酵素

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酵素
  • とは
    1. タンパク質を主成分とする生体内触媒。
      • 触媒のような働きをするタンパク質
      • 触媒とは、ある物質の化学反応に介在して反応速度をコントロールしながら、それ自体は変化しない物質。
    2. 酵素がタンパク質であることが分かったのは、1926年、アメリカの生物学者サムナー博士がナタマメから取り出した酵素で証明。
    3. 酵素はタンパク質であるために、温度やpHによって、活性に影響を受ける。
      • 酵素を飲んでも、タンパク質は胃酸で分解される。
    4. タンパク質以外の成分からなる補酵素が含まれる。
      • ビタミンB群に補酵素になるものが多い。
    5. 完全な酵素
      • ホロ酵素(活性酵素)=補酵素(有機化合物)+アポ酵素(不活性酵素)
      • (具体例)
        1. ご飯を噛んでいると甘くなるのは、唾液中の「唾液アミラーゼ」(消化酵素)が、デンプンを加水分解して麦芽糖やデキストリンに変化させるため。
        2. オキシドール(過酸化水素)をキズにつけると、泡が出るのは、血液中の「カタラーゼ」という酵素が過酸化水素を水と酸素に分解するため

分類

命名
基質名や反応形式の語尾に「アーゼ ase」をつけること。
l酸化還元酵素(Oxidoredutase):
<1>ある物質が(ア)酸素原子の付加、(イ)水素原子の除去、または(ウ)電子の欠落によって変質することを『酸化』、その逆を『還元』という。
<2>この反応は生体がエネルギーを獲得する呼吸や発酵などにも重要。
<3>ex.脱水素酵素
      (1)脱水素酵素(dehydrogenase)
      (2)酸化酵素(oxidase)
      (3)酸素添加酵素(oxygenase)
m転移酵素(Transferase):
<1>生体内の有機化合物の一部分を切り離して他の基質に移し、多種多様なものに増やしていく作用をする。
<2>ex.キナーゼ(リン酸基の転移に関わる)
       トランスアミナーゼ
n加水分解酵素(Hydrolase):
<1>生体内の高分子化合物に水が反応すると、水の水素分子(H)を含む部 分(低分子)と、水酸基(OH)を含む部分に分かれるように反応する。
<2>ex.[ショ糖+水=ブドウ糖+果糖]
      (1)エステラーゼ(esterade)
      (2)グリコシダーゼ(glycosidase)
      (3)蛋白分解酵素(proteolytic enzyme):
          ペプチダーゼ
          プロテイナーゼ
oリアーゼ(lyase):脱離酵素
基質から加水分解によらないで基を取り去ったり、二重結合を残したり、ある基を二重結合に付加したりする。有機化合物の炭素同士、or炭素と酸素、炭素と窒素などの結合を切って、いくつかの化合物に分解する働きをする酵素。
p異性体化酵素(Isomerase):異性体をつくる酵素。
<1>異性体をAからBへ、BからAへと変換させる酵素。
<2>分子式が同じでありながら、物理的or化学的性質が異なる物質を『異性体』という。
qリガーゼ(ligase):合成酵素
あらゆる活動に必要なエネルギーは、体内に蓄えられた[アデノシン-3-リン酸]から供給されるが、その化学的エネルギーを利用して炭素と炭素、炭素と酸素など、2分子を結合して、新しい有機物を作るときに働く酵素。
出生前の
成長
大阪大学微生物病研究所の審良静男教授らの研究グループは、出生前に四肢や皮膚が成長するのに重要な酵素を発見した。
詳細は1999年4/9日発行の米科学誌「サイエンス」に掲載された。
