光学異性体  optical isomers

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異性体 分子式は同じだが、異なる化合物どうしを異性体といい、以下のように分けられています
構造異性体 骨格異性体(連鎖異性体)
位置異性体
官能基異性体
立体異性体 幾何異性体(CIS-TRANS異性体)
光学異性体(鏡像異性体)
光学異性体は基本的な性質は同じだが、生体に与える影響は大きく異なる。この違いはサリドマイドの薬害で分かった。
光学活性 ある種の物質は、平面偏光をその結晶や液体、溶液に通過させた時、その偏光面が回転するような性質を『光学活性optical astivity』という。
◎天然の有機化合物には、光学活性を示すものが多く、しかも多くは一方の対称体のみが得られる。ex.グルコース:右旋性の異性体しか得られない
キラル中心 ◎光学活性を示す分子は、分子内に対称面を持たないものである。有機化合物の場合は、炭素原子の結合している相手が全部異なった原子or原子団のものである。このようなタイプの原子は「不斉中心(キラル中心)」と呼ばれる。
反転する 現象
2012年、奈良先端科学技術大学院大学の藤木道也教授らは、右手と左手の関係のように鏡に写すと同じ現象になる化合物「光学異性体」の構造が自在に反転する現象を見つけた。
溶液に使うリモネンの濃度によって螺旋構造が変わった。
シリコンを含む特殊なプラスチック「ポリシラン」の溶液に常温常圧でリモネンやアルコールを入れる。
リモネンの濃度によってポリシランの螺旋構造が変わり、左右どちらかの光学異性体に自在に変えることができた。
10秒以内で反応し触媒は不要。
リモネンは再利用可能。

(不斉炭素)
  • 不斉炭素と光学異性体:
    1. 不斉炭素は共有結合で結ばれる4つの原子or原子団がすべて異なるものをいい、分子内に1つの不斉炭素を含むものは互いに鏡像関係の2種の立体異性体を生じる。
    2. n個の不斉炭素を持つ分子は2n個の異性体がある。
    3. 不斉炭素を持ち非対称の分子は、光の偏光面を右or左に回転させる「偏光性光学活性」を持つ。
    4. 右旋性を(+)、左旋性を(ー)で表す
鏡像異性
  • 鏡像異性
    1. 光学異性体の分子は化学的にはほとんど同一の挙動を示し、物理的(光学的)性質のみが異なる。このような異性を「鏡像異性」という。
    2. 一方の鏡像異性体が偏光面を右に回転すると、他方は同じ大きさだけ左に回転する。
    3. 右旋性dextrorotatoryといい、頭文字から「d-」で表記する。
      左旋性levorotatoryといい、 「l-]で表記する
  • 光の吸収性にちがい
    • 2011年、東京大学の石井和之准教授らは鏡に映したときに同じ構造をもつ鏡像異性体と呼ばれる2種類の有機化合物が、光の吸収性において大きく異なる性質をもつことを突き止めた。
    • 成果はドイツ化学会誌(電子版)に掲載。
    • 研究グループはポルfリンという色素分子の鏡像異性体に、一定の方向から緑色の光と1万ガウスの磁場を与える実験をした。片方の鏡像異性体では光の吸収量が大きく、もう一方では吸収量が小さいことが判明した。その差は0.1%と小さいが、与える磁場の上げれば比例して差も大きくなる。
    • この性質は無機化合物では以前から知られていたが、有機化合物でははじめて。
    • 光を吸収すると分子が光反応を起こし、別な物質に変わることがある。アミノ酸には「L体」と「D体」の2種類があるが、生体内におけるアミノ酸はL体しか存在しない。
ラミセ混合物
  1. d-異性体とl-異性体の等モル混合物
  2. 偏光面を回転しない。つまり光学活性を示さない。
    これを「ラミセ混合物」といい、「dl-」で表記する

