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胸膜炎

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ガン」「腹水胸水」「肋膜炎



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胸膜炎  pleurisy
  • 胸膜の炎症。
  • 結核・腫瘍から来ることが多い

胸膜炎の種類
  1. 結核性胸膜炎
    1. 深呼吸・咳嗽時に側胸痛(特殊の刺痛)・咳嗽・頻脈
    2. 多量の浸出液が貯留すれば呼吸困難
    3. 発熱・全身倦怠・皮膚蒼白・羸痩
    4. 重症では、著明なチアノーゼ
  2. 化膿性胸膜炎(膿胸)
    1. 病初より高熱、頭痛
    2. 激しい胸痛、咳嗽、
    3. 全身倦怠感、
    4. 2.7~10日後には膿液が貯留する
  3. ガン性胸膜炎
    1. びまん性中皮腫
      • [症状]:初期には無症状
            胸痛・咳嗽・胸内苦悶・反回神経麻痺
    2. 転移性胸膜腫瘍
      • [症状]:高度の呼吸困難と胸痛
            血性浸出液が急激に貯留する


胸膜炎に伴う胸水
  • 胸部X線・・・胸水の有無を確認。
    ・胸部CT
    ・胸水穿刺・・・・
    • [胸水のpH][細胞数][細胞分画][総タンパク][LDH値][糖]を測定。
    ・胸水細菌学的検査
    ・胸水細胞診
    ・胸膜生検
    ・胸腔鏡(VATS)
  • 【滲出性】
    1. 胸水/血清比→総蛋白値(0.5以上)
    2. LDH値→0.6以上
    3. 胸水LDHが血清の基準値上限の2/3以上
      のいずれか1つを満たせば滲出性。
  • 【血性胸水】・・・ヘマトクリット
    【乳び胸水】・・・中止脂肪の測定
    【膵炎や食道破裂による胸水】・・アミラーゼ高値
    【結核性】・・・アデノシンでアミナーゼ(ADA)が高値
  • 関節リウマチからの胸水・・・・
    • 糖が著しく低下。抗核抗体の検査

胸膜炎、胸水貯留
英語名:pleuritis (pleurisy)、pleural effusion
同義語:肋膜炎         (厚生労働省
  • 医薬品によって、肺を覆う胸膜に炎症を起こしたり、胸腔内の胸水が増加する胸膜炎が起こることがあります。何らかのお薬を服用していて、また、服用を中止した後でも、次のような症状が見られた場合には、放置せずに医師・薬剤師に連絡して下さい。
    • 「息が苦しい」、
    • 「胸が痛い」

胸膜炎とは?
1)胸膜腔とは?
  • 肺は胸腔という胸の中にあります。胸腔の内壁にはそれを覆う(壁側)胸膜があります。さらに、肺の表面は(臓側)胸膜で覆われています。これらの2枚の胸膜で囲まれた空間を胸膜腔と言
    いますが、通常は2枚の胸膜はピッタリ重なっていて区別はできません。
    正常でも胸膜腔にはごく少量の液体( 胸水)があり、呼吸によって肺が伸びたり縮んだりする時に肺と胸壁の摩擦を少なくする潤滑油の役割をしています。
    胸水が貯留する原因としては、左心不全、肺炎などの炎症に伴う胸膜炎、がんなどが多いのですが、医薬品によっても起こることがあります。
胸膜腔とは、
肺の外側を覆う(臓側)胸膜及び胸壁・横隔膜の内側を覆う(壁側)胸膜に囲まれた空間を言う。正常では2枚の胸膜はぴったり合わさっていて区別できない。

胸膜腔内にはごく僅かの胸水があり、潤滑油のように肺がス    ムーズに呼吸する働きをしている。

2)胸膜炎、胸水貯留とは?
  • 胸膜炎は、胸膜における炎症の総称です。
    胸膜炎には、胸水が貯留しない乾性胸膜炎と貯留する湿性胸膜炎の2つがあります。

    胸水は、その性状から、細菌や結核による炎症、がんなどに伴って見られる滲出液および左心不全、腎不全、低タンパク血症などに伴って見られる漏出液に分けられます。

    胸膜炎や胸水貯留の原因は多彩で、上に述べた以外にも、膵臓、肝臓の障害や膠原病、外傷などでおこります。また、アミオダロン(抗不整脈薬)、ブレオマイシン(抗がん剤)、バルプロ酸ナトリウム(抗てんかん薬)などの薬剤によって引き起こされる場合もあります。

