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血管浮腫

チェック
クインケ浮腫」「浮腫」「薬剤アレルギー喉頭浮腫


血管浮腫angioedema
  • =「血管性浮腫」(血管神経性浮腫)クインケ浮腫
  • 眼瞼、口唇、舌、喉頭、四肢末端などが腫れ上がる状態をいう。
    即時型アレルギーによる。

  • 深部皮膚・皮下・粘膜下組織に中じる血管反応で、毛細血管の拡張及び透過性亢進によって起こる局所的な浮腫のこと。

    血管性浮腫はじんま疹より広範に現れる皮下組織の腫れ。
血管浮腫の特徴
  • その特徴は大きな膨診です
血管浮腫の種類
  1. 遺伝性血管浮腫 (hereditary angioedema)
  2. 振動性血管浮腫 (vibratory angioedema)

症状
  • 眼瞼、口唇、舌、喉頭、四肢などの腫脹。
  • アナフィラキシーショックを示すこともある。




原因となる主な薬剤
  • 解熱鎮痛消炎剤(アセトアミノフェン、インドメタシン、ジフルニサルなど)、
    抗生物質(セフェム系、セファロスポリン系)、
    血圧降下剤(ACE 阻害剤、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤など)、
    総合感冒剤(PL 顆粒など)、
    血液製剤、
    生物学的製剤(ワクチン類など)、
    副腎皮質ホルモン剤など



(副作用で血管浮腫を引き起こす医薬品)
健康情報
(50音順)

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副作用
病院
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盗聴






血管浮腫 ジンマシン アナフィラキシー
無痛で、深層の皮下の腫脹があり、眼窩・口の周辺、顔面に現れる。 大きく不そろいで、かゆみを伴う。
紅斑性の膨疹。
呼吸困難、内臓の浮腫、低血圧とともに皮膚症状を伴う全身性の反応。
アレルギーとして出現する。
診断は・・・「特異的IgEの検出」「血清トリプターゼの上昇」で確認。




血管性浮腫(血管神経性浮腫)  (平成20年厚生労働省
英語名:Angioedema
同義語:
・血管神経性浮腫(angioneurotic edema)、
クインケ浮腫(Quincke’sedema)
血管性浮腫とは、
急に皮膚、のど、舌などがはれる病態であり、医薬品によって引き起こされることがあります。
原因になりやすい医薬品は、解熱消炎鎮痛薬、ペニシリン、降圧薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬など)、線溶系酵素、経口避妊薬などです。
もしも、何かのお薬を服用していて、次のような症状がみられた場合には、緊急に医師・薬剤師に連絡して、すみやかに受診してください。
  • 急に、くちびる、まぶた、舌、口の中、顔、首が大きくはれる」、
    のどのつまり」、
    息苦しい」、
    話しづらい
※息苦しい場合は、救急車を利用して直ちに受診してください。
1.血管性浮腫とは?
  • 血管性浮腫は、急に、皮膚がはれる病態です
  • 血管がはれるわけではなく、皮膚のどこにでもあらわれ、多くの場合、まぶたやくちびる、ほおに多くみられます。
    血管性浮腫は、突然はれがあらわれて跡形なく消える点は、じんま疹と似ています。しかし、じんま疹は赤みやかゆみが強く数時間以内に急速に消えてしまいますが、血管性浮腫は通常、赤みやかゆみはなく、はれがひくまでに通常1~3 日ぐらいかかかります。また、血管性浮腫は、しばしば、じんま疹と同時にみられることがあります。
    皮膚以外にも、口の中、舌、のど、消化管などもおかされることがあり、特に、のどがはれると、息がしづらくなり、窒息するおそれがあるので危険です。
  • 血管性浮腫の原因は、「遺伝性」とそれ以外の原因で発症する「後天性」の2つに大きく分けられます。
    薬剤性では、アスピリンなどの解熱消炎鎮痛薬(非ステロイド性抗炎症薬:NSAIDs)、降圧薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬など)、ペニシリン、経口避妊薬、線溶系酵素などが原因医薬品として知られています。
    ※ アスピリンなどの解熱消炎鎮痛薬(非ステロイド性抗炎症薬:NSAIDs)による血管性浮腫は、「非ステロイド性抗炎症薬によるじんま疹/血管性浮腫」のマニュアルも参照ください。
2.早期発見と早期対応のポイント
  • 「急に、くちびる、まぶた、舌、口の中、顔、首が大きくはれる」、
    「のどのつまり」、
    「息苦しい」、
    「話しづらい」
  • などの症状がみられる場合であって、医薬品を服用している場合には、緊急に医師・薬剤師に連絡して、すみやかに受診してください。
  • 特に、「息苦しい」場合には、急激に呼吸困難におちいる恐れがありますので、救急車を利用して直ちに受診してください。
    なお、受診する際には服用した医薬品をお持ちください。そして、受診したときに、服用した医薬品の種類、息苦しさがあるか、などを伝えてください。特に、降血圧薬の一種であるアンジオテンシン変換酵素阻害薬による血管性浮腫では、急激にの・ど・ が腫れて呼吸困難に陥った例が報告されていますので、この種類の医薬品を服用している人は注意が必要です。
    また、遺伝的に血管性浮腫をおこしやすい人(遺伝性血管性浮腫)では、症状が重くなりやすいため、過去に同じ症状を経験したことがある場合や、家族のなかに同じ症状を経験した人がいる場合にはそのことも伝えてください。