研究グループは遺伝子のDNA(デオキシリボ核酸)からRNA(リボ核酸)がつくられる過程で、重要なタンパク質とこれを活性化するリン酸化酵素(キナーゼ)を分析。マウスを使った事件で『キナーゼIKKα』という酵素がないと、皮膚や四肢の発育に異常が起きることを解明した。IKKは最近存在が知られたが、その役割が不明で今回初めて明らかにされた
病原菌
特有の
酵素
2001年、東京大学の研究グループは、黄色ブドウ球菌や肺炎球菌などの病原菌だけが持つ特殊な酵素を見つけた。この酵素の働きを失わせる物質を見つければ、病原菌を狙って殺せるため新しい抗菌剤の手がかりになる。東大が設立した技術移転機関である先端科学インキュベーションセンター(千代田区)を通じて、この酵素の遺伝子特許を出願した。
研究を実施したのは東大分子細胞生物学研究所の瀬戸治男名誉教授、葛山智久助手らのグループ。黄色ブドウ球菌などの原核生物は『IPPイソメラーゼ』という、之までに知られていない特殊な酵素を使っていることを突き止めた。またこの酵素を作るための遺伝子も特定した。遺伝子は機能が分かれば特許となるため、先端科学技術インキュベーションセンターを通じて出願した。
IPPイソメラーゼは細菌内で、生きていくのに不可欠なステロイドなどの物質を体内で合成している。このためIPPイソメラーゼに結合してその酵素作用を失わせる酵素阻害物質を見つけられれば、病原性を持つ原核生物を殺すことが出来る。
一方で人間を含む原核動物以外の動植物はこの酵素を持たず、全く別の酵素が同じ働きを肩代わりしていることが分かった。このため酵素阻害物質は病原菌だけを殺し、他の生物には何ら影響を与えないとみられる。
13種
に働く
酵素
東京大学の葛山智久・助教授は米ソーク研究所と共同で、多数の天然化合物の抗菌作用や抗ガン作用を強められる酵素を発見した。
少なくとも13種類の天然有機化合物に働きかける。化学合成が難しい物質や、新規化合物を作ることが可能で、効率の高い薬の開発に役立つという。2005年6/16発行酵のネイチャーに掲載。
発見した酵素は『芳香族基質プレニルトランフェラーゼ』で『ゲラニル化』と呼ぶ反応を促す。この反応によって抗ガン作用や抗菌作用が強まる化合物のあることが知られている。
この酵素は土中にいる放線菌の一種が持っており、遺伝子を特定して大腸菌を使って大量に合成した。
ダイズに含まれるダイゼインと呼ぶカビを抑える物質やレスベラトールというブドウのポリフェノールの一種などに酵素が作用するかを分析した。その結果、13種類の天然の化合物をゲラニル化することが出来た。また、未知の化合物を作り出すことにも成功した。
通常、酵素は1つの化合物の反応を促す。これほど多くの化合物に作用する酵素は知られていない。
葛山助教授らは、この酵素の立体構造も解明しており、遺伝子を使って改変すればさらに多くの化合物のゲラニル化が実現すると考えられている。

酵素の異常
  • 酵素異常がガン化を促す
    • 2011年、東京大学の畠山昌則教授らは細胞内にある酵素の働きが異常に活性化することによって、ガン化や先天奇形が起きる仕組みの一端を明らかにした。酵素の異常により、本来はガン化を防ぐように働くタンパク質を、ガン化を促すものに転換していた。
    • 酵素の制御が可能になれば治療法開発につながる。
    • 研究チームは脱リン酸化酵素「チロシンホスファターゼ2」(SHP2)に注目。
    • 細胞の中で物質からリン酸を奪い取り、化学反応のオン・オフをコントロールしている。この酵素にキズが付くと異常に活性化した暴走状態になり、ガン化や先天奇形が起きることが知られていたが、詳細な仕組みは不明だった。
    • ガン細胞や先天奇形の病変組織を調べると、酵素が暴走して細胞内の核に入り、ガン抑制タンパク質の「パラフィブロミン」から過剰にリン酸を奪って、ガン化を進めるタンパク質に機能を変えていた。同時に、細胞増殖を進める経路を刺激し異常に活性化していた。
    • 刺激が強いとガン化が起き、弱いときには小児ガンの発症リスクを高める先天奇形を起こすことが分かった。

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