脳脊髄液減少症

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脳脊髄液減少症
  • 脳を外部からの衝撃から守る働きもしている髄液(脳脊髄液)が、体内に漏れだし、脳が頭蓋骨の底部にぶつかることで脳神経に異常が起きる疾患とされる。
  • 脳脊髄液減少症は、硬膜に穴が開き、髄液が漏れることで脳が頭の中で沈み込み、
    • 激しい頭痛
    • 首の痛み、
    • 吐き気、
    • 集中力の低下、
    • 全身の倦怠感
    などの症状を引き起こすとされる。
  • 症状
    1. 頭痛
      • 立っているとどうしようもない頭痛がする。痛み止めも効かない。ところが横になるとなぜか痛みが和らぐ。
    2. めまい
    3. 手のシビレ
    4. 首の痛み
    5. 立ちくらみ
  • 治療
    1. 先ず安静に。
    2. 減ってしまった脳脊髄液を点滴で補いながら自然治癒を待つ。1週間〜1ヶ月で、硬膜の穴がふさがる患者が8割。
    3. それでも改善しないときは、患者自身から採取した血液を漏れを起こしている穴に注射し、血で固めてふさぐ手法である「ブラッドパッチ」を行う。
    4. 脊髄に針を刺す前に実施する麻酔がとても痛い。
    5. もともと血液が無い場所に血を入れるため癒着が生じることがある。
    6. 2011年現在、保険適用が無い。
  • むち打ちの後で
    • Aさんは数年前から、気絶して救急車で運ばれることが何度かあた。CT検査で脳を調べたが異常が見つからない。そのうち疲れやだるさも出て、物忘れするようになった。
      そこで、東京港区の山王病院で診断を受けた。美馬達夫・国際医療福祉大学助教授の見立ては脳脊髄液減少症。脳や脊髄は硬膜という薄い膜が覆っていて、その内側は透明な髄液で満たされている。脳脊髄液減少症は何らかの原因で硬膜に穴が開き、髄液が漏れることによって引き起こされる。この結果、髄液の圧力で支えられていた脳の位置が下がるため、頭痛や首の痛みなどの症状が出てくる。
      一般的には、むち打ち症や強い衝撃で髄液の漏れが起きるとは考えられていない。このため、むち打ちの後に頭痛などの症状が長引いても、心因性のものと考えられている。
      だが、むち打ち症患者を多数(約800名)診てきた平塚共済病院の篠永正道・診療部長は別の説を唱える。頭痛や疲労感に長く悩んでいた患者をしらべ、髄液の漏れが原因と判断した。
      「交通事故の件数から判断すると、少なくとも見積もって患者は全国で10万人以上に達する」(篠永部長)
      治療の基本は髄液の漏れを抑えること。
    • 硬膜の外側に患者本人の血液を20mm〜40mmほど注入する『ブラッドパッチ』という手法を使う。この手法で漏れの原因となる穴を血液がノリ(接着剤)の役目をしてふさぐ。
      硬膜の外側の圧力が上がって髄液が漏れにくくなる。
      これを3〜4回、3ヶ月おきに続ける。
      美馬助教授によると、約3割の患者でほぼ完治。4割は部分的に回復。残りの3割は無効もしくは悪化する。」2004.6.29《日本経済新聞》

