ようこそ!!     ドクトルアウンの気になる健康情報 へ     シッカリ食べて  ・・・  バリバリ働き  ・・・  グッスリ休んで ・・・ ドッサリうんちをする。     そんな私に・・・・・なりたい。    
情報TOP




網膜炎(網膜・視路障害)



HOME ブログ 通 販 通販カタログ 病名(症状) 漢方薬 医薬品(一般名・商品名)




広告


関連情報 見にくい
目の構造
網膜剥離
網膜
糖尿病性網膜症
網膜色素変性症




網膜・視路障害
英語名:Retina and Optic Pathway Disorders 
 (厚生労働省
網膜・視路障害とは
  • 「視力が下がる」、
  • 「近くのものにピントが合いにくい」、
  • 「色が分かりにくくなる」、
  • 「暗くなると見えにくくなる」、
  • 「視野が狭くなる」、
  • 「視野の中に見えない部分がある」、
  • 「光りが見える」、
  • 「ものがゆがんで見える」
  • がみられ、その症状が持続あるいは急激に悪くなる。

医薬品による網膜・視路障害とは?
  1. 網膜・視路障害とは、目で見た像を写す網膜と、その情報を脳へ伝える視神経やその先の経路(=視路:網膜の情報が、視神経を経て、脳の後頭葉にある第一次視覚中枢に至る経路全体をさす)に現れる変化です。
  2. 両方の目に同時に、しかも同じ程度に起こることが一般的ですが、時に片眼からはじまることもあります。
  3. 必ず起こるものではありませんが、一部の医薬品が原因となることが知られています。放置しておくと重症となり、元に戻りにくくなるので、早めに対処することが大切です。
  4. 発症メカニズムについては、医薬品による網膜や視神経への毒性によるものが考えられていますが、いまだに不明な点が多いのが現状です。

早期発見と早期対応のポイント
  1. 「視力が下がる」
  2. 「近くのものにピントが合いにくい」
  3. 「色が分かりにくくなる」
  4. 「暗くなると見えにくくなる」
  5. 「視野が狭くなる」
  6. 「視野の中に見えない部分がある」
  7. 「光りが見える」
  8. 「ものがゆがんで見える」
がみられ、
医薬品を服用している場合は、放置せずに、直ちに医師・薬剤師に連絡してください。
  1. 原因と考えられる医薬品の服用からこれらの症状が現れる期間は一定しておりません。
  2. 数日後、場合によっては数か月経ってから起こることもあります。
  3. いずれの症状も両方の目に起こることが一般的ですが、時に片眼からはじまることもあります。
  4. なお、医師・薬剤師に連絡する際には、服用した医薬品の種類、服用からどのくらい経っているのかなどを伝えてください。





(1)早期に認められる症状
  • 医薬品服用後の
    • 「視力が下がる(視力低下・霧視)」、
    • 「近くのものにピントが合いにくい(調節障害)」、
    • 「色が分かりにくくなる(色覚障害)」、
    • 「暗くなると見えにくくなる(夜盲)」、
    • 「視野が狭くなる(視野狭窄)」、
    • 「視野の中に見えない部分がある(暗点)」、
    • 「光りが見える(光視症)」、
    • ものがゆがんで見える(変視症)
    医療関係者は、上記のいずれかが認められ、その症状の持続あるいは悪化が認められた場合は、早急に眼科に紹介する。
(2)副作用の好発時期
  • 原因医薬品の服用から副作用の発現までの期間は一定せず、数日から数ヶ月以上のこともある。
  • なお、これらの副作用は、両眼に同時に同程度に起こるのが一般的であるが、時に片眼から始まることもある。
(3)患者側のリスク因子
  • 網膜や視神経疾患の既往のある患者には、注意して医薬品を使用する。
  • 高齢者や、肝・腎機能障害のある患者では、注意して医薬品を使用する。
  • また、これらの患者では、当該副作用を生じた場合、症状が遷延化・重症化しやすい。
(4)推定原因医薬品
推定原因医薬品は、    など広範囲にわたり、
   その他の医薬品によっても発生することが報告されている
(5)医療関係者の対応のポイント
  • 視力低下・霧視、調節障害、色覚障害、夜盲、視野狭窄、暗点、光視症、変視症が主要症状である。
  • 以上の症状が起こった場合は、眼科医に紹介し、診断と症状の程度を確認してもらう。
  • 副作用と診断された場合は、原因医薬品の服用を中止し、引き続き眼科医に症状の推移を注意深く観察してもらい、必要に応じ適切な治療を行うことが重要である。
[早期発見に必要な検査項目]
  • ・視力検査(遠方視力、近方視力)
    ・眼底検査(蛍光眼底造影検査を含む)
    ・アムスラー チャート
    ・視野検査
    ・色覚検査
    ・中心フリッカー
    ・網膜電図(ERG)




