ヘモグロビン Hb
ギリシャ語の“血液”ラテン語の“球”=ヘモグロビン

=血色素量。
剤投与時の効果チェックに有効です。
  1. 正常値
    • 男性:13〜17g/dl
      女性:12〜15g/dl
  2. 高値を示す疾患
  3. 低値を示す疾患
    • 悪性腫瘍
      悪性リンパ腫
      肝硬変
      感染症
      巨赤芽球性貧血
      膠原病
      甲状腺機能低下症
      再生不良性貧血
      鉄芽球性貧血
      鉄欠乏性貧血
      サラセミア
      多発性骨髄腫
      尿毒症
      白血病
      溶血性貧血



ヘモグロビン(血色素)
  • ヘモグロビンは、骨髄の赤芽球においてヘム(とポルフィリンの複合体)とグロビンの合成によってつくられます。
  • 赤血球中のヘモグロビンは肺において酸素と炭酸ガスのガス交換を行い、生体内の各組織に酸素(O)を供給し、血液pH を維持するという大切な働きをしています。
  • このガス交換で酸素と直接結合するのはヘムなのですが、ヘム単独ではその機能は発揮できず、グロビンと一緒になって初めて可能になります。

  • ヘモグロビン量が減少する状態を『貧血』といいます。」
    「普通は、赤血球数が減少すればヘモグロビンの量も減少するのですが、赤血球数が正常なのにヘモグロビン量が著しく減少することがあり、その1つに『鉄欠乏性貧血』があります。また逆にヘモグロビンが増加する場合の病態に『赤血球増加症(多血症)』があります


ヘモグロビンの構造

  • 分子量64500のタンパク質で、1分子のグロビンと4分子のヘムから出来ています。
    1. グロビン(タンパク質)は球状をしていて、そのペプチド間は非化学結合しています。
    2. ヘムは、複雑な有機物(プロトポルフェリン)と二価の鉄イオンとの複合体である。赤色部分

  • グロビン分子はそれぞれ1個のヘムを結合しうる4個のペプチド鎖から出来ています
    1. ペプチド鎖には:
      • α鎖(141アミノ酸)、
      • β鎖(146アミノ酸)
      • γ・δ鎖
      があります。
    2. ペプチド鎖の構成は:
      • ヘモグロビンA (HbA)は・・・・・・・・・αβ
        ヘモグロビンA(HbA)は・・・・・・・αδ
        ヘモグロビンF (HbF)は・・・・・・・・・αγ
    3. 胎児期には胎児ヘモグロビン(HbF)が主体であるが、生後3ヶ月後までに急減する。
    4. 成人ではHbA>96%、HbA<3%、HbF<1%

  • グロビンは赤芽球、網赤血球のポリリポゾームで作られ、α鎖とβ鎖の四量体αβがあります

  • グリシンとサクシニルCoAよりつくられるδ-アミノレプリン酸がポルフォピリノゲンを経てプロトポルフィリンになり、ミトコンドリアでがキレートされヘムとなります






ヘモグロビンの働き

  • はヘモグロビンの0.347%(56×4÷64500×100)を占め、2価の場合のみOと結合。
  • ヘモグロビン1分子は4分子の酸素を結合しうる。
    ヘモグロビン1gは定常状態の酸素[1.39ml]を結合できる計算になります
    (22.4×103×4÷64500)が、実際には一部がメトヘモグロビン化するため、[1.34ml]と結合する。
  • ヘモグロビンの酸素飽和度は酸素分圧に相関するがヘム・ヘム相互作用(4個のヘムの1個にOが結合すると残りのヘムにもOがつきやすくなります)ため酸素解離曲線はS字状を呈する。
  • pHが低い(CO濃度が高い)とヘモグロビンのO親和性は減る。
    (=「ボーア効果」)
  • ヘモグロビンにはHを結合したり(緩衝作用、O放出促進)
    カルバミノ化合物としてCOを運搬(約4.5%)する働きもあります


