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アクチン アクチンを制御するタンパク質
「名古屋大学の前田雄一郎教授らは、細胞の「動力源」となるアクチンを制御するタンパク質の立体構造を突き止めることに成功した。アクチンは細胞内に最も多く含まれるタンパク質で、その動きは細胞の形状調節や内部の情報伝達など生命現象の基本とされている。
筋肉収縮の詳細なメカニズムや幅広い病気の原因解明につながるという。
科学技術振興機構・理化学研究所との共同成果。2006年11/16付けの欧州専門誌EMBOジャーナルに掲載。
アクチンは細胞内ではたいてい、鎖状につながって[フィラメント]を形成する。鎖の片端が伸びてもう片側が縮み、全体として一方向へ動く。細胞の移動や形状の維持などを担っている。
フィラメントの端に結合して、伸び縮みを止めるブレーキ役のタンパク質がどのように働いているかを突き止めるため、結合部分の立体構造を明らかにした。
ミオシン 2007年、米テキサス大学は、筋肉運動を担うタンパク質が正常に機能するには、『シャペロン』と呼ぶタンパク質が適正量存在することが必要なことを、線虫を使った実験で突き止めた。
シャペロンは、タンパク質が正しい立体構造を形成して本来の機能を獲得する手助けとなる分子。
特定のシャペロンを通常より多く生成する線虫では、筋収縮に関わるタンパク質『ミオシン』の機能が阻害された。
シャペロンが不足すると障害が生じることは知られていたが、過剰に生成されても悪影響があることが分かったのは初めて
脳が命令 しなやかな運動ー脳が筋肉に逐一命令。
「定説では、脳は筋肉に手足の動くルートだけを示し、各筋肉がどうやって連携して動くかは、筋肉の“自律”に任せていると考えられてきた。しかし、実験の結果、手足のしなやかな動きは、筋肉に対し脳が逐一指示しなければ実現出来ないことが分かった。
  この成果は動物の運動制御メカニズムについての見方を一新するもので、運動障害のリハビリや、しなやかに動くロボット開発に役立つほか、スポーツ選手の技量向上のもつながりそうだ。
 その結果、研究グループは「練習を積んだ後のゴルフのスイングや日常の手足の動きは、脳が筋肉に逐一動きを指示していないと説明出来ない」(五味祐章NTT基礎研究所研究主任)と結論づけた。
 運動の習熟過程で脳は非常にたくさんの情報を処理し筋肉を制御出来るようになるらしい
記憶 筋肉タンパク質に「記憶」
「筋肉は、アクチンとミオシンの2種類のタンパク質が相互に作用して力を発生する。エネルギーは、アデノシン3リン酸(ATP)の形で供給される。
柳田敏雄。大阪大医学部教授らはATPに蛍光色をつけて、ATP1分子がいつミオシンにくっつき、いつ分解してエネルギーがタンパク質に渡され、 いつミオシンから離れたかを観測出来るようにした。
ATPの様子と、力の発生を同時に観測した結果、力の発生は必ずしもATPが分解するときに生じる訳ではなく、ATP がミオシンから離れた数100ミリ秒後でも力を発生することがある、ということが分かった。
柳田教授は「タンパク質1分子がエネルギーをため込み、一種の『記憶』を持つ可能性が分かった。タンパク質は、ある入力に対し、1対1で対応する単一な応答をすると考えられてきたが、その単純なイメージを覆す面白い結果だ」と話す。
収縮 筋肉が動くシステム
「理化学研究所、英国医学研究評議会(MRC)などの共同チームは筋肉が動き出す仕組みを解明した。神経細胞の指令を筋肉の細胞が受け取ると、分子の通路が開き、筋肉が動き出すという。重症筋無力症などの治療や麻酔薬の働き方の解明につながる。
理研播磨研究所の宮沢淳夫研究員、京都大学の藤吉好則教授らが、筋肉細胞の表面にあるタンパク質の立体構造を詳しく観察して突き止めた。
観察したのは魚のエイの一種から分離したタンパク質。筋肉細胞の表面にあり、神経細胞が放つアセチルコリンという情報伝達物質を受け取り筋肉細胞の収縮を促す。
電子顕微鏡で観察したところ、このタンパク質にアセチルコリンが結合すると、細胞の内と外を結ぶ通路が直径0.6ナノbから1ナノb程度に拡大。外からネトリウムやカリウムのイオンが流入し、これが引き金となって筋肉が収縮し始めるという。」
◆「人間は筋肉を収縮しさせて運動するが、筋肉が収縮するメカニズムは未だに解明されていない。教科書に載って定説になっていたのが、ノーベル賞受賞者のハックスレー博士らが提唱した『首振り説』。大阪大学の柳田敏雄教授は1985年、この説に異議を唱え、『ゆらぎ説』を打ち出した。論争は今も続いているが、ゆらぎ説を裏付ける証拠が相次いで見つかり、定説が見直されている。