    胸膜炎や胸水貯留の一般的な症状として、空咳や発熱が出現することがありますが、特異的ではありません。胸水の貯留の有無に関わらず、炎症や悪性腫瘍(肺がん、悪性中皮腫など)に伴う場合では胸痛があることが多く、さらに、胸水量が増えると呼吸困難が出現します。胸膜炎や悪性腫瘍に伴う胸痛は、深呼吸や咳によって痛みが増強するのが特徴です。原因によってこのような症状が、急激に起こる場合と慢性に徐々に起こる場合とがあります。胸部エックス線写真では、胸水の貯まっている箇所に陰影が見られます。通常では胸水は胸腔の下の方から貯留するので胸部エックス線写真では肺の下部に陰影が見られ、貯留が増加するに従って上に陰影が拡大してゆきます。
    原因を調べるために、胸膜腔から胸水を注射器で吸引し検査します。
    胸水で、肺が圧迫され、呼吸困難が強い場合や心臓が圧迫され、血圧低下や頻脈が見られる場合には胸膜腔に管(チューブ)をいれて胸水を持続的に排液はいえきします。

早期発見と早期対応のポイント
  • 薬剤性の胸膜病変は、他の薬剤性肺障害と比べて稀であるが、新しい薬剤や生物学的製剤の開発と普及に従って、発症例数は増加傾向にある。薬剤性胸膜病変は、薬剤性の胸膜炎、胸水貯留、胸膜肥厚などが知られているが、他の病態に合併して出現する場合と単独で出現する場合がある。
    • 前者としては薬剤性ループスの胸膜病変や間質性肺炎に伴う胸水貯留である。
  • 発症様式は、薬剤性肺障害と同様に、急性から慢性まであり、薬剤投与中のみならず中止後にも発症するので注意を要する。
  • 原因薬剤は約30種類が報告されており、心血管系薬、抗不整脈薬、血管収縮薬、化学療法剤(抗がん剤)、甲状腺機能亢進治療薬およびgranulocyte-colonystimulating factor (G-CSF)、interleukin-2 (IL-2)などの生物学的製剤、など多種類にわたっている(表1)。
  • 表1 薬剤性胸膜病変の原因薬剤
    心血管系薬剤、抗不整脈薬 メチルドパ、β遮断薬、塩酸アミオダロン、プロカインアミド、キニジン、ミノキシジル(国内外用薬のみ)
    血管収縮薬 メシル酸ジヒドロエルゴタミン、メシル酸ブロモクリプチン、酒石酸エルゴタミン
    化学療法薬 ブレオマイシン、プロカルバジン、メトトレキサート、マイトマイシン、シクロフォスファミド、ドセタキセル
    抗菌薬、抗ウイルス薬 イトラコナゾール、アクシロビル、ニトロフラントイン(国内では動物薬のみ)
    抗結核薬 イソニアジド
    (静脈瘤)硬化療法薬 オレイン酸モノエタノールアミン
    抗けいれん薬 バルプロ酸ナトリウム
    筋弛緩薬 ダントロレン
    糖尿病治療薬 グリクラジド、トログリタゾン(販売中止)
    甲状腺機能亢進治療薬 プロピルチオウラシル
    尋常性座瘡治療薬 イソトレチノイン(国内未承認)
    消化器官用薬 メサラジン
    高脂血症治療薬 シンバスタチン
    抗リウマチ薬 D-ペニシラミン
    抗精神病薬 クロルプロマジン
    生物学的製剤 G-CSF、IL-2

