(応用)
①アレルギー性鼻炎
- 29歳女性。妊娠3ヶ月。しきりにクシャミが出る。ことに早朝がひどくて、そのために腹の中の胎児にまで悪い影響がありはしないかと心配であると云う。
私はこれに葛根湯を与えたが、全然効果が見られない。そこで、よくよくクシャミの状況を診ていると、下の方から何か上がってくるような、クシャミである。そこで、“大逆上気、咽喉不利”に用いる麦門冬湯を用いてみた。鼻を咽喉に置き換えたのである。すると、2、3日でクシャミが軽快し、2週間ですっかり良くなった。《大塚敬節》
②息切れ
③咽喉炎
④咽喉不利
- (咽喉の乾燥感)
- のどの乾燥感、ムズムズ感。
- 老人津液枯稿し、食物咽につまり、膈症に似たる者に用いる。《勿誤薬室方函口訣》
- 病後、薬を飲むことを嫌い、咽に喘気あって、竹葉石膏湯の如く虚煩なき者に用いる。《勿誤薬室方函口訣》
- 麦門冬湯の証は咳もなく涎沫も吐せず、下に力なくて逆上の強きにより、咽喉口舌、倶に乾燥して滋潤なく、口中より咽喉の辺まで粘液のあるように思われて、咽喉の心持ち悪しき証なり《古訓医伝》
- ただのどが乾いて、何となく気持が悪く、しめりを欲するような場合に用いる《大塚敬節》
- 麦門冬湯は咳過敏症患者の咳閾値を有意に改善した。【EBM】
⑤咳嗽
- タンのキレにくい咳
- (ケイレン性)
- 咳逆甚だしい者:「
五味子桑白皮」《勿誤薬室方函口訣》
- 麻疹、咳嗽で虚する者:「
桔梗杏仁人参」《麻疹心得続録》
- 痰がのどの奥にへばりついたようで、発作性に強く咳き込む者に用いる《大塚敬節》
- 妊娠中の咳嗽には麦門冬湯の証が多く、これで強い頑固な妊娠咳を治したことが数例ある。《有持桂里》は妊娠咳に当帰散が効ありと述べて いるが、私の経験では麦門冬湯の証が多いように思う。《大塚敬節》
- かぜ症候群性咳嗽に対して、臭化水素酸デキストロメトルファンとほぼ同等の咳嗽抑制効果がみられた(ランダム化比較試験)
⑥喀血
- 喀血の後、逆上し、或いは渇する証《奥田謙蔵》
- 咳き込み喀血:「
黄連・阿膠各2.0g、乾地黄4.0g」《浅田家方》
⑦喀痰
- <濃厚な少量の痰~無痰>
- 痰のしきりに出る者、或いは気管支拡張症などのため痰の喀出の多い者に、麦門冬湯を与えると、反って咳がひどくなり、痰の量も多くなり、夜も眠れないほど苦しむことがある。だから痰の多い者には、麦門冬湯はよろしくない《大塚敬節》
⑧顔面紅潮
⑨気管支炎
- 咽喉の違和感や閉塞感を伴う時は半夏厚朴湯を併用する。
⑩気管支拡張症
⑪気管支喘息
⑭吃逆
⑮下痢
⑯元気がない
⑰口渇
- 骨蒸、唇乾、口燥を療し、飲を得て渇を止むる:「
竹葉生姜」《外台秘要方》
- 向精神薬内服時の口乾に対する改善度は59.1%であった。【EBM】
⑱高血圧
⑲喉頭結核
- 喉頭結核、及びその類証《奥田謙蔵》
- 「
桔梗玄参山豆根」《済世薬室》
⑳声がれ
- 声楽家の声がれ
- 感冒後の嗄声に良く効く《大塚敬節》
- 咳が永く続き、声が枯れてよく出ないという者によい《大塚敬節》
- 咽頭炎で嗄声を訴える者にも良い《大塚敬節》
㉑呼吸困難
㉒呼吸促迫
㉓シェーグレン症候群
- 眼乾燥症状、口腔乾燥症状に用いる(漢方診療医典)
- 自覚症状、シルマーテスト、ガムテストアンドを含む臨床的な評価で(44.4%)【EBM】
㉔食欲不振
㉕心下痞
㉖精神分裂病
㉗せき
- 乾性の咳
- <激しい咳>
- 燥熱の咳嗽
- 肺陰虚の慢性咳嗽
- 肺結核の燥咳
- 慢性気管支炎で燥咳
- 慢性咽喉炎で燥咳
- 小児の久咳:「
石膏」《勿誤薬室方函口訣》
- 咳過敏症患者の咳閾値を有意に改善(比較臨床試験)
㉘喘息
- 喘息患者に対する鎮咳効果は69.4%(症例集積研究)
㉙疲れやすい
㉚糖尿病
- 八味地黄丸を使用して胃腸をこわしやすい者に。《矢野》
- 消渇、身熱し、喘して咽喉利せざる者は、天瓜粉を加う。大便燥結し、腹微満する者は、「調胃承気湯」を兼用す《類聚方広義》
㉛動脈硬化症
㉜脳出血
㉝のぼせ
- 肺結核の患者などによく見られるが、頬が紅をさしたような色になり、のぼせを訴える者。《大塚敬節》
㉞肺炎
㉟肺気腫
㊱肺結核
- 咳血に石膏を加えるのが先輩の経験なれど、肺痿に変ぜんとする者石膏を長期間用いると不食になり、脈力減じる故に地黄・阿膠・黄連を加えて用いれば具合良く効を奏す。《勿誤薬室方函口訣》
- 肺結核、及びその類証にして、身体羸痩、皮膚枯燥し、逆上感あり、咽喉乾燥して渇する証《奥田謙蔵》
㊲発熱
㊳鼻づまり
- 補中益気湯
麦門冬・梔子から、麦門冬と鼻の関係を考え、色の白い頬に赤味をさした1少女で、午後になると、上気して、鼻がつまるという者に、麦門冬湯 石膏を用いて、著効を得た。大逆上気を鼻に応用して用いた。《大塚敬節》
㊴皮膚枯燥
- 口舌乾燥する者、or乾燥してビランする者:「
地黄」《方読便覧》
㊵百日咳
- 激しい咳・咽痛を伴う:「
桔梗石膏」《矢野》
㊶慢性気管支炎
- 強くせき込む咳
- タンは少なく切れにくい、のどの奥が乾き、せき込むと顔が赤くなる。
㊷めまい |