骨の再生
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骨の種類 形から(5種類)
  • 長骨=長い骨。ex.大腿骨
    短骨=小型の骨。ex.手の甲(手根部)
    扁平骨=薄い板状の骨。ex.頭蓋骨を形成する。
    含気骨=空洞をもつ骨。ex.あごの上顎骨。
    混合骨=扁平骨でありながら、厚い部分に空洞がある骨。

われわれの体には約 206個の骨があり、関節でつながった骨を筋肉で動かすことによっていろいろな仕事や運動をしています。
  • 頭蓋骨(とうがいこつ)(29本)
    脊椎骨(26本):
        頸椎(cervicales)(7本)
        胸椎(thoracicae)(12本)
        腰椎(lumbales)(5本)
        仙骨
        尾骨
    肋骨と胸骨(25本)
    肩・腕・手(64本)
    1. 手の骨(片方)・・・27個
    2. 肩から手首(片方)・・・4個
    骨盤・脚・足(62本)
    1. 足の骨(片方)・・・26個


骨は、コラーゲン細線維のすき間をチーズのような均質な有機質で埋め、そこへカルシウム塩を沈着させて薄い層状の板を作り、それを血管を通す「中心管」の周りに同心円状に何枚も巻き付けて出来ている。
(岩波新書「細胞紳士録」p20〜)
1738年、ロンドンの外科医J・ベルチャーはある日、友人の農家で食事をしたさい、皿の上のブタの骨が赤いことに気づいた。不審に思って調べると、農家のブタの飼料に、布を赤く染めるアカネ(茜)の根汁が混じっていた。
ロンドンの外科医であったジョン・ハンターはアカネの色素が新生中の(正確には石灰化を起こしつつある)骨の層に沈着することを突き止める。
そこで、ブタにアカネを1週間食べさせて1週間休む。また食べさせる、という実験を繰り返し、骨の成長を年輪のように示すことができた
(岩波新書「細胞紳士録」p22〜)
1937年、東京高等歯科医学校の薬理学教授だった岡田正弘は、色町の女性の乳飲み子の歯が黒いことに気づき、母親の乳房についた白粉のが原因と考えた。そして、動物実験で成長中の象牙質と骨にが沈着するのを発見。
以外にテトラサイクリン(静菌性抗生物質の1つ)も石灰中の骨に沈着することが分かったのは1950年代になってから
強度
が同じ
骨髄細胞から本物の骨と同じ強度を持つ再生骨を作る技術を開発した。2、3年内の臨床試験を目指す。人骨に応用すれば骨ガン手術で骨を削った部分や、ひざや股関節の摩耗部位の治療に役立つとみている。
ベータTCPを主成分にした多孔質の5mm角のブロックにラットの骨髄細胞を埋め込み、約2週間培養した後、ラットの背中にブロックごと移植した。移植後4週間でブロック内に骨を作る骨芽細胞や骨成分、血管が形成され始めた。移植の8週間後にはラットの体内で、骨形成の目安となるタンパク質が大量に分泌され、本物の骨と同程度の骨芽生成していることを確かめた。
ベータTCPは体内に吸収されやすい性質を持つ。
このため「骨の成分が増えるとともに当初の基盤材の部分を置き換えて、強度が十分な再生骨が形成される」(産総研の植村寿公主任研究員)とみている。
オリンパスなどは特許を申請済み。今回の方法は形成速度が速いため、細胞がガン化して必要以上に増えることがないことを確認した上で、臨床試験を始めたいとしている。
骨髄細胞を使った骨の再生は、やはり骨充填剤であるハイドロキシアパタイトを基盤材に使う試みもある。しかし、骨成分が増えた後もハイドロキシアパタイトが残留しやすく、ゆがみが生じたり、強度が十分でなかったりする可能性が指摘されていた。
整形外科では傷ついた部位に患者の骨を移植する治療法が主流で、充填剤など人工骨材料を埋め込む治療が全体の約2割を占める。人工骨による治療は強度などの面で課題が多く、実用性の高い再生骨作りの技術が求められている
骨代謝 指示出す細胞を発見
2011年、東京医科歯科大学の高柳広教授らは、古い骨が新しい骨に置き換わる「骨代謝」の際に、骨細胞と呼ばれる細胞が司令塔の役割を果たしていることを突き止めた。
成果はネイチャー・メディシンに掲載。
骨は古くなると破骨細胞によって壊され、その一方、骨芽細胞が新しい骨を作り出す骨代謝を繰り返している。
グループは、マウスを使って骨細胞だけを分離することに成功。さらに骨細胞は「RNKL」(ランクリガンド)という分子を作り出し、破骨細胞の働きを活性化していることが分かった。
マウスの骨細胞でランクリガンドが出来ないようにして操作すると、破骨細胞が働かなくなった。その結果、破骨細胞が骨を溶かすことができなくなり、骨芽細胞が新しい骨をつくれないあめ、骨が石のようになる大理石骨病を発症した。

