うつ病治療薬 | |
一般名 | 塩酸パロキセチン水和物→SSRI パロキセチン塩酸塩水和物 |
商品名: | パキシル |
作用機序 | ★神経終末でのセロトニントランスポーターに選択的に結合し、セロトニンの再取り込みを阻害することでシナプス間隙の濃度を増加させ、うつ病を改善する。 ・本剤は主にCYP2D6という酵素で代謝される。 ・脳の神経細胞から放出された刺激の神経伝達物質であるセロトニンが受容体に取り込まれるのを阻害する。 |
効能・用途 |
うつ病(2000年から)、 ウツ状態 パニック障害 強迫性障害(2006年から) 社会不安障害(2009年から) |
用法用量 | うつ病・うつ状態:1日1回・・・20〜40mg 夕食後 1回10〜20mgから開始し、1週ごとに10mg/日ずつ増量が原則。 1日40mgを超えない範囲で増減する。 |
パニック障害:1日1回・・・30mg 夕食後 1回10mgより開始し、原則として1週ごとに10mg/日ずつ増量 |
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強迫性障害:1日1回・・・40mg 夕食後 投与は1回20mgより開始し、原則として1週ごとに10mg/日ずつ増量 1日50mgを超えない範囲で増減。 |
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5mg | 2010年、5mgが発売された。日本独自の製品。効果が出始めた後、段階的に減らすときに使う。 |
使ってはダメな者 禁忌 |
・本剤過敏症 ・MAO阻害剤投与中 ・MAO阻害剤投与後2週間以内の者 ・チオリダジン(メレリル)投与中 |
慎重な投与 が必要 |
躁病の既往歴がある者 テンカンの既往歴ある者 緑内障 抗精神病薬投与中の者 高齢者 出血の危険性を高める薬剤を投与中の者 出血傾向(出血性素因)がある者 |
相互 作用 |
・L-トリプトファン含有製剤との併用でセロトニン症候群 ・炭酸リチウムとの併用でセロトニン症候群 ・コハク酸スマトリプタンとの併用でセロトニン作用が増強。 ・フェノチアジン系抗精神病剤との併用で血中濃度が上昇。 ・三環系抗うつ剤の作用を増強 ・抗不整脈剤の作用を増強 ・β遮断剤の作用との併用で重度の血圧低下 ・キニジンとの併用で作用増強 ・ジゴキシンの作用減弱 ・アルコールとの併用を避ける |
過量投与の徴候・症状と処置 | |
他の精神病薬との併用に注意 瞳孔散大 発熱 昏睡 心電図異常 |
特異的な解毒剤は無い。 胃洗浄 活性炭投与 |
妊婦への影響 | 安全性未確立→有益時のみ投与 母乳へ移行する・・・やむを得ず投与する場合は授乳中止。 |
パキシル副作用(五十音順) | ||||||||||||||
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厚生労働省副作用情報 |
平成18年9/1〜12/31
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(平成20年4/1〜9/31)
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(平成20年10月1日〜平成21年2月28日)
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警告 | 海外で実施した7〜18歳の大うつ病性障害患者を対象としたプラセボ対照試験において有効性が確認できなかったとの報告,また,自殺に関するリスクが増加するとの報告もあるので,本剤を18歳未満の大うつ病性障害患者に投与する際には適応を慎重に検討すること。 |
[禁忌] | 「18歳未満の患者(大うつ病性障害患者)」を削除 |
[効能・効果に関連 する使用上の注意] |
抗うつ剤の投与により,18歳未満の患者で,自殺念慮,自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため,抗うつ剤の投与にあたっては,リスクとベネフィットを考慮すること。 |
[慎重投与] | 自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者,自殺念慮のある患者 |