「網膜障害」
副作用の概要
  • 薬物投与の副作用として惹起される網膜障害の主たるものとして、
    • 網膜浮腫、
    • 網膜出血、
    • 色素沈着、
    • 血管閉塞
    などが報告されている。
(1)自覚症状
  • 網膜障害は一般的に病巣に一致した視野障害、視力障害で発症することが多いが、周辺視野の異常は自覚されないことも多い。
  • また、病巣が黄斑に出現すると、典型的な症状として視力低下、中心暗点、歪視症が出現する。
  • また、硝子体出血を起こすと急激な視力低下を来して受診することもある。

(2)他覚所見
  • 眼科一般検査:網膜障害が疑われる際には、一般的な眼科の検査として、視力検査、視野検査などを行ったのち、眼底検査を行って確定診断を行う。
  • 通常は、典型的な眼底所見から診断は容易である

(3)画像検査所見
  • 画像診断は補助診断として有用である。
  • 蛍光眼底造影検査が行われる。フルオレセイン蛍光眼底造影検査を行い、鑑別診断や、疾患活動性を判定することができる。
  • その他の検査としては、網膜浮腫を詳細に観察するために、光干渉断層計(OCT)なども行われる。また、出血などによって眼底検査ができないときには超音波検査(B モードエコー)が行われる。
  • 鑑別診断のために電気生理学的検査(ERG)などが必要となることもある。
(4)発症機序
  • 黄斑浮腫、網膜浮腫:
    • 黄斑浮腫とは黄斑部に浮腫性の変化を来す病態で、さまざまな血管障害の結果として起こる。
  • 網膜出血:
    • 網膜血管炎や、血液の粘性の変化、高血圧、新生血管の形成、凝固系の異常などにより生じると考えられる。
  • 網膜色素沈着:
    • 網膜色素上皮の障害の結果として生じる。
  • 網膜血管閉塞:
    1. 網膜静脈閉塞症は
      • 主として、網膜の動静脈の交叉部位で動脈が静脈を圧迫することによって起きる。静脈から血液成分の漏出が起こり、眼底出血や網膜浮腫を起こす。閉塞はいろいろな部位で起こりうる。
        血液の粘性が増す場合に起こりやすいとされている。
    2. 網膜動脈閉塞症は
      • 動脈硬化、栓子の網膜動脈への付着、網膜動脈炎などによって起こる。
(5)医薬品ごとの特徴
  • アドレナリン、ピロカルピン、ニプラジロール、ラタノプロスト、チモロール、カルテオロールなどの点眼、イマチニブ、タモキシフェンの内服:黄斑浮腫
  • プレドニゾロン、メチルプレドニゾロンの内服:網膜浮腫
  • ワルファリン、インターフェロンα、ペグインターフェロンα、ボリコナゾールの全身投与:網膜出血
  • クロルプロマジンなどのフェノチアジン系抗精神病薬の内服:網膜色素沈着
  • 経口避妊薬、ノルゲストレル、エチニルエストラジオール、ラロキシフェンの内服:網膜血管閉塞
(6)副作用発現頻度
  • インターフェロンα使用による網膜症は0.1~5%未満、
  • ペグインターフェロンα使用による網膜症は1~5%未満との報告が存在する。
  • その他の薬物については、頻度は不明のものが多い。
(7)自然発症の頻度
  • 自然発症の頻度は明らかではない




