医薬品による
間質性肺炎



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関連情報
肺炎」「特発性間質性肺炎」「肺線維症(びまん性間質性肺炎)」「過敏性肺臓炎

間質性肺炎  (厚生労働省
英語名:Interstitial pneumonia:IP
同義語肺臓炎(pneumonitis)、胞隔炎(alveolitis)、
肺線維症(pulmonary fibrosis)
1.間質性肺炎とは?
  • 肺は、直径0.1~0.2 mm ほどの肺胞と呼ばれる小さな袋がブドウの房のように集まって出来ているスポンジのような臓器です。ブドウの茎が、空気を吸い込む気管支に相当します
  • 肺胞の壁はとても薄く、毛細血管が網の目のように取り囲んでいます
  • 吸い込んだ空気中の酸素は、肺胞の壁から血液中に取り込まれます
  • 間質性肺炎は、この肺胞の壁や周辺に炎症が起こり、この病態になると血液に酸素が取り込めず、動脈血液中の酸素が減少した状態(低酸素血症)となり呼吸が苦しくなります
  • 症状が一時的で治る場合もありますが、進行して肺線維症(肺が線維化を起こして硬くなってしまった状態)になってしまう場合もあります
  • 主な症状として
    • 息切れ(呼吸困難 」、
    • から咳(痰のない咳)」、
    • 発熱
  • の3つが知られています。
    息切れは、
  • 最初は運動時あるいは坂道や階段を上がる時にみられますが、進行すると歩くだけでも息切れを感じるようになります。

  • 発熱はみられないことがあります。

  • 間質性肺炎は、皮膚筋炎・多発性筋炎、強皮症、関節リウマチなどの膠原病、アスベストの吸入など原因がわかっている場合もありますが、特発性間質性肺炎といって原因不明のものが多くみられます
  • 間質性肺炎は医薬品によっても起こります。多くの医薬品が原因になりますが、代表的なものとしては、抗がん剤(経口剤、点滴用剤)、抗リウマチ薬、インターフェロン製剤、漢方薬(小柴胡湯な
    ど)、解熱消炎鎮痛薬(アスピリン、サリチル酸など)、抗生物質、抗不整脈薬(アミオダロン)などでみられます。総合感冒薬(かぜ薬)のような市販の医薬品でみられることもあります

  • 医薬品によって間質性肺炎が起こる機序は大きく2 つに分けられます。
    1. つは、ある種の抗がん剤などのように、細胞を直接傷害する医薬品によって肺の細胞自体が傷害を受けて生じるもので、医薬品を使用してからゆっくり(数週間~数年)発症するものです。
    2. もう一つは、薬に対する一種のアレルギーのような免疫反応が原因となるもので、多くは、医薬品の使用後早期(1~2 週間程度)に発症するものです。多くの種類の医薬品がこのタイプとされていますが、ゲフィチニブのように発症機序がよく分かっていないものもあります






間質性肺炎
厚労省 肺胞壁、細気管支、血管周囲結合組織などの間質に細胞浸潤、繊維化などを起こす肺炎をいう。
肺の繊維化のため、呼吸による収縮が困難となりやすい。
症状 呼吸困難、チアノーゼ、捻髪音など








漢方製剤(小柴胡湯、半夏瀉心湯など)、
  • 小柴胡湯
  • 乙字湯、大柴胡湯、柴胡桂枝湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、半夏瀉心湯、黄連解毒湯、小青竜湯、防已黄蓍湯、麦門冬湯、補中益気湯、荊芥連翹湯、潤腸湯、抑肝散、温清飲、防風通聖散、二朮湯、清肺湯、柴朴湯、辛夷清肺湯、牛車腎気丸、清心蓮子飲、三黄瀉心湯、柴苓湯、三物黄芩湯
インターフェロン製剤、
抗悪性腫瘍剤(ペプロマイシン、マイトマイシンC など)、
抗生物質(セフェム系、ペニシリン系、テトラサイクリン系)、
合成抗菌剤(レボフロキサシン、シプロフロキサシンなど)、
抗結核剤(イソニアジドなど)、
免疫抑制剤(アザチオプリン、ミゾリビンなど)、
抗てんかん剤(フェニトイン、カルバマゼピンなど)、
不整脈用剤(アミオダロン)、
抗リウマチ剤(ブシラミン、金チオリンゴ酸ナトリウムなど)など