[重要な基本的注意] | うつ症状を呈する患者は希死念慮があり,自殺企図のおそれがあるので,このような患者は投与開始早期ならびに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察し,新たな自傷,気分変動,アカシジア/精神運動不穏等の情動不安定の発現,もしくはこれらの症状の増悪が観察された場合には,服薬量を増量せず,徐々に減量し,中止するなど適切な処置を行なうこと。 また,うつ病・うつ状態以外で本剤の適応となる精神疾患においても自殺企図のおそれがあり,さらにうつ病・うつ状態を伴う場合もあるので,このような患者にも注意深く観察しながら投与すること。 自殺目的での過量服用を防ぐため,自殺傾向が認められる患者に処方する場合には,1回分の処方日数を最小限にとどめること。 家族等に自殺念慮や自殺企図のリスク等について十分説明を行い,医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること。 大うつ病エピソードは,双極性障害の初発症状である可能性があり,抗うつ剤単独で治療した場合,躁転や病相の不安定化を招くことが一般的に知られている。従って,双極性障害を適切に鑑別すること。 本剤を投与された婦人が出産した新生児では先天異常のリスクが増加するとの報告があるので,妊婦又は妊娠している可能性のある婦人では,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合以外には投与しないこと。 |
[妊婦,産婦,授 乳婦等への投与] |
妊婦等:妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ本剤の投与を開始すること。また,本剤投与中に妊娠が判明した場合には,投与継続が治療上妥当と判断される場合以外は,投与を中止するか,代替治療を実施すること。〔外国における疫学調査において,妊娠第1三半期に本剤を投与された婦人が出産した新生児では先天異常,特に心血管系異常(心室又は心房中隔欠損等)のリスクが増加した。このうち1つの調査では一般集団における新生児の心血管系異常の発生率は約1%であるのに対し,パロキセチン曝露時の発生率は約2%と報告されている。 また,妊娠末期に本剤を投与された婦人が出産した新生児において,呼吸抑制,無呼吸,チアノーゼ,多呼吸,てんかん様発作,振戦,筋緊張低下又は亢進,反射亢進,ぴくつき,易刺激性,持続的な泣き,嗜眠,傾眠,発熱,低体温,哺乳障害,嘔吐,低血糖等の症状があらわれたとの報告があり,これらの多くは出産直後又は出産後24時間までに発現していた。なお,これらの症状は,新生児仮死あるいは薬物離脱症状として報告された場合もある。〕 |
[小児等への投与] | 海外で実施された18歳未満の大うつ病性障害等の精神疾患を有する患者を対象とした,本剤を含む複数の抗うつ剤の短期(4〜16週)プラセボ対照臨床試験の検討結果より,抗うつ剤を投与された患者で自殺念慮や自殺企図の発現のリスクが高くなることが報告され,そのリスクは抗うつ剤群で約4%であり,プラセボ群で約2%であった。いずれの試験においても自殺既遂例はなかった。 |
パキシル
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典型的症例概要 | |
【症例1】48 歳、女性
☆パロキセチン塩酸塩水和物=「パキシル」 |
傷害等の他害行為があった副作用報告(厚生労働省) | |||
症例 | 副作用名(PT) | 他害行為 | 併用薬 |
T-1 20代女性 |
幻聴 錯乱状態 幻視 |
ナイフを振りかざす、スタッフにたいする暴言、暴行 | |
T-2 60代女性 |
錯乱状態 | 反抗的態度、興奮、噛み付く | マレイン酸フルボキサミン、スルピリド、フルニトラゼパム、カリジノゲナーゼ、エチゾラム、テオフィリン、塩酸ラニチジン、アロプリノール、喘息吸入薬 |
T-3 30代男性 |
被害妄想 錯乱状態 |
交通違反にて検挙された際、急に怒り出し拳銃を奪い取ろうとする。父親とけんかし、窓側ラスを割る | ロルメタゼパム、ロフラゼブ酸エチル、フルトプラゼパム |
T-4 30代女性 |
激越 | 電話で主治医を罵り自殺すると言う。母親に対して皆殺しにしてやると言い、刃物で自分や母親を切る。灯油を撒いて火を点ける。襖を破って物を投げる。 | マレイン酸レボメプロマジン、バルプロ酸ナトリウム、フルニトラゼパム |
T-5 20代男性 |
躁病 | けんか、他人の首を刀で刺し、警察に逮捕された。 | リスペリドン |
T-6 30代男性 |
躁病 | 登校中の女子学生になぐりかかる。 | スルピリド、トフィソパム |
T-7 60代男性 |
うつ病 | 家族にたいし暴力行為 | ゾピクロン、エチゾラム、塩酸マプロチリン、炭酸リチウム、クエン酸モサプリド、塩酸クロミプラミン、塩酸ミアンセリン |
T-8 60代男性 |
激越 | 他患者に対する暴力行為、怒号 | アルプラゾラム;ニトラゼパム;センナ・センナ実;炭酸リチウム;アモキサピン;塩酸クロミプラミン;マレイン酸レボメプロマジン |
T-9 不明男性 |
衝動行為 | 自傷と暴力 | ハロペリドール |
T-10 30代男性 |
