ミトコンドリア Mitohondria

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エネルギー」「神経細胞」「進化
ミトコンドリア 「すべての真核生物にあり、呼吸を営み、生命活動に必要なエネルギー源であるATPを生産する。内外の二重膜(二重の生体膜)に包まれ、内側の膜には内部に向かって突出し、クリステを形成する。内膜に囲まれた部分にはマトリックスがある。細胞内で分裂によって増える」
「カリフォルニア大学ロサンゼルス校のT・Gフレイ教授らは、電子顕微鏡断層法を用いてニワトリの小脳神経細胞樹状突起のミトコンドリアのクリステの形を解析した。その方法はミトコンドリアを厚さ0.5ミクロンの厚さで何十枚もスライスし、それぞれの二次元的な電子顕微鏡写真を撮影し、コンピューターで三次元画像に変換した。それによると、一方向に並ぶ薄板状のクリステが見られるが、内膜と結合する部分は直径0.03ミクロンの管状構造になっている。」
(「ミトコンドリアと生きる」瀬名秀明・太田成男著)
細胞1個当たりのミトコンドリアの数は、
  • シアニジウム(原始紅藻類)・・・・・1個。
    カエルの卵細胞・・・・・・・・・・約20万個。
    ヒトの細胞・・・・・・・・・・・100〜3000個。
エネルギー代謝に関わる細胞ほど数が多くなる、
構造 1.二重膜を持つ(バクテリアと同じ)。
2.臓器ごとに形が異なる:
  • 「精子のミトコンドリアは鞭毛の付け根にあり、まるで鞭毛を縛り付けるかのようにトグロを巻いている」
  • 細胞の役割に応じて変形しており、また病気になると独特の形に変形する」
3.蛍光顕微鏡で確認すると、一般的なミトコンドリアは糸状か粒状であり、ソーセージ状ではない。
ミトコンドリア(Mitohondria)というのは複数形で、単数形では「ミトコンドリオン(Mitochondrion)」となる、一般に複数形が用いられるのは、ミトコンドリアの独特の挙動による。それは、細胞が分裂する時、酵母の場合にはミトコンドリアがすべてつながってしまう。ヒトの細胞でも分裂増殖する時はミトコンドリアがつながって長くなる。
ミトコンドリオンという名は、ギリシャ語で「糸」と意味するmitosと顆粒を意味するchondrosからなる造語です。

最大の役割 エレルギーを産生すること。
「そのため、食べ物を代謝してエネルギーを作る肝細胞や、心臓や筋肉さらに神経細胞などのエネルギーを大量に必要とする組織にミトコンドリアは多い。
神経細胞は放出した神経伝達物質を神経細胞内に再び取り込んだり、電流を起こすナトリウムイオンを細胞外にくみ出す時に、大量のエネルギーが必要になる。
神経細胞のシナプスの模式図には必ず前シナプス部分にミトコンドリアが描かれている。は、莫大な量のエネルギーを消費している。」
「私たちが摂取した食物は、胃酸や消化管の酵素によって細かく切り刻まれた後に、小腸で吸収され、肝臓に送り込まれる。
3大栄養素である糖質脂質タンパク質は肝細胞で代謝され、最終的には二酸化炭素や水・尿などの排泄物になる。この際にミトコンドリア内で合成されるのがエネルギー源のATPです。
「ATPは、アデノシン三リン酸の略(Adenosine 5'-teiphosphate)で、アデノシンという物質にリン酸が3つ結合した格好をしている。3番目のリン酸が離れるとき、ATP340g当たり7.3カロリーのエネルギーが放出される(7.3kcal/mol、あるいは30.5kj/mol)。残った部分はアデノシンに2つのリン酸が結合したADP(Adenosine 5'-diphosphate)となる。
