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(OHSS)
卵巣過剰刺激症候群



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卵巣過剰刺激症候群
(OHSS)
   (厚生労働省
ovarian hyperstimulation syndrome
とは?
  • 女性の卵巣は親指大ほど(3~4 cm)の臓器ですが、その中の卵(卵胞)が不妊治療における排卵誘発剤に過剰に刺激されることによって、卵巣がふくれ上がり、お腹や胸に水がたまるなどの症状が起こることを卵巣過剰刺激症候群(OHSS)と呼びます。
  • 重症例では、腎不全血栓症など様々な合併症を引き起こすことがあります。




早期発見と早期対応のポイント
卵巣過剰刺激症候群は重症になると様々な合併症を来たし、とても危険な状態になる場合があるので、早期に発見して対応することが大切です。
  • 薬による卵巣過剰刺激症候群は原因となった薬を中止することにより改善することが多いので、不妊治療中に
    1. 「おなかが張る」、
    2. 「はき気がする」、
    3. 「急に体重が増えた」、
    4. 「尿量が少なくなる」
    などの症状に気がついた場合は、速やかに医師・薬剤師に連絡して下さい。


早期に認められる症状
  • 卵巣が腫大し、腹水が貯まることにより
    1. 腹部膨満感、体重増加、腹囲増加が認められる。
    2. 次いで腹部膨満に伴う腹膜刺激によって下腹部痛、悪心、嘔吐が起こる。
    3. また、毛細血管の透過性亢進により血管外への水分・血漿成分の流出が引き起こされるため、血管内で血液の濃縮が起こり、のどの渇きや尿量の減少をきたす。


副作用の好発時期
  • 一般排卵誘発治療においても生殖補助医療における調節卵巣刺激においても、hCG製剤を投与後に起こりやすい。


副作用発現頻度
  • hMG、hCGなどのゴナドトロピン製剤を用いた排卵誘発治療や生殖補助医療における調節卵巣刺激症例においては5 %程度発現し、重症例においては血栓症、肺水腫などによる死亡例がみられる。
    生殖補助医療の調節卵巣刺激は多数の卵を得ることが目的であり、多発卵胞発育を起こさせるので、OHSSを発生しやすい状態になっており、一般の排卵誘発に比較して発生頻度は高い。


患者側のリスク因子
  • 排卵誘発法全般におけるOHSS発症のリスク因子は次の通りであり、注意が必要である。特に、①多囊胞性卵巣症候群(PCOS)、②第2度無月経患者などゴナドトロピンの使用量が多量になりやすい症例、③過去にOHSSや多胎妊娠の既往がある症例などはOHSS発生の可能性が高いので予防を考えた治療を行う。
    • 若年
    • やせ
    • 多囊胞性卵巣症候群 (PCOS)
    • ゴナドトロピン製剤投与量の増加
    • 血中エストラジオール値の急速な増加
    • OHSSの既往
    • 発育卵胞数の増加と生殖補助医療における採卵数の増加
    • hCG投与量の増加、hCGの反復投与
    • 妊娠成立


医療関係者の対応ポイント
  • OHSSの初発症状は, 腹部膨満感, 下腹部痛, 体重増加などである。最近、生殖補助医療は診療所で行われることが多くなったが、OHSSが重症化する可能性が高い場合は高次医療機関に早めに送るべきである。今回、その判断基準として、診療所においても検査の実施が可能な「高次医療機関での管理を考慮する基準」(表1)と高次医療機関における「入院管理を考慮する基準」(表2)を新規重症度分類に基づいて提示した
  • 高次医療機関での管理を考慮する基準(表1)
    所見 基準
    症状 腹部膨満感 嘔気・嘔吐
    腹水の程度 上腹部に及ぶ腹水
    卵巣最大径 ≧ 8 cm
    血算・生化学検査 増悪傾向
    妊娠の有無 妊娠あり
  • 入院管理を考慮する基準(表2)
    所見 基準
    自覚症状 腹部膨満感、嘔気・嘔吐、腹痛、呼吸困難
    腹水の程度 腹部緊満を伴う腹部全体の腹水、あるいは胸水を伴う場合
    卵巣腫大(最大径) ≧12 cm
    血液所見 Ht ≧45%
    WBC ≧15,000/mm3
    TP < 6.0 g/dLまたはAlb < 3.5 g/dL