軽躁 強迫性障害 |
交通ルールへのこだわりあり、守らない他のドライバーへ暴力を振るう。 | スルピリド;カルバマゼピン;塩酸アミトリプチリン |
T-11 不明男性 |
攻撃性 | 衝動性が増し、傷害事件を2回起こし、2回刑務所に入った | |
T-12 30代男性 |
易刺激性 | 非常にイライラして町で人とぶつかったらケンカしてしまいそうだった、神社の賽銭箱を持って逃走し窃盗容疑にて逮捕される | クロナゼパム;ニトラゼパム;フルスルチアミン;スルピリド;グリチルリチン・DL−メチオニン配合剤 |
T-13 40代男性 |
攻撃性 | 患者が妻に金属類でもって頭部を殴打。全治1ヶ月の重症を負わせ、傷害罪で逮捕。 | 塩酸マプロチリン;ジアゼパム;ドンペリドン;アルプラゾラム |
T-14 40代男性 |
自殺既遂 | 妻へコップを投げつける | |
T-15 50代男性 |
被害妄想 | スタッフに対し妄想を抱き、暴力行為 | |
T-16 30代男性 |
怒り | 自傷他害により警察に入る | |
T-17 30代男性 |
怒り | 自傷他害により警察に入る | |
T-18 60代女性 |
躁病 | 近所の人とケンカ | エチゾラム;塩酸ペロスピロン水和物;インスリン |
T-19 10代男性 |
攻撃性 自殺念慮 |
家庭内暴力、自殺念慮等出現 | リスペリドン;クエン酸モサプリド;スルピリド |
T-20 70代男性 |
アクティベーション症候群 | 妻を刺殺 | |
T-21 不明 不明 |
易攻撃性 自殺念慮 社会逃避行動 感情的苦悩 幻覚 |
隣人に暴行して警察沙汰 | エチゾラム;塩酸リルマザホン;ロラゼパム |
T-22 60代男性 |
攻撃性 | 凶暴性が出て警察沙汰 | |
T-23 不明男性 |
不安 幻覚 幻聴 万引き |
本を支払わずに店から持ち出し、警察沙汰になった | |
T-24 不明男性 |
攻撃性 気分変化 |
子供を殴る | |
T-25 20代男性 |
窃盗 | 路上にてキャッシュカード強盗、郵便局で強盗未遂 | フルニトラゼパム;フマル酸クエチアピン;リスペリドン;ブロチゾラム;塩酸セルトラリン;エチゾラム |
T-26 50代男性 |
精神運動亢進 | 車の運転が乱暴になり、1日に2度の接触事故。その後入院するが、入院直後は多弁、易怒性、興奮し暴力を振るうため保護室隔離 | 炭酸リチウム |
傷害等の他害行為につながる可能性があった副作用報告 | |||
T-27 80代女性 |
易刺激性 | 家族に対し怒りっぽくなる | ジアゼパム |
T-28 70代女性 |
躁病 | 家族に対して易怒性 | 塩酸ミアンセリン、ニトラゼパム、トリアゾラム、ブロチゾラム、フルニトラゼパム |
T-29 60代男性 |
躁病 | 他患とのトラブル絶えず隔離 | フルニトラゼパム |
T-30 30代男性 |
躁病 | 他患、スタッフとのトラブル多く当直医対応 | クアゼパム、アルプラゾラム、フルニトラゼパム |
T-31 40代女性 |
躁病 | 攻撃的 | マレイン酸フルボキサミン、オランザピン、トリアゾラム、フルニトラゼパム、塩酸クロルプロマジン、ハロペリドール、塩酸ビペリデン、フマル酸エメダスチン、エチゾラム |
T-32 20代男性 |
躁病 不眠症 幻覚 幻想 |
易怒的 | フマル酸クエチアピン、塩酸ビペリデン、クエン酸モサプリド、センノシド |
T-33 30代女性 |
怒り | 夫に物を投げつける | アトルバスタチンカルシウム;塩酸トリヘキシフェニジル;リスペリドン;マレイン酸レボメプロマジン;ブロマゼパム;ゾテピン;フルニトラゼパム;オランザピン |
T-34 60代女性 |
躁病 | 家族に対して暴言 | 塩酸ミアンセリン;スルピリド;フルニトラゼパム |
T-35 20代男性 |
アカシジア 自殺企画 |
ドアや壁をける | ゾピクロン;ロラゼパム;酒石酸ゾルピデム;ブロチゾラム |
T-36 70代女性 |
躁病 | 易怒性 | |
T-36 70代女性 |
躁病 | 娘に対して毎日電話。夫に対して攻撃的。 | エスタゾラム;酒石酸ゾルピデム;チアマゾール;スルピリド;バルサルタン;塩酸ベニジピン |
T-37 30代男性 |
不安 攻撃性 衝動行為 |
車の運転中に攻撃的な感情が出てくる。 攻撃的な感情で子供に対しての怒り方がひどい |
アロプリノール;クロキサゾラム;ウルソデスオキシコール酸;マレイン酸フルボキサミン;スルピリド |
T-38 30代男性 |
衝動行為 攻撃性 落ち着きのなさ |
すぐにカッとしやすく、けんかしやすくなる | マレイン酸フルボキサミン;スルピリド;クロキサゾラム;塩酸クロミプラミン |
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