| 早期発見と早期対応のポイント |
(1)副作用の好発時期
- 薬剤により異なる。ストレプトマイシンでは1 日1g 注射で累積投与量20g 前後で副作用をみることが多いとされるが、ミトコンドリア遺伝子1555A→G
変異をもつ患者では感受性が高く、少量投与あるいは少ない投与回数でも難聴を来たす。
また白金製剤(シスプラチン)は投与開始直後から生じ、投与反復により進行する。ループ利尿剤は投与開始直後から10〜20 分以内に発症。1 時間で回復傾向を示し、4〜5
時間で正常に回復する
|
(2)患者側のリスク因子
- アミノグリコシド系抗菌薬については遺伝的要素(感受性の違い)があることが知られており、ミトコンドリア遺伝子1555A→G 変異と関連があることが分かっている。
また白金製剤(シスプラチン)は小児、高齢者、腎機能低下、頭部への放射線照射例、投与前の感音難聴の存在)がリスク因子となる。
|
(3)投薬上のリスク因子
- 総投与量上昇、短い投与間隔、耳毒性を有する他の薬剤との併用により障害のリスクは上昇する。
ストレプトマイシンでは1 日1g 注射で累積投与量20g 前後で副作用をみることが多いとされる。しかし、アミノグリコシド系抗菌薬に遺伝的に高感受性をもつ患者では1
回の投与でも難聴を来すことがあり注意が必要である。
ループ利尿剤は高用量(1,000〜2,000mg 以上)、急速な静脈注射や腎機能低下例、血清アルブミンが低値な場合、アミノグリコシド系抗菌薬との併用時などにおいてリスクは上昇する)。
また、アミノグリコシド系抗菌薬の鼓室内投与では高濃度の薬物が種々の障害を起こしやすい。
シスプラチンは1 日投与量80mg/m2以上で、総投与量では300mg/m2を超えると難聴出現の傾向は顕著となる7) 。1 日投与量が150mg
を越えるとほとんどの症例で難聴が出現すると報告されている
|
(4)原因となる医薬品
- アミノグリコシド系抗菌薬(注射薬)
- ストレプトマイシン、カナマイシン、アミカシン、ゲンタマイシン、ベカナマイシン、リボスタマイシン、ジベカシン、トブラマイシン、イセパマイシン、アルベカシン等
- 白金製剤
- オキサリプラチン、カルボプラチン、シスプラチン、ネダプラチン等
- サリチル酸剤
- ループ利尿薬
- アゾセミド、トラセミド、ピレタニド、ブメタニド、フロセミド等
|
(5)患者や家族などが早期に認識しうる症状
- ・ 難聴や耳鳴、耳閉感の訴え。
・ 声掛けの際の反応の鈍化、聞き返しの増加。
特に難聴は高音域から始まるため電子音が聞こえないなどの自覚症状に注意する。
- 難聴の自覚の前に耳鳴の自覚が先行することが多いことが報告されており耳鳴は重要な初期症状のひとつである
|