ATPによって生み出されるエネルギーは、私たちの筋肉を動かしたり、タンパク質を合成したり、神経を活動させたり、ホルモンなどの外部からの情報を内部へ伝える情報源になったりと、広範囲で活躍する。
通常ATPは合成されてから1分以内に消費されてしまう。
ヒトは休憩していても1日で約40kgのATPを消費する。
激しく運動するときは1分当たり0.5kgも一気に使う。
爆発したATPは、ATP合成酵素によってすぐに修復され、リン酸がくっつけられ、再利用される。

ATPは体内で最も多く合成される物質であり、その反応は他の合成反応と比べて速やか。食事から得たエネルギーのほとんどはATPのエネルギーに置き換えられるので、私たちはATPを作るために食べているようなもの。」
「地球上の生物が生きるために用いているエネルギーは、ほとんどが太陽からのプレゼントだ。太陽からの光エネルギーを化学エネルギーに変化させるのは植物の光合成だ。光合成によって二酸化炭素という単純な物質から糖質という複雑な物質と酸素が作り出される。酸素は呼吸によって肺から血液中のヘモグロビンに取り込まれ体内を循環する。酸素が消費されると同時に、栄養素から作られた二酸化炭素が放出され、エネルギーが発生する。燃焼の場合は酸素が直接相手の物質と結合するのだが、生体内では酸素が食物と直接結合してエネルギーを発するのではない。」

グルコース(ブドウ糖)が細胞の中にはいると。
まず細胞質ゾル(サイトゾル)で数段階のステップを経てピルビン酸に変換される。この一連の反応を『解糖系』と呼ぶ。解糖系のエネルギー源になるのはグルコースなどの糖だけで、脂肪やタンパク質はエネルギー源にならない。
細胞質ゾルで行われる反応にはミトコンドリアは直接関係しない。その後、酸素が十分に取り込まれている場合には、解糖系で作られたピルビン酸がミトコンドリアの中に入り込み、ATPが合成されることになる。

エネルギーの特徴は、一見全く性質が異なると思われる別のタイプのエネルギーに変換できることにある。そして、電気エネルギーから化学エネルギーに変換するのがミトコンドリアのATP合成反応です。ピルビン酸は専用のゲートを通ってミトコンドリアの二重膜を抜け、マトリックス内に入る。ここでピルビン酸は『アセチルCoA(コエー)』という物質に変換され、続いて、このアセチルCoAはマトリックス内で『クエン酸回路』という反応(アセチルCoAが二酸化炭素にまで分解される反応のこと。)経路によって代謝される。
クエン酸回路は、アセチルCoAが最初に変換される物質がクエン酸なのでこの名がある。また発見者の名にちなんでクレブス回路と呼ばれたり、クエン酸がカルボキシル基という構造を3つもっているので、トリカルボン酸回路(TCA回路)と呼ばれたりする。
クエン酸回路に入ったアセチルCoAは様々な代謝中間物へと変換されていき、その過程で水素原子がいくつか引き抜かれ、二酸化炭素が放出される。引き抜かれた水素はガスとして放出されるのではなく、補酵素と呼ばれる「物質群に吸収される。これらの補酵素はビタミンから合成されるので、ビタミンが不足するとエネルギー代謝はスムーズにいかなくなる。
次の最終ステップが電気エネルギーから化学エネルギーへの変換システムだ。ここでようやく酸素が登場し、大量のATPが合成される。『電子伝達系』あるいは<呼吸鎖>と呼ばれる反応です。
この反応経路を司る酵素はミトコンドリアの内膜に埋め込まれているので、反応は内膜上で進行する(エネルギーを大量に必要とする心筋では、内膜の表面積を増やすためクリステが発達している)。クエン酸回路で水素を吸収した補酵素が出来るが、ここから酵素の働きによって、その水素が引き抜かれ、水素イオンと電子に分離される。