訴訟 2007年11月、交通事故で「脳脊髄液減少症」となり後遺症が残ったとして、東京都内の男児と両親が損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。医学的に診断基準が確立されていないことから司法判断も分かれている。
ブラッドパッチ法 交通事故などが原因で長期にわたって、むち打ち症や慢性疲労を引き起こすとされる『脳脊髄液減少症』の理解と新たな治療法の普及を目指し、患者団体などが全国的な啓発活動を進めている。
脳脊髄液減少症は交通事故やスポーツなどによる衝撃で脳を覆う硬膜に穴が開き、髄液が漏れることで起きるとされる。これまでは一般的には強い衝撃で髄液が漏れるという考えが無く、むち打ち症後に頭痛などの症状が長く続いても、原因不明で精神的なもの(気のせい)と判断されるケースが多かった。
しかし、4年ほど前から患者自身の血液を背中から注入して穴を塞ぐ『ブラッドパッチ』と呼ばれる新たな治療法の試みが一部の医師らの間で始まり、注目されるようになった。
この治療法で患者の約3割がほぼ回復。
4割が部分的に回復するというデーターもある。ただ、この治療法を行っている医療機関は各国で40カ所程度にとどまり、健康保険の適用外で保険会社も多くも治療費の支払いを認めていないという。
支援活動を続けるNPO法人「鞭打ち症患者支援協会」の中井宏代代表理事は「交通事故件数を考えると、患者は少なくとも全国で20〜30万人に達するはずだ 」と話す。
痛みは? ブラッドパッチを約430名に実施した山王病院(東京都港区)の美馬達夫・脳神経外科部長は“症状の改善には1人平均2〜3回の治療が必要”と話す。
患者の7割は症状が改善するが、痛みなどが完全に消えるのは極めて少数。
治療費は20万〜30万円。
同症を提唱した国際医療福祉大学熱海病院の篠永正道教授は“認めているのは脳神経外科医で1割、整形外科医は1%未満”と語る。
主な医療機関
・時計台記念病院(札幌市)
・国立病院機構仙台医療センター(仙台市)
・山王病院(東京都港区)
・国際医療福祉大学熱海病院(静岡県)
・角谷整形外科病院(和歌山市)
・高知市病院企業団立高知医療センター(高知市)
・九州労災病院(北九州市)
20069/24日本経済新聞より

脳脊髄液(CSF:cerebrospinal fluid)
  • 脳脊髄液(CSF)の循環
    1. 脳脊髄液は、4つの脳室(2つの側脳室と第三脳室・第四脳室)と脳と脊髄を囲んでいるクモ膜下腔を循環している
    2. 脈絡叢は脳脊髄液を分泌し、その電解質組成を調整する。
      • 脳脊髄液(CSF:cerebrospinal fluid)の組成
        脳脊髄液 血漿
        Na (mEg/L) 140〜145 135〜147
          (mEg/L) 3 3.5〜5.0
        Cl (mEg/L) 115〜120 95〜105
        HCO3(mEg/L) 20 22〜28
        グルコース (mg/dL) 50〜75 70〜110
        タンパク質 (g/dL) 0.05〜0.07 6.0〜7.8
        pH 7.3 7.35〜7.45
    3. 脳脊髄液のHCO3濃度は血漿よりも低く、従って血漿よりもpHは低い。そのため、血液中のPco2の小さい変化でも脳脊髄液のpHが変化し、それにより呼吸回数が調節される
    4. 大部分の脳脊髄液は、クモ膜顆粒、および中枢神経系と軟膜の毛細血管壁を通って静脈系に再吸収される。
    5. クモ膜下腔は通常約150mLの脳脊髄液を容れており、脈絡叢が産出する量は500mL/日なので、脳脊髄液は24時間で約3回入れ替わる計算になる。


脳脊髄液の指標
検査項目 基準値 (↑)上昇させる病態 (↓)低下させる病態
外観 無色透明・水様 黄色調(中枢神経系における古い出血巣)
白濁(化膿性髄膜炎)
Cl 120〜125mEq/l 尿毒症
慢性腎炎
結核性髄膜炎
化膿性髄膜炎
脳炎
液圧 70〜150mmH2O
細胞数 0〜5/µl 化膿性髄膜炎
硬膜下腫瘍脳炎
結核性髄膜炎
脳腫瘍
髄液中の有核細胞を数える
髄液量 (100〜150ml)
総蛋白 10〜40mg/dl 化膿性髄膜炎
結核性髄膜炎
脳炎
くも膜下出血
脳出血
糖質
(グルコース)
50〜75mg/dl 糖尿病
脳腫瘍
結核性髄膜炎
化膿性髄膜炎
比重 1.005〜1.007 炎症性疾患


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