- 茵蔯五苓散
- 烏頭赤石脂丸
- 栝楼薤白半夏湯
- 黄連湯
- 九痛丸
- 小建中湯
- 60歳男性。上諏訪の赤十字病院で、胃ガンの末期だと診断され、嫁に言っている娘を頼って上京し、東京大学の付属病院でも診てもらったが、ここでもガンの末期だから、レ線で調べる必要もないと言われ、患者はすっかりしょげこんでいた。
患者は、痩せて血色も良くない、腹診してみると、腹壁一体が板のように硬い。主訴は、激しい胃痛と嘔吐で、吐物には血液様のものが混じっている。また大便には肉眼で分かるほど血液が混じっている。私は胃ガンよりも胃潰瘍を疑ったが、とにかく腹証によって人参湯を与えた。ところが少しも効かないので大建中湯に転方したが、これも駄目、そこで旋覆代赭湯をやてみたが、一向に痛みは止まらない。こんな風だから、患者は東京で有名な某胃腸病院を尋ねた。ここではレ線検査もしてくれたが、幽門ガンだという診断を下し、入院の必要はないと宣告したという。
そこで、この患者はまた私を訪れ、今一度、何とかして欲しいという。
私は考えた、《傷寒論》には、“嘔家には建中湯を与うべからず”とあって、嘔吐の有る者に小建中湯を用いてはならないことになっている。しかし、もうこうなっては、背水の陣だ。小建中湯を与える以外に方法はないと決心し、これを与えた。すると不思議なことに、胃痛が止まり、嘔吐が病み、血便も無くなり、2週間後には、あんなに苦しんだ症状がすっかりとれ、1ヶ月ばかりで元気を取り戻して信州に帰った。《大塚敬節》
- 旋覆花代赭石湯
- 半夏瀉心湯を用いる患者よりも、体力が衰え、心下痞硬、食欲不振、噫気のある者に用いる。
胃腸の蠕動不安、軽い腹痛、嘔吐を伴う者に用いて良い。
また胃ガンの患者で、体力の衰えて者の便秘にも、本方はよく効く(漢方診療医典)
- 大烏頭煎
- 大黄甘草湯
- 大承気湯
- 調胃承気湯
- 半夏瀉心湯
- あまり体力の衰えていない患者で心下痞硬、食欲不振、悪心などのある者に用いる、もし噫気の多いときは、生姜瀉心湯を用いたほうがよい。
幽門ガンの患者に、半夏瀉心湯を与えたところ著効があって、2ヵ年あまりも生き延びた例がある。その患者を診たときは、発病10ヵ月ほどたっていて、幽門はほとんんど塞がっていたが、手術の予後の良くないのを知っている患者は、漢方治療を希望して来院した。そこで心下痞硬と心下部の鈍痛を目標に半夏瀉心湯を与えたところ、食が進み、心下のつかえが取れ血色も良くなり、肉がつき、治ったのではないかと思うほどによくなった。このようにして、レントゲン検査では依然として癌は消えていないにの、患者は病気を忘れて、2カ年あまり仕事をしていた。(漢方診療医典)
- 半夏地楡湯
- 茯苓飲
- 利膈湯
- 六君子湯
- 病気が進行して、食欲が無くなり、悪心、嘔吐、貧血、浮腫のあるものに用いると、食欲が出て、気力が回復する。
これを用いて、床を払って、外出できることができるようになる者もいる。また手術後、再発した者に用いて、一時軽快するすることもある。癌そのものは、良くなっていないのに、一時的であるが、自覚症状がよくなり、元気になる(漢方診療医典)
- 食欲不振、心下部疼痛、衰弱した者《矢数道明》
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