早期発見に必要な検査項目
  • 臨床症状からOHSSが疑われる場合には、可能な限り早期に血液・生化学検査を行い、ヘマトクリット値、血清蛋白、アルブミン等を把握するとともにエコーにより卵巣肥大、腹水貯留の有無の程度を確認して重症度を評価し、入院管理の必要性を判断する。




副作用の概要
  • 卵巣過剰刺激症候群とは、ゴナドトロピン製剤、hCG製剤などを使用した不妊治療において卵巣が過剰に刺激されたために起こる卵巣の肥大とその一連の随伴症状を指す。軽度の卵巣の腫大そのものは臨床的に問題となる副作用ではないが、重症例では大量の腹水が貯留して血管内脱水が生じ、循環血漿量の減少を生じることにより、急性腎不全、血栓症等の生命予後にかかわる重大な合併症に進展することがあるため、早期に発症を把握して治療を行うことが重要である。
    OHSSの発症機序については、次のように考えられている。ゴナドトロピン製剤などの投与により、腫大した卵巣から過剰のエストロゲンが分泌され、その作用により卵巣の毛細血管の透過性が高まり、アルブミンとともに血液中の水分が腹腔内に漏出する。その結果、循環血液量の減少をきたし、2次的に血液濃縮が起こるため、ヘマトクリット値の上昇、低血圧、さらには頻脈をきたす。また、結果として尿量の減少をもたらす。一方、腫大した卵巣は過剰のエストロゲン分泌とあいまってレニン-アンギオテンシン系を介してアルドステロン分泌を刺激し、結果として腎臓でのナトリウムと水の再吸収を促進して、乏尿を促進する。
副作用の診断基準
  1. OHSSの重症度分類については、これまで1996年に日本産科婦人科学会生殖・内分泌委員会が定めた分類1)が使われてきたが、今般、より使いやすく、かつ具体的な数値を示すことを原則として改訂版(表3)を作成した



表3 OHSS重症度分類
(軽症) (中等症) (重症)
自覚症状 腹部膨満感 腹部膨満感
嘔気・嘔吐
腹部膨満感、 嘔気・嘔吐,
腹痛、 呼吸困難
胸 腹 水 小骨盤腔内の腹水 上腹部に及ぶ腹水 腹部膨満を伴う腹部全体の腹水、あるいは胸水を伴う場合
卵巣腫大 左右いずれかの卵巣の最大径を示す
≧6 cm ≧8 cm ≧12 cm
血液所見 ひとつでも該当する所見があれば、より重症な方に分類する。
血算・生化学検査がすべて正常 血算・生化学検査が
増悪傾向
Ht ≧45%
WBC ≧15,000/mm3
TP < 6.0 g/dLまたは
Alb < 3.5 g/dL




予防法
一般排卵誘発治療におけるOHSSの予防
  • ゴナドトロピン療法によるOHSSを予防するためには、ゴナドトロピン製剤の投与方法を工夫して多発排卵の発生を減少させる努力が必要である。多発排卵の発生は周期あたりのFSH製剤の総投与量に関係し、総投与量が少ないほど多発排卵は少ないと考えられている。多発排卵を防ぐ工夫として現在のところ、FSH低用量漸増投与法が有用である(図2)。
    FSH低用量漸増投与法は、卵胞発育の有無をモニターしながら、少量ずつFSH製剤を増量し、卵胞発育を促す最も少ない投与量で固定し、維持する方法である。卵胞発育が緩徐なため、投与期間が平均で11日程度と延長するが、平均発育卵胞数は視床下部性排卵障害で2個、多囊胞性卵巣症候群(PCOS)で4個であり、また、単一卵胞発育率は、一般の視床下部性排卵障害で30 %、PCOSで10 %であり、有効性を保ったままOHSSの頻度が低下する。保険適応を考慮すると、現在最も利用しやすい方法であり、世界的には標準投与法となっている(表4)。
    また、ゴナドトロピン療法では、多数の卵胞発育を認めた場合は、思いきってhCG製剤の投与を中止することも肝要である。その基準としては、平均16 mm径以上の卵胞が合計4個以上ある場合、迅速にエストラジオールが測定できる場合は2,000 pg/mL以上の値を示す場合などが考えられる。


生殖補助医療におけるOHSSの予防
  • 生殖補助医療においてOHSS発症のリスク因子がある症例では、次のような対処方法を検討する必要がある。
    • コースティング法:
      • 排卵刺激中にゴナドトロピン製剤の追加投与を避け、hCG切り替えを遅らせる
    • hCG切り替え時:
      • hCG投与量減量、GnRH agonistの使用
    • 黄体補充:
      • hCGを避け、プロゲステロンを使用
    • 全胚凍結を考慮する