2.早期発見と早期対応のポイント
  • 「階段を登ったり、少し無理をしたりすると息切れがする・息苦しくなる」、
  • 「空咳が出る」、
  • 「発熱する」
  • などがみられ、これらの症状が急に出現したり、持続したりするような場合で、医薬品を服用している場合には、放置せずに医師、薬剤師に連絡をしてください。
  • 受診する際には、服用した医薬品の種類、服用からどのくらいたっているのか、息切れ・呼吸困難の程度などを医師に知らせてください。
  • なお、間質性肺炎を起こす可能性がある医薬品、すなわち、抗がん剤、抗リウマチ薬、インターフェロン製剤、小柴胡湯、アミオダロンなどでの治療を受ける方は、あらかじめ、担当医から使用する
    医薬品の種類、その特徴、効果、間質性肺炎を含めた副作用とその監視のための検査計画などの説明があると思いますので、その指示に従ってください。






投与から間質性肺炎の発症までの期間は、
  • 一般的には、 抗悪性腫瘍薬など細胞傷害性薬剤では数週間から数年の慢性の経過で、免疫反応の関与が考えられるその他の製剤では1~2 週間で急速に発症するとされる。抗悪性腫瘍薬を用いる際、患者の全身状態が悪い場合や、肺に線維化などの障害がもともと見られる場合は、間質性肺炎発症のリスクが高いと考えて慎重な経過観察が必要である。

  • 治療中、患者が予想外の発熱、息切れ・呼吸困難、乾性咳などを訴えた場合は
    • 血液検査(C 反応性蛋白(CRP)、LDH、KL-6、SP-D)、
    • 胸部X線写真、胸部CT、
    • 動脈血ガス分析
  • などを早急に進める。

(1)副作用の好発時期
  • 投与から間質性肺炎の発症までの期間は、一般的には、免疫反応の関与が考えられる抗菌薬、解熱消炎鎮痛薬、抗不整脈薬(アミオダロン)、抗リウマチ薬(金製剤、メトトレキサート)、インターフェロン、漢方薬(小柴胡湯)などでは1~2 週間、細胞傷害性薬剤である抗悪性腫瘍薬では数週間から数年で発症することが多いとされる。ただし、これに当てはまらない場合もあり、抗悪性腫瘍薬でも早期に発症する場合がある。癌分子標的治療薬であるゲフィチニブでは4週間(特に2週間)以内にみられる事が多いことが知られている。

(2)患者側のリスク因子
  • 抗悪性腫瘍薬を用いる際、患者の全身状態が悪い場合や、肺に線維化などの所見があり炎症の素地があると考えられる場合は、間質性肺炎発症のリスクが高く、重篤な病像を取りうるので、慎重な経過観察を要する。免疫反応の関与する間質性肺炎では、発症の予測は難しいことも多い。

(3)投薬上のリスク因子
  • 抗悪性腫瘍薬の投与量と肺毒性に関してはブレオマイシンやマイトマイシンC で報告がある1)。
    ブレオマイシン:個人差はあるが全投与量が450~500 mg/m2 を越えると毒性が急速に上がるとされる。腎排泄が80%以上なので腎機能評価も重要である。また、放射線照射の併用あるいは既往もリスクを上昇させる。高濃度酸素投与やG-CSF の併用もリスクであるとする報告がある。
    マイトマイシンC:ブレオマイシンほど確立してはいないが、
    間質性肺炎例の多くが全投与量10 mg/m2 以上との報告がある。シクロホスファミドやブスルファンの肺毒性は投与量に依存せず、少量の場合でも発症することがある。パクリタキセルなどのタキサン系抗腫瘍薬やAra-C 類似化合物のゲムシタビンなどによる間質性肺炎も良く知られているが、その投与量と発症の関係は不明である。
    抗不整脈薬のアミオダロン:肺毒性報告例は1 日量400 mg 以上の場合が多いとされる。

(4)患者もしくは家族等が早期に認識しうる症状
  • 治療中、患者が予想外の発熱、息切れ・呼吸困難、乾性咳(空咳)などを訴えた場合は、間質性肺炎の発症を考える。

(5)早期発見に必要な検査と実施時期
  • 医薬品の服用後、1~2 週程度で、患者が予想外の発熱、息切れ・呼吸困難、乾性咳などを訴えた場合は、ただちに、血液検査を行い、CRP、LDH、KL-6、SP-D 等のマーカーを検索すると同時に、胸部X線写真、胸部CT、動脈血ガス分析などを早急に進める。
  • 抗悪性腫瘍薬を投与する際および投与後の経過観察では、定期的に、血液検査、胸部X線写真を撮影し、息切れ、咳などの症状が出現した場合には、すぐに動脈血ガス分析、胸部CT を行う。
  • ことにHRCT(high-resolution CT)を含む胸部CTは病型や病変の広がりを判断する上で重要である。

