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抗ガン剤による口内炎






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ベーチェット病

アフター性口内炎

ペラグラ






口内炎の画像【症例1】
50 歳代、女性
乳がん術後多臓器転移。
エピルビシン・5-FU・シクロホスファミドによる外来化学療法中。
口内炎の画像【症例2】
40 歳代、女性
乳がん術後多臓器転移。
パクリタキセルによる外来化学療法中。
口内炎の画像【症例3】
40 歳代、女性
絨毛癌。
メトトレキサートによる化学療法中
口内炎の画像【症例4】
70 歳代、男性
舌癌。
シスプラチンによる化学療法と放射線療法併用症例
【症例5】
30 歳代、女性頸管妊娠。
メトトレキサートによる化学療法中口内炎の画像口内炎の画像
【症例6】
70 歳代、男性
盲腸癌腹膜転移。5-FU による外来化学療法中口内炎の画像口内炎の画像




抗がん剤による口内炎

別 名:口内炎(抗がん剤投与による)
英語名:Chemotherapy-induced oral mucositis (stomatitis)   (厚生労働省

  • 抗がん剤治療にともなう口内炎は薬による直接的な作用と抵抗力の低下による細菌などの感染により発生します。
    • 発生頻度は30〜40%と比較的高い副作用ですが、重くなると治療の継続に悪影響を及ぼすこともあります。
    • 抗がん剤治療中に次のような症状がみられた場合には、放置せずに、ただちに医師、歯科医師あるいは薬剤師に連絡してください。
  • 「口のなかの痛み・出血・熱いものや冷たいものがしみる」、
  • 「口の乾燥、口のなかが赤くなったり腫れる」、
  • 「口が動かしにくい」、
  • 「ものが飲み込みにくい」、
  • 「味がかわる」

口内炎とは?
  • 口内炎とは、口の中にあらわれる粘膜の炎症性病変をいいます。抗がん剤によってできる口内炎は、抗がん剤が口の中の粘膜にも作用して障害を起こすことがひとつの原因です。また、
    抗がん剤による抵抗力の低下に基づく、口腔内の細菌感染などから生じることもあります。
    口は、歯以外の部分が粘膜に覆われており、食べ物の咀嚼(噛み砕く)、消化、嚥下(飲み込む)などの食事にかかわる働き、味覚のように食欲にかかわる働き、会話にかかわる働きを持っています。
    また唾液は口の中を湿らせて咀嚼を容易にし、味覚を助け、食べ物を飲み込みやすくし、口の中を清潔にする働きがあります。口内炎ができると、これらのたくさんの働きが障害されることになります




早期発見と早期対応のポイント

(1)早期に認められる症状
  • 自覚症状は
    1. 口腔内の疼痛・違和感・出血・冷温水痛、口腔乾燥、口腔粘膜の発赤・腫脹、開口障害、咀嚼障害、嚥下障害、味覚障害などが挙げられる。
    2. また、口腔粘膜の紅斑、びらん、アフタなどの症状もみられる。
    これらの症状がみられた場合は、早急に歯科口腔外科などの専門医師・歯科医師に紹介してください

(2)副作用の好発時期
  • 口内炎は抗がん剤の投与後、数日~10 日目頃に発生しやすい。

(3)患者側のリスク因子
  • 下記のような状態では口内炎の危険性が高い。
  • ①口腔衛生状態不良
    • う歯、歯周病、舌苔が多い、義歯不適合歯磨きや含嗽ができない(できていない)
    ②免疫能の低下
    • 高齢者、ステロイド剤の使用、糖尿病など
    ③栄養状態の不良
    ④放射線治療の併用
    • 口腔をはじめとした頭頸部悪性腫瘍の治療のために放射線治療を併用した場合、放射線による直接的な粘膜障害、または唾液分泌の抑制による口腔乾燥が出現し、口内炎を悪化させる。多数歯に歯科金属を用いた処置が施されている場合も、口内炎を悪化させることがある。
    ⑤喫煙
    • ニコチンは口腔粘膜血管の収縮をきたすと考えられている(口腔粘膜の血流量低下)。また生体の免疫機構に影響を及ぼし、特に白血球、マクロファージの機能低下を引き起こす(免疫能低下)。
      さらに喫煙によって歯石の形成が促進され、嫌気性菌の増加をきたす環境を作り出すと考えられている(口腔細菌叢の変化)