判別が必要な疾患と判別方法
  • 稀な例として妊娠中に自然発症するOHSSが報告されているが, この発症メカニズムとしてFSH受容体遺伝子の機能亢進変異が考えられている。
  • FSHは視床下部から分泌されるGnRHの刺激により下垂体前葉細胞で産生され血中に分泌されるホルモンで、黄体形成ホルモン(LH)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)とともに、糖蛋白ホルモンファミリーを形成している。
  • これら糖蛋白ホルモンは、共通のαサブユニットとホルモン特異的なβサブユニットからなる。糖蛋白ホルモン受容体の構造は互いに類似している。
  • 細胞外にN末端、細胞内にC末端を持ち、細胞膜を7回貫通する一本鎖ポリペプタイドで、共役しているGTP結合蛋白(G蛋白)を介して情報を伝達する。
  • 変異FSH受容体は、固有のリガンドであるFSHに対する特異性が低下し、FSHのみならず他の糖蛋白ホルモンであるhCG、TSHにも反応する。
    自然発症型OHSSでは、妊娠初期、hCGが小卵胞の変異受容体に作用して多数の卵胞を腫大させ、その後はさらに、本来のhCG/LH受容体にも作用し血管透過性亢進因子の産生などを介して病態の成立に関与すると考えられる。これは、妊娠8〜10週で産生がピークに達するhCGが特異性の低下したFSH変異受容体を活性化するからであると考えられ、妊娠8-14週に症状が出現し、妊娠3-8週に症状が出現する通常のearly onset typeの医原性OHSSよりも遅発性である。さらに、FSH受容体には変異がないが、hCG、TSHが過剰に分泌されて生じるタイプのOHSSも報告されている10)。機能亢進型のFSH受容体遺伝子変異を有する女性に排卵誘発を施行した場合、より重症のOHSSの発生が予想されるので注意が必要である。


治療方法
OHSSに対する輸液管理ポイント
  • OHSSでは全身の毛細血管透過性が亢進しており、 血管外に血漿成分が漏出し、 結果的に血管内脱水および乏尿をきたす。 そこで、輸液のポイントは、血液濃縮(血管内脱水)の補正と尿量の確保である。その内容を以下に示す。
  • ○血液濃縮(血管内脱水)の補正
    1. 細胞外液補充液を最初の1時間で1,000 mL 点滴静注
    2. 改善不良の場合は、血漿膠質浸透圧を上昇させるため血漿増量剤のデキストラン製剤あるいは6%ヒドロキシエチルデンプン500 mLを緩徐に点滴静注。腎機能障害の可能性を考慮し、5日間以内の使用とする。
    3. 高張アルブミン製剤(25%)を緩徐に点滴静注、
    4. 必要投与量(g) = 期待上昇濃度 X 体重 通常2~3日で分割投与する。

  • ○尿量の確保
    1. 尿量30 mL/h以上を確保する。
    2. 腎血流量を増加させ利尿効果を発揮する塩酸ドパミンを1~5 μg/kg/minで静注する
    3. 利尿薬は原則十分な血漿膠質浸透圧が確保されない限り使用しない


OHSSに対する腹水再環流法
  • OHSSの治療の原則は循環血液量を確保し、十分な尿量維持と血液濃縮の防止を図ることである。しかし、重症例では腹水中への蛋白漏出による低蛋白血症があるため、単なる輸液腹水穿刺だけでは状態の改善は望めず、しかも頻回に腹水穿刺を行うことにより腹水中の蛋白質が失われ、さらに低蛋白血症を助長し血液濃縮が進行するといった悪循環に陥る。そこで、腹水穿刺により腹水を除去しその腹水中の蛋白を利用し、膠質浸透圧を上昇させ循環血液量を確保することがこの治療法の目的である。
    方法としては、
    CATSA (continuous autotransfusion system of ascites)
    腹水濾過濃縮再静注法 回収した腹水を濾過濃縮し再静注する方法
    EUA (extracorporeal ultrafiltrasion method of ascites)
    腹水濾過濃縮再灌流法 回収した腹水を濾過濃縮し腹腔内へ再環流する方法
    がある。
    現在、OHSSの治療には腹水濾過濃縮再静注法が保険適応となっている。