水素イオンはプラスの電荷を持っており、電子はマイナスの電荷を持っている。この水素イオンだけがマトリックスから膜間スペースに放出される。そして、ミトコンドリア内膜の外側では水素イオン濃度が増して酸性になり、プラスの電荷が蓄積し、マトリックス側はアルカリ性でマイナスになる。ミトコンドリアの内膜(絶縁体)にプラスとマイナスの電位がかかることによって、ミトコンドリアには莫大な電気エネルギーが蓄えられる。
精子の尾 2011年、理化学研究所は、細胞内でエネルギーを作る働きを持つミトコンドリアに、細胞を形作る<骨格>の機能があることを突き止めた。
ショウジョウバエの精子が出来る過程を詳しく観察。ミトコンドリアが細胞を内側から押しのばし、精子の長い尾を作っていることが分かった。
ミトコンドリアはほぼすべての真核細胞にあり、糖や酸素などを使ってエネルギーを作り出す働きを持っている。ショウジョウバエの精子では尾の部分に巨大なミトコンドリアがあるが、エネルギーを作る以外の働きは知られていなかった。



細菌 生物に取り込まれた「細菌」。
1996年、「細胞の中に、エネルギー生産を受け持つ『ミトコンドリア』という小器官がある。もともと独立した細菌だったが、15億年前に、我々の祖先に当たる生物が取り込んだと考えられている。おもしろいことに、次の世代の生命誕生につながる生殖細胞はミトコンドリアの命令で形づくられるらしい。
動物や植物の体は、器官や組織をつくる体細胞と、わずかな生殖細胞とで出来ている。発生の早い時期、体細胞はそれぞれの器官や組織にふさわしいように分化していく一方で、生殖細胞は未分化のまま保たれる。
多くの動物の受精卵では、細胞質の中に、ある色素に濃く染まりやすい部分があり、そこを取り込んで分かれた細胞が生殖細胞になる。そこで、この細胞質の部分から、『生殖細胞になれ』と指令を出す物質を見つける努力が100年以上にわたって続いていたが、その正体は分からなかった。
筑波大学生物科系のグループは、ショウジョウバエを使った実験で、その指令役の1つを突き止めた。
ショウジョウバエの細胞質では、生殖細胞をつくる部分が卵の末端にある。この部分に紫外線を当てて生殖細胞を生む能力を失わせた卵に、さまざまな物質を注射した。驚いた事に、細胞内のミトコンドリアが含むRNA(リボ核酸)を注射すると、其の能力を取り戻した。
このRNAは、普通ミトコンドリアの中にあって、この小器官のために働いているが、生殖細胞づくりのときだけは、外に飛び出して、「本業」以外の働きをするらしい。
そこで、このRNAを切るリボザイムという物質を開発し、卵に注射したところ、確かに生殖細胞が出来なくなった。ミトコンドリアが生殖細胞づくりに大きな役割を果たすことの証明だ。
カエルの卵でも、生殖細胞を生み出す部分の細胞質に、ミトコンドリアのRNAがとびだしていることが分かった。
“寄生するものは、生き残りをかけて宿主の生殖細胞にとりつく。自分の居場所を生殖細胞にしてしまえば、もっと効果的だ”と、同大遺伝子実験センターの小林悟講師。
生殖細胞は先祖から引き継がれた鎖。ミトコンドリアは、増殖をはじめとするほとんどの活動を宿主に明け渡したと見せかけて、実は生命の主導権を乗っ取ったのだろうか。もちろん、生殖細胞の分化には、別のタンパク質もいくつかかかわっている。ほ乳類の卵には、こうした生殖細胞のもとになる細胞質物質が見つかっておらず、ハエで分かった原理はそのままでは通用しない。
母親の体内で発生が進む、ほ乳類は観察が難しい。しかも、卵と子宮の間でも指令役となる物質のやりとりがあって複雑な為、ほ乳類の生殖細胞の起源を探る研究は遅れている。