(参考)解熱消炎鎮痛薬によるじんま疹/血管性浮腫
1.解熱消炎鎮痛薬によるじんま疹/血管性浮腫とは?
  1. 解熱消炎鎮痛薬を使用後、数分から半日して、地図状に盛り上がったかゆみをともなうじんま疹、もしくはくちびるやまぶた、顔面がはれてしまう(血管性浮腫という)副作用があった場合、解熱消炎鎮痛薬によるじんま疹/血管性浮腫の可能性があります。
  2. じんま疹/血管性浮腫の原因はさまざまですが、医薬品が原因となる場合があり、なかでも解熱消炎鎮痛薬によるものが多いことが知られています。
  3. 慢性じんま疹の患者さんの20~35%は、解熱消炎鎮痛薬で悪化するとされていますが、普段まったく症状がなくて、解熱消炎鎮痛薬を使用した時だけ、じんま疹/血管性浮腫が出る場合もあります。
  4. 一般には、効き目の強い解熱消炎鎮痛薬ほど、このような副作用がおきやすいことが知られています。じんま疹だけでなく、のどが狭くなったり、息苦しさ、せき、腹痛、アナフィラキシー症状(血圧低下など)なども現れることがあります。
2.早期発見と早期診断のポイント
解熱消炎鎮痛薬を使用してから、数分から半日以内に、じんま疹、もしくはまぶた、くちびる、顔、口内のはれ(血管性浮腫)がおきた場合は、この副作用の可能性が十分あります。
  • 「急に、くちびる、まぶた、舌、口の中、顔、首が大きくはれる」、
  • 「のどのつまり」、
  • 「息苦しい」、
  • 「話しづらい」
  • など症状がみられる場合であって、医薬品を服用している場合には、緊急に医師・薬剤師に連絡して、すみやかに受診してください。
  • 重い副作用の方ほど、原因医薬品の使用から副作用がでるまでの時間は短いことがわかっています。
    じんま疹は通常、24~48 時間以内で消えることが多いのですが、血管性浮腫は、翌日にさらに悪化し、数日持続する場合がよくあります。
  • 皮膚の副作用以外に、咳、息苦しさ、腹痛、吐き気、のどの狭くなる感じがおきる場合があり、このような場合は、重い副作用(ショックなどのアナフィラキシー)につながりやすく、緊急に医療施設を受診してください。
  • その際は、使用した医薬品と服用時間を医療関係者に必ず伝えてください。
    以前、解熱消炎鎮痛薬でじんま疹/血管性浮腫の経験がある方は、十分注意する必要があります。また、以前に湿布薬(解熱消炎鎮痛薬を通常含んでいます)で、かぶれたことのある患者さんは、同じ種類の解熱消炎鎮痛薬の飲み薬や坐薬でも副作用が出る可能性があります。
  • 薬剤性のアナフィラキシー反応とは
    • 医薬品(治療用アレルゲンなども含む)などに対する急性の過敏反応により、医薬品投与後通常5~30 分以内で、じん麻疹などの皮膚症状、消化器症状、呼吸困難などの呼吸器症状が、同時または急激に複数臓器に現れることをいう。
    • さらに、血圧低下が急激に起こり意識障害等を呈することをアナフィラキシー・ショックと呼び、この状態は生命の維持上危険な状態である。
      アレルギー領域のマニュアルは、「アナフィラキシー」、「NSAIDs による蕁麻疹」、「喉頭浮腫」、「血管性浮腫」を取り上げ、個々の病態に関するマニュアルで構成されているが、同時に各々が相補的に機能するように構成されていることを理解して活用することが望ましい。