副作用の判別基準
(1)概念
  • 薬物を服用後に眼底に出血、色素沈着、黄斑浮腫などを生じる。視力障害を認めることがある。薬物服用後に視力低下、変視などの自覚症状がみられた場合には眼底検査を施行し、以下の主要所見の有無を判断する。
(2)主要眼底所見
  • ①黄斑浮腫、網膜浮腫
    • アドレナリン、ピロカルピン、ニプラジロール、ラタノプロスト、チモロール、カルテオロールなどの点眼により生じる。イマチニブ、タモキシフェンの内服により黄斑浮腫を生じることがある。プレドニゾロン、メチルプレゾニドロンなどの副腎皮質ステロイド薬の全身投与により中心性漿液性脈絡網膜症に類似した網膜浮腫を生じることがある。
  • ②網膜出血
    • ワルファリン、インターフェロンα、ペグインターフェロンα、ボリコナゾールの全身投与により網膜出血を生じることがある。
  • ③網膜色素沈着
    • クロルプロマジンなどのフェノチアジン系抗精神病薬の内服により網膜に線状、点状の色素沈着を生じることがある。
  • ④網膜血管閉塞(網膜動脈閉塞、網膜静脈閉塞)
    • 経口避妊薬、ノルゲストレル、エチニルエストラジオール、ラロキシフェンの内服により網膜血管閉塞を生じることがある





判別が必要な疾患と判別方法
(1)網膜出血を生じる他の眼底疾患      などが代表的である。
  • 糖尿病網膜症、高血圧網膜症については全身的な糖尿病、高血圧の有無をチェックする必要がある。
  • インターフェロン網膜症などの場合には糖尿病網膜症に類似した網膜出血を生じ鑑別診断に苦慮する場合も多い。
  • 黄斑浮腫、網膜浮腫のみで網膜出血がみられない場合には、
    1. 中心性漿液性脈絡網膜症
    2. 多発性後極部網膜色素上皮症
    などとの鑑別を要する。
(2)網膜色素沈着を生じる疾患
  • 網膜色素変性(症)、Vogt-小柳-原田病の長期経過後の症例などが鑑別の対象となる。
  • 網膜色素変性(症)については遺伝歴、網膜電図などの電気生理学的検査により鑑別する。
  • Vogt-小柳-原田病についてはぶどう膜炎のエピソードの有無や脱色素、脱毛などの他の全身症状を参考とする。




治療方法
  • まず被疑薬の服用を中止あるいは減量する。
  • 原因疾患に対する被疑薬の代替薬がない場合で、中止あるいは減量により原因疾患の身体への影響が被疑薬の副作用を上回る場合には、厳重な眼科的管理のもと被疑薬の服用を継続する。
黄斑浮腫、網膜浮腫
  • 中心性漿液性脈絡網膜症に類似した網膜浮腫が遷延する場合、浮腫の原因となる部位にレーザー光凝固を行う。
網膜出血
  • 血管強化・止血剤(カルバゾクロムスルホン酸ナトリウムとして1 日30~90mg を3 回に分服
網膜動脈閉塞
  • 発症早期に速やかな治療を要する。眼圧下降を目的とする眼球マッサージや前房穿刺を行い、線溶療法(血栓溶解剤ウロキナーゼ12 万~24 万単位を1日1回の点滴)(承認適応外)や血管拡張療法として亜硝酸アミルの吸入(承認適応外)、硝酸イソソルビド舌下投与(承認適応外)、高圧酸素療法、星状神経節ブロックなどを行う。
網膜静脈閉塞
  • 網膜新生血管、血管新生緑内障、硝子体出血などの合併症が生じていたり、生じる可能性がある場合は、レーザー光凝固や硝子体手術を行う。