常識が
覆る
左右均等の常識が覆る
「東京理科大学のコ合憲三教授と柴田高範助手は、分子構造が右手と左手のように鏡に映した関係になっている光学異性体について、片方の分子だけが増える化学反応の例を見つけた。通常は右手型と左手型が半々に近づくという従来の常識を覆す発見。一方、生物が作り出すアミノ酸は、ほぼすべてが左手型であることが知られており、今回の発見は分子の左右にまつわるナゾの解明につながりそうだ。
発見した例は、ピリミジルアルコールという分子が別の2種類の分子を原料に増えていく化学反応。ピリミジルアルコールには2種類の光学異性体があるが、最初の時点でどちらか多い場合、反応が進むにつれてますますその比率が高くなった。
右手型と左手型の分子の存在量に偏りがあると『光学活性』という性質が生じる。生物が作り出すアミノ酸は左手型、DNAは右手型だけで、大きな光学活性を持つが、人工的な化学反応で光学活性を持つ物質を作るのは極めて困難とされてきた。今回の反応では、ほんの少でも左右型分子の量に差があれば自然に光学活性が高まっていく。
 原始の地球では右手型と左手型の分子が同じ確率で存在していたはずなのに、生物どうしがどうして片方だけを利用するようになったのかは、生命の不思議の1つとされている。コ合教授は「原始の海洋や大気で、今回発見したのと同種の反応が起きた可能性がある」と見ている
化学計算
システム
2005年12/13、国立情報学研究所はコンピューターで化学反応の予測などを行う化学計算システムの開発支援ソフトを開発した。12/26から無償公開する。
http://research.nii.ac.jp/~cheminfo.ChemoJun/
化学反応の予測結果が図や色でわかりやすく立体的に表示できる。ソフト開発者の利用を予定し、「ソースコード」を公開し、誰でも改良できるようにする。開発したソフトの名前は「ケモじゅん」
合成 化学物質は物理化学的な性質がまったく同じでも立体構造が異なることがる。これは光学異性体と呼ばれ、分子構造が右手と左手のように鏡に映した関係にある。しかし、生体が作り出す物質は、アミノ酸が左手型、遺伝子の本体であるDNA(デオキシリボ核酸)が右手型というように異性体の一方しかない。医薬品や農薬、調味料、香料などもどちらか一方の光学異性体しか効力がない
 『不斉合成法』
通常、医薬品などを人工的に合成しようとすると左手型と右手型が一対一の割合でできる為、効率が悪い。このため、どちらか一方の型だけを選択的に合成する製造プロセスに導入されている。
 現在の不斉合成法は触媒や酵素を使った熱反応が主流(熱不斉合成)。
触媒を使った熱反応は反応工程が7、8段階必要なうえ、反応温度の制約も受ける。一方、酵素反応は生物が必要とする物質しか合成できず、光学異性体のどちらをつくるかという選択の余地もなくなってしまう。
 この為、大阪大学工学部の井上桂久教授を総括責任者とする光不斉合成反応プロジェクトの研究グループは光を物質に照射して光学異性体の一方を選択的に作る不斉合成法の開発に乗り出した。光は熱よりも活性化させる力が強い為、熱反応では合成できない化合物を選択的に合成できる可能性があるという。
 一方の型の光学異性体を組み込んだ光増感剤を使って、目的とする光学異性体を増殖させる方法を開発する。さらに、ある分子の一方の光学異性体が整然と並んだ中に光学活性を持っていない分子を導いて光を照射し、そのまわりの光学異性体と同じ分子に変えることができるかも調べる。
炭素 2009年、東京理科大学のコ合憲三教授のチームは、右手と左手の関係のように鏡に映すと同じ姿になる『光学異性体』の生成に、炭素の同位体が関与する化学反応を発見した。
試薬の反応に「ジメチルフェニルメタノール」という有機化合物を作用させ、ピリミジルアルコールを合成する実験でテストした。

不斉合成
  • 光学活性体を作り分け不斉合成
    • 「同じ組成でありながら化学構造が右手と左手のように異なる光学活性体を作り分ける技術。化合物にある炭素原子と結合する原子の位置によって左右が決まり、生体内では酵素が不斉合成反応の触媒として働いている。
      工業的にはタンパク質の構成成分であるアミノ酸の合成に多く使われ、農薬や医薬・食品の原料製造に用いられる。代表例としては、清涼飲料水やタバコ香料に含まれるハッカ成分のメントールがあり、不斉合成の技術を使い製造している。
      1. 左右の化合物を合成してからカラムで分離する。
      2. 微生物や酵素など天然物を利用して合成する。
      3. 人為的に作り出した触媒を使う
      「東大薬学部の柴崎正勝教授らは、医薬品などの原料となる中間体を底コストで製造出来る触媒を開発。開発した触媒は有機物と金属が結合した錯体。リチウムとランタンの金属の周りに、「ビナフトール」と呼ばれる複数の水酸基とベンゼン環からなる有機化合物が結びついている。触媒はランタンの有機物と不斉触媒によく使われるビナフトール、ブチルリチウムの3つを無水の状態で反応させて作る。
      新触媒は、アルコールなどの重要な工業原料であるアルデヒドとケトンの化合物から、新規の化学物を合成出来る。これは『アルドール反応』と呼ばれ、生体内の「アルドラーゼ」という酵素と同じ働き。人工的にこの反応を進ませる化学物は今回が初めてという。
    1. 一般的に普及している不斉合成触媒は薬の分子構造の中心に水素を含んでいた。柴崎正勝・東大教授が開発した触媒は水素を含んでいないため応用範囲が広がる。
    2. 不斉合成は野依良治・理化学研究所理事長が2001年にノーベル賞を受賞した。その発明は薬を合成する過程で水素を炭素にくっつける際に一方ができるようにしたもの。柴崎教授が開発した触媒は炭素同士が結合した構造の思い通りの場所に窒素や硫黄などをつけることで一方を作る。
    3. 不斉合成が注目を集めるようになったのは、・・・
      乳児の奇形が多発した睡眠薬のサリマイドがきっかけとされている。光学活性体を作り分けず医薬品を用いた為、片方は効果があったがもう一方の異性体が奇形を起こしたとされる。
    生体内のアミノ酸はほとんどが左手型のL型であり、睡眠薬中の右手型のD体が薬禍を招いたと考えられる。現在でも異性体が混合すると、医薬品として事実上製造承認の申請が出来ない。
  • 応用が広い不斉合成触媒
    • 2011年、米カリフォルニア大学バークレー校のチームは、金属を含まない触媒を開発した。
      通常は銅などの金属を含む化合物を使う。
      研究チームは「ジチオリン酸」と呼ぶ化合物を元に、構造を変えて新しい触媒を作った。

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