1.早期発見と早期対応のポイント

(1)早期に認められる症状
  • 発作的な皮膚の限局的腫脹(とくに口唇や眼瞼、顔、首、舌に多い)、
  • 口腔粘膜の違和感や腫脹、
  • 咽頭や喉頭の閉塞感、
  • 息苦しさ、
  • 嗄声、
  • 構音障害、
  • 嘔気、嘔吐、
  • 腹痛、下痢など。
(2)副作用の好発時期
副作用の好発時期は医薬品によって異なる。
アンジオテンシン変換酵素(angiotensin-converting enzyme: ACE)阻害薬による場合、投与開始後1 週間以内に発症することが多い)。ただし、症例によって幅があり、最短では服用1 時間後、最長では6 年以上のこともある2,3)。線溶系酵素では、静脈注射開始後1 時間以内に発症した例が報告されている)。

(3)患者側のリスク因子
血管性浮腫の既往は、リスク因子になる。
特に、遺伝性血管性浮腫または後天性によるC1 インヒビター(C1INH)欠損症の患者では、ACE 阻害薬とエストロゲンの服用によって発作が誘発されることがある。また、ACE 阻害薬では、原因が判明しない特発性血管性浮腫の既往もリスク因子となる可能がある。

(4)推定原因医薬品
アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、降圧薬(ACE 阻害薬、アンジオテンシンII 受容体拮抗薬)、ペニシリン、経口避妊薬(ピル、エストロゲン)、線溶系酵素などがある。特に、降血圧薬であるACE 阻害薬による血管性浮腫では、喉頭浮腫による死亡例が報告されているため、本薬剤による血管性浮腫の特徴を理解することが重要である。

(5) 医療関係者の対応のポイント
  • ① 血管性浮腫は、発作性に生じる、皮膚の限局性浮腫である。
    1. 口唇、眼瞼、頬部に好発する。
    2. 紅斑や瘙痒は通常伴わない。
    3. 時に、皮膚や皮下組織が伸展されたために痛みを感じることがある。
    ② 初期症状に気づいた場合には,患者に疑われる医薬品の服用を直ちに中止させ,すみやかに病院に受診するように指示する。
    ③ 口周囲や口腔粘膜、咽頭、喉頭の腫脹が疑われる症状がみられる場合には、喉頭浮腫などの気道閉塞に進展する恐れがあるので、直ちに病院に受診するように指示する。
    • 特に、ACE 阻害薬による血管性浮腫は,顔面や頸部に好発し,気道狭窄を引き起こしやすいため危険である。
    もし、主治医と連絡がとれない場合、ないし主治医が遠方の場合には、救急車等を利用して、挿管や気管切開術などの救命救急が可能な医療機関を直ちに受診するよう指導する必要がある。
    ④ 血管性浮腫では、じんま疹を伴うことが多いが、遺伝性血管性浮腫と一部の医薬品による血管性浮腫ではじんま疹を伴わないことが特徴になる。
    • 「じんま疹を伴わない血管性浮腫」の原因医薬品は、
      • アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、
      • 降血圧薬(ACE 阻害薬、アンジオテンシンII 受容体拮抗薬)、
      • 経口避妊薬(ピル、エストロゲン)、
      • 線溶系酵素などである