2.副作用の概要
  • 薬剤性間質性肺炎は、1980 年以前にはブレオマイシンや金製剤による報告が多く、それ以後は抗菌薬、解熱消炎鎮痛薬、漢方薬、インターフェロン、各種抗悪性腫瘍薬、免疫抑制薬など多くの薬剤による報告がなされた。また、上皮成長因子受容体 (EGFR) チロシンキナーゼ阻害を機序とした分子標的薬ゲフィチニブなど新規抗悪性腫瘍薬による間質性肺炎が報告3)されている。薬剤性間質性肺炎は、直接的細胞傷害作用(医薬品自体、他の医薬品との相互作用、代謝の異常などによる医薬品の蓄積)や間接的細胞傷害作用(炎症やアレルギー)により発症すると考えられている。
(1)自覚症状
  • 咳(特に乾性咳、空咳)、息切れ、発熱などが見られる。
(2)身体所見
  1. 呼吸困難が高度の場合は、頻呼吸、補助呼吸筋の使用がみられる。
  2. 胸部でfine crackles(捻髪音)を聴取することがある。
(3)検査所見
  • 白血球数(特に好酸球)の増加、肝機能障害や低酸素血症などがみられる。
  • LDH、CRP、KL-6、SP-D などのびまん性肺疾患の診断に用いられる血清マーカーが有用である。
(4)画像検査所見
  • 胸部CT とくにHRCT が重要である。急性および慢性のびまん性肺疾患の病像を示し、下記の病理所見に相応して、浸潤影(EP、OP)、スリガラス影(DAD、DIP、 NSIP)、蜂巣肺(UIP)等、多彩な画像所見を呈する。
(5)病理検査所見
肺の病理所見は主に
  • 好酸球性肺炎(eosinophilic pneumonia:EP)、
    器質化肺炎(organizing pneumonia:OP)、
    びまん性肺胞傷害(diffuse alveolardamage:DAD)、
    通常型間質性肺炎(usual interstitial pneumonia:UIP)、
    剥離性間質性肺炎(desquamative interstitial pneumonia:DIP)、
    非特異性間質性肺炎( nonspecific interstitial pneumonia : NSIP )、
    肺胞出血(plumonary hemorrhage)、
    非心原性肺水腫(non-cardiogenic pulmonaryedema)、
    肉芽腫形成、(過敏性肺(臓)炎(hypersensitivity pneumonitis)
など多彩な所見が報告されている。

(6)発生機序・・・大きく2 種類に分けられる。
  1. 1つは、抗悪性腫瘍薬のような細胞傷害性薬剤によって肺の細胞自体が傷害を受けて生じるもので、使用してから発症まで慢性(数週間~数年)に経過するタイプである。
  2. もう一つは、医薬品に対する免疫反応が原因と考えられるもので、医薬品の使用後、急速(1~2 週間程度)に発症するとされる。ただし、抗悪性腫瘍薬でも後者の発症様式をとるもの、またゲフィチニブのように発生機序がよくわかっていないものもある。
(7)医薬品ごとの特徴
  • 抗菌薬による間質性肺炎では、pulmonary infiltrates with eosinophilia いわゆるPIE 症候群の形をとるのが典型とされる。非ステロイド性抗炎症薬では、非心原性肺水腫ないし過敏性肺炎の形をとるとされる。
(8)副作用発現頻度
  • 医薬品による間質性肺炎の頻度については不明である。
  • その理由として、所見が非特異的で他のびまん性肺疾患との鑑別が難しいこと、複数の医薬品投与例が多く、肺病変の原因医薬品の同定が難しいことが挙げられる。
  • 個々の医薬品については、ブレオマイシンで8~10%、マイトマイシンCで2~12%、シクロホスファミドで1%未満、メトトレキサートで7%、アミオダロンで5%などの報告)がある。









副作用の判別基準(判別方法)
診断は医薬品投与期間と臨床経過・画像所見・気管支肺胞洗浄(BAL)所見・病理所見を照らし併せて総合的に行う。
  • 起因医薬品の同定に関しては、薬剤リンパ球刺激試験(drug lymphocyte stimulation test:DLST)や白血球遊走阻止試験(leukocyte migration inhibition test:LMIT)などを用いるが、同定が困難であることも少なくない。
  • 医薬品の投与歴を詳細に検討し、服用中止による改善を確認することがもっとも確実な証拠となる。






