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| 抗体とは | 生体にウイルス、細菌、その他の細胞や動植物の成分などの抗原が侵入すると、生体の免疫系が刺激され、やがてそれらの侵入物に特異的に結合できるタンパク質が合成されて、細胞表面,血清その他の体液中に出現する。このタンパク質が抗体です。 抗体タンパク質にはいくつもの種類があって免疫グロブリンと総称されるが、免疫グロブリンはすべて共通の基本構造を有する。抗体タンパク質は大小2種のポリペプチド鎖、すなわち H 鎖(heavy chain、分子量約5万)と L 鎖(light chain、分子量約2万3000)からなる。 H 鎖とL 鎖は対をなして結合し、もう1対の H・L と H 鎖のカルボキシル末端側どうしで結合して一つの分子を構成している。L 鎖が H 鎖と結合している部分は抗原結合性フラグメント(Fab)とよばれ、その先端に抗原を結合する部位がある。 |
| ヒ ト の 抗 体 作 る マ ウ ス |
1994年、キリンビールと鳥取大学の共同研究グループは様々な病気の治療薬になる人間の抗体をマウスに作らせる基本技術を開発した。 抗体は肝炎やインフルエンザなどの原因になるウイルスを攻撃する役目を持った細胞。 今回、人間の完全な抗体を初めてつくる事に成功したことで、医薬品として使える抗体の量産化に道が開けた。キリンビールの医薬品探索研究所と鳥取大学医学部の押村光雄教授らの共同究グループはあらゆる細胞に分化する能力があるマウスの胚幹細胞(ES細胞)に抗体遺伝子を含む染色体断片を導入した。その後、このES細胞をマウスの受精卵に注入し、ヒトの抗体を作るマウスを作った。 抗体はアミノ酸の長い鎖と短い鎖が組み合わさった構造のタンパク質。マウスには長い鎖か短い鎖のどちらか一方を作らせる。研究グループは長い鎖をつくらせるマウスと、短い鎖をつくるマウスを交配し、人間の長鎖と短鎖がそろった完全な抗体をマウスに生産させることに成功した。 人間の完全な抗体を生産するマウスに病原菌を与えれば、その菌を攻撃する抗体を作ることが出来る。マウスからこの抗体を生産する細胞を取り出して、体外で培養すれば、量産化出来る。 抗体はガンのほか、エイズやB型肝炎、インフルエンザなど様々な病気に有効な治療薬となる可能性がある。 |
| 抗体 の 合成 |
2001年、京都大学と米ロックフェラー大学の協同研究チームは、細菌やウイルスなどの外敵から身を守る免疫機構に関係する遺伝子の働きを明らかにした。抗体を合成する際に生じる遺伝子組み換え現象で、この遺伝子は抗体の情報を持つ別の遺伝子を切断して適切なタイプの抗体を作るように制御しているという。アレルギーなど免疫が関係する病気の治療につながる基礎的な成果。 機能を明らかにしたのは京都大の本庶佑教授らが見つけた『AID遺伝子』。この遺伝子は抗体を作る際に働くことが分かっていたが、詳しい働きは不明だった。ロッックフェラー大学のM・ニューセンツヴァイク教授らはこの遺伝子が働かない免疫不全のマウスを使って、抗体を作るBリンパ球という血液細胞を顕微鏡で観察した。その結果、健康なマウスでは別の遺伝子が特定の部位で切れたのに対して、免疫不全のマウスでは遺伝子の切断は起きなかった。 人の体内に細菌などが入ってくると、Bリンパ球が抗体を作って攻撃する。細菌の種類や侵入した場所に応じて効率よく排除するため、遺伝子組み換えによって抗体のタイプを変化させる「クラススイッチ」と呼ぶ仕組みがある。AID遺伝子はその仕組みの中で重要な役割を果たしていると考えられる |
| 抗体 医薬品 |
