- 安静が一番?
- 脳卒中やケガなどをキッカケに筋肉や関節・心肺機能などが衰える廃用症候群に陥る。
- 高齢者の場合は、軽い風邪でも何日も横になって体を休めすぎると、廃用症候群になり全身の機能がどんどん低下する。この結果、ますます体を動かさなくなり、寝たきりになることもある。この悪循環に陥るのを避けるためには適度の運動で体を動かすことと、適切なリハビリテーションが重要と専門家は強調する。
- 腸閉塞で入院していたNさん(75)は医師の指示に従いベッドで安静にしていたところ、3週間後には痴呆の症状を引き起こす、その後は立つことも出来なくなってしまった。リハビリの専門医は廃用症候群と診断。リハビリをきちんと進めた結果、1ヶ月後には入院前と同じ生活に戻ることが出来たが、あやうく「寝たきり」になるところだった
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“寝たきりは作られる”
- というが、それはまさに廃用症候群のもたらす悪循環の結果」と語るのは国立長寿医療研究センターの大川弥生老人ケア研究部長。以前に比べ医療技術が発達し脳卒中などでも助かる人が増えた反面、後遺症でマヒが残り、体を動かさずにいると衰えが進む。日本障害者リハビリテーション協会の上田敏副会長は「とにかく何でも安静が一番というのがいけない」と警鐘を鳴らす。
- 杖をつけば歩ける程度の軽いケガでも、安易に車椅子に頼ると体が動かなくなる。
- 特に高齢者は筋肉などが衰えやすく、廃用症候群を起こしやすい。
- 風邪で少し寝込んだだけで、気づいたときには体を動かせなくなっている場合もある。
- 脳卒中やケガの後に廃用症候群の悪循環に陥らないためには適切なリバビリが重要になる。しかし、
と大川部長は指摘する。
これまでのリハビリは、例えば足の筋力など個別部位の回復だけに主眼が置かれることが多かった。歩行訓練でも、リハビリ用の訓練室でただ歩く練習をするだけに終わる場合がほとんど。実際に必要なのは、具体的な日常の場面に即したリハビリだ。例えば「トイレに行く」「顔を洗う」といった日常動作の訓練を病棟でする必要があるという。訓練室でただ歩くのと、トイレに行くため、さまざまな人が行き交う廊下を歩くのとでは大きな違いがある。
大川部長らの調査によると、リハビリの仕方で体の回復度合いには大きな差が生じる。訓練室中心のリハビリを受けて50m歩けるようになっても、実際に自立して20m先のトイレに行けるのは患者のわずか2割に過ぎなかった。そこで、同じ患者に今度は実際にトイレに行く訓練をしたところ、7割が1人で行けるようになった
- 症状
- 筋肉の萎縮
- 筋力の低下
- 関節が固まる
- 骨がもろくなる
- 起立性低血圧(立ちくらみ)
- 心肺機能の低下
- 便秘
- 下痢
- 食欲不振
- 痴呆
- 疲れやすい
- うつぶせ療法
- 「寝たきり状態の改善・予防に有効な運動や食事に関心が持たれている。
- 寝たきりでも短時間のうつぶせで体の動きが回復する。
- 毎日15分の運動と10品目の食事を心がけると筋肉が保たれて予防効果が期待できるという。
- ポイントは無理せず毎日続けること。
Aさん(80)は南横浜病院に入院していたが、寝たきりで認知症の症状が顕著になりリハビリ病棟に移った。そこで始めたのが『うつぶせ療法』。毎日仰向けに寝ていたが、1日2回、15分づつベッド上でうつぶせになる。これを3日続けた後は毎日2回、30分実施した。
1週間後には少し体を支えてもらえば自分でうつぶせになることが出来るようになった。1ヵ月後には自ら話し始めるまでに改善した。
- 「特別な器具・薬は不要。コツさえ覚えれば介護する人がいればできる」。
同病院の大内基史医師は利点を説明する。
大内医師によると、60歳以上で寝たきりの要介護者84人を対象にした調査では、9割弱の人で症状に改善が見られた。3割の人は食事や排泄、着替えなどをほぼ1人でこなせるところまで改善した。
大内医師は「うつぶせ療法はまず病院などで指導を受けて」と語る。南横浜病院では寝たきりの高齢者に2〜3週間入院してもらい、介護者と一緒に指導している。
うつぶせ療法を実施する際は
- まず、患者の体の状態を確認する。手術直後の高齢者や股関節や肩の関節などの動きに制限がある人、意識障害の強い高齢者、心臓病患者、うつぶせを嫌う人などは避ける。
- 必ず体を支える人が付き添って十分注意しながら、あおむけからうつぶせにする。関節痛や腰痛といった痛みのある高齢者には、柔らかい物や机などを利用してうつぶせにすると効果がある。
- 最初は、1日2回、食後を避けて5〜15分程度。なれたら30分〜1時間程度まで可能な範囲で延ばす。
- 介護者はベッドから転落したり窒息したりしないように注意する。
寝たきりだとからだが縮むので、体をひっくり返すと、
- 閉じた状態の股関節などが体の重さで開くようになり、関節の動きが良くなる。
- 体を支える手の刺激が脳に伝わり、心身の機能改善につながる。
- 寝たきりの高齢者はタンがたまっており、最初はタンが沢山出ることが多い。タン(痰)を吐き出すので肺の機能が改善する。
- 腹這いになることで排尿が良くなる効果もある。
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高齢者が寝たきりにならないように予防する取り組みの1つが『テイク10』運動。
- 肩を回したり、ももを伸ばしたりといった運動を1日10分。
- 食事は肉・魚介類・卵・牛乳・大豆製品・海草・イモ・果物・油脂・緑黄色野菜の10品目を食べる。
健康推進協力センター(東京千代田区)と東京都老人総合研究所は共同で2002年から1年をかけて秋田県南外村の高齢者約1000人にテイク10を指導した。その結果、歩行速度や心肺能力の低下は認められなかった。「予想以上の効果だった」と同センターの木村美佳プロジェクトマネージャーは語る。
2005.3.8《日本経済新聞》
- 東日本大震災
- 2011年3/11に起きた大震災で避難している方が、体を動かさない生活を続けることで、心身の機能が低下する「生活不活発病(廃用症候群)」が増えている。
- 生活不活発病は、体を動かさない状態が続くことによって心身の機能が低下すること。
- 肉体的には・・・関節がかたくなったり、筋肉が衰えたり、立ちくらみを感じたりと、症状はいろいろ。
- 精神的には・・・認知症やうつ症状が現れることがある。
- 高齢者が発症すると、一気に心身が衰えて、寝たきり状態になる恐れがある。特に避難所での狭い空間で長時間体を動かさず、横になった状態で過ごすことで発症リスクが高まる。
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