末梢神経障害厚生労働省
英語名:peripheral neuropathy
末梢神経障害とは?
  • 末梢神経は脳や脊髄から出て手や足の筋肉や皮膚などに分布し、運動や感覚を伝える“電線”のような働きをします。手や足のしびれ感や脱力などを生じる「末梢神経障害」は、医薬品によって引き起こされる場合があります。主に高脂血症治療薬、抗悪性腫瘍薬、抗ウイルス薬、抗結核薬などでみられることがある
    • 「手や足がピリピリとしびれる」、
      「手や足がジンジンと痛む」、
      「手や足の感覚がなくなる」、
      「手や足に力がはいらない」、
      「物がつかみづらい」、
      「歩行時につまずくことが多い」、
      「イスから立ち上がれない」、
      「階段を昇れない」
    • など
  • 末梢神経には、
    1. 全身の筋肉を動かす運動神経、
    2. 痛みや触れた感触などの皮膚の感覚や関節の位置などを感じる感覚神経、
    3. 血圧・体温の調節や心臓・腸など内臓の働きを調整する自律神経
    があります。

  • 末梢神経障害(ニューロパチーと呼ばれることもあります)は、これらの神経の働きが悪いために起こる障害のことです。
  • 主な症状は、
    • 「手や足の力が入らない」、
      「物をよく落とす」、
      「歩行やかけ足がうまくできない」、
      「立ち上がりがうまくできない」、
      「足先が垂れてつまずきやすい」

       
    などの運動障害、
    • 「手や足が・・・ピリピリとしびれる」、
      「ジンジンと痛む」、
      「感覚がなくなる」
      などの感覚障害、
      「手や足の皮膚が冷たい」、
      「下半身に汗をかかない」

       
  • などの自律神経障害などです。
    副作用として「末梢神経障害」を起こす医薬品は、
    1. 高脂血症治療薬
      • (HMG-CoA 還元酵素阻害薬“スタチン系”)
    2. 抗悪性腫瘍薬
      • (ビンクリスチン、パクリタキセル、シスプラチン)など
    3. 抗ウイルス薬(抗HIV 薬)
    4. 抗結核薬(イソニアジド、エタンブトール
    などが知られています。



対応のポイント
  1. 手や足のしびれ感や痛みなどの異常感覚で始まることが多く、進行性に悪化します。
    医薬品による末梢神経障害は、医薬品を服用してしばらく経過した後に、手や足、特に両方の足先の「しびれ感・痛み・ほてり」、「感覚が鈍い」などの感覚障害が起こります。次第に足先から上方に広がり、膝下全体から手、腕、腹・胸にまで及ぶこともあります。
    多くは両方の足や手の感覚障害がおこりますが、片方だけのこともあります。また、「筋肉に力が入らない」、「手や足が動きにくい」などの運動麻痺もみられ、初期には手や足の軽い麻痺であったとしても、徐々に悪化して起立や歩行ができなくなり、ごくまれですが「物を飲み込みにくい」や「呼吸が苦しい」などの強い症状が起こることもあります。
  2. 早期発見による原因薬剤の減量・中止が唯一の治療法である場合が多く、迅速な対応が必要となります。
    上記のような症状が出た場合は、感覚障害や運動麻痺が軽い状態のうちに担当医に連絡してください。症状が徐々に悪化して運動麻痺やしびれ感・痛みなどが強い場合には、ただちに医療機関を受診し、医師・薬剤師に相談してください。その際には、服用した医薬品の種類、服用からどのくらい経っているのかなどを医師・薬剤師に知らせてください。