人工骨
  • 復元
    • 東京医科歯科大学と物質・材料研究機構の研究グループは2001年10/2日、ケガなどで損傷した骨の欠損部分に埋め込むと時間がたつにつれて本物の骨が再生される人工骨を開発、動物実験で性能を確認した。
      生体内で骨芽形成される仕組みを詳しく分析、本物の骨と同じハイドロキシアパタイトと呼ぶ無機材料とコラーゲンを組み合わせて作った。イヌを使った実験では、約2cmの脛骨の欠損部分に粒子状にした人工骨を移植。術後12週間で骨は完全に再生され、自由に動き回れることが出来るようになった。
  • 人工骨短時間で再生
    • 東京大学、医療ベンチャー「ネクスト」などの研究チームは、患者自身の骨に短時間で置き換わる人工骨を開発した。人工骨に穴を開けるなどきめ細かい内部構造を作ることが出来るので、顔の骨の損傷治療にも応用できる。
      東京大医学部の鄭雄一・助教授らが開発した人工骨は、カルシウムの粒子を1mm単位で積み重ねていく。病気やケガで損傷した骨の欠損部分をCTで撮影し、患部にピッタリに合うように人工骨を設計する。血管や骨盤が入り込むように骨の内部に小さなすき間や穴を作ることもでき、人工骨が患者自身の骨に起きかわる時間が早い。
      イヌの頭蓋骨に1.5cm角、厚さ4mmの人工骨を埋め込む実験をした。直径2mmの小さな穴が貫通した人工骨を埋め込んだところ、6ヵ月で人工骨の一部がイヌの細胞に置き換わった。
      人工骨の材料をプリンターのインクジェット方式で吹き付けながら少しずつ立体的な形状を作っていく。そのため、CTで撮影した骨の欠損部分にピッタリ合うように作ることが出来る。さらに、血管などが入り込むすき間を作ることも出来る。
  • 魚のウロコから
    • 2011年、東京工業大学の田中順三教授と北海道大学の安田和則教授亜らは、外来魚「テラピア」のウロコからとれるコラーゲンを使った人工骨を開発した。ブタやウシのコラーゲンを使う人工骨に比べ10倍以上の強度を実現。骨の再生にかかる時間も半分に短縮できた。
    • 開発した人工骨は、テラピア由来のコラーゲンと骨の主成分であるアパタイトを組み合わせた。
    • 人工骨に含まれるコラーゲンの濃度を従来の1%から20%にまで高める精製技術を開発した。
    • 魚由来のコラーゲンは細胞に対する適合性が高く、骨芽細胞がくっつきやすい。シッカリくっついた骨芽細胞は、微細な穴で活発に増殖を繰り返す性質がある。この変化が起きる温度は「変性温度」と呼ばれ、生物が住んでいる環境の温度によって決まる。
    • テラピアのコラーゲンの変性温度は37℃と魚類としては高く、人間の体温に近いコラーゲンの抽出が可能。
    • 人工骨として体内に入れてもゼラチン化が起こる心配はないという。
  • 抗菌性人工骨
    • 2012年、明治大悪の相沢守教授と慶応義塾大学の石井賢講師が開発。
    • 人工骨の主成分である水酸アパタイトを含む溶液にチタン素材を浸し、大きさが数マイクロb〜数十マイクロbのアパタイトで被覆した。その後、イノシトールリン酸と商談銀の水溶液に漬け、アパタイトの表面に銀イオンを被覆した。