(4)投薬上のリスク因子
  • 抗がん剤の多剤併用投与、抗がん剤の大量投与および持続投与

(5)医療関係者が早期に認識しうる症状
  • 口腔内は直接観察できる場所なので比較的早期発見は容易である。
    口内灯、ペンライトなどで口腔内の観察を行う。初期の症状は口腔内の違和感・接触痛・出血・冷水痛、粘膜の発赤、嚥下痛、味覚障害などが挙げられる。

(6)早期発見に必要な検査と実施時期
  • 口腔内を直接病態観察することが重要である。口内炎の早期発見の指標となる検査はないが、口内炎診断にあたり、参考になる検査を下記に挙げる。
    検査実施時期は抗がん剤による治療中あるいは治療後に状態に応じて適宜行う。
    ①血液生化学検査
    • 1.C 反応性蛋白(CRP)
      • 炎症の指標で、口内炎の悪化により上昇することも多い。
      2.白血球数(好中球数)などの末梢血液像(骨髄抑制)
      • 白血球減少は骨髄抑制の指標で、二次的感染による口内炎の発症あるいは増悪の可能性を高める。
      3.総蛋白、アルブミンなどの栄養の指標
      • 低栄養は免疫能低下にて二次的感染による口内炎の発症あるいは増悪の可能性を高める。また、口内炎の治癒への影響をもたらす。
    ②口腔細菌学的検査
    • 感染の起因菌の同定
    ③体重測定
    • 摂食状況、栄養状態の目安





副作用の概要
  • 口内炎は症状として
    • 接触痛、出血、冷温水痛、
    • 口腔乾燥、口腔粘膜の発赤・腫脹、
    • 開口障害、構音障害、嚥下障害、味覚障害
    などがみられる。
    臨床経過は抗がん剤投与後数日~10 日で口内炎が発生し、2~3 週間で徐々に改善し、予後は良好である2)。しかし、抗がん剤の多剤併用や、投与期間が長い場合は口内炎の発生頻度が高まり、重篤になると治療の継続に悪影響を及ぼすこともある。発生頻度は抗がん剤の種類により様々であるが、約30~40%と比較的高い副作用である
(1)自覚的症状
  • 口腔内の接触痛・出血・冷温水痛、
  • 口腔乾燥、
  • 口腔粘膜の腫脹、
  • 開口障害、
  • 咀嚼障害、
  • 嚥下障害
  • 味覚障害
(2)他覚的症状(所見)
  • 口腔粘膜の発赤、紅斑、びらん、アフタ、潰瘍、偽膜、出血。
  • 悪化すると発熱、口腔分泌物過多、口臭がみられる
(3)臨床検査
  • 口内炎の診断に参考となる検査は、炎症反応の指標であるCRP、栄養状態の指標である総蛋白、アルブミンなど、骨髄抑制の指標である末梢血液像、起因菌同定のための口腔細菌検査などがある
(4)病理検査所見
  • 粘膜上皮から固有層にいたる組織の境界明らかな壊死層がみられ、この部に線維素の析出をきたし偽膜を形成する。壊死層の下に潰瘍がみられ、潰瘍の底部には血管の拡張を伴う強い炎症性細胞浸潤がみられる
(5)発生機序
  • 抗がん剤が直接DNA合成を阻害すること、また細胞の生化学的代謝経路を阻害することにともない発生するフリーラジカルによる口腔粘膜組織の損傷に加え、口腔細菌感染、低栄養、骨髄抑制などの免疫低下による二次的感染により発生する。また、抗がん剤のアレルギー反応によっても生じる場合もある。
(6)薬剤ごとの特徴
  • ①アルキル化剤
    • 1.白金製剤(シスプラチン:CDDP、カルボプラチン:CBDCA)
      2.その他(シクロホスファミド:CPA、メルファラン:L-PAM)
    ②代謝拮抗剤
    • 1. フッ化ピリミジン系(フルオロウラシル:5-FU、テガフール・ギメラシルオテラシルカリウム:S-1、テガフール・ウラシル:UFT)
      2.その他(メトトレキサート:MTX)
    ③抗がん剤性抗生物質
    • 1.アントラサイクリン系(ダウノルビシン:DNR、ドキソルビシン:DXR、エピルビシン:EPI)
      2.その他(ブレオマイシン:BLM、アクチノマイシンD:ACT-D)
    ④植物アルカロイド
    • 1.タキサン系(パクリタキセル:PTX、ドセタキセル:DOC)
      2.ビンカアルカロイド(ビンクリスチン:VCR)
      3.その他(エトポシド:VP-16)




