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嘔吐(おうと)



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嘔吐に用いる漢方薬
①安中散

  • 朝食暮吐する者は、古の胃反なり。は水飲胃中に停蓄し、痛強く、水を吐す。胃反は脈虚数、飲食化せずして吐す。より重し。治方は同じからざれども、何れも減飲減食にあり。の痛みは「苓桂甘棗湯」あるいは「安中散」に宜し。《通俗医法捷径》

  • 反胃に用いるにも腹痛を目的とすべし。《勿誤薬室方函口訣》
  • 反胃やで甘味を好む者に著効がある《福井楓亭》
  • この方は水をひどく吐く者には効無く、腹痛の有る者を目的として用いる《福井楓亭》
  • 嘔吐を伴うこともあるが、吐水があれば、安中散ではないことが多い。《矢野敏夫》


②胃苓湯(水滞、気鬱)



④黄連湯

  • 半夏瀉心湯のの代わりに桂枝を入れたもので、腹証は半夏瀉心湯と同じく心下痞があり、腹痛・嘔吐を目標として用いる《大塚敬節》
  • 霍乱、疝、攻心腹痛し、発熱、上逆し、心悸して嘔吐せんと欲し、及び婦人の血気痛、嘔吐して心煩し、発熱、頭痛する者を治す《類聚方広義》
  • 厥、復し、発熱心煩し、嘔吐除かず、飲食を欲せざる者


⑤葛根加半夏湯

⑥香蘇散

⑦呉茱萸湯

  • 嘔吐・胸満・心下軟・手足厥冷・煩躁・脈沈遅。
  • 《金匱要略》に“嘔して胸満する”ものを目標にする。多くの場合に、嘔吐すれば、胸がすいて胸満が減ずるのを常とするが、もし、吐いても胸満が減ぜず、ますます胸が膨満するのは、呉茱萸湯を用いる目標である。ここに胸満というのは、俗にいう鳩尾の部分の膨満である。《大塚敬節》
  • 嘔吐は強い発作の時には起きるが、いつでもくるとは限らない。この嘔吐は悪心が強く、胆汁を吐く《大塚敬節》
  • 呉茱萸湯の嘔吐は、多くは、激しい頭痛を伴うものであるが、頭痛がなくて、急激な嘔吐を訴えるものがある。この方の嘔吐は強い悪心を伴うのが特徴で、吐物の量は少ない。これは五苓散の水逆と異なる点である。何を呑んでもすぐ下から突き上げてきて胃に納まらないことがある。口に入れるとすぐ吐く、このような時は呉茱萸湯を唾液を呑むように1口ずつ呑むとよく納まり、また止むことがある《大塚敬節》
  • 久腹痛、水穀を吐する者「沈香」《勿誤薬室方函口訣》
  • 陽明、穀を食し嘔せんと欲するを治す
  • 少陰病、吐利し、手足煩躁し、死せんと欲するを治す。
  • 激しい頭痛を伴う嘔吐ことに片頭痛に用いられているが、頭痛が無くても、吐く場合にも用いられる。金匱要略に“嘔して胸滿する者は呉茱萸湯之を主る”とあって、多くの場合、嘔吐すれば胸がすいて胸滿が減ずるのを常とするが、もし吐いても胸滿が減ぜず、ますます胸がはるのは呉茱萸湯を用いる目標である。呉茱萸湯の嘔吐では、悪心を伴い、吐物の1回量は少なく、五苓散証のように多量の水を吐くことはない。
    呉茱萸湯証では、心下痞満があるので、小柴胡湯や半夏瀉心湯証に似ているので、鑑別を要する(漢方診療医典)



⑧五苓散

  • (水滞)
  • 乳幼児の風邪や急性胃腸炎などのさいに五苓散でなければ治らない嘔吐がくることがある。熱のある場合でも、熱がない場合でも、どちらでもよい。
    はげしい口渇と尿利の減少があって、嘔吐を繰り返して訴える者を目標とする。嘔吐は1回に大量の水をドッと吐くのが特徴で、吐いた後で、水をほしがり、それを飲んでしばらくたつとまた吐く、吐くとまた水をほしがるので、このさい尿の出が少なくないかをたずね尿利の減少があれば五苓散の適応症である。
    多くの場合、1回または2回の服用で嘔吐が止み、口渇も無くなり、熱のある場合は発汗し、尿利が増加して下熱する。
    また嘔吐に下痢を兼ねることもあり、嘔吐に腹痛を兼ねることもあり、嘔吐に頭痛を兼ねることもある。この場合でも口渇と尿利の減少を目標に用いる。(漢方診療医典)