典型的症例概要
  • プレドニゾロン服用中に発症した中心性漿液性脈絡網膜症に類似した網膜浮腫
    • 【症例】40 歳代、女性
      (初 診):2004 年6月
      (主 訴):左眼 視野の中心部のゆがみ
      (家族歴):特記すべきことなし
      (既往歴):潰瘍性大腸炎にて1999 年と2001 年に約1か月の入院(プレドニゾロンは未使用)。
      (現病歴):
      • 2004 年4月入院にて潰瘍性大腸炎に対してサラゾスルファピリジン内服に加え、プレドニゾロン(PSL)点滴(50 mg/日)3日、PSL 点滴(40 mg/日)3日、PSL 内服(40 mg/日)7日、PSL 内服(30 mg/日)6日、PSL内服(25 mg/日)10 日、PSL 内服(50 mg/日)1日、PSL 点滴(50 mg/日)13 日、PSL 点滴(40 mg/日)7日、PSL 投与開始から47 日目でゆがみを自覚し、眼科受診となった。
    • (初診時現症):
      • 視力:右0.8(矯正1.2)、左0.5(矯正0.8)
        眼底検査にて左眼黄斑部に中心性漿液性脈絡網膜症に類似した網膜浮腫を認めた。
      • ↑左眼眼底写真。
        黄斑部に網膜浮腫
        (漿液性網膜剥離)を認めた
        (→に囲まれた範囲)。
        ↑左眼光干渉断層計。
        黄斑部中心窩下に網膜下液
        を認めた
    • (経 過):
      • PSL は、徐々に減量し、中止となる。PSL 点滴(40 mg/日)5日、PSL点滴(30 mg/日)7日、PSL 点滴(10 mg/日)7日、PSL 点滴(5 mg/日)6日でPSL 使用中止。
        2004 年9月;左眼矯正視力1.0 網膜浮腫は消失した
      • ↑左眼眼底写真。
        黄斑部に網膜浮腫
        (漿液性網膜剥離)は認めなかった。
        ↑左眼光干渉断層計。
        黄斑部中心窩下に網膜下液
        を認めなかった。




「視路障害」
副作用の概要
  • (1)自覚症状
    • 見えにくい、見えない、見ようとしている場所が見えない、雲がかかって見える、霧の中で見ているようだ、色が鮮明でないなど。
  • (2)他覚所見
    • 視力低下、視野障害(中心暗点、盲斑中心暗点、時に水平半盲)、色覚異常(色覚異常は視力が温存されている時期より発症することもある)、中心フリッカー値の低下(鋭敏)、コントラスト感度の低下。
  • (3)検査所見
    • 検眼鏡的に乳頭発赤、腫脹。原因薬物によっては球後視神経症のかたちをとり乳頭は正常にみえることもある。いずれも萎縮期に入ると乳頭は蒼白となる。対光反射が減弱することが多い。頭部MRI、CT 検査では異常が検出できないことが多い。
  • (4)病理組織所見
    • 薬物により異なるが、脱髄、神経節細胞の消失、最終的に視神経がびまん性萎縮に陥る。エタンブトール視神経症では視神経・視交叉視神経の他、網膜のアマクリン細胞、双極細胞への影響も考えられている。
  • (5)発症機序
    • 詳細な発症メカニズムはほとんどの薬物で不明である。視神経の脱髄、変性、網膜神経節細胞の萎縮、消失が一般的であるが、血管炎、血管周囲炎による二次的なもの、頭蓋内圧亢進によるくも膜視神経圧迫も一因との報告をみる。
      エタンブトールは視神経内でミエリン蛋白質のリン酸化阻害作用を有することが悪化要因となる。さらに代謝障害、栄養障害、腎機能障害、糖尿病、貧血、アルコール中毒、高齢なども悪化要因となる。一方、エタンブトールに対してキレート作用を持つ亜鉛が欠乏することが一つの要因とする説があり、低亜鉛血漿(0.7mg/L 以下)も危険因子として挙げられている。動物実験では亜鉛分布の希薄な視交叉部に異常が起こりやすいことが指摘されている
  • (6)医薬品ごとの特徴
    • ある種の抗癌剤、抗菌薬、また抗不整脈薬であるアミオダロンなどは、エタンブトールのように用量依存的に副作用が生じると考えられている。
      ただし、アミオダロン関連視力障害の病型は、虚血性視神経症に類似したもの、脳圧亢進症に匹敵するものなど種々のものが報告されていて、その発症機序は不明で、単一ではない可能性も指摘されている。また、メタノール中毒のように少量でも不可逆性の視神経症を生じるものもある。
  • (7)副作用発現頻度
    • 報告によりまちまちであるもののエタンブトールでは1~3%に起こるとされている。抗菌薬、抗癌剤などによる視神経への副作用は単発、数例の症例報告をみるが発現頻度は明らかではない。



