克山病セレン欠乏
  • 「1935年頃、中国東北部の克山県に原因不明の心筋疾患が多発し、克山病と名付けられた。原因は一酸化炭素中毒であろうと考えられていた。1979年に中国の克山病検討委員会はこの疾患は一酸化炭素中毒ではなくセレン欠乏症であるという見解を示した。セレンは過酸化脂質を分解する酵素のグルタチオン・ペルオキシダーゼにも含まれる必須の微量元素である。最近、日本でも厚生省がセレンの栄養所要量を決めたばかりだ。
    中国の克山病が発生する地域では土壌や食物中のセレン濃度が低く、セレン欠乏が発生したという。この地方の住民の血液中セレン濃度も低かった。
    そこで、流行地域の住民にセレンを与えるという栄養政策がとられ、克山病の有病率や死亡率が減少したことが報告されている。しかし、この疾患についてはセレン欠乏だけでは説明出来ないとする意見もしばしば出されていた。
  • 最近この疾患の原因について新しい展開がみられた。まず、動物の体内などにいるコクサッキーウイルスをセレン欠乏マウスに与えると心筋障害が発生した。次にこのマウスから分離したウイルスを正常マウスに接種したところ、心筋障害が発生した。この結果はウイルスがセレン欠乏のマウスの体内を通るとウイルスの遺伝子に変化が起こり、毒性が強くなったと考えられる。実際、心筋障害の発病に関係すると考えられるリボ核酸(RNA)に変化が認められている。
    栄養の欠乏が遺伝子の構造を変化させているという驚くべき報告であり、克山病もセレン欠乏にウイルス感染が加わって発病したものと推測される。[エイズウイルス][肝炎ウイルス][インフルエンザウイルス]などでも同様な現象が起これば重大な問題となる。







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