膜たんぱく質遺伝子
- 膜タンパク質に働く
- 「ヒトGタンパク共役型受容体(GPCR)」
東京湾岸のお台場に今年4月に開所した産業技術研究所「臨海都心センター」内の生命情報科学研究センターは、つい最近、製薬産業にとって最大のターゲットである「膜たんぱく質遺伝子」を新たに550個発見した。情報科学と生命科学の共同作業で、重要なタンパク質である「ヒトGタンパク共役型受容体」の遺伝子をわずか半年で、ほぼすべて見つけだした。 薬は服用すると体内の細胞膜上にあるタンパク質に作用する。 このうち半数の薬は受容体と呼ばれる膜タンパク質に働くため、膜タンパク質が新薬開発のカギとなる。 ゲノムからの遺伝子探しは、既知の遺伝子と似た塩基配列をゲノムデータベースから検索するのが主流だが、従来方法では見つけられないものも多い。 浅井・諏訪チームはヒトGタンパク共役型受容遺伝子が全体で少なくとも888個ある可能性が高いことを突き止め、新発見の550個については特許申請した。このうち約90個は薬の作用に重要な役割を果たすと見られている。 国際研究チームによって無償公開されたデータを利用、米セレーラによる制約も受けない。セレーラにデータ使用料を払って遺伝し検索を進める武田薬品工業などとは別の道を行く取り組みだ。 「遺伝子1つでも大型医薬品開発につながれば大きな特許収入になる」と浅井潔副センター長は期待する。 細胞中には化学物質のDNAが存在する。 遺伝子は有用な働きをするDNAからなり、どのようなタンパク質を作るかを細胞に命令している。体内で実際に働き生命の維持を担うタンパク質は数万種以上あり、複雑に組合わさって活動している。
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