副作用判別基準
  • (1)概念
    • 被疑薬投与後、通常数日から数か月を経て視力、視野障害を生ずる。網膜神経節細胞からその軸索突起である視神経のどこかに、薬物性の障害が惹起された場合をいう。外側膝状体より中枢側に病変が生ずる場合もまれにあるが、ここでは取り上げない。
  • (2)主要所見
    1. 自覚症状 視覚障害を意味する種々の自覚症状がありうる。視力、視野異常の自覚の他、霧視、色覚変化、暗いなどで気づくこともある。
      両眼性が原則だが、左右差がある場合や、発症初期に片眼性のこともある。
    2. 対光反射の減弱は種々の程度みられるが、視神経炎や虚血性視神経症ほど明確でない例も少なくない。相対的瞳孔求心性障害(RAPD)は両眼性でも多くの例に検出されるが、左右差がほとんどない場合は検出しにくいことがある。
    3. 矯正視力の低下、視野異常(種々の形があるが、中心暗点、傍中心暗点、盲斑中心暗点の形をとる場合が多い)はほぼ必発である。
    4. 視神経乳頭は正常か腫脹している。後期には萎縮する。進行につれて神経線維層欠損も種々の程度みられる。
  • (3)副所見
    • 中心フリッカー値の低下、色覚検査における異常、コントラスト感度低下など、視機能異常が併発している。視覚誘発電位の振幅低下もしくは消失もみられる。




判別が必要な疾患と判別方法
(1)既存疾患
  1. 種々の原因による弱視、視神経低形成、異形成など先天異常、開放隅角緑内障などによる視力低下、視野異常は除外すべきである。これらは、必ずしも自覚していない場合があり、判別が難しいことがある。
  2. さらに難しいのは、こうした既存疾患があったうえに薬物副作用が重複した場合である。したがって、リスクのある薬物投与前には眼科的視機能評価をしておくことが望ましい

(2)特発性視神経炎
  • 特発性視神経炎は、成人人口十万人に対し年間1、2 例の発生をみる。
  • 他疾患で薬物投与中に偶発的に発症することはありうる。
  • 一般に20~50歳代の女性にやや多い。
  • 多くは片眼性に比較的急激な視力低下が生じるが、詳細な検索では約60%は他眼にも何らかの視機能異常が証明される。
  • 典型例では発症前後に球後痛や眼球運動痛をみる。
  • 頭部MRI で視神経の高信号や脱髄プラークがみられるときは本症の可能性が高くなる。しかし、典型例は別にして、リスクのある薬物が投与されている場合は、薬物性の可能性を常に考慮すべきである。

(3)虚血性視神経症
  • 特発性視神経炎とともに二大視神経疾患であり、やはり60 代以上の高齢者に多いこともあって何らかの薬物投与が行われている例に偶発的に発症することはありうる。
  • 動脈炎(側頭動脈炎)性と非動脈炎性に分けられるが、後者が圧倒的に多い。
  • 乳頭腫脹(しばしば蒼白腫脹)がみられる前部虚血性視神経症と、みられない後部虚血性視神経症とがある。
  • 急激な視力低下または視野欠損で始まる。
  • 前部型では水平、特に下半盲を呈することが多い。
  • 非動脈炎性では通常、高血圧、動脈硬化、糖尿病、心疾患など循環障害の危険因子を有するが、夜間低血圧や睡眠時無呼吸をリスクに挙げる研究もある。
  • 若年者に生ずる場合は、小乳頭など局所因子の存在も重要視される。
  • 薬物性との判別は容易でなく、本症の典型例は別にして、リスクのある薬物(参考1参照)が投与されている場合は、薬物性の可能性を常に考慮すべきである。