ヘモグロビンの分解

  • ヘムのFeが酸化されFeとなったものを『メトヘモグロビン』 といい、Oを結合できなくなりますので、赤血球内には絶えず還元する機構が働いています。
  • メトヘモグロビンが過剰に生じると赤血球膜SH基とSS結合し、ハインツ小体となり、脾でつみ取られる。
  • 寿命のきた赤血球は主として脾マクロファージで処理されますが、ヘモグロビンもそこでグロビンとヘムに分けられる。
  • グロビンはアミノ酸に分解されて再利用されます。
  • ヘムは開環し、を放出、は再利用されます。
    • 開環に際し、一酸化炭素が生じ肺より放出され、ヘモグロビン分解の指標となります。
  • 間環したヘム(緑色のビリベルディン)は還元され、間接型ビリルビンとなり、アルブミンと結合し肝に運ばれグルクロン酸抱合をうけ、直接ビリルビンとして胆道へ出ます。
  • 腸管でさらに還元・酸化を受け種々のウロビリン体
    • (ウロビリノゲン、ステルコピリノゲン、ウロビリン、ステルコビリンetc)
    として糞便に排泄されます。
  • ウロビリノゲン(総称)の一部は腸管より吸収され、腸肝循環をなす。
  • 吸収されたウロビリノゲンの一部は尿中へ排泄されます。糞便中のウロビリノゲン体、尿中ウロビリノゲン量はヘモグロビン分解の指標となります


酸素を運ぶ方法

  • 酸素分子がヘモグロビンと結合し(ヘムと鉄イオンによる)、オキシヘモグロビンが出来る。
    • 酸素ヘモグロビン→オキシヘモグロビン
    • (酸素ヘモグロビン←オキシヘモグロビン)
  • オキシヘモグロビンは、簡単に酸素を結合したり、放すことが出来る。
    個々の細胞に行き着いた時に、酸素を放し、その後は、又、別の酸素分子と結合することが出来る。
  • オキシヘモグロビンを多く含む血液は、鮮やかな赤色(鮮紅色)に見える。
  • 静脈を通る血液は、暗い赤色。それは個々の細胞から戻るヘモグロビンが二酸化炭素と結合した複合体になっているからです。
    • ヘモグロビン二酸化炭素→複合体
    • (ヘモグロビン二酸化炭素←複合体)
  • 二酸化炭素を背負ったヘモグロビン(複合体)は、血液によって肺まで運ばれてくると、分解し、放出された二酸化炭素は、息を吐くときに外界へ出ていく。






酸素飽和度(画像化)
  • 2011年、富士フイルムと国立がんセンターは、内視鏡を使って体内組織の酸素飽和度を画像化する技術の臨床研究に着手した。
    血液中のヘモグロビンは酸化していないと青色に見える性質を利用。
    高精度レーザー光を照射することにより、対象組織の酸素飽和度を検出する。
    酸素飽和度が可視化できれば、従来と異なる基準による診断が可能になる。
    ガンなどの腫瘍は通常、血管からの酸素供給が不十分で、正常な組織に比べて酸素飽和度が低い。






脳の神経細胞でも作っている?!
  • 2009年、理化学研究所のオミックス基盤研究領域のピエトロ・カルニンチ・チームリーダーらの研究グループは、全身に酸素を運ぶためのタンパク質『ヘモグロビン』が、なんと、赤血球だけでなく脳の神経細胞でもつくられ、働いていることを突き止めた。
    酸素の量を調整して神経細胞を保護しているという。

  • 研究グループは遺伝子の働きを調べる独自の手法で、神経細胞がつくられる少量のヘモグロビンを初めて確認した。
    人とマウスの神経細胞のうち、ドーパミンという神経伝達物質を作り出す細胞を調べた。この細胞が死滅すると手足のふるえや筋肉の硬直など、運動機能に障害がでるパーキンソン病を引き起こすとされる。

  • マウスを使った実験で、神経細胞にヘモグロビンを過剰に作らせて働きを見た。神経細胞は酸素が多すぎても少なすぎても損傷を受けるが、ヘモグロビンが適正な酸素濃度調整していることが分かった。
    “ヘモグロビンは酸素を一時的に蓄えて酸化ストレスを減らして、細胞死を防いでいるのではないか?”(カルニンチ・チームリーダー)神経疾患の一種であるパーキンソン病の治療法に道が開けるかもしれない