絹から 2010年、東京農工大学の朝倉哲郎教授らと日本大学松戸歯学部は、絹を原料にして骨を再生する足場になるスポンジを開発した。
の主成分である繊維状のタンパク質「フィブロイン」を取りだし、細かい穴がたくさん開いたスポンジ状の素材を作った。
作ったスポンジ上で骨の元となる細胞を培養したところ、細胞がスポンジの内部にまで入り込んで増殖できることを確認。
次にスポンジをウサギの大腿骨に入れ、骨の再生が起きるかどうかを実験。CTで確認したところ4週間後にはスポンジの中で骨が再生していた。
従来は、歯を抜いた後の穴などで骨の再生を促す足場としてコラーゲンや骨の成分であるハイドロキシアパタイトなどでできた材料を使っている。
コラーゲンは熱に弱いため、高温による滅菌処理ができないので感染症の危険。
ハイドロキシアパタイトは、非常に固いので、加工しにくい。
セラミック で骨を再生
2011年、明治大学の相沢守教授と東京慈恵会医科大学の松浦知和准教授らは、骨の再生医療に使えるセラミックス材料を開発した。
アパタイト製ファイバーを入れた溶液と、直径150µmの炭素の粒を重量比1対20の割合でまぜ、円筒形の型枠に流し込んで1300℃で焼き固めた。炭素が燃えて無くなり、細かい穴が多数空いたセラミックス材料ができた。
このセラミックス材料を培養液に浸し、ラットの骨髄から採った間葉系幹細胞を培養した。1ヶ月程度で、穴に細胞が入り込んで骨芽細胞が育ち、骨状の組織になった。
ß-リン酸三カルシウム(ß-TCP)
2012年、カタリメディックはセラミック製人工骨補填剤の販売を始めた。
補填材の主成分はß-リン酸三カルシウム(ß-TCP)で、生体内に吸収され自分の骨に置き換わる特徴を持つ。
人工骨の補填材料としては患者自身の正常な骨を採る自家骨があるが、手術が必要で採集できる量にも限りがある。人工骨で補う場合、現在はおもにハイドロキシアパタイトを使うが、カタリメディックの人工骨補填材はハイドロキシアパタイトより生体吸収性が高いという。
再生 タンパク質を移植
2011年、骨のもととなる「間葉系幹細胞」の培養液に含まれるタンパク質を寒天に混ぜ移植することで、ラットの頭の骨を再生させたとする研究結果を、名古屋大の上田実教授らがまとめた。
上田教授によると、骨の再生医療では幹細胞そのものの移植が必要とされていた。それを覆す成果。上田教授は「細胞移植で問題になる腫瘍化のリスクが減り、治療にかかるコストも1/100以下にできるかもしれないと話している。
研究グループは、人間の骨髄から採取した間葉系幹細胞の培養液を凍結乾燥させ、細胞の機能を調節するタンパク質「サイトカイン」を含む粉末を作製。粉末を水に溶かして寒天に混ぜ、ラットの頭の骨に開けた直径5_の穴に移植。すると8週間後にはラット数十匹すべてで骨が再生した。
Sema4D
2011年、東京医科歯科大学の高柳広教授らは、骨の形成を抑制するタンパク質「Sema4D」を発見した。
免疫の調整に関わるタンパク質「Sema4D」が骨芽細胞に働きかけ、骨の形成を抑制していることを突き止めた。骨ができる場所から骨芽細胞を遠ざけ、新しい骨芽細胞ができるのをジャマしていた。

骨延長術で高度医療
  • 名古屋大学医学部付属病院
    • 患者自身の骨芽細胞を使って骨に移植する「骨延長術」が2011年夏に高度医療対象技術として認定された。「再生医療」で高度医療に認定されたのは初めて。
    • 従来の骨延長術は、手術で脚も骨を切り取り、すき間となった切断部分の骨が徐々に再生するのを数ヶ月かけて待っていた。再生するまで皮膚の上から医療用ボルトを数本刺して骨を固定し、1年ぐらい入院するのが常だった。
    • 新しい骨延長術では、骨を形成する能力がある「骨芽細胞」を患者の骨髄液の幹細胞から採取して培養する。次に、細胞の増殖を促すなどして傷が治るのを早める作用がある「多血小板血漿」を患者自身の血液から取りだし、培養した骨芽細胞とカルシウム、血液を固まらせる物質「トロンビン」と亜あせて骨切りした部分に移植する。その後は従来手法と同じようにボルトで骨を固定して再生を待つ。
    • 約10ヶ月で10cm伸びる。