    ⑤ 遺伝性血管性浮腫ないし後天性C1INH 欠損・低下症が潜在していないかを確認する。
  • C1INH の異常がある場合には、血管性浮腫の症状が重篤になる危険性が高くなるため注意する。
  • また、治療においても原因薬剤の中止のほかに、C1INH の補充療法を検討する必要がある。
[早期発見に必要な検査と実施時期]
  • ①血液検査(C1INH 活性(と定量)、C3、C4、C1q、CH50)遺伝性血管性浮腫や後天性C1INH 欠損ないし低下症やその他の基礎疾患の有無を確認するために、可及的すみやかに実施する。
    ② 喉頭浮腫などによる気道狭窄が疑われた場合には、直ちにCT やMRI などの画像検査にて詳細を確認する。ただし、喉頭ファイバーは粘膜を刺激し腫脹を悪化させる危険性があるため注意が必要である




副作用の概要
  • 血管性浮腫は、発作性に、皮膚や粘膜の限局した範囲に出現する深部浮腫で、通常、1~3 日後に跡形なく消退する。
  • 被覆表皮は皮膚色~淡紅色を呈し指圧痕を残さない。
  • 顔面や頸部、特に眼瞼や口唇に好発する。
  • 痒みはないことが多く、時に皮膚や皮下組織が進展されたための痛みを感じる。
  • 皮疹部に組織障害はなく、突然出現しては一定時間後には跡形なく消退する経過はじんま疹と同様であるが、痒みがないこと、皮疹の持続時間が1~3 日と長いこと、顔面や口唇に好発すること、組織学的にはじんま疹で浮腫がみられる真皮上層より深い、真皮深層から皮下組織、粘膜下組織に浮腫が出現することなどが異なる。
  • また、皮膚以外に、口腔粘膜、咽頭・喉頭、気道、消化管にも症状が出現することがある。
  • 特に、口腔粘膜や舌、咽頭や喉頭、舌に発症した場合は、浮腫が広がり喉頭浮腫を来し、ときに気道狭窄および閉塞を招来し得るため極めて危険である。
  • 口唇や舌、口腔粘膜の違和感や咽頭や喉頭の閉塞感、呼吸苦、嗄声、構音障害などの初期症状に注意する。腸管粘膜に出現した場合、食欲不振、嘔気、嘔吐、腹痛、下痢が出現し、ときに急性腹症として扱われ外科処置を要することもある。
我が国における血管性浮腫の発症頻度は不明である。血管性浮腫の分類として、遺伝性とそれ以外の後天性に大別される6)(表1)。遺伝性血管性浮腫は、C1INH 欠損ないし活性の低下による常染色体性優性遺伝性の疾患である7)。後天性にもC1INH の量的減少ないし活性低下を示すことがあり、リンパ増殖性疾患に伴う場合(AAE-I)と、C1INH に対する自己抗体を有するAAE-II に分類される。そのほかにも表1のような種々の原因があり、原因によって治療法は異なる。特に遺伝性血管性浮腫やACE 阻害薬による血管性浮腫では、気道閉塞による致死的症状を伴う頻度が高いので、原因の鑑別を迅速に行うことが肝要である。機序としてはじんま疹を伴う血管性浮腫ではIgE が関与する場合があるが、じんま疹を伴わない遺伝性血管性浮腫あるいは後天性C1INH 欠損症、ACE 阻害薬による血管性浮腫では補体系にかかわる機序が推察されている。
(1)自覚的症状
通常、皮疹は痒みなどの自覚症状に乏しい。
  • ・口唇や舌、口腔粘膜の違和感
    ・咽頭や喉頭の閉塞感、呼吸苦
    ・嘔気、腹痛 など
(2)他覚的症状(所見)
  • ・ 皮膚症状:境界不明瞭な浮腫性腫脹をみとめ、被覆表皮は皮膚色~淡紅色を呈し指圧痕を残さない(図1)。
    • 図1 下口唇に、紅斑を伴わない境界不明瞭な浮腫性腫脹