副作用の判定基準(判別方法)
  • 現在最も汎用されているものは、NCI-CTCAE(National CancerInstitute-Common Toxicity Criteria for Adverse Events)v3.0(表2)あるいはWHO scale(表3)である
  • 表2 NCI-CTCAEv3.0 の分類(口内炎)        臨床所見/機能
    Grade 0 正常
    Grade 1 粘膜の紅斑/わずかな症状で摂食に影響なし。
    Grade 2 斑状潰瘍または偽膜/症状があるが、食べやすく加工した食事を摂取し嚥下することはできる。
    Grade 3 融合した潰瘍または偽膜:わずかな外傷で出血/症状があり、十分な栄養や水分の経口摂取ができない。
    Grade 4 組織の壊死、顕著な自然出血;生命を脅かす/生命を脅かす症状がある。
    Grade 5 死亡

  • 表3 WHO の分類
    口腔内有害事象スケール
    Scale 0 有害事象なし
    Scale 1 ひりひりする、紅斑
    Scale 2 紅斑、潰瘍、嚥下痛
    Scale 3 潰瘍、広範囲なびらん、嚥下困難
    Scale 4 経口摂取不可




予防方法
  • 口内炎は予防が最も重要である。口腔内を清潔に保つことは、口内炎の二次感染の予防や重症化を避けることに役立つ
(1)含嗽
  • ・含嗽による口内炎の予防は、主に口腔内の保清、保湿を目的とする。殺菌消毒作用のある含嗽剤が主になるが、抗炎症作用・活性中和作用のある含嗽剤など複数の含嗽剤による使用が勧められている。含嗽の回数は起床時、毎食前後、就寝時などに1日7~8 回が目安とされている。ただし、含嗽のみでは限界があり、次に述べる口腔ケアが重要となる。主な含嗽剤とその使用方法を表4に示す
    (表4) 主な含嗽剤と使用方法
    • 一般名:アズレン、重曹(商品名:ハチアズレ)
      • 使用方法:ハチアズレ10g(5 包)、グリセリン60mL 精製水(加水全量500mL)に溶解し、1 回50mL 含嗽する。
    • 一般名:リドカイン、アズレン、重曹
      • 使用方法:キシロカインビスカス50mL、ハチアズレ5g、精製水(加水全量500mL)で適宜含嗽する。
    • 一般名:アロプリノール*)
      • 使用方法:アロプリノール500mg、キシロカインビスカス 100mL を精製水400mLに溶かして適宜含嗽する。
    • 一般名:スクラルファート液*)
      • 使用方法:スクラルファート液1 回10mL を2 分間以上口腔内に含ませる。
    • 一般名:アルギン酸ナトリウム*)
      • 使用方法:アルロイドG 1回30mL、毎食前含嗽する。
    *)承認適応外
(2)口腔ケア
  • 口腔ケアとは、口腔のあらゆる働き(摂食、咀嚼、嚥下、構音、唾液分泌機能など)を健全に維持する、口腔衛生管理に主眼をおく一連の口腔清掃である。口腔ケアは単に食物残渣を除去する口腔保清や習慣的に行われている歯磨きの援助に留まらず、微生物からの感染予防を行うものであり、硬組織のみならず口腔粘膜に対して行われ、ブラッシング等の物理的清掃と含嗽剤を用いた化学的清掃に大別される。
    口腔内の細菌叢はバイオフィルムを形成するため、化学的清掃のみでは除去できず、物理的清掃による除去が必須となる。口内炎の感染予防には、治療開始前から口腔ケアを受けることが望ましい。口腔細菌を可及的に減少させるためスケーリング(歯石除去)を行い、歯垢(デンタルプラーク)や舌苔中に含まれる細菌は含嗽などでは除去しにくいため、歯ブラシや舌ブラシなどの口腔清掃器具で保清に努める。回数は毎食後、寝る前の1 日4 回行う。食事をしていなくても、歯垢は歯面に付着するので1 日1 回はブラッシングをする。歯ブラシは軟毛、超軟毛のものを用いる。歯磨剤は使用するならばメントールやアルコールが含まれない低刺激性のものがよい。
    ブラッシングの基本:
    口腔内の歯垢や食物残渣を取り除くこと。汚れの残りやすいところは咬合面の溝、歯と歯肉の境目と歯と歯の間である。
    歯ブラシは軟毛または超軟毛で動かしやすい小さい歯ブラシがよい。歯ブラシは毛先を歯に垂直に押し当てて、横に細かく振動させるように動かす。大きく動かすと汚れは取れないばかりか歯肉を傷つけたり、歯根表面をすり減らす危険性がある。歯ブラシの届きにくい歯と歯の間などの歯垢は、歯面清掃補助用具が有用である。デンタルフロスや歯間ブラシなどが一般的である。
(3)口腔内の冷却(oral cryotherapy)
  • 氷片などを口に含んで、口の粘膜を冷やして毛細血管を収縮させ、抗がん剤が口腔粘膜へ到達するのを抑制する。口腔がんなどでは抗腫瘍効果の減弱につながる可能性があるので注意が必要である
(4)保湿(乾燥予防)
  • 口腔内の乾燥は口内炎の発生や増悪因子と関連がある。保湿剤や市販の口腔内保湿ジェルなどを併用することも有効である
(5)禁煙
  • 喫煙によって口内炎が増悪する可能性があるので禁煙を厳守する