判別が必要な疾患と判別方法

(1)判別が必要な疾患


① 原疾患の増悪
もともと存在する
  • 特発性間質性肺炎(IIPs)、
  • 慢性関節リウマチ、
  • 皮膚筋炎・多発筋炎、
  • 全身性エリテマトーデス、
  • 強皮症、
  • 混合性結合組織病、
  • シェーグレン症候群など膠原病および関連疾患、
  • 急性好酸球性肺炎、
  • 慢性好酸球性肺炎、
  • 肺胞蛋白症、
  • 肺ランゲルハンス細胞組織球症、さらに
  • 細気管支肺胞上皮癌、
  • 癌性リンパ管症
など腫瘍性肺疾患などの増悪と判別(鑑別)する必要がある。

② 感染症
  • ニューモシスチス肺炎、
  • 真菌症、
  • レジオネラ肺炎、
  • マイコプラズマ肺炎
  • などと鑑別する必要がある。

③ 心疾患
  • 心不全による肺水腫との鑑別が必要である。


(2)判別方法
  • 詳細な問診や身体所見のチェック(環境曝露や職業歴、膠原病を示唆する症状・身体所見の有無、服薬歴、感染症状)、
  • 喀痰培養(一般細菌、抗酸菌)、
  • 尿中抗原(レジオネラ)、
  • 胸部X線写真・胸部CT(HRCT)、
  • 呼吸機能検査、
  • 血液検査(血算、白血球分画、β-D-グルカン、サイトメガロアンチゲネミア、KL-6、SP-D、BNP 等)を行う。

  • 可能であれば気管支鏡検査にて
    1. 気管支肺胞洗浄(BAL)、
    2. 経気管支肺生検(TBLB)
    を行う。
  • 気管支肺胞洗浄液(BALF)の解析で、ニューモシスチス属、アスペルギルス属、カンジダ属、結核菌、非結核性抗酸菌などの感染症の鑑別や確定診断のための有用な情報が得られる。
  • TBLB では、悪性腫瘍、肺感染症、リンパ脈管筋腫症、肺胞蛋白症、サルコイドーシス、過敏性肺臓炎、器質化肺炎などの鑑別や確定診断につながる有用な情報が得られる。





治療方法
  • 治療としては、まず原因と推測される医薬品を中止することである。急速に増悪する場合や重症例では、パルス療法を含めたステロイド剤投与が行われる。


処方例:

① メチルプレドニゾロン 1 g/日3 日間(点滴静注)
② 以後プレドニゾロン 1 mg/kg 体重/日
症状が安定したら2割ずつ2~4 週ごとに漸減。

【症例1】80 歳代の男性
  • 7年前に高血圧を指摘され、降圧薬を内服中である。喫煙歴は15 本/日× 67年間。2001年5月頃より体重減少がみられ、9 月に胸部X線写真で左中肺野に異常陰影を指摘され、検査・加療目的で9 月に入院した。超音波下経皮的生検で肺扁平上皮癌と診断。
  • 病期分類ではcT2N1M0、stage IIB で、heavysmoker、間質性肺炎、陳旧性肺結核、腎機能低下(24hrCcr. 38)であり、治療として放射線療法を選択した。胸部照射60Gy を施行し治療効果はpartialresponse(PR)であり、退院となった。
    外来通院中に腫瘍が再増大し、2002年8 月よりゲフィチニブの服用を開始した。しかし下痢による消化器症状が強く服用18日目にはゲフィチニブの服用を中止していた。服用中止2日目に朝方のトイレ歩行後に呼吸困難を自覚し、服用中止3日目には呼吸困難が増悪し意識障害もみられ、救急車で来院し入院となった。
    入院時の検査所見は、WBC 10,800 /μL(neut 87%、 eos 1%、 lymph 10%、mono 2%)、RBC 264X104 /μL、Hb 7.6 g/dL、PLT 246X103/μL、TP 4.7 g/dL、Alb 2.7 g/dL、AST 246 IU/L、ALT 245 IU/L、LDH 1408 IU/L、BUN 47 mg/dl、Cr 1.4 mg/dL、CRP 17.2 mg/dL、動脈血液ガス分析は酸素3L の吸入下でpH7.319、Pao2 74.0 Torr、Paco2 50.0 Torr、HCO3- 25.0 mmol/L、Sao2 91.5%であり、低酸素血症を伴う多臓器障害が考えられた。
  • また肺障害のパラメーターである血清KL-6 は、770 U/mL から1,488 U/mL へと、SP-D は362 ng/mLから705 ng/mL(いずれも7 月上旬、服用中止3 日目の採血結果)へとゲフィチニブの投与後に急激な上昇を示した。
  • ゲフィチニブ投与前後の胸部X線写真とCT 画像を図1 と図2 に示したが、投与前は正常と考えられた肺野を含めて、投与後には両側の全肺野にびまん性のスリガラス陰影が拡がっていた。ステロイドパルス療法を施行するも、呼吸不全が進行し入院3日目に死亡した。
  • 剖検により得られた肺の病理組織では、右上葉肺にはびまん性肺胞障害(DAD)の浸出期(図3A)、左上葉肺にはDAD の増殖期(図3B)が主にみられた。また両側下葉には蜂巣肺病変が散在していた。
  • 当症例は、肺線維症が既存にあり、ゲフィチニブによる肺障害を来したものである。病理的にはDAD が局所的にかつ経時的に発症したものと判断される。ゲフィチニブによる肺障害は、重篤な例はDAD が本態であるが、当症例のように臨床像はかならずしも典型的な急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を示さず、画像的にも間質性肺炎的なものがみられることも多い。