    ・ 口腔内、咽頭・喉頭症状:
    • 口腔や咽頭、喉頭の浮腫・腫脹、嗄声、構音障害、喉頭浮腫を来し、ときに気道狭窄および閉塞にいたる。

    ・消化管症状:嘔吐、下痢など。
(3)臨床検査値
  • C1 インヒビター活性、C3、C4、C1q、CH50 は、薬剤性以外の血管性浮腫の鑑別に役立つ。白血球(分画)の増多、CRP の上昇をみとめることがある。
(4)画像検査所見
  • 気道狭窄や閉塞の原因、およびその範囲や程度を把握するために、喉頭ファイバー、CT、MRI により確認する。ただし、喉頭ファイバーは粘膜を刺激し腫脹を悪化させる危険性があるため注意する。
(詳細は「喉頭浮腫」のマニュアルを参照。)

(5)病理検査所見
皮膚の病理所見は、真皮下層、皮下組織、粘膜下組織の浮腫である。

(6)発生機序
薬剤性血管性浮腫について疑われている機序は医薬品によって異なる。
  • ・ペニシリン:
    • IgE を介するI 型アレルギーによることが多い。
    ・アスピリン:
    • 薬理学的機序によって、アラキドン酸代謝産物であるシステイニルロイコトリエンの産生が亢進し、血管拡張および浮腫が生じるためと考えられている。
    ACE 阻害薬
    • 通常、ACE によって分解されるブラジキニンが、ACE 阻害薬によってACE が阻害されるため、ブラジキニンが分解されず、その作用が遷延ないし増強し、結果的に血管性透過性の亢進をもたらし血管性浮腫が発症する。
    ・線溶系薬剤:
    • ブラジキニン産生亢進による。
    ・エストロゲン:不明。
(7)薬剤ごとの特徴
・ペニシリン:
  • ペニシリンはIgE を介した機序で血管性浮腫をきたす代表的な医薬品である。
    投薬後数分から数時間と速やかに発症する。
・NSAIDs(アスピリン等):
  • 使用後、数分から数時間を経て、頸部、顔面、四肢などにじんま疹が出現する。
    血管性浮腫は、口唇と眼瞼に生じやすく、じんま疹よりも通常遅れて出現し、数日持続する。広範囲な皮疹、ならびに気道症状や消化器症状は、重篤な症状の始まりであることが多く、早急な処置が必要である。(「非ステロイド性抗炎症薬によるじんま疹/血管性浮腫」のマニュアルを参照。)
ACE 阻害薬
  • じんま疹を伴わない。頭頸部、特に口唇、舌、口腔、咽喉頭に生じることが多い。
    初発症状として口唇、口腔内の違和感や腫脹として出現することがある。咽頭や喉頭に腫脹が出現することが他の薬剤性血管性浮腫よりも多く、気道閉塞のため挿管や気道切開を必要とした症例や死亡例も報告されている。
    内服を継続しているにもかかわらず間歇的に出没することがある。通常、発症は投与開始後約1週間以内に発症するが(約60%)、なかには内服6年後に発症した例も報告されている。
    発生頻度はアンジオテンシン変換酵素阻害薬内服患者の0.1~0.5%である。
    発症機序として、アンジオテンシン変換酵素阻害薬はキニン分解酵素であるキニナーゼを阻害するため、血中ブラジキニンが上昇する。
    ブラジキニンは血管拡張や血管透過性の亢進を引き起こし、血管性浮腫が発症すると考えられている。
    治療は、副腎皮質ホルモン、抗ヒスタミン薬、エピネフリン、C1 エステラーゼインヒビター(C1INH)などがある。しかし、これらの治療で回復までの時間を短縮するかは一定の見解が得られていない。また、副腎皮質ホルモンやエピネフリンが無効であった症例に対し、遺伝性血管性浮腫の治療法として知られる新鮮凍結血漿が有効であったとの報告がある
    ただし、治療の有無にかかわらずACE 阻害薬の中止後、通常72 時間以内に症状は消退する。
・線溶系酵素:
  • ストレプトキナーゼ、組み換え組織プラスミノーゲンアクチベーター、アルテプラーゼなどの線溶系に作用する注射剤は、心筋梗塞や深部静脈血栓症などの治療に用いられる。
    アルテプラーゼは静脈注射開始後30~45 分で、舌や口唇に発症したとの報告がある。
・エストロゲン:
  • C1INH 欠損症の女性が、妊娠や、経口避妊薬の内服、更年期のエストロゲン補充療法などにより血管性浮腫が誘発される。また、女性のみに発症するエストロゲン依存性の血管性浮腫の家族例の報告がある。
(8)副作用発現頻度(副作用報告数)
ACE 阻害薬:内服患者の0.1~0.5%10)。そのほかの医薬品については不明。