⑨乾姜人参半夏丸

⑩柴胡桂枝湯

⑪柴苓湯

⑫小柴胡湯

  • 嘔吐:陽毒傷寒、四肢壮熱あり、心煩、嘔吐止まざるを治す:「麦門冬・竹葉」= 人参飲子《備全古今十便良方》
  • 肝炎・胆嚢炎・流感・猩紅熱・腎炎などの初期にみられる嘔吐に、この方が良く用いられる。腹証として、胸脇苦満・心下痞硬が認められ、舌にはうすい白苔がつくことが多い。《大塚敬節》


⑬小半夏加茯苓湯

  • (水滞、気逆)
  • 悪心・嘔吐を主訴とする者に用いる《大塚敬節》
  • 旦に食し、暮れに吐するを治す:「大黄」《医宗必読》
  • 悪阻の嘔吐や種々の薬物による胃障害からくる嘔吐に用いる《大塚敬節》
  • 中暑、昏悶醒めず、并びに伏暑、停食吐瀉する:「茯苓・半夏・甘草末」を生姜汁に入れ、口を開き、水で調え之に濯ぐに宜し。《医学実在易》
  • 五苓散証では多量の水を1回にパッと吐くが、小半夏加茯苓湯証では、何回にも少しずつ吐くし、悪心の状が吐いた後にも残る。《大塚敬節》



⑭真武湯

  • 少陰嘔逆、腹痛溺短を治す《医学実在易》
  • 嘔する者には:「附子、生姜(ひね生姜)8.0gに」《龍野ー漢方処方集》



⑮二陳湯

  • (水滞、気逆)


⑯人参湯

  • 《傷寒論》に“霍乱で頭痛、発熱し、からだが痛み、熱が多くて水を飲むたがる者は五苓散の主治であり、寒が多くて水を飲みたがらない者は理中丸の主治である”という条文がある。霍乱とは嘔吐下痢の激しい病気であり、理中丸は人参湯を丸としたものである。この条文によっても分かるように、五苓散も人参湯も嘔吐と下痢を訴える急性の吐瀉病に用いられることが分かる。2方の区別は、五苓散では熱があって水を飲みたがり、人参湯では寒があって水を飲みたがらない点にある。《大塚敬節》
  • 嘔吐だけで下痢の無い者にも用いる点は、五苓散と同じである。《大塚敬節》


⑰半夏厚朴湯

  • (水滞、気鬱)
  • 幽門痙攣のために、胃拡張の症状を停止、胃部の膨満、嘔吐を訴える者に用いる(漢方診療医典)


⑱半夏瀉心湯

  • 嘔吐・心下痞硬・腹中雷鳴。


⑲半夏白朮天麻湯

  • 呉茱萸湯証の嘔吐との鑑別:
    呉茱萸湯証の嘔吐は、半夏白朮天麻湯証のそれよりも、頻繁で激しい傾向がある」《大塚敬節》


⑳茯苓飲

  • (水滞、気鬱)
  • 久腹痛、宿水を吐し、食を得れば痛劇しく、噫気酸臭ある者を治す:「呉茱萸・甘草」《原昌克》
  • もし食し終わって即ち吐し、関格の如き者は、不可。《雑病翼方》
  • 悪心も寒証も見られないときは、「茯苓飲」。《中医処方解説》
  • 悪心があって寒証がないとき、「茯苓飲合半夏厚朴湯」がよい。《中医処方解説》
  • 先年、夜床につくと水が胃から出てきて安眠を得ないという者に、茯苓飲を与えて、効を得たことがある。《大塚敬節》


㉑茯苓飲合半夏厚朴湯

  • (水滞、気鬱)