(4)レーベル遺伝性視神経症
  • 10~40 代の男性に発症しやすい遺伝性視神経症で、比較的急激な視力低下が両眼ほぼ同時に、時に片眼から生じ、時をおいて両眼性になる。
  • 発症様式や初期には眼底所見が比較的正常なこと、対光反射が比較的保たれることなど、薬物性と類似した臨床所見があるが、ミトコンドリアDNA の特異的な点変異を確認すれば判別は容易である。

(5)その他の視神経症など
  • 視神経障害や視神経乳頭に腫脹所見を呈するあらゆる疾患が判別対象になる。
  • 特に、薬物投与の対象となっている原疾患の合併症としての視神経症は時に鑑別が困難である。
  • 例えば、自己免疫的機序が想定される全身性エリテマトーデス (SLE)に伴う視神経症や自己免疫性視神経症、結核、腎症、悪性腫瘍、悪性リンパ腫などに伴う視神経、視路の合併症には注意すべきであろう。
  • この中には、新生物随伴症候群( paraneoplasticsyndrome)も含まれる




治療方法
  • 薬物性視神経症は多い合併症ではないが、一度起こすと、回復せず、しかも両眼性の重篤な視力低下を来す。
  • エタンブトールによる視神経症も回復傾向があるといわれているが、予後不良のものも決して少なくはない。
  • 以下の事項に細心の注意を払い、早期発見に努め、早期中止を行うことが最も望ましい。
  1. 視神経症を起こしうる薬物を理解しておくこと
  2. 投与量の配慮
    • エタンブトール中毒性視神経症の発症は1 日における体重あたりの投与量に依存し、総投与量や投与日数とは相関せず、25 mg/kg/日以下では発症は少なく、15 mg/kg/日以下で発症は比較的まれと報告されている。このため、用量への留意が必要である。
  3. 投与前の眼科的診察
    • 視力、視野、視神経疾患(緑内障を含む)などの既往の有無などを精査しておく。
  4. 早期発見
    • 亜急性ないし慢性の視力低下が初期症状の典型である。両眼性に発症するが、必ずしも同時発症とは限らない。他に、視野の狭窄や色覚異常のこともある。早期発見には次のことが大切である。
      • ①患者教育
        • 投与前に初期の自覚症状について患者に十分に説明して、理解してもらう。かすんで見える(霧視)、注視しているものが見づらい、黒ずんで見える、色調が変わって見えるなどの初期のわずかな変化を見逃さず、早期発見に努める。毎朝、片眼ずつ隠して新聞を見てもらうなどもひとつの方法である。
      • ②投与後の頻回の経過観察
        • 視力、視野、色覚、眼底検査などを定期的に行う。
  5. 早期中止
    • 中毒性視神経症が疑われたら、躊躇せずに直ちに投与中止に踏み切る。
  6. ビタミン薬の投与
    • ビタミンB12 薬やビタミンB 複合薬(B1、B2、B6、B12)を投与する(承認適応外)。
  7. 副腎皮質ステロイド薬の効果は期待できない。
    • 過去の報告では、効果はあっても一時的ないし軽微で、無効例も多い。むしろ、結核などの感染症が背景にある場合は悪化を招くので推奨されない。