血管性浮腫の分類  (厚生労働省
遺伝性 遺伝性血管性浮腫(HAE*1) I 型 (C1INH 欠損症)
II 型(C1INH の機能異常)
III 型
カルボキシペプチダーゼN 欠損症
振動性血管性浮腫
後天性 後天性C1INH*2欠損症 AAE-I*3(抗イデイオタイプ抗体)
AAE-II(抗C1INH 抗体)
薬剤誘発性 (ACE*4阻害薬、
ペニシリン、アスピリンなどのNSAIDs
壊死性血管炎
血清病および血清病様症候群
Episodic (non-episodic) angioedema with eosinophilia
IgE 依存性
自己免疫性(FcεRI またはIgE に対する自己抗体)
物理的刺激
特発性
*1HAE: hereditary angioedema
*2C1INH:C1 inhibitor
*3AAE: aquired angioedema
*4ACE: angiotensin-converting enzyme



副作用の判別基準(判別方法)
  1. 概念
    • 突然発症する真皮上層または皮下組織、粘膜下組織での、限局性の浮腫性腫脹を特徴とする。
    • 血管性浮腫は、組織障害がない、一過性の腫脹であることからじんま疹の特殊型として位置づけられているが、じんま疹では真皮上層に浮腫が出現するのに対して血管性浮腫では皮膚や粘膜の深部に病変の主座がある。
  2. 皮膚所見
    • 限局性の、境界不明瞭な表皮下浮腫であり、被覆表皮は皮膚色~淡紅色を呈し、指圧痕を残さず、痒みや痛みなどの自覚症状に乏しい。
  3. 皮膚以外の所見
    1. 口腔粘膜・咽頭・喉頭症状:
      • 口腔や咽頭、喉頭の浮腫・腫脹、嗄声、構音障害。
      • 初期には、口唇や舌、口腔粘膜の違和感、咽頭や喉頭の閉塞感、呼吸苦として自覚する。
    2. 消化管症状:
      • 嘔気、腹痛、嘔吐、下痢など。