㉒茯苓沢瀉湯

  • 口渇と嘔吐と尿利の減少を目標として用いる。五苓散を用いる目標と似ているが、五苓散の場合は、吐いて水を飲むとすぐにまた吐き、吐くとノドが渇く、飲むとまた吐くという状態を繰り返すが、茯苓沢瀉湯の嘔吐は、1日に1~2回の嘔吐で、前日または前々日あるいは、それ以前のものを吐く。この点が違っている。上腹部は膨満していて、この部でひどい振水音を証明する。(漢方診療医典)


㉓補中益気湯

  • 胃気虚して嘔の止まない者に此方のよいことがある《矢数道明》

㉔六君子湯

  • (水滞、気虚)



声あって物の出ないもの
【吐】 物が出て声のないもの
【嘔吐】 声と物が同時にあるものを嘔吐とした



嘔吐の漢方療法《大塚敬節》
(1)急性伝染病の初期:

幼児に多い。
  • 小柴胡湯を用いる機会が多い

    小児麻痺・疫痢・麻疹・インフルエンザ・肺炎・猩紅熱・急性伝染性肝炎・ワイル氏病・流行性脳炎・髄膜炎

    《傷寒論》に
    “嘔して発熱するものは柴胡の証備はる”の句があり、嘔吐に引き続き発熱するものには柴胡剤を用いる場合の多いことを述べている


2)消化器病:

酒客にみられるアルコール性胃炎の嘔吐:
  • 早朝空腹時が多い


胃拡張では:
  • 朝食を夕方に吐き、夕食を翌日吐いたりする。
    《金匱要略》に“朝に食して暮に吐し、暮に食して朝に吐き、食穀化せざる者を胃反と曰ふ”とあり、後世になって、胃反を反胃と呼ぶようになった。
    「茯苓沢瀉湯」
  • 「丁香茯苓湯」
  • 「生姜瀉心湯」などが用いられる


(ヘキノウ)と呼ばれた病気では、
  • 4、5日も前に食べたものを吐き、胃反では、腹痛を伴わないで、たやすく吐くのに、では腹痛を伴うもの。
  • 「茯苓沢瀉湯」
  • 「丁香茯苓湯」
  • 「生姜瀉心湯」などが用いられる


幽門痙攣による狭窄でも吐く。
  • これは乳幼児に多く見られる。
    これは漢方でいう水逆性の嘔吐で五苓散が良く効く


急性食道炎・食道痙攣・食道狭窄・食道ガンなどで嘔吐:
  • 梔子の配剤された処方(ex.「利膈湯」)が用いられる



肝臓・胆嚢疾患で嘔吐:
  • 柴胡を主薬とした「大柴胡湯」「小柴胡湯」などを用いる


姜汁・半夏を主薬とすべし《万病回春》

諸薬無効の者:
  • 「麝香・桂心」末とし、調服する。《先哲医話》






<1>カミルレ(ストレスから)
<2>ラベンダー(ストレスから)
<3>ブラックペパー(かぜから)
<4>マージョラム(かぜから)
ベイチ博士の救急薬



○酢・ハラン・ミソハギ・レンギョウ

胃の画像

嘔吐が起きる仕組み
精神的ストレス
ノイローゼ
ヒステリー
視覚異常
聴覚異常













【前駆症状】
  • [悪心(吐き気)]
    [顔面蒼白]
    [唾液分泌亢進]
    [冷や汗]
    [徐脈]
    [低血圧]
    [瞳孔拡大]


  • 小腸の逆蠕動運動で内容物がへ逆流
    ・幽門前庭部の収縮
    ・胃庭部の拡張
    ・噴門括約筋の弛緩
    ・胃体中央部からの蠕動


  • ・反射的な深い吸気
    ・声門の閉鎖


  • ・横隔膜、腹筋の収縮と腹圧の上昇


  • の逆蠕動


  • ・胃内容物の食道への逆流


  • ・食道の弛緩


  • ・喉頭蓋が気道を閉鎖
    ・軟口蓋が鼻腔との連絡を遮断


  • ・呼吸の一時停止


嘔吐する
くも膜下出血
髄膜炎
脳虚血性発作
脳腫瘍
脳出血
胃腸疾患
肝疾患
膵臓疾患
胆嚢疾患
腹膜炎
うっ血性心不全
狭心症
心筋梗塞
腎疾患
膀胱疾患
尿管疾患
子宮疾患
卵巣疾患
肝不全
尿毒症
妊娠悪阻
糖尿病性ケトアシドーシス
メニエール病
乗り物酔い
中耳炎
内耳炎
食中毒
貧血
急性感染症
重金属や有機物の中毒
アドレナリン
エメチン
抗がん剤
ジギタリス
ニコチン
モルヒネ