だが、“最近、マウスの始原生殖細胞1個を取り出して培養出来るようになった。ほ乳類のナゾ解きも加速しそうだ”と、岡崎国立共同研究機構基礎生物学研究所の長濱嘉孝教授は期待している。
支配 支配されるミトコンドリア
2002年、「私たちの体を構成する細胞の中にはミトコンドリアと呼ばれる小さな粒が存在し細胞が必要なエネルギーを生む「発電所」の役割を担っている。
ミトコンドリアは細胞に入り込んだ細菌が細胞によって飼い慣らされたなれの果てらしいことが最近の研究によって分かってきた。
ミトコンドリアは細胞内にある長さ2マイクロ(1マイクロ=1/100万)bほどの小さな粒。
酸素を利用して細胞のエネルギー源となるATP(アデニシン3リン酸)という物質を作り出す。
この小さな粒が実は太古の昔に細胞に入り込んだ細菌だと提唱したのが、米ボストン大学のリン・マーグリス博士だ。
同博士の「細胞内共生説」によると、20億年以上昔の地球には3種の単細胞生物がいた。
   @人間を含む動植物細胞(真核細胞)の祖先。
   Aミトコンドリアの祖先(αプロテオ細菌)
   B葉緑体の祖先
@の細胞にミトコンドリアの祖先が入り込み、大気中の酸素を利用して活動する新しい生物が誕生、ここから多くの生物が生れた。この細胞にさらに葉緑体の祖先が入り込んだのが、光合成をする植物細胞だ。
1990年代半ばに映画化された瀬名秀明氏のベストセラー小説「パラサイトイブ」は、この細胞内共生の考えをヒントにして書かれた作品だ。

しかし最近の研究でミトコンドリアや葉緑体の立場は共生どころか、「居候先の宿主細胞の生殺与奪の権を握られた隷属的なものであることが分かってきた」と東京大学の黒岩常祥教授は話す。
宿主細胞による支配機構の
第1は、遺伝子の抜き取り。
  • ミトコンドリアのDNA(デオキシリボ核酸)はごくわずか(約17000塩基対)で、一人前の生物として活動するには足りない。居候を始めた直後に遺伝子の約90%を宿主細胞の核内に取られてしまったと考えられる。
    小さな会社が大会社の傘下に入った途端、幹部社員を親会社にとられてしまったようなものだ。ミトコンドリアは自立して生きることが出来なくなった。
第2は、分裂リングだ。
  • 単細胞生物は分裂するときにタンパク質で出来た輪を細胞の周囲に作り、これが縮んで2つに分かれる。ミトコンドリアや葉緑体も分裂時にリングを作るが、宿主細胞はその上に重ねて一段と強力なリングを作り、ミトコンドリアの分裂をコントロールする。分裂・増殖も「親会社」の思いのままだ。
第3は、宿主細胞はミトコンドリアの「結婚」にも介入する。
  • 雌雄の違いがある単細胞生物が合体すると、細胞核にある遺伝子は雌雄のものが混ぜ合わされ、子孫に多様な遺伝的性質が生まれるよう工夫されている。ミトコンドリアの遺伝子は違う。雄の細胞にあったDNAは合体の直後、宿主細胞が作った酵素で分解されてしまう。したがってミトコンドリアにはメスの遺伝子しか伝わない。人間など高等生物では雄の生殖細胞(精子)が小型でミトコンドリアDNAが少量しか入っていないことが母方の遺伝子しか伝わらない理由と考えられがちだが、DNA量の問題ではない。量がどれほどあっても雄のミトコンドリア遺伝子が確実に分解される仕組みがある。
ミトコンドリアが多様性を得て支配を抜け出さないようにする仕組みと考えられる。
タンパク質 (Tim50)
ミトコンドリアの活動に不可欠なタンパク質
2002年、「名古屋大学の遠藤斗志也教授らは、細胞内でエネルギーを作る器官ミトコンドリアの活動に不可欠なタンパク質を発見した。様々なタンパク質がミトコンドリアに入る時の、取り込み口の役目を果たしていた。