血栓症について (表5)
① 頻度

海外の文献、本邦の報告をまとめると、排卵誘発剤使用による血栓症発症の頻度は10万人に2〜50人程度である。しかし、OHSSの重症例は学会報告、論文掲載など行われていない場合が多く、実際にはもう少し頻度が高い可能性がある。(係争例によると、本邦において少なくとも5人の死亡例が確認されている)。いずれにしても、排卵誘発剤使用による血栓症のリスクについての説明にあたっては、排卵誘発剤(ゴナドトロピン製剤)を使用した場合、血栓症を併発する頻度は極めて稀であるが、その機序が明らかではなく、完全にはその発症を予防できないことを伝える必要がある。


② OHSSにおける血栓症の特徴

血栓症に関する海外および本邦の報告を静脈・動脈血栓症に分類し、OHSSとの関連、妊娠率、発症日などについて比較した表(表6)を示す。その特徴を記載すると、動脈血栓症・頭頸部上肢の静脈血栓症の頻度が高い。頭頸部静脈血栓症ではOHSSの重症度はそれ程高くなく、OHSSが改善傾向を示す遅い時期に発症する。また、ほとんどの症例が妊娠している。動脈血栓症はOHSS重症例に多く、発症日は極めて早いことがあげられる。このように、若年者の血栓症としては発症部位、発症時期が極めて特異的であり、その発症機序に関してはまだ明らかになっていない。



③ 対象患者の血栓性素因について

OHSS症例が血栓症を併発する場合、血栓性素因が関与するとの報告があり、注意を要する。現在まで提唱されている主な血栓性素因を(表7)に示す。本邦における先天性血栓性素因では、欧米で頻度が高い活性化プロテインC(APC)抵抗性は現在のところ報告されていない。これらの血栓性素因が直接的に血栓発症に関与しているかは不明であるが、少なくとも重症例においては血栓症の増悪因子になると予想されるため、日本に比較的頻度が高い、プロテインS、プロテインC、AT III、抗リン脂質抗体については検査をしておいたほうが望ましい。しかし頻度が極めて低いため全例に検査を行う必要はないとする報告もあり、必須検査とはしない。


④ OHSS発症時の血栓症の予防について

血栓症の予防は血液濃縮対策と過凝固状態対策の2つが要点である。

ⅰ)OHSS急性期

極めて重症なOHSS症例では血液濃縮による動脈血栓症のハイリスクであり、第1に輸液療法・蛋白製剤投与などにより、その是正をしなければならない。抗凝固療法の適応については現在のところ明らかではないが、a.血液濃縮が著明(Ht:45 %以上、WBC:15,000 /μL以上:特に20,000 /μL以上)、b.凝固・線溶系の活性化傾向が認められる(D-dimerの上昇、 AT IIIの低下)などの場合には抗凝固療法を考慮するのが望ましい。トロンビン・アンチトロンビンⅢ複合体(TAT)、プラスミン・α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)は大部分のOHSS症例で増加するため、ワンポイントの測定で抗凝固療法の適応基準を決めることは困難である。できれば、その経時的変化を参考にし、抗凝固療法の可否を判断する。また、肥満、高血圧、糖尿病、血栓症の既往、家族歴などの血栓性素因がある場合、またはプロテインC、プロテインS、AT III、抗リン脂質抗体などの異常がわかっている場合には早めに抗凝固療法を考慮する。
抗凝固療法としては弾性ストッキング、間歇的空気圧迫法、低用量アスピリン療法、ヘパリン療法、低分子ヘパリン療法、ワルファリン療法などがあげられる。いくつかのガイドラインでは弾性ストッキング、間歇的空気圧迫法をすすめているが、OHSSの急性期では下肢の深部静脈血栓症の発症はほとんどなく、はたして有効かどうかは不明である。ワルファリン療法は作用発現に数日間を要するため急性OHSS症例では不適である。また、静脈血栓でもほとんどが妊娠例であることから、その使用は禁忌である。従って、低用量アスピリン、低用量未分画ヘパリン療法、AT III補充療法が主体となる。一般的にはアスピリン81mg/日、未分画ヘパリン5,000 IUを12時間毎皮下注、あるいは低分子ヘパリン5,000 IU/日を持続点滴、AT IIIが低下する場合は1,500 IUを点滴静注、などが必要に応じて選択される。
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現在のところ以上の治療法の選択、薬剤の量について、どれが最もOHSSの血栓症を予防するかについてのエビデンスは全くなく、個々の症例で判断する。


