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(乳幼児の脳)






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乳児は2種類の脳を持って生まれてくる
  • 大脳が右半球と左半球とに分かれていることは誰でも知っている。右脳と左脳である。大脳とは、3つの脳のうつ表面にある新ほ乳類型の脳だ。もちろん左右が独立しているわけではなく、両者は「脳梁」によって神経的にしっかりとつながっている。ただしこれは、成人の場合だけで、あまり知られていないことだが、乳児期には左右の新哺乳型の脳は分離したままである。しかし、分離はしていても、どちらもその深部にある2つの古い脳とは連絡し合っている。 右脳と左脳が機能的に大きく違ってくるのは、脳梁が完成して両半球がつながってからのことだ。それまでは、左右の脳は同じことをしている。それは、古い2つの脳が集める情報を、せっせと蓄えているのです。
    爬虫類型の脳と原始ほ乳類型の脳は、乳児期には、自分を取り巻く世界の知識をせっせと思い出している。なめたりしゃぶったり、ニオイを嗅いだり、握ったりしながら、外界を思い出していくのだ。そして、分離したままの新ほ乳類型の脳も、この時期にはこの作業に参加する。
     脳梁が作られ始めるのが1歳ごろから。次第に発達し、4年ほどかけて両半球をつなぐ。そして、この連絡部分が完成すると、左右の脳はそれぞれの役割を目指して専門化し始めるのです。
     この段階になると、左右の脳と古い脳との関係は一変する。それまでは一体となって体験を通して外界の知識を思い出していたのが、古い2つの脳から独立して、左右は相互に作用し合うようになります。こうして新ほ乳類の脳である右脳と左脳が独立すると、抽象的に物事を考えることができるようになり、人間らしい思考能力が発達し始めます。つまり乳児は2つの脳を持って生まれてくる。1つは白紙の状態の新ほ乳類型の脳と、もう1つは遺伝情報を満載した爬虫類型と原始ほ乳類型の脳です
  • なぜ、こんな仕掛けが必要なのか?
    白紙の状態とは、書き込み自由な状態である。
    新ほ乳類型の脳が白紙ということは、そこに自由に情報を書き込むことができる、新たに構造化するために白紙になっている。
    爬虫類型の脳と原始ほ乳類型の脳にあらかじめプログラムされている情報は、あまりにも膨大で、それは人類へと進化するまでの長い時間に獲得されたデータが保存されている。そこから、乳児が特定の細かな情報を引き出すにはどうすれば良いのか?。
    それは身体を動かすことです
    ひっきりなしに体を動かすことで、乳児は潜在能力として持っている人類としての遺伝情報を活性化し、鮮明になっていきます。
    例えば、ダウン症の子供の治療に使われる『パターニング』と呼ばれる手法もこの応用です。
    しかし、この人類としての遺伝情報が、古い2つの脳のなかにとどまっている間は、人間にはなれない。いつまでたっても動物のように、その情報は反射的で本能的な行動パターンをもたらすだけです。
    しかし、表層の新ほ乳類型の脳が白紙の状態で生まれるということは、同時に我々に重要な問題を突きつけている。それは乳幼児の知的発達が、大人たちの対応次第で、大きく左右される可能性を意味しているからです




乳幼児の行動・・・・脳前頭部の血流変化せず
  • 2009年、3歳までの子供は1つの行動にこだわることが多いが、この乳幼児特有の現象は脳の前頭前野の血流の変化に関連していることを東京大学の開一夫・准教授らのチームが突き止めた。
    こだわり行動が見られなくなると、子供でも大人の脳と同じような血流になっていたという。
    研究チームは、近赤外線を頭に当てて血流を調べる光トポグラフィーと呼ぶ計測装置を使い、カードゲームをしている際の3歳と5歳と大人の脳の血流を調べた。
    3歳の子供の場合・・・
    ルールを変えると、およそ半数が前のルールに固執した。このときの脳の前頭前野の外側の血流が変化しなかった。
    一方、ルール通りにゲームをした子供では、大人と同じように血流が増えていた。
    こだわり行動と脳の機能を調べためずらしい研究。
    成果は、アカデミー紀要(電子版)に掲載。