判別が必要な疾患と判別方法
  • 血管性浮腫は、臨床症状から比較的容易に診断できる。血管性浮腫は医薬品以外の原因によっても起こることがあるため、血管性浮腫と診断したのちに、補体系の異常を検索して血管性浮腫の原因を鑑別する必要がある
   血管性浮腫nの診断↓
  • 血管浮腫の診断
(1)血管性浮腫の原因の鑑別
  • ①遺伝性血管性浮腫(hereditary angioedema:HAE)
    • 臨床的にはじんま疹を伴わないことが特徴である7)。また、HAE は後天性血管性浮腫に比べ、気道や消化管の症状を伴うことが多く、特に喉頭浮腫による気道閉塞に注意が必要である。常染色体優性遺伝性であるので、過去に同症を経験したことがないか、家族歴について確認する。発症時期は多くは幼児期に発症し、思春期に顕著に増悪する。
    • 50 歳を過ぎると発作の頻度や重症度が改善することが多い。
    • 発作の誘因は、小さな外傷や、抜歯などの外科的処置、極端な暑さや寒さ、激しい運動、感染との関連などが指摘されている。
    • また、女性では、月経期間中や、経口避妊薬の内服中に発症頻度が増加することがある。
      HAE では、約80~85%はC1INH の量的欠損ないし減少を示すI 型、約15%はC1INH の活性低下を示すII 型である15)。C1INH の量的減少や活性低下をみとめないIII 型は女性のみに発症し、伴性遺伝を示す。発作時の治療として、重症の場合にはC1INH の補充療法(乾燥濃縮人C1-インアクチベーター:ベリナートP○R )を要する
  • ②後天性C1INH 欠損症
    • 50~60 歳代に多い。症状は遺伝性血管性浮腫とよく似ており、じんま疹を伴わない。骨髄腫やWaldenstrom マクログロブリン血症、B 細胞リンパ腫あるいは慢性リンパ性白血病などの基礎疾患がみられることが多い。それらの基礎疾患が顕在化する数年前から血管性浮腫の発作があらわれることもある。機序は、
      • ①抗イデイオタイプ抗体産生、ないし
      • ②抗C1INH 抗体産生によってC1INH の消費が増加する場合と、
      • ③性機能低下症の男性例にみられる場合がある。
      原疾患の治療により本症は改善する。また、発作予防として抗C1INH 抗体産生による場合はコルチコステロイド、性機能低下症の男性例ではアンドロゲンが有効といわれている
  • ③アレルギー性
    • 食物や薬物、ラテックスなどの抗原に曝露された後、速やかに発症する。
      通常、原因物質の曝露直後から約2 時間までに発症し、じんま疹を伴うことが多い。
  • ④壊死性血管炎
    • じんま疹様血管炎の約20%に、血管性浮腫がみられる18)。じんま疹様の病変の組織学的所見として、皮膚の壊死性血管炎がみられる。皮膚症状として、血管性浮腫ないしじんま疹のほかに、紅斑、網状皮斑、水疱、紫斑などの症状が反復する。また、関節炎、慢性閉塞性肺疾患、頭蓋内圧亢進、腎疾患などを伴うことがある。検査所見として症例の約半数に血清補体値の低下がみられる。
  • ⑤血清病および血清病様症候群
    • 本疾患は、血液、血清、免疫グロブリンの投与に引き続いて起こる、関節痛、重度のじんま疹ないし血管性浮腫、触知可能な紫斑、リンパ節腫脹、および低補体血症を特徴とする。免疫複合体の形成、血管内の補体活性化を経て壊死性血管炎が生じる。
    • 特にIgA に対するIgG 自己抗体をもつ患者に血液製剤を投与した場合に生じやすく、この自己抗体は、IgA 欠損症患者の約40%に、複数回の輸血をうけた患者の約20%にみられる
  • ⑥Angioedema with eosinophilia
    • 繰り返す血管性浮腫やじんま疹と、著明な末梢血の好酸球増多を特徴とする。
  • ⑦物理的刺激による血管性浮腫
    • 特定の物理的な刺激に反応して生じる血管性浮腫では、じんま疹を伴うことが多い。
      • 温熱(コリン性じんま疹)、
      • 寒冷(寒冷じんま疹)、
      • 紫外線(日光じんま疹)、
      • 振動(振動性血管性浮腫)、
      • 運動
      などが報告されている
(2)血管性浮腫以外で、鑑別が必要な疾患
  • ①蜂窩織炎または丹毒:局所に疼痛や熱感を伴う。
    ②膿皮症に伴うリンパ浮腫
    ③手術、うっ血性心不全、上大静脈うっ滞などによる反復する腫脹
    ④Melkersson-Rosenthal 症候群:口唇の浮腫が生じるが、さらに顔面麻痺や皺状舌などの症状を伴う。
    ⑤がま腫:舌下唾液腺の貯留嚢胞で口腔底に好発する。自然消退することは稀である。


