- 2005年、東京医科歯科大学の烏山一教授らは、血液中に極少量しか含まれていない『好塩基球』という白血球の一種が、アトピー性皮膚炎や喘息など慢性アレルギー疾患の発症の引き金役になっていることを発見した。
異物に反応して一時的に皮膚が腫れたり痒くなったりする急性のアレルギー反応は、肥満細胞や白血球の一種であるT細胞が引き起こすことが分かっていた。
そこで、研究グループはこれらの細胞を持たないマウスを遺伝子操作で作製し実験した。
アレルギー反応を引き起こす物質を繰り返し注射したところ、1〜2回目の注射には反応せず、3回目の注射で慢性アレルギーによる皮膚の炎症が起こった。さらに、好塩基球も働かないマウスを作製して同様の実験を繰り返したところ、3回目の注射でもアレルギー反応は起きなくなった。
- 2009年、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患が、いったん発症すると、徐々にひどくなるのは、白血球の一種である「好塩基球」が原因になっていることを、兵庫医科大学の中西憲司教授と善本知広準教授らが突き止めた。
成果は米科学誌ネイチャー・シミュノロジー電子版に掲載
研究チームは寄生虫感染やアレルギー反応の際に働く「Th2細胞」がどのように作られるかをマウスで調べた。
Th2細胞は好塩基球が作り出す『IL-4』の作用でできる。
全白血球の4%しかない好塩基球はアレルギー原因物質が体内に侵入すると活発化し、炎症などを引き起こす抗体IgEが作られる。
花粉症の場合、花粉を認識してIgEが作られるようになると、次に侵入した花粉の量が僅かでも、好塩基球が花粉とIgEの複合体を効率よく捕らえて、Th2が働くことで、雪だるま式に大量のIgEが作られるようになる
- 2011年、東京理科大学の久保充人教授らと米ペンシルベニア大のグループは、骨髄にある造血系幹細胞がアレルギーを起こす白血球に成長(分化)する仕組みを解明した。
- 分化する仕組みを解明した白血球は好塩基球で、アレルギーを起こすことが知られている。
- 研究チームはアトピー患者の患部などにある「TSLP」と呼ばれるタンパク質に注目。このタンパク質を含む培養液で造血系幹細胞を培養したところ、幹細胞は好塩基球に分化した。
- このことからTSLPが好塩基球への分化を促すことが分かった。
TSLPの働きを抑える物質をつくれば、新たなアレルギーの新薬につながる。8/4のネイチャー(電子版)に掲載。
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