(1)早期に認められる症状 (2)副作用の好発時期
  • 一般に、いかなる時期でも発症するが、アレルギー・免疫反応の関与が考えられる場合には急性であり、数日から2週間以内に発症する。
    一方、細胞傷害性の場合には数週間以上の経過後に発症を認める。しかし、これに当てはまらない場合もある。
(3)患者側と投薬上のリスク因子
  • 胸膜炎を起こす患者の一般的な、共通するリスクはない。
    間質性肺炎や肺線維症がリスクファクターであるとの報告もない。
    薬剤性胸膜炎の症例数が少なく個々の薬剤に対する患者のリスクは明確ではない。
(4)患者もしくは家族が早期に認識しうる症状
  • 呼吸困難、胸痛、咳、発熱などから疑うが、これらは呼吸器疾患に共通の症状であり非特異的である。
(5)早期発見に必要な検査と実施時期
  • 呼吸困難、胸痛、咳、発熱などの症状が出現時には、胸部エックス線検査(正面、側面)、胸部CT 検査(特に縦隔条件)を実施し、胸水の有無を確認する。
    胸膜炎を認めた場合にその原因を検索するが、この際に胸水を採取し、性状、細菌学的検査、細胞数とその種類、細胞診、生化学的検査などを行う。


副作用の概要
  • 胸膜炎には、胸水貯留を認めない乾性胸膜炎と胸水貯留を認める湿性胸膜炎がある。胸水の性状から細菌や結核などの感染、悪性細胞の浸潤などに伴って見られる滲出液および左心不全、腎不全、低タンパク血症などに伴って見られる漏出液に分けられる。胸膜炎や胸水貯留の原因疾患は多彩で、上記の疾患以外にも、膵臓疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、膠原病、外傷性、薬剤性など多岐に渡るものがある。薬剤性は稀であるが、近年、抗がん薬や生物学的製剤の使用が増えており薬剤性胸膜炎の発生も増加することが予測される。発症機序は表2に示したが、薬剤自体によるアレルギー反応、化学反応あるいは細胞障害、薬剤の刺激に好中球やマクロファージから産生される活性酸素を介する細胞障害に大別され、近年、IL-2 による毛細血管漏出による胸水貯留が注目されている。アレルギー反応の場合には自然軽快することもあり予後は良好である。
  • 表2 薬剤性胸膜疾患の発生機序
    • 過敏性あるいはアレルギー性
    • 薬剤の直接的な細胞傷害
    • 活性酸素を介する細胞傷害
    • 酸化ストレスに対する防御機構の破綻
    • 化学反応による炎症
(1)自覚症状
  • 呼吸困難、胸痛、咳、発熱などであるが非特異的である。
(2)身体所見
  • 低酸素の程度に応じて頻呼吸、チアノーゼが認められる。胸部身体所見では、胸水貯留側で濁音、呼吸音や音声振盪の減弱を認める。音声振盪とは、ひとーつ、ふたーつなどと声を出させ、それを聴診器で聞く診察法である。
(3)臨床検査値
  • 低酸素血症(SpO2 低下、PaO2 低下)、血液検査では、炎症の指標として白血球の増加、赤沈亢進およびCRP の上昇がみられる。アレルギー反応の場合には好酸球の増加がみられる。