筋肉はアクチンとミオシンという2種類の繊維が相互に滑りあって収縮する。そのとき、ミオシンの頭が首を振って、アクチンを引きずり込むというのが首振り説だ。コンピューターと同じように大きなエネルギーをもらって「0」が「1」かでカチカチと動くというモデルだ。
柳田教授は「生物はごくわずかなエネルギーしか利用出来ないのに、人工機械のように動ける訳がない」と考え、熱によるゆらぎでミオシンがあいまいに動いているというゆらぎ説を唱えた。多くの分子を含む筋肉を使って実験し、ある程度は証明して見せた。だが、学会では「本当にゆらいでいるかどうかは分からない。解釈の問題じゃないか?」と指摘された。
それで「タンパク質分子がゆらいでいる姿を見せてやろう」と思い、90年代に入って分子1個を見たり、捕らえたりできるナノメートルの精度で計測する技術を開発していった。
それまでは細胞より大きなものしか捕まえて観察することが出来ず、分子がどのように動いているかは未知の世界だった。柳田教授が開発した1分子計測技術によって、アクチンとミオシンがナノ世界で繰り広げる動きが手に取るように分かってきた。
ミオシンはアクチンの上を熱ゆらぎで前後にフラフラ動いていて、前方に進む頻度が少し高いため、平均すると前に進んでいた。運動の源は熱ゆらぎで、エネルギーはフラフラした動きを前方に偏らせるのに使っていた。すなわち、人工機械ではジャマになる熱ゆらぎをうまく使って、小さなエネルギーで効率よく動いていたのだ。
つくる 理化学研究所のグループは生物が受精卵から成長する過程を詳しく調べ、細胞内に蓄積するタンパク質が筋肉組織を作る引き金になっていることを突き止めた。2005年5/23付けの米科学誌「ジャーナル」・オボ・セルバイオロジー」に掲載。
細胞に無理な力が加わったり、熱や化学物質などに過剰にさらされると、細胞が傷ついたり、ガンなどの病気の原因になる。理研の森島信裕専任研究員らは受精卵からマウスが成長する際、筋肉が作られる過程を詳しく解析した。細胞内でタンパク質を合成している小胞体と呼ぶ器官で、不要なタンパク質が大量に作られ、細胞に“ストレス”が発生していることを発見。
このストレスをキッカケにカスパーゼと呼ぶタンパク質が作られ、筋肉も元になる細胞の成長を促す。
ストレスは細胞にとって悪影響を与えると考えられていたが、研究グループは小胞体で作られるタンパク質が「善玉のストレス」として働いているとみている。
筋肉細胞を大量に培養
「京都大学チームは、筋ジストロフィーなどの治療に役立つ可能性がある筋肉細胞を大量培養する技術を開発した。
ヒトの骨髄液に含まれる細胞を培養するもので、難治性筋変性疾患の治療法開発に役立つという。
骨髄液から採取した骨髄間質液に、成長を促す物質や臓器の発生を制御する遺伝子を加えると骨格筋細胞などが出来ることを突き止めた。」2005.7.8《日経》
「京大の出沢真理・助教授と鍋島陽一教授らが開発。骨髄には血液を作る造血系細胞の他に骨髄間質細胞があり、患者本人や親族から安全に取り出すことが出来る。増殖力が強く大量の骨格筋細胞が作れるので利用しやすい。
まず、ヒトの骨髄液から骨髄間質細胞を分離。さらに線維芽細胞増殖因子など4種類の分化因子を加えた後に臓器の発生を制御する『Noteh』遺伝子を加えると、筋芽細胞と骨格筋幹細胞ができることが分かった。
筋ジスの実験モデルマウスに移植したところ正常な筋肉になったほか、症状が進行しても筋肉を再生させ続けることを確認」
筋肉細胞を形成
「理化学研究所の森島信宏祐専任研究員らは2007年4/16、筋肉細胞を培養容器で作り出す新たな手法を開発。
筋肉は、元となる筋芽細胞が融合して筋管となり、「筋繊維」と呼ぶ筋肉細胞まで成熟して作られる。従来の手法では、筋管まですすむが、成熟した筋繊維は作れなかった。
研究チームは、生体内で筋肉ができるときに「小胞体ストレス」と呼ぶ異常タンパク質がたまる現象に着目。マウスの筋芽細胞に小胞体ストレスを起こす薬剤を投与する方法を考案した
エネルギー の消費を解明
東京大学の永井良三教授らのグループは、筋肉でエネルギーが消費される仕組みを分子レベルで解明した。成果は2008年5/26の米医学誌「ネイチャーメディシン(電子版)」に発表。
肥満の多くは食事によるエネルギーの摂取量が消費量を上回るために起こる。筋肉内でKLF5と呼ぶタンパク質が代謝に関係していることをマウス実験で解明した。
遺伝子操作でKLF5が半分しか作れないマウスを遺伝子操作で作り、正常なマウスと比較した。
高脂肪のエサを与えて比べた。
正常マウス・・・動脈硬化や皮下組織に蓄積した。
KLF5半減マウス・・・兆候が出なかった。
関連情報
エネルギー
基礎代謝

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