治療方法
  • まず、原因と疑われた医薬品の服用を中止する。代替の医薬品を必要とする場合は、主治医に相談した上で、できる限り被疑薬と異なる種類の医薬品を選択する。
    喉頭浮腫による気道閉塞は救急処置を要するので、口腔や咽頭、喉頭の腫脹に関わる自覚症状の有無を必ず問診し、呼吸状態の把握に努める。
    医薬品が原因であれば、原因薬の中止によって約3 日以内に改善が期待できる。
    • (1)抗ヒスタミン薬(H1拮抗薬)の内服や静脈注射(軽症の場合)
      • ただし、基礎疾患としてHAEや後天性C1INH欠損症がある場合は無効。
    • (2)副腎皮質ホルモンの静脈注射 (重症の場合)
      • ただし、基礎疾患としてHAEや後天性C1INH欠損症がある場合は無効。
    • (3)C1INH補充療法
      • ACE 阻害薬やエストロゲンが原因となる場合には、遺伝性血管性浮腫や後天性C1INH 欠損症に合併することもあるため、医薬品の中止とともに、補体系の異常について精査を行い、必要に応じて、C1INH補充療法(乾燥濃縮人C1-インアクチベーター:ベリナートP○R の静脈注射)を行う。
  • 喉頭浮腫による気道閉塞が疑われた場合
    • 直ちに入院し、気道確保を要する。
      ・副腎皮質ホルモンの静脈投与
      ・エピネフリンの皮下、筋肉内または静脈内注射
      ・気管内挿管や気管切開



典型的症例概要
  • 【症例】60 歳代、男性 2)
    主 訴:呼吸困難
    (家族歴):特記すべきことなし。
    (既往歴):慢性腎炎、高血圧症
    • 十数年前より複数の医薬品を服用していた。
  • (現病歴)
    • 朝、初めてエナラプリルを内服した。同日の夕方に帰宅し、夕食をとってまもなく舌が腫脹しはじめ、呼吸困難が増強してきたため、その約3 時間後に救急外来を受診した。
      入院時現症:顔面、舌、頸部の著明な腫脹をみとめた。腫脹した舌は口腔内から突出し、呼吸困難のため仰臥位がとれないほどであった(図3)。
      意識は清明で発語はあったが、構音障害をみとめた。口腔内、咽頭の腫脹が著明なために、経口挿管は不可能であったため、盲目的経鼻挿管によってようやく気道を確保した。
  • 入院後経過
    • 気管内挿管によって気道を確保したのちに、副腎皮質ホルモンの静脈注射を開始するが、その後も約半日にわたって腫脹の範囲は拡大傾向を示した。入院翌日の午後になり腫脹は消退傾向となり、入院4 日目に抜管された。
  • 検査所見
    • 末梢血液学的所見:
      • 白血球12300/μL(好中球94%、リンパ球5%、単球1%)、Hb10.1g/dL、血清生化学的所見;C3 72 mg/dL、C4 22 mg/dL、血清補体価 42.6U/mL、CRP0.48mg/dL、IgG1225mg/dL、IgA341mg/dL、IgM174mg/dL、IgE 22U/dL
    • 超音波検査、ファイバースコープ:
      • 皮下組織の肥厚をみとめた。口腔や頸部の動脈出血や腫瘍などはみとめられなかった。
  • 原因検索
    • 発症当日朝から内服したエナラプリルが最も疑われた。
      エナラプリルによるリンパ球刺激試験は陰性。
      <判別>
      ・薬剤性の血管性浮腫:エナラプリル以外は長年内服を継続していた医薬品であった。
      ・HAE、後天性C1INH 欠損症、壊死性血管炎:補体系の異常がないため否定。
      ・食物によるアレルギー性の血管性浮腫:夕食は日ごろ食べているものであったため、食物によるアレルギー性の血管性浮腫の可能性は低かった。
      ・血清病:血液製剤等の投与がないため否定。
      ・Angioedema with eosinophilia:好酸球の増多がないため否定。
    • 残念ながら、ACE 阻害薬による血管性浮腫について、原因を特定するための有効な検査方法はないため、その特徴的な症状や経過を理解することが重要である。

チェック
クインケ浮腫」「浮腫」「薬剤アレルギー喉頭浮腫




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