1.早期発見と早期対応のポイント
  1. 早期に認められる症状
    • 医薬品を服用してしばらく経過後に、手や足のしびれ感、痛みなどの異常感覚で始まることが多い。
    • 多くは慢性的な感覚障害主体の末梢神経障害で発症するが、薬剤あるいは服用量によっては急速に起こる場合もある。
    • また、感覚障害と同時に四肢末梢の運動麻痺がみられることもある。
  2. 副作用の好発時期
    • 服用後早期に出現する場合と長期経過してから発症する場合がある。通常、発症までに数週から数ヶ月以上を要する。
  3. 患者側のリスク因子
    • 基礎疾患に糖尿病や遺伝性ニューロパチー、慢性アルコール中毒などの末梢神経障害を有する場合には、薬剤性末梢神経障害のリスクが高まる。
    • また、腎不全、悪性腫瘍などの全身性疾患に罹患している場合も重大な神経症状が起こりやすい。
  4. 推定原因医薬品
    • 末梢神経障害を引き起こすとされる薬剤は多数存在する(別表参照)
  5. 医療関係者の対応のポイント
    1. 薬剤の減量または中止
      • 薬剤性末梢神経障害は、薬剤の1 回投与量や総投与量が多いほど出現しやすく、薬剤の用量規制因子となるため原疾患の治療に対して大きな影響を与える。
      • 薬物治療中に末梢神経障害が生じた場合、原疾患の状況により異なるが、原因薬剤の減量あるいは中止を考慮する。特に、重篤な末梢神経障害を呈した場合、回復も遅く高度の後遺症が残ることがあるため、直ちに薬剤を減量あるいは中止する必要がある。
      • また、薬剤中止後も症状が2〜3週間の経過で一過性に悪化する場合(coasting)もあり、注意する必要がある。その後、薬剤の中止により徐々に改善がみられる。
    2. 早期発見に必要な検査項目
      • 神経伝導検査において感覚神経および運動神経伝導速度の低下、活動電位の低下・消失などが認められる。
      • 必要があれば、 の鑑別のため髄液検査を行う。
      • 一般的に、GBS やCIDP では髄液蛋白が増加し、薬剤性末梢神経障害では髄液蛋白は正常ないし軽度増加となる。
      • 臨床症状・末梢神経伝導検査・髄液所見を参考に総合的に判断する。
      • また、
        • 糖尿病、
        • 尿毒症、
        • 膠原病(血管炎症候群を含む)、
        • ビタミンB1 欠乏などの末梢神経障害を併発する疾患
        の鑑別のため、血糖値、HbA1c、糖負荷試験、腎機能検査、CRP、血沈、血中ビタミンB1 値なども必要となる。





2.副作用の概要
  • 薬剤性末梢神経障害は、手や足のしびれ感など日常よくみられる症状で発症することが多く、原因となる薬剤も多彩である。他の神経症状との鑑別が容易でないことも多く、薬剤による末梢神経障害の存在が見逃されることもまれではない。また、原因薬剤の投与を続けると神経症状が進行し、投与を中止しても症状の回復が不十分なこともある。一方、抗悪性腫瘍薬や抗HIV薬などによる薬剤性末梢神経障害の場合、原因薬剤の中止が原疾患の治療に大きな影響を与えるため中止が困難な場合もある。以下に各項目に分けて概略を述べる。

  1. 臨床症状
    1. 感覚障害:
      • 薬剤性末梢神経障害では、手や足のしびれ感や痛みなどの感覚症状にて発症することが多く、感覚障害が主体となる。
      • 四肢の遠位部優位に障害され、自発的なしびれ感や疼痛、錯感覚(外界から与えられた刺激とは異なって感ずる他覚的感覚)、手袋・靴下型の感覚障害(触覚、温痛覚・振動覚などの感覚鈍麻や異常感覚)がみられる。
    2. 運動障害:
      • 感覚障害に加えて、進行例では四肢遠位部優位の筋萎縮と筋力低下がみられ、弛緩性の麻痺を呈する。四肢の腱反射の低下や消失(遠位部ほど顕著)がみられる。
    3. 自律神経障害:
      • 感覚障害や運動障害ほど目立たないが、排尿障害、発汗障害、起立性低血圧などがみられることがある。
  2. 臨床検査値
    1. 血液、生化学、血清学的検査:
      • 特異的異常は生じないのが普通であるが、糖尿病、尿毒症、膠原病など末梢神経障害を呈する疾患の原因検索には重要な検査である。
    2. 髄液検査:
      • 通常は正常なことが多いが、軽度の蛋白増加や細胞数増加をみることがある。
    3. 末梢神経伝導検査:
      • 異常所見が最も出現しやすい。脱髄型の末梢神経障害では感覚神経、運動神経の両方あるいは一方の伝導速度が低下する。また、軸索型の場合は、伝導速度の低下は一般に軽度で、むしろ活動電位の低下が優位となる。薬剤性末梢神経障害では軸索型の障害をとるものが多い。



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甲状腺機能低下症」「シックハウス症候群」「ムチ打ち症
頚部椎間板障害「HAM」「手根管症候群おけつ







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