判別が必要な主な疾患と鑑別方法
  • 義歯性口内炎などの外傷性潰瘍
    • 義歯の適合性、歯の鋭縁や歯の不適合修復物が粘膜にあたってないかチェックする。
  • ウイルス性口内炎
    • 抗がん剤にともなう免疫能低下などで出現しやすい水疱性病変で、水疱が破れるとびらんや潰瘍に移行し疼痛が生じる。
    • 判別方法は水泡内容や口腔咽頭のぬぐい液を対象として行うウイルスの分離培養同定法や直接抗原検出法と血清学的診断法がある。
    • 血清学的診断法では、発症後早期と発症後2~3 週を目安としたペア血清を対象にウイルス抗体価の測定を行い、ウイルスの感染を推定する
  • 口腔カンジダ(真菌)症
    • カンジダ(真菌)は口腔常在菌で通常病原性は低いが、抗がん剤に伴う免疫低下などで日和見感染として発症しやすい。
    • 通常口腔粘膜に白苔を生じるが、剥離・脱落すると潰瘍性病変となり疼痛をともなう。
    • 判別方法は真菌培養にて病原性がある仮性菌糸を確認する。
      (2)、(3)は上記特徴から抗がん剤による口内炎と併発することも多い。
  • 薬疹または薬物性口内炎
    • 原因薬剤摂取後の数時間以内に口唇、口腔粘膜に紅斑、びらんまたは水疱として生じる。薬剤は多岐にわたるが、抗がん剤のアレルギー反応によって発症する場合もある。
    • アレルギー反応の場合は、血中の好酸球あるいは非特異的IgE が上昇する場合がある。
    • また原因薬剤の同定は皮膚テストなどのアレルギーテストが行われる。
  • 熱傷
    • 熱い食事や飲み物の摂取により、発赤、腫脹、水疱形成、潰瘍形成を生じる。
    • 多くは熱い食物を摂取したときに限局的に生じる。
  • 口腔の結核
    • 結核菌によって粘膜下に発生した結核結節が乾酪壊死に陥り、それが自潰して潰瘍を形成する。確定診断は病理組織学的診断で行われる。一般にがん患者は細胞性免疫が低下しており、特に化学療法や放射線治療により、免疫能はいっそう低下する。がん患者の免疫能低下は結核の初発感染や再燃を惹起させる可能性があるといわれている


ベーチェット病」「アフター性口内炎」「ペラグラ」「口腔潰瘍
口角糜爛症」「グルカゴノーマ」「スプルー」「ヘルペス」「ストレス






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