幼児の脳・・・周囲の世界をどう受けいれるか?
  • 出生後2ヶ月を過ぎると、乳児は音のする方向に首を回したり、手足を激しく動かしたり、指を吸ったりし始める。4ヶ月ごろには、近くのガラガラに手を伸ばし、つかんで振ったり口に入れたりする。
    6ヶ月を過ぎるころには、「ハイハイ」をするようになる、これが始まれば、乳児の外界探索はいよいよ活発になる。自分から感覚刺激を求めて動き回るからだ。
    「ハイハイ」を始めた乳児の目の前にボールを転がすと、這ってそれを取りに行く。そして、乳児はボールの感触を確かめたり、眺めたり、なめたり、ニオイを嗅いだりする。このふれあいを通して、最終的には乳児の脳の神経回路にボールの波動パターンが組み込まれる、脳ホログラフィー理論で言えば、ボールの波動パターンが脳内で活性化されるのである。
    これが済むと乳児は、その後は、ほかのボールを見てもそれほど注意を集中することなく、それが分かるようになる。つまり、脳がボールというものをすんなりと受け入れ、確認出来るようになる。
    このことは、乳児の脳がボールの情報を同化するパターンを持ったということであり、ふれあいによって得られた波動を、脳がパターン化したのだ。その結果、乳児はボールという概念を持つことになる。だが、その概念は固定したものではなく浮遊するものの世界で、見えないものは考えられない世界なのです。
    そして、乳児期の終わりに近づくと、このような概念の蓄積量が臨界量に達すると、どうなるのか?生後1年を経過した頃から、突然、劇的とも言える「論理の飛躍」を幼児の脳は行うことができるようになる。その飛躍とは、見えないものを考えることができるようになることだ。
    1歳を過ぎた幼児は、目の前にあるボールをテレビの後ろに隠すと、それを探そうとする。目の前から無くなると、乳児の時にはすぐ別のものに注意を奪われたのに、テレビのところへ行って消えたボールを探すのである。
    つまり幼児は、ボールが見えなくとも、どこかにあるのだと思うようになる。
    幼児が最初の頃に覚えるいくつかの言葉の中には、「ナイ、ナイ」という単語が含まれている。見えないものを考える大きなステップであり、これによって幼児の論理は最初の柔軟性を獲得するのである。
    幼児期では、外界と関係するときに原始哺乳類型の脳に意識の中心がある。ここの脳が活性化されることによって、最深部の爬虫類型の脳と表層を覆っている新哺乳類型の脳との交信の仲介役を果たしている。つまり、最深部の爬虫類型の脳が外界とのふれあいで発見したことは、中ヘの原始哺乳類型の脳で処理され、その情報は新哺乳類型の脳に供給される。この情報には、発見対象の感触と、その対象に対する自分なりの快不快、または好き嫌いの反応が含まれている。
    両半球が分離したままの幼児期の間は、表層部の新哺乳類型の脳は2つの脳から送られてくる様々な概念の蓄積に没頭している。しかし、脳梁が発生し、意識の中心が原始哺乳型の脳に移る頃になると、新哺乳類型の脳は、さきにあげた2つの脳からの情報を明確に区別できるようになる。発見対象の感触と、その対象に対するじぶんなりの反応の2つを区別し、解釈できるようになる。いわば情報の組織化が始まる。
    それによって幼児は、自分の身体とそれ以外のものが違うことに気づく。自分の指を噛めば痛いが、食べ物を噛んでも痛くないと分かってくる。噛んでいたいのは自分なりの反応であり、痛くないのは食べ物の感触だからだ。つまり、最初の自己感覚が生まれ始めるのである。これこそが自我の芽生えなのです。
    幼児期に最も大切なのは、親が大人の価値観に基づいて、幼児の触れあいの機会を取り上げてしまわないことだ。なぜなら、幼児期の6年間はありのままの世界に関する概念を蓄積する時期なのだ。それが幼児にとっての最優先課題であり、この時期の知的発達そのものとなるからだ。足下が頼りなく、すべてに無防備な幼児は、簡単に転んでは擦り傷を作り、熱いものに触れてはヤケドをする。世界はひたすら実践の場となる。この時期に「汚いから」とか「危ないから」とかいって、幼児の触れあいのチャンスをつぶすのは、次の7歳からの知的発達段階がきわめて問題多いものとなる。