【症例2】50 歳代の男性
  • 2005 年4 月慢性C型肝炎治療のため近医を受診した。肝機能障害は軽度で、ウイルスは遺伝子型Ⅰ型で低ウイルス量であったため、ペグインターフェロンアルファ-2a 180 μg 週1回皮下注、48 週の予定で治療を開始された。2005年7 月にはHCV 量も正常化した。2006 年1月頃から咳嗽と労作時の呼吸困難が出現した。
    2 月6 日近医にて胸部X線および胸部CT の撮影を施行され、異常影がありインターフェロンによる間質性肺炎を疑われて同剤を中止され、2 月20 日受診した。
  • 喫煙 40 本/日、20 歳から発症3 ヶ月前まで。身長166cm、体重 61 kg、体温36.0℃。両側肺底部にfine crackles を聴取した。検査所見では、WBC 7,200/μL (neut61.7%, eos 1.5%, lymph 21.7%, mono 14.4%)、RBC 397×104/μL、Hb 12.7g/dL、Plt 26×104/μL、TP 7.8 g/dL、AST 38 IU/L、ALT 25 IU/L、LDH 332 IU/L、BUN 13 mg/dL、Cr 0.80 mg/dL、CRP <0.10 mg/dL、KL-6 1,550 U/mL。動脈血ガス(室内気吸入下)Pao2 65.4 Torr、Paco2 38.6 Torr、pH 7.41。呼吸機能検査 VC 2.24 L、%VC 64%、FEV1 1.92 L、FEV1% 86%、%FEV1 69%、DLco8.10 mL/min/Torr、%DLco 43%。気管支肺胞洗浄 総細胞数45×105/mL、マクロファージ 64.7%、リンパ球30.6%、好中球 0.3%、CD4/CD8 比 1.60。
    受診時の胸部X線写真(図4A)では、肺野の容積は減少し、両側下肺野・胸膜直下優位に網状もしくは線状の間質性陰影を認めた。胸部CT 像(図5)では胸膜直下に優位の網状影を認めたが、明らかな蜂巣肺や牽引性気管支拡張所見は認めなかった。
  • 臨床経過と検査所見からインターフェロンによる間質性肺炎と診断して医薬品の中止のみで経過を見た。次第に咳嗽は収まり、それに伴って陰影も次第に消失し、労作時の呼吸困難も軽快した。図4B はインターフェロン中止後4 ヶ月の胸部X線写真で、肺容積の減少を残すものの、胸膜直下優位に見られた間質性陰影はほぼ消失した。また早い時期に聴診所見も軽快した。

【症例3】70 歳代男性5)
  • 使用薬剤:小柴胡湯
    使用量・期間:7.5 g/日、27 日間概要:
  • 肝硬変の患者(小柴胡湯の服薬歴あり)に小柴胡湯の投与開始。投与22 日後に咽頭痛、23 日後には発熱(37~38℃)を認め、食欲低下を来す。投与26 日後自力歩行にて来院。咽頭痛、発熱の改善がみられないため、小柴胡湯の投与を中止した。ただし咳嗽、喀痰、呼吸困難は認めなかった。投与27 日後早朝5時頃より、自宅にて強い呼吸困難があらわれた。来院途中、タクシー内で意識消失し、呼吸停止した。救急車にて最寄りの病院へ搬送され、一時蘇生するも,同日夕刻死亡した。