ⅱ)OHSS回復期

OHSS回復期に静脈血栓症が発症することがある。その特徴は、OHSSの程度は中等度以下が多い、ほとんどが妊娠例である、OHSS回復後数週間を経て発症することが多い、血栓性素因保有率の頻度が高い、などである。このような症例の多くは退院後、外来通院中に発症するため、その予知は極めて困難で、それを全て予防することは不可能である。


なお、治療にあたっては以下の点に注意する。
①低用量アスピリン投与時に腹水穿刺を施行すると、出血の原因になることがあるので注意を要する。
②最近、Xa阻害剤が発売され、静脈血栓の予防に使用される可能性がある。
③欧米では出血などの副作用が少ない低分子ヘパリン療法が推奨されているが、本邦では保険未収載のため、日本血栓止血学会のガイドラインでも推奨されていない。
④血栓傾向の有無の指標でフィブリンモノマー複合体が有効であるとの報告がある。




卵巣過剰刺激症候群で入院した場合の血栓症の予防および治療
【問診・理学所見】
  • 血栓性素因に関する家族歴、肥満、高血圧、糖尿病、喫煙歴などの血栓症リスクについて評価する。
  • 卵巣過剰刺激症候群に伴う血栓症の発症部位は静脈・動脈、上肢・下肢ともに認められるため、頭痛、呼吸苦、上肢・下肢・頸部の腫脹など多彩な症状を呈する。上記特殊性に留意し、回診時に問診、理学的所見に評価する。
【検査】
  • 末梢血液検査、血液凝固学的検査を行い、血液濃縮の程度や血栓傾向について評価する。
  • 卵巣過剰刺激症候群が重症化した場合、検査を経時的に行い、血栓傾向の早期発見につとめる。
    a.必要検査項目:末梢血液検査、PT, aPTT、D-dimer、フィブリノーゲン、AT III
    b.参考検査項目:TAT、PIC、プロテインC、プロテインS、抗リン脂質抗体
【予防および治療】
  • 血液濃縮による血栓症を予防するために、輸液療法、蛋白製剤などの投与を行う
  • 卵巣過剰刺激症候群が重症化した場合は抗凝固療法を考慮する。血栓性素因がある場合は早めに抗凝固療法を考慮する。 血液濃縮が認められる時:Ht ; 45 %以上、WBC ; 15,000 /μL以上、 凝固・線溶系の活性化が疑われる時 : D-dimerの上昇、AT IIIの低下、 (*参考項目:TAT,PICの上昇)など
  • 凝固学的検査あるいは症状・理学的所見で血栓症が疑われた場合はMRI、CT、超音波検査、血管造影検査などを手配する、あるいは専門医に相談する。
  • 静脈血栓症は卵巣過剰刺激症候群が軽快後に発症することがあるため、退院後の外来通院時も注意を要する




典型症例概要
  • [症例1] 30歳代、女性
    月経歴: 初経 12歳、周期 30日
    不妊治療歴: 25歳 右卵管妊娠 右卵管切除
    27歳 左卵管妊娠 左卵管切除
    28歳 体外受精-胚移植 1回目 化学的妊娠
    現病歴: 6月(30歳) 体外受精-胚移植プログラム 2回目
    (GnRHアゴニスト long protocol)
    6月28日 hCG 10,000 IU 注射
    6月30日 採卵 12個
    7月2日 胚移植 1個 その他の胚8個を凍結保存
    7月9日 腹水多量、卵巣径は両側とも12 cmに腫大
    7月10日 腹部膨満、腹痛、尿量減少 Ht 48%, WBC 16000 /mm3, Alb 2.5 g/dL
    重症OHSSの診断のもとに緊急入院
    直ちに細胞外液補充液の点滴静注を開始
    塩酸ドパミンを2 μg/kg/minで持続静注
    6%ヒドロキシエチルデンプン500 mLを
    緩徐に点滴静注(3日間のみ)
    7月12日 尿量30 mL/h以上に改善
    7月17日 症状は改善 卵巣径は両側とも5 cmに縮小
    Ht 38 %, WBC 8000 /mm3, Alb 3.5 g/dL
    妊娠反応陰性を確認し、退院となった。
    12月 凍結胚1個を融解・移植し、妊娠に到った。


















関連情報 多嚢胞性卵巣症候群(PCO)

腹水







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