刺激に応じて回路網を作り替えることができる時期を「臨界期」
  • 脳は神経同士が複雑にくっつくことで神経回路網を作っている。この神経に興奮刺激と抑制が加わり、様々な思考や行動が可能になる。神経回路が作られる過程で、環境からの刺激に応じて回路網を作り替えることができる時期を「臨界期」と呼び、臨界期の脳の柔軟性を『可塑性』という。
    臨界期は
    マウス・・・生後22〜35日
    ネコ・・・・・生後3週〜数ヶ月
    人間・・・・・生後数ヶ月〜7歳
    生まれた直後は目が閉じているが、目が開き、ものを見るようになって興奮刺激が伝わるようになると、脳内の神経への興奮と抑制のバランスがある一定の量に達し、臨界期が始まる。

  • 3つ子の魂100まで
    ・・3歳までに人格形成の基礎が作られるとのことわざだが、実際の現象として注目されている。幼年期の脳が、視覚から得た経験によって自在に回路を組み立てながら発達することを明らかにしたのが、理化学研究所脳科学総合研究センターの神経回路発達研究チームリーダーのヘンシュ・貴雄。
    ヒトの脳の神経細胞は100億以上と言われている。お互いに結合して作る回路数は、さらに桁違いに多い。
    1981年にノーベル生理学医学賞を受賞したとるすてん・ウィーセルらは、片方の目をふさぐと開いた目からの情報が多くなり、大脳の視覚をつかさどる部分の神経が活発に働くことなどを発見した。その後、ふさいだ方の目は弱視になり、ある一定時期を過ぎると治療は難しいということが分かってきた。
    臨界期は、大人より子供の方が言語や運動、音楽の修得が速いと言われるゆえんだが、どんな仕組みで臨界期が脳内に引き起こされ、なぜ大人では起きないのか?長年のナゾだった。
    ヘンシュは臨界期になると脳の視覚に現れるタンパク質『Otx2』に着目。視覚情報を受けて網膜で合成されタンパ質が視覚野の神経に届き、臨界期を起こしていることを突き止めた。臨界期を操作できれば、弱視の治療も可能になる。






赤ちゃん・・・「笑い」「怒り」の顔を識別
  • 2010年、自然科学研究機構生理学研究所と中央大学のチームは、脳の血流量の増減を調べる近赤外分光装置を使い、生後6〜7ヶ月の赤ちゃんが他人の笑顔と怒った顔を識別していることを突き止めた。
    赤ちゃんが人の表情の違いを識別できることを生理学的に確認したのは初めて。
    生理研の柿木隆助教授と仲渡江美研究員、中央大の山口真美教授らは、赤ちゃん12人を対象に実験。
    赤ちゃんの頭に帽子状にした近赤外分光装置を取り付けた。
    脳の特定部分の血流量が増えていれば活発に活動していることを示す。
    赤ちゃんに正面の穴から、野菜→笑顔→野菜→怒った顔、の順番で写真を5秒間ずつ見せた。
    側頭部に注目して調べた。赤ちゃんは笑顔、怒った顔の両方を見たらすぐに血流量が増えた。
    笑顔の場合は写真が変わっても5秒間程度増えたままだったのに対し、怒った顔は切り替わると2秒後には血流量は減り元に戻った。
    側頭部の左右で比較してみると、笑顔を見たときは左側がより強く活動し、
    怒った顔を見たときは右側が活動しやすいことが分かった。
    左側頭部に言語野などがある。、






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