎症性脱髄性多発神経根ニューロパチー(CIDP)
    (Chronic InflammatoryDemyelinating Polyradiculoneuropathy : CIDP):
    • 筋力低下が発症後8週を過ぎても進行する。
  • ②ビタミンB1 欠乏性ニューロパチー:
    • 低栄養,慢性アルコール中毒、消化管手術後の患者などではビタミンB1 欠乏が起こる。
  • ③血管炎性ニューロパチー:
    • 多発性単ニューロパチーの型をとり、発熱、CRP、赤沈などの炎症反応が強く、四肢の痛みやその他臓器の血管炎症状などを併発する。
    • 神経症状が非対称性の分布をとることが多い。
  • ④中毒性ニューロパチー:
    • 有機リン、タリウム、ヒ素中毒、揮発性有機溶剤などの中毒性物質の曝露、摂取の有無の確認。
    • 髄液検査で蛋白増加がみられない。
  • ⑤急性間欠性ポルフィリン症:
    • 腹痛、痙攣発作、精神症状、意識障害などを伴うことが多い。
  • ⑥その他の感染症に関連するニューロパチー:
    • 免疫不全患者にみられるサイトメガロウイルス感染による多発性根神経炎、
    • ライム病、ダニ媒介性麻痺、
    • ジフテリア、ポリオなど。

(2)脊髄疾患
  • 転移性悪性腫瘍、多発性硬化症、脊椎性疾患、脊椎硬膜外膿瘍、脊椎炎によるミエロパチー:
    • 下肢の深部反射亢進、バビンスキー徴候陽性、明瞭な髄節レベルを有する感覚障害、膀胱直腸障害などを有する。
  • 悪性腫瘍転移や感染性疾患では、遷延する背部痛を有することが多い。

(3)重症筋無力症
  • 症状の易疲労性、日内変動を有し、安静で症状が軽快する。
    眼症状、球症状の発症が多い。
    感覚障害はない。

(4)筋疾患
  • ①周期性四肢麻痺
    • 炭水化物の過食などの誘因。
    • 低K 性周期性四肢麻痺では血清K 値の低下がみられる。
    • 感覚障害はない。
  • ②多発筋炎などの筋疾患
    • 血中CK 値の上昇を認める。
    • 感覚障害はない。




治療方法
(1)原因薬剤の中止
  • 医薬品が関連するギラン・バレー症候群あるいは本症候群類似の末梢神経障害に遭遇した場合は、急激に重症化することも多く、まず疑わしい原因薬剤の中止である。特に、サニルブジンなどのヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬(NRTI)の場合は、前述したように前駆症状が疑われたら直ちに血中乳酸値モニタリングを行い、高値であれば早急に中止することが重要である。

(2)重症例の管理
  • ギラン・バレー症候群は急激に進行し、呼吸筋麻痺で死亡することもある。
    したがって、呼吸筋麻痺、球麻痺、不整脈や血圧の変動など死因に結びつく症候がみられたら直ちに人工呼吸器装着をはじめとする全身管理を行う必要がある。
    全身管理には、心電図、血圧、血中酸素飽和度がモニターできる集中治療室での管理が望ましい。努力肺活量が20mL/kg 以下、PaO2 が60mmHg以下、PaCO2 が50mmHg 以上の場合は気管内挿管を行い、努力肺活量10~15mL/kg 以下となったら人工呼吸管理を行う。
    尿崩症、ADH 分泌異常症、深部静脈血栓症の合併に注意する必要がある。
(3)ギラン・バレー症候群ないし類似症候に対する治療
  • 自然発症のギラン・バレー症候群に対してランダム化比較試験で有効性が確立されているのは、免疫グロブリン静注療法と血液浄化療法である。
  • 医薬品に関連したギラン・バレー症候群ないし類似症候の場合、報告例が少なく治療法は十分確立されていないが、自然発症のギラン・バレー症候群に準じて免疫グロブリン静注療法(IVIg)が行われることが多い。
  • また、症例によっては免疫グロブリン静注療法とステロイドパルス療法の併用療法あるいはステロイド単独投与にて治療され、有効な報告もある。以下に参考として各治療法について記述する。

①免疫グロブリン静注療法(IVIg)
  • ヒト免疫グロブリン400mg/kg/日を4~6時間かけてゆっくり点滴静注し、これを5日間、連日投与する。IVIg は免疫グロブリン製剤に対してショック、過敏症の既往のある症例には禁忌である。さらにIgA 欠損症、腎機能障害、脳・心血管障害またはその既往のある患者、血栓・塞栓症の危険性の高い患者の場合には慎重投与として使用上の注意が必要である。

②血液浄化療法
  • 単純血漿交換、二重膜濾過血漿交換、免疫吸着などの方法が行われ、我が国では二重膜濾過血漿交換、免疫吸着が多い。1回につき400mg/kg 体重の血漿処理を行う。一般的に、低血圧、発熱、悪心・嘔吐、頭痛、蕁麻疹、呼吸困難、不整脈、出血傾向、血栓症、ショック、感染症などに留意する必要があり、小児、高齢者、体重40kg 未満の患者、自律神経障害や循環不全、腎障害を認める患者、全身感染症を合併する患者には適さない。

③副腎皮質ステロイド薬
  • 自然発症ギラン・バレー症候群に対して、副腎皮質ステロイド薬は単独では、経口投与、静注療法いずれも有効性は確立されていない。免疫グロブリン静注療法(IVIg)との併用療法(メチルプレドニゾロン:500mg/日、5日間)は、IVIg 単独療法より効果的との報告もある。


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