抗体を人工的に作りだして薬として投与する医薬品。体の中に入った異物(抗原)を認識して、それに結びつくタンパク質を抗体と呼ぶ。抗体は体を守る免疫システムの最前線を担う役割を持つ。通常は病気にかかると体内に自然に抗体が出来る。 特定の細胞や細菌をねらって攻撃することが出来るため、効果が高く副作用が少ない。抗体自体がねらった細胞に結びついて効果を発揮するタイプのほか、既存のの抗ガン剤などに抗体をくっつけて、効果的に患部に薬剤を送り届ける薬剤が考案されている。 スイスの医薬大手のロシュが、乳ガンに効果を持つ抗体医薬品『ハーセプチン』を実用化した。生産には通常、遺伝仕組み換えしたマウス細胞を使うが、ヒト由来の遺伝子比率を高めて、いかに「異物」ではない抗体を作るかが課題。 200年協和発酵が開発。 ※免疫に関係するタンパク質である抗体を薬に利用する「抗体医薬」の開発が本格化している。難病の治療や副作用の低減につながると期待されている。 協和発酵は抗体に含まれる糖の構造を工夫、ガン細胞などを攻撃する力を従来の100〜1000倍に高めた。特定の病気の治療薬ではなく、幅広く各種の抗体医薬に応用できるのが特徴だ。「この技術を核に他社と戦略的な提携をすすめる」と土井内徹専務は話す。 同社は抗体医薬を医薬品事業の将来の柱と位置づける。販売中の抗体医薬は現段階でゼロにもかかわらず2011年3月期に医薬品事業全体は売上げ3000億円を計画、この1/3は抗体医薬を中心とするタンパク質利用医薬品で占める見通しだ。 中外製薬はリウマチなどの治療に使う抗体医薬の臨床試験を実施中。人体内に元からある抗体により近い構造の抗体を作る技術を確立したキリンビールも抗体医薬を医薬品事業の柱に育成する。 本来、抗体は体内に細菌など異物があると自然に作られ、その構造によって特定の細胞やタンパク質とだけ結合する。この性質を利用する抗体医薬は人工的に抗体を生産して患者に投与、免疫細胞を患部へ誘導したり、抗ガン剤などを患部に集めたりして治療する。 先行するスイスの医薬大手ロシュが米国で1998年、日本で2001年に発売した乳ガン治療の抗体医薬「ハーセプチン」の売り上げは、子会社の米ジェネンチク(カリフォルニア州)を含め全世界で2000年に約400億円になっている。 |
| 抗体生産 | 2003年、キリンビールに「バイオテロ対策の抗体を作れないか?」との打診が米国防総省から入った。キリンビールは海外ベンチャーである米ヘマテックを取り込み、ヒト抗体生産ウシを世界で初めて開発したとの発表を受け、ワクチンに変わる物質を用意できないかを問い合わせてきたのだ。 キリンとヘマテックが開発したのは、人間の抗体を作る遺伝子を組み込んだクローン牛。抗体は免疫反応を担うタンパク質で、副作用が少なく治療が困難な病気への応用が期待される。キリンはクローン牛の血液中にヒトの抗体を生み出すことに成功。将来は牛を抗体の工場として利用する計画だ。 クローン牛の特徴は『ポリクロナール』という抗体を作れる点。マウスでは1種類の抗原にだけ反応する『モノクロナール』抗体しか作れないが、牛なら抗体の混合物であるポリクロナール抗体を生産できる。複数のウイルスや細菌が現任となる感染症にも応用でき、米国防総省もこの点に注目した。 牛の抗体とヒトの抗体が混ざらないようにするなど課題は多いが、次世代医療の一翼を担うと期待されている。 キリンとヘマテックは米アイオワ州の実験施設に約60頭のクローン牛を飼育している |
| リンパ球 から |
ヒトのリンパ球から イーベックは体内で自然にできる『完全ヒト抗体』を人工的に製造する技術を開発した。その方法は、まず人からBリンパ球を採取し、ガンの誘因因子となる「EBウイルス」を感染させて増殖。その中からガンやアレルギー症状などに効果がある抗体を作り出すリンパ球を選別、抗体を取り出す。 現在の一般的な抗体製造法ではマウスを利用。ウイルスなどのタンパク質をマウスに注入して抗体を作り、その遺伝子を組み換えて人に投与してもアレルギー反応を起こさないように製造している。ただ人体内では抗体が自然にできる過程とは異なるため、アレルギー反応を完全にさけることは難しく、期待するほどの効果が得られない場合があった。 イーベックはヒトのリンパ球を活用することで人の体内と同じ状態で抗体を作るため、マウスを利用した場合に比べ活発で、投与量が1/50〜1/100でも同程度の治療効果が得られるという。 抗体については欧米製薬会社や研究所が製造に関する特許の大半を保有している。そのため、国内では製品を購入する場合が多く、ガンの治療などで1回利用すると40万円程度かかるケースもあるという。 |
| 関連情報 |
「免疫グロブリン」 「悪性脳腫瘍」 |