ミトコンドリアは二重膜で覆われ、エネルギー合成に必要なタンパク質などを膜を通して取り込んでいる。遠藤教授らは、内側の膜にあり、中に取り込むタンパク質が取りつく『Tim50』というタンパク質を見つけた。遺伝子操作でこのタンパク質のないミトコンドリアを作ると、外部のタンパク質はミトコンドリア内に移動できなくなった。
ミトコンドリアの内膜で、通過口の役割をしているとみられるタンパク質はこれまでに3種類見つかっている。外側の膜を透過中のタンパク質と結合しやすいのはTim50だけであることも分かった。
ミトコンドリアは、細胞の自然死(アポトーシス)や老化などと密接に関わっているとみられる。」
複製 DNAの複製について
2006年、「理化学研究所は、細胞内にある小器官[ミトコンドリア]のDNAの複製について新しい仕組みを解明した。従来からの定説をは異なり、遺伝子の組み換えと同じ反応で複製が始まるという。成果は米学術誌モレキュラー・セルラー・バイオロジーに掲載。
柴田武彦・理研上席研究員らは、酵母を使って正常なミトコンドリアDNAを変異を持つものを掛け合わせ、DNAが複製され、子孫に伝わる過程を調べた。複製が始まる際、DNAの2本の鎖が切断されるなど、遺伝子が組み変わるときと同じ反応が起こることが分かった。
従来はRNA(リボ核酸)の合成から始まるのが定説とされていた。
細胞内にあるミトコンドリアDNAは突然変異が起きやすいのに、すべてDNAの配列が同じ「基本状態」に効率よく復元されるナゾが、今回の成果で説明できる。
翻訳因子 RRF2・・・再生タンパク質を発見
「2009年、東京大学の上田卓也教授らのチームは、細胞内のミトコンドリアを作るために必要なタンパク質を突き止めた。
発見したタンパク質は『RRF2』
ミトコンドリア内で細胞が生きるのに必要なタンパク質を生み出す小器官「リボソーム」の再生を促す。細菌などでは同様の働きをするタンパク質が見つかっていたが、ミトコンドリア内のリボソームでははじめて。
リボソームは一度壊れても「翻訳因子」と呼ぶタンパク質があると修復されて再びタンパク質を作るようになる。RRF2も翻訳因子の1つ。
6種類 「2009年、産業技術総合研究所は、ミトコンドリアの膜タンパク質が6種類しかない可能性が高いことを突き止めた。従来考えられていた数(100種類)より大幅に少ない。
ミトコンドリアを覆っている生体膜を貫いて外部との物質のやりとりを制御するβ型外膜タンパク質に特有の『βシグナル』というアミノ酸配列に着目。
ミトコンドリアを構成する9000種類以上のタンパク質の配列をコンピューター解析したところ、既に知られているものを含めて6種類しか見つからなかった。
細胞内で働くミトコンドリアは、生物が酸素を呼吸してエネルギーを作り出す上で大きな役割を担っているとともに、異常を起こすとガン糖尿病などにつながる。
ミトコンドリアはバクテリアが祖先と考えられ、バクテリアと同じように100種類以上の膜タンパク質を持つと見られていた。」
ガンの転移 ガンの転移を誘発
筑波大学のチームは、細胞内にあるミトコンドリアDNAの突然変異が、ガン細胞の転移を誘発する仕組みを動物実験で明らかにした。
2008年4/4のサイエンス電子版に発表。
ミトコンドリアはエネルギーを作り出すのに欠かせない細胞小器官。筑波大の林純一教授らはマウスの肺ガン細胞を使い、転移性の高い細胞とそうでない細胞とを分類、お互いの細胞でミトコンドリアを入れ替える実験を繰り返した。
ミトコンドリアのDNAが、ガンの転移に深く関係していることが判明。
転移性の高い細胞のミトコンドリアDNAを詳しく調べたところ、細胞の機能低下や老化を招く活性酸素を増加させることも分かった。