【症例4】70 歳代男性
  • 1991 年から洞不全症候群、心房細動のため加療開始した。
    心不全や発作性心房細動のため入退院を繰り返していた。2003 年3月より難治性の発作性心房細動に対してアミオダロン1 日200 mg の内服を開始し、不整脈が減少していた。2004 年3月頃より乾性咳漱が出現し、鎮咳薬の内服を開始されたが、咳漱は持続し、同年9月にはKL-6 が982 IU/L と上昇したため、内服を中止した。アミオダロンの総量は110 g であった。11月頃より、労作時息切れも出現し、12月下旬にはさらに増悪したため入院した。
    既往歴として40 歳十二指腸潰瘍、61 歳洞不全症候群、64 歳ペースメーカー植え込み術を受けた。入院時アミオダロン以外の内服薬は塩酸ベプリジル、シンバスタチン、ワルファリンカリウム、アロプリノール、アルプラゾラム、テプレノン、スクラルファートであった。
  • 喫煙歴は30~60 歳まで1 日20 本×30 年であった。
    入院時現症では、身長169 cm、体重66 kg、体温37.1 度、脈拍80/分・整、呼吸数25/分・整、血圧136/86 mmHg、Spo2 93%(room air)、意識清明、貧血黄疸なし。
  • 頭頸部:異常所見なし。胸部;心音異常なし。
  • 呼吸音:両側下肺野に捻髪音聴取。
  • 腹部:平坦、軟、圧痛なし。
  • 頸静脈怒張・下腿浮腫なし。神経学的異常なし。
    入院時検査所見では、血液検査; WBC 8600/μL(neut 75.7%、eos 0.7%、baso 0.3%、mono 8.3%、lymph 15.0%)、RBC 424×104/μL、Hb 13.9 g/dL、PLT 24×104/μL、AST 39 IU/L、ALT 27 IU/L、LDH 337 IU/L、CRP 11.4 g/dL、CK 96 IU/L、PT INR 3.39、APTT 86.4 sec、KL-6 1710 IU/L、β-D-グルカン 2.7pg/mL。アミオダロンに対するDLST は施行していない。動脈血液ガス分析(室内気吸入下) PH 7.442、Paco2 37.5 Torr、Pao2 63.6 Torr、HCO3- 25.3mmol/L、BE 1.1 mmol/L、AaDo2 38.7 Torr、Sao2 93%。
    入院時胸部X線写真(図6)ではCTR56%、両中下肺野のスリガラス状陰影、両側心横隔膜角鈍化、入院10 ヶ月前のレントゲンに比し横隔膜挙上・両肺の収縮傾向を認める。入院時胸部CT所見(図7)では両下肺野背側に蜂巣状変化とその周囲に濃度上昇あり、両肺野気腫性変化著明。
    入院時画像所見と血液検査、臨床症状より、肺炎、心不全の診断で治療を開始した。
  • 市中肺炎および異型肺炎を念頭に抗菌薬(トシル酸スルタミシリンの点滴投与、クラリスロマイシン内服の2剤併用)と心不全に対して利尿剤(フロセミド静脈注射)による治療を行った。
  • その後、炎症反応は低下するも自覚症状や画像上スリガラス陰影改善せず、高濃度酸素吸入が必要になった。入院前病歴、画像所見、KL-6(1710 IU/L)の上昇から、アミオダロンによる薬剤性間質性肺炎を疑い、ステロイドパルス療法を開始した。メチルプレドニゾロン1000 mg/日×3 日間、その後同薬500 mg/日×3 日間、以降同薬80 mg/日の点滴投与を行った。治療開始後10 日程で画像上改善が見られ始め、動脈血液ガスも改善を認めた。気腫性病変と両下肺野の蜂巣肺様の所見を認めたが、スリガラス陰影は消退傾向であった (図8)。点滴投与のステロイドを漸減し、プレドニゾロンの内服に変更した。離床開始後、労作時の息切れ(H-J2度程度)を認め、慢性心不全の存在も考慮し在宅酸素療法を導入(安静時酸素0.5 L/min、労作時1.0 L/min)した。2005 年3 月中旬にはプレドニゾロン20 mg/日まで漸減し退院した。2006 年3 月現在外来においてプレドニゾロン2 mg/日で経過観察中であるが、再燃は認めていない。












    
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