典型的症例概要
  • 両症例ともエタンブトールによる中毒性視神経症である。一般に、投与開始直後には視神経症は起こらず、早いものでも2 ヶ月前後から発症してくる。発症は3 年後まで広い範囲で起こりうる。投与中止後も数ヶ月間は進行し、中止後数ヶ月から半年で回復傾向が出現してくる。しかし、中止後1 年以降の回復は難しいといわれている12)。なお、イソニアジドも視神経症を生じる可能性があるが原因はビタミンB6 欠乏によると考えられており、ビタミンB6 は必ず併用すべきである。
    エタンブトールによる中毒性視神経症は通常は可逆的で、回復する場合が多いといわれているが、予後不良のものも決して少なくない。症例1は回復例であるが、症例2 は非回復例である。投与中止が遅れた場合、視力0.1 以下のものは予後不良である。また、腎機能低下、糖尿病、貧血、高齢者、低体重者(40 kg 以下)は視神経症が発症しやすい。エタンブトールは視神経炎、糖尿病、アルコール中毒の患者、乳幼児は原則禁忌である。
【症例1】20 歳代、男性(体重 65 kg)
(主 訴):両眼視力低下
(現病歴):
  • 2005 年5 月20 日頃から、咳が続き、軽快しないため、6 月13 日近医を受診した。胸部レントゲン検査による肺結核の疑いにて当病院内科へ紹介された。肺結核の確定診断のもとエタンブトール(EB)(750 mg/日=11.5mg/kg/日)、イソニアジド(INH)(300 mg/日)、リファンピシン(REF)(450mg/日)の内服加療を6 月20 日から開始した。投与前の眼科的診察では、両眼とも矯正視力1.0 で、眼底も含め特記すべき異常は認められなかった。9 月26 日朝(投与3 ヶ月後)視力低下を自覚し、同日眼科再診となった。
  • (眼科再診時所見(2005 年9 月26 日)):
    • 矯正視力:右(0.5)、左(0.6)眼底:両眼視神経乳頭は正常視野:両眼中心暗点同日よりEB を中止し、ビタミン薬の投与を開始した(承認適応外)。
      ビタミンB12 薬 1,500μg/日ビタミンB 複合薬3 錠/日(チアミン塩化物塩酸塩75mg/日、ピリドキシン塩酸塩75mg/日、シアノコバラミン750μg/日)
  • (2006 年3 月6 日:中止5 ヶ月後):
    • 矯正視力:右(0.8)、左(0.9)
  • (2006 年5 月10 日:中止7 ヶ月後):
    • 矯正視力:右(1.0)、左(1.0)
      両眼とも視力はエタンブトール投与前まで改善し、中心暗点も消失した。

【症例2】60 歳代、女性 (体重 44 kg)
(主 訴):両眼視力低下
(現病歴):
  • 1999 年1 月15 日からの感冒様症状のため、近医を受診した。胸部レントゲン検査にて肺結核の疑いにより総合病院内科へ紹介された。非定型抗酸菌症の診断のもとエタンブトール(EB)(750 mg/日=17 mg/kg/日)、イソニアジド(INH)(300 mg/日)、リファンピシン(REF)(450 mg/日)の内服加療を始めた。4 月28 日(投与2 ヶ月後)より視力低下が出現し、5月5 日よりEB を中止、5 月7 日よりINH を中止した。5 月7 日同病院眼科受診、矯正視力右(0.1)、左(0.15)であった。ベタメタゾン8 mg (承認適応外)を投与されるも改善せず当科受診となった。
  • (既往歴):糖尿病なし
    (初診時(1999 年5 月12 日:中止1 週間後)眼科所見):
    • 矯正視力:右(0.08)、左(0.08)
      眼底:両眼視神経乳頭は正常
      視野:両眼中心暗点

    • 同日よりビタミン薬(承認適応外)、亜鉛製剤であるポラプレジンク(承認適応外)の投与を開始した。
    • ビタミンB12 薬 1,500μg/日
      ビタミンB 複合薬3 錠/日(チアミン塩化物塩酸塩75mg/日、ピリドキシン塩酸塩75mg/日、シアノコバラミン750μg/日)
      ポラプレジンク 150 mg/日
  • (1999 年10 月6 日:中止5 ヶ月後):
    • 矯正視力:右(0.1)、左(0.1)
  • (2006 年3 月29 日:中止7 年後):
    • 矯正視力:右(0.1)、左(0.1)
      視神経乳頭は耳側蒼白(図4)で、視力、視野ともに横ばいである。









解説TOP通販TOP広告TOP病院ランキング血液検査