ガン細胞は死なずに増殖を続けることが知られている。活性酸素の蓄積で細胞が自然死する「アポトーシス」を抑える因子も増加していた。
分解 2009年、自然科学研究機構・基礎生物研究所のチームは、細胞内の不要なミトコンドリアが分解される仕組みの一端を解明した。酵母の細胞内を蛍光顕微鏡や電子顕微鏡で詳細に観察した結果。
岡本浩二研究員らの成果で、デベロップメンタル・セルに掲載。
パンやビールの製造に使う出芽酵母の変異体約5150種について、エネルギーを作り出す働きがあるミトコンドリアが分解される様子を蛍光タンパクを使って観察。ミトコンドリアの分解が起きない変異株を見つけ詳しく調べたところ、機能が知られていない特定のタンパク質を作る遺伝子が壊れていた。
研究グループはこの遺伝子を『Atg32』と命名した。
さらに解析を進め、ミトコンドリアが分解されるうえで必要な物質であることを突き止めた。ミトコンドリアが傷つく原因となる活性酸素がたまると、[Atg32]がくっついて分解が進むという。
遺伝子 分裂に関与する遺伝子
2009年、立教大学の黒岩常祥特任教授らのチームは、細胞内の小器官であるミトコンドリアが分裂するときに働く遺伝子を突き止めた。
研究チームは、紅藻の一種である単細胞生物「シゾン」に注目。
この生物が細胞分裂を起こす際に、葉緑体とくっついた状態のミトコンドリアを取りだし、世界で初めてミトコンドリアの分離に成功した。タンパク質を解析した結果、ミトコンドリアが分裂する際に働く遺伝子を約20個突き止めた。
遺伝子のほとんどがシゾンのものだったが、『FtsZ』と『Z』の2つの遺伝子はほかの細菌由来のものだった。
ミトコンドリアは1つの細胞の中に300個ぐらいある。
細胞が分裂する際にミトコンドリアも分裂するが、壊れやすいため分裂時の様子をとらえるのが難しかった。
ミトコンドリアはもとの細菌が細胞に寄生してできたが、これらの遺伝子はその名残という。
異物 ミトコンドリアDNAに異変
2010年、筑波大学の林純一教授と国立国際医療研究センターのグループは、細胞内の小器官であるミトコンドリアDNAに変異があると、体の免疫がその細胞を異物と判断して攻撃することをマウス実験で発見した。
ミトコンドリアはエネルギーを合成する役目を担う小器官で、独自のDNAを持つ。
このDNAにわずかな変異があると、細胞表面にも変化が現れ、免疫が異物と認識するようになることが分かった。
従来は、免疫とは関わりがないと見られていた。
iPS細胞を応用した再生医療では患者本人の細胞を使うと、免疫から異物として攻撃されないと考えられているが、ミトコンドリアDNAに老化で変異が蓄積した細胞を使うと、攻撃される可能性がある。
食べられて 消滅・・・父親のミトコンドリア
2011年、父親のミトコンドリアは食べられて消滅し、遺伝子は次世代に伝わらない・・・。細胞の中でエネルギーをつくる小器官ミトコンドリアで、母親のミトコンドリアの遺伝子のみが伝わる母性遺伝をするのは、受精卵の中で「自食」という作用が起きて、父親のミトコンドリアを分解するためとする研究結果を群馬大の佐藤健教授と妻の美由紀助教が10/14サイエンス(電子版)に報告した。
自食は細胞が飢餓状態になったときに自らの一部を分解して栄養源に使う場合などに起こる。佐藤教授らは、実験用生物である線虫のミトコンドリアを着色し受精卵を調べた。精子由来のもののみが受精直後に特殊な膜に包まれ、酵素によって徐々に分解される様子が観察された。卵子のミトコンドリアは残っていた。
なぜ父親のものが排除されるかは分からない。


TOPなおるナオル病院ランキング血液検査くすり情報針灸よく使う漢方薬会員サービス