    胸水の検査所見は原因によって異なる。細胞分画で好中球の増加は細菌感染を、リンパ球増加は結核を疑うが、好酸球増加(細胞分画で好酸球の占める割合が10%以上)の場合には表3に示した寄生虫感染、薬剤性などを疑う。気胸を伴なう胸水が稀に認められるが、この場合好酸球が出現する
  • 表3 好酸球増加を認める薬剤性胸膜炎
    薬剤 胸水
    好酸球
    (%)
    末梢
    好酸球
    (%)
    肺病変
    バルプロ酸ナトリウム 62-84 26 報告なし
    プロピルチオウラシル 16-45 増加なし 認めず
    イソトレチノイン(未承認) >20 増加なし 認めず
    ニトロフラントニン(未承認) 17 9-83 間質性病変
    ブロモクリプチン 12-30 増加なし 認めず
    ダントロレン 33-66 7-18 認めず
    グリクラジド 80 20 間質性病変
    メサラジン 報告なし 7 間質性病変
(4)胸部画像検査所見
  • 胸部エックス線写真では、胸水貯留の場合には立位正面と側面で胸水の貯留箇所に境界明瞭な均一な陰影を認め、胸水が増加するに従って上方に陰影が拡大する。側臥位では下面に水が移動する。胸部CT でも縦隔条件で通常は背側面に均一な陰影を認める。間質性肺炎像を認めることがある。
(5)病理所見
  • 薬剤による肺水腫や間質性肺炎に伴うことが多いが、アレルギー反応では、リンパ球や好酸球の浸潤を伴った炎症像やフィブリンの析出が見られる。時間が経つと中皮細胞の増生、線維化を伴う。
(6)医薬品ごとの特徴
  1. 好酸球性胸膜炎
    • 胸水中に好酸球増加を認める好酸球性胸膜炎を来すことが8 薬剤で知られている。バルプロ酸ナトリウム、ダントロレンが代表的薬剤で胸水単独で発症し、ニトロフラントイン(現在販売中止)では間質性肺炎に合併して胸水貯留を来す
  2. 薬剤性ループス(drug-induced lupus)に伴う胸膜炎
    • 薬剤が原因で発症する薬剤性ループス※は、1945 年にスルファジアジンによるループス様の反応が報告されて以来、約80 種類の薬剤でループス様反応の発生あるいは既に存在するループスの増悪が報告されている。この中で特に、プロカインアミド、ヒドララジン、クロルプロマジン、イソニアジド、ペニシラミン、メチルドパ、キニジンが薬剤性ループス胸膜炎の発生と密接な関連性が指摘されている。プロカインアミド継続投与1年後には約90%の患者に抗核抗体陽性を認め、約3 分の1 の患者にループス様症状が出現する。このプロカインアミドによるループス患者の約56%が胸膜炎を合併する。ヒドララジン投与患者の2~21%に薬剤性ループスを認め、ヒドララジンによるループス患者の約30%が肺・胸膜病変を合併している。200 mg/日あるいは総量100g 以上のヒドララジン投与を受けている患者にリスクが高い。抗核抗体の染色パターンは均一性で、抗DNA抗体はds-DNA 抗体は陰性で、抗ss-DNA 抗体が陽性である。
      ※薬剤性ループスとは、原因と考えられる薬剤の投与開始数ヶ月後から発症する全身性エリテマトーデス(systematic lupus erythematosus: SLE)に似た疾患である。肺・胸膜病変をSLEと同じように合併する。