酒を飲んで嘔吐する
→気分が悪いと感じる(延髄の化学感受引き金帯)→

→唾液が多く出る→
  • (理由)
    • 吐瀉物には胃酸や胆汁が含まれる
    • 食道炎にならないように、嘔吐の前に唾液が出る

小腸からへの蠕動が起き、小腸にある吐瀉物をの中にためこむ。→

→吸息筋と呼息筋が同時に、強く収縮→

→強い腹圧がかかる→

→上部食道括約筋(食道口側にある)と声門を締める→

→吐瀉物が腸に戻らないように、の下部を閉じる→

→上部食道括約筋をゆるめ、腹圧で、一気に、の中の吐瀉物を吐き出す



ガンの化学療法の副作用による嘔吐に
抗ガン剤の投与によって、腸に存在する腸管クロム親和性細胞が刺激を受けると、神経伝達物質の「セロトニン」が大量に分泌される。

腸管クロム親和性細胞は体内で分泌されるセロトニンの9割を産生しているので。

大量に分泌されたセロトニンがその受容体の1つ「セロトニン5-HT3受容体」と結合すると、求心性迷走神経を通じて化学受容器引金帯(CTZ)に信号が送られる。
その信号を受けとったCTZが延髄の嘔吐中枢を興奮させ、激しい嘔吐が起きる。
セロトニン5-HT3
受容体拮抗
グラニセトロン [カイトリル]
[グラニセトロン]
ラモセトロン [ナゼア]
パロノセトロン [アロキシ]
タキキニンNK1
受容体拮抗
アプレピタント [イメンド]



(胆道拡張症)
7歳の女児が学校で急におなかが痛くなり、熱も出て給食で食べたものを吐いた。
母親によると2~3年前から同じような症状が時々見られ、自家中毒と診断されて治療を受けているという。

診察すると、


上腹部を痛がり、押すと抵抗がある。

血液検査では血中アミラーゼ値が以上に高い。

超音波検査では肝臓下面の総胆管にあたる箇所が野球のボール大に丸く拡張していた。

これは先天性胆道拡張症だ。

先天性胆道拡張症は生まれつき総胆管が丸い嚢腫状か、細い楕円の円柱状に拡張している病気だ。


本来、十二指腸の壁内で合流すべき総胆管と膵管が、それより離れた上方で合流することが原因で起こる。

膵液が胆管内で活性化され、胆管炎や膵炎を起こす。

黄疸が出たり、便が白くなったりすることもある。

乳幼児期のほか学童期に発見される場合もあり、女の子に多い。
痛みなどの症状に加え高アミラーゼ血症があればこの病気が疑われ、超音波検査やCTで胆管の拡張があれば確定する。


小児で原因不明の腹痛と嘔吐を繰り返す場合にはこの病気を念頭にいれた検査が必要。
片頭痛



誤嚥性肺炎に注意
  • 吐瀉物が外に吐き出されてしまうと大丈夫だが、誤って気管のほうに入ってしまうと、1~2日ぐらいで、肺炎を誘発して死に至ることがある。
  • 異物を吸引して抗生物質で炎症を止めれば助けられる。


鎮吐剤
  • <1>塩酸グラニセトロン:[カイトリル]
    <2>シサプリド:[アセナリン][リサモール]
    <3>マレイン酸トリメプチン:[セレキノン]
    <4>ドンペリドン:[ナウゼリン]
    <5>メトクロプラミド:[プリンペラン][プロメチン]






関連情報 吐く」「吐き気」「逆流性食道炎」「ガン」「胃ガン」「虫垂炎」「急性虫垂炎」「自家中毒」「ダンピング症候群」「慢性膵炎」「褐色細胞腫」「アスピリン」「倦怠感」「発汗異常」「急性腹膜炎」「急性腹症」「急性脳症」「幽門狭窄症」「褐色細胞腫」「中枢神経の疾患」「心身症」「ヒステリー」「不安」「脳血管障害」「片頭痛」「脳腫瘍」「アカラシア」「アジソン病」「セロトニン症候群







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