硫化水素
  • 深海にすむ、消化器のない生物[ハオリムシ](体長2m)では栄養体と呼ばれる体の後半部に、バクテリアが共生し、宿主から硫化水素と酸素、そして二酸化炭素の供給を受け、化学的無機独立栄養代謝によってエネルギーを獲得して有機物を合成していた。宿主はこの共栄バクテリアの有機物の一部を“家賃”として受け取ることにより、その体を維持していた。
    これらの宿主は濃厚なヘモグロビンで真っ赤な血液を持っていた。熱水噴出水からの硫化水素と、海水からの酸素を体内の共生細菌に届けるためだ。しかし、これまでの常識では、硫化水素は普通の生物のヘモグロビンと結合すると酸素運搬能力を失わせてしまい、細胞内呼吸で最も重要な酸素の活性を阻害する猛毒物質とされていた。
    ところが、ハオリムシのヘモグロビンには酸素と硫化水素のそれぞれに特異的な結合部位が見つかり、硫化水素をタンパク質の中に閉じこめて運び、体内での毒性が発揮されますことを防いでいたのである。


赤血球を活性化
  • 慶応大学の末松教授と富田勝教授らは、酸素を運ぶ役目を果たしている赤血球中のヘモグロビンに、赤血球自体の機能低下を防ぐ作用もあることを突き止めた。
    細胞に酸素を届け、その代わりに二酸化炭素を受け取った赤血球が低酸素状態になると、ヘモグロビンが働いてATP(アデノシン三リン酸)というエネルギー源を増やすという。
    ヘモグロビンが酸素を放出すると構造が微妙に変化し、これが引き金となってブドウ糖をエネルギーのATPに変える仕組みを加速するスイッチとして働くことが分かった


酸素運搬
  • 末松誠・慶応義塾大学教授らは、赤血球に一酸化窒素(NO)を付加することで、血液の酸素運搬能力を約2倍まで引き揚げることに成功。
    開発したのは献血で集めた赤血球製剤の能力を高める技術。
    赤血球にNO処理すると、酸素を運ぶヘモグロビンのタンパク質構造が変化することが分かった。NOがくっついたヘモグロビンは、静脈など酸素量の少ない組織でも、通常のヘモグロビンに比べて酸素放出量が2.6倍だった。
    血管を拡張する作用があるアデノシン三リン酸(ATP)と呼ぶ物質が放出され、血液が流れやすくなる効果も確認された。この結果、毛細血管内の酸素運搬能力が通常よりも1.5〜2倍になった。
    虚血障害を起こさせたラットを使い実験。NOで処理した血液を輸血したラットでは、肝機能の状態を示す胆汁分泌が何もしなかったラットに比べて2倍に改善、通常の血液を輸血した場合と比べても25%良かった。


ワニ
  • ワニは体の組織に酸素をたくさん供給できるヘモグロビンを持っている。そのようなヘモグロビンを作れる遺伝子が備わっているからだ。
  • 人間中にもワニの遺伝子と似た遺伝子を持っている人がいる。
  • それは特殊な変異ヘモグロビン血症の人だ。
    その身体的特徴は、血液を調べると貧血の数値を示すが、本人は何ともなく、病的な症状など無い。病院にも行かないので、日本国内に何人ぐらいいるのかも分からない。
    Aさんと父親、祖母が同じ遺伝子変異で、姉のBさんは普通のヘモグロビンだった。2人に吸入マスクをしてもらい、酸素濃度の薄い空気を吸入した場合の呼吸数を調べた。Aさんは酸素が薄くなっても呼吸数はあまり変わらなかったが、Bさんは息がしづらくで呼吸数が増えた。Aさんは坂道を登るようにペダルを力一杯こぐ運動負荷検査でも呼吸は全く乱れなかった。
    2人のヘモグロビン遺伝子は、それを構成する塩基が1個違うだけ。わずかな違いがこれほどのパフォーマンスの違いを生み出す。


心不全でも歩ける
  • 「重症の心不全患者でも、手足の筋肉に酸素が十分に行き渡れば歩ける可能性がある可能性を、大阪大学と順天堂大学のチームがワニの生態から研究した。
    大津欣也・阪大准教授と白澤卓二・順天大教授の共同チームの成果で2008年8.26の米心臓学会誌に掲載。
    ヘモグロビンは血流によって酸素を脳や手足などに運ぶ。水中に長時間潜っていられるワニは、手足などでヘモグロビンから酸素が放出されやすい特徴を持っている。実験では、心不全を起こしたマウスに、ワニと同様のヘモグロビンを持ったマウスの骨髄を移植すると、新機能は回復しないが、正常なマウス並みに走れるようになった。
    さらに、ヘモグロビンから酸素を放出しやすくする薬剤『RSR13』を探し当てた。[RSR13]を心不全を起こしたマウスに投与したところ、同様に走れるようになった。」









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