副作用の判別基準(判別方法)
  • 胸水貯留の有無や胸膜炎の診断は、胸部画像所見や胸水検査から容易である。これらが薬剤性肺障害に伴うものであるのか、原因薬剤は何か、を的確に判断することは多くの場合困難で、薬剤リンパ球刺激試験(DLST)を参考に、服薬中止による改善の確認などを加味し総合的に判断する

判別が必要な疾患と判別方法
  • 胸水貯留性疾患の全てが鑑別の対象である。
  • 主な胸膜炎や胸水貯留疾患を表4に概説する。
  • (表4)鑑別のポイント
    1. 漏出性胸水を来す疾患
      • 左心不全、
      • 肝硬変、
      • ネフローゼ症候群、
      • 低たんぱく血症
    2. 滲出性胸水*を来す疾患
      • 細菌性胸膜炎・膿胸
        • 好中球優位の白血球増加、胸水の塗抹や培養による原因菌の検出
      • 結核性胸膜炎
        • リンパ球優位の白血球増加、ADA高値(>40IU/L)、培養・PCRによる結核菌の検出(陽性の頻度は低い)、胸膜生検による乾酪性類上皮細胞肉芽腫の検出、慢性化の場合偽性乳糜を呈する。ツベリクリン反応陽性、クォンティフェロン陽性
      • 癌性胸膜炎
        • 血性胸水、細胞診で悪性細胞の証明、CEAなどの腫瘍マーカー高値
      • 悪性胸膜中皮腫
        • 悪性胸膜中皮腫胸水中ヒアルロン酸濃度の上昇、胸膜生検による中皮腫の組織学的証明。既往にアスベスト曝露歴、胸部画像で胸膜の不整な肥厚像
      • 全身性エリテマトーデス
        • 全身性エリテマトーデス両側性が多い、好中球もしくはリンパ球数の増加。LE細胞陽性、抗核抗体陽性、免疫複合体陽性、補体低値、しばしば汎漿膜炎を合併
      • 関節リウマチ
        • 片側性が多い、好中球もしくはリンパ球数の増加、糖が低値。関節症状、リ
          ウマトイド因子や抗CCP抗体が陽性
      • 肺梗塞
        • 肺梗塞血性胸水、好中球優位の白血球増加。突然の胸痛、頻呼吸、低酸素血症(多くの場合、呼吸不全)、重症ではショック状態
      • 気胸に伴う胸水
        • 好酸球優位の白血球増加
      • 横隔膜下膿瘍
        • 右に多い、好中球優位の白血球増加、腹腔内炎症性病変の存在
      • 膵炎
        • 原則左側、P型アミラーゼ高値、好中球優位の白血球増加
  • *: 滲出性胸水の定義
  • 比重≧1.018、Rivalta反応陽性、胸水蛋白濃度/血清蛋白濃度>0.5、胸水LDH濃度/血清LDH濃度>0.6、などを参考に総合的に判断する。(吉利和:内科診断学改訂9版、p.907、2004、金芳堂、より引用・改変)


治療方法
  • まずは、被疑薬の中止である。原因にもよるが、薬剤の中止により自然軽快する症例もある。一般的に、薬剤性肺障害の治療方針と同様であり、アレルギー反応や過敏性反応では副腎皮質ステロイド薬をプレドニン(プレドニゾロン)換算として0.5~1.0 mg/kg 投与する。細胞障害性ではステロイドパルス療法を行うこともある


典型的症例の概要
  • 【症例1】70 歳代、男性
    【主訴】 呼吸困難
    【既往歴】 高血圧症 職業:塗装業 嗜好:喫煙なし、飲酒 焼酎1 合/日
    【現病歴】 10 月に健康診断で胸部エックス線写真上異常陰影と肉眼的血尿を指摘され、紹介され入院した。入院後、精査の結果、腎臓腫瘍および転移性肺腫瘍と診断された。11 月22 日左腎臓摘出術を施行。術後病理診断にてclear cell carcinoma with anaplastic change G3pT3b,pNX,pMX(M1)であった。術後経過良好であり12 月11 日から補助療法
    1.漏出性胸水を来す疾患
    左心不全、肝硬変、ネフローゼ症候群、低たんぱく血症
    2.滲出性胸水*を来す疾患
    疾患名胸水所見、臨床症状など
    細菌性胸膜炎・膿胸好中球優位の白血球増加、胸水の塗抹や培養による原因菌の検出結核性胸膜炎リンパ球優位の白血球増加、ADA高値(>40IU/L)、培養・PCRによる結核菌の検出(陽性の頻度は低い)、胸膜生検による乾酪性類上皮細胞肉芽腫の検出、慢性化の場合偽性乳糜を呈する。ツベリクリン反応陽性、クォンティフェロン陽性癌性胸膜炎血性胸水、細胞診で悪性細胞の証明、CEAなどの腫瘍マーカー高値悪性胸膜中皮腫胸水中ヒアルロン酸濃度の上昇、胸膜生検による中皮腫の組織学的証明。既往にアスベスト曝露歴、胸部画像で胸膜の不整な肥厚像全身性エリテマトーデス両側性が多い、好中球もしくはリンパ球数の増加。LE細胞陽性、抗核抗体陽性、免疫複合体陽性、補体低値、しばしば汎漿膜炎を合併関節リウマチ片側性が多い、好中球もしくはリンパ球数の増加、糖が低値。関節症状、リウマトイド因子や抗CCP抗体が陽性肺梗塞血性胸水、好中球優位の白血球増加。突然の胸痛、頻呼吸、低酸素血症(多くの場合、呼吸不全)、重症ではショック状態気胸に伴う胸水好酸球優位の白血球増加横隔膜下膿瘍右に多い、好中球優位の白血球増加、腹腔内炎症性病変の存在膵炎原則左側、P型アミラーゼ高値、好中球優位の白血球増加*: 滲出性胸水の定義比重≧1.018、Rivalta反応陽性、胸水蛋白濃度/血清蛋白濃度>0.5、胸水LDH濃度/血清LDH濃度>0.6、などを参考に総合的に判断する。(吉利和:内科診断学改訂9版、p.907、2004、金芳堂、より引用・改変)
    としてIL-2 70 万単位、IFN-α 600 万単位投与開始した。2 剤投与後約1 時間で38℃熱発、呼吸困難出現、SpO2 88%となり、酸素投与開始となった。
    12 月12 日胸部エックス線写真にて左胸水貯留を認めた
  • この時、意識は清明で、血圧は106/72mmHg、脈拍100 回/分、呼吸32 回/分。眼瞼結膜に貧血を認めず、過剰心音、心雑音聴取せず、左側の呼吸音は減弱していた。腹部に圧痛を認めず。頸静脈の怒張、顔面、下腿に浮腫を認めなかった。血液生化学検査では WBC 5000/μL(Seg 70.8%, Eos2.1%, Bas 0.2%, Mo 16.5%, Lym 10.4%)、Hb 12.6g/dL、Ht 37.9%、Plt22.4x104 /μL、T-Bil 0.69mg/L 、AST 26 U/L、ALT 15 U/L、LDH 1175 U/L、TP 6.0 g/dL 、Alb 3.2g/dL、CRP 3.43 mg/dL、BUN 16.9 mg/dL、Cr 1.56mg/dL、 Na 123 mmol/L、K 4.4 mmol/L、Cl 88 mmol/L、Ca 8.2 mg/dL。
    動脈血血液ガス分析(室内気)は pH 7.471、PCO2 36.2 Torr、PO2 55.6 Torr、HCO3- 26.7 mmol/L、SaO2 89%であった。胸水検査では、外観は橙色濁、pH 7.8、比重 1.019、糖 130 mg/dL(血糖125 mg/dL)、総蛋白 4.4g/dL、LDH 234 U/L、アミラーゼ 68 U/L、CEA 1.2 ng/mL、ADA 7.9 IU/L、ヒアルロン酸 7000 ng/mL、細胞数50 /μL(細胞分画、殆どが単球で好中球少数)、一般細菌塗沫・培養陰性、結核菌の塗沫とPCR 陰性、細胞診ではClassⅢであった。
    入院時見られた胸水貯留の原因として、IL-2 の投与後であること、その他には明らかな原因が見られないことから、薬剤に起因した胸水貯留で、12月6日 12月12日IL-2 による毛細血管漏出症候群(capillary leak syndrome)と診断した。12 月12 日に呼吸困難が著明であり、胸腔ドレーンを挿入し胸水を排液し、IL-2 とIFN の投与を中止した。その後、少量の胸水の貯留を認めたのみで経過良好で12 月20 日にドレーンを抜去したが再貯留を認めなかった

毛細血管漏出症候群
  • 本症候群は原因不明で反復性に血漿蛋白と水分が血管外に漏出し、血液濃縮と血液量減少性ショックをきたす疾患である。特徴として、1)IgG1サブクラスに属する異常蛋白血症(M 成分)を合併する例が多い、2)透過性亢進時にIL-2 受容体陽性の単核球が増加し、CD8+のT リンパ球が血管周囲に浸潤し、活性化リンパ球による内皮細胞障害が疑われる、3)IL-2投与により低血圧、腎障害、肝障害、甲状腺機能障害が知られる、4)IL-2投与に伴う肺・胸膜病変は75%に見られ、間質性肺水腫、限局性浸潤影、胸水貯留がみられる。病態は毛細血管からの漏出と推測され、胸水貯留は50%で発現し滲出性胸水である。



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