(卵巣がん) 表層上皮性のものとしては漿液性腺癌、粘液性腺癌、類内膜腺癌、明細胞腺癌が代表的ながんで、多くは50才代に最も多くみられますが、粘液性腺癌は若年者に発生することもあります 「卵巣明細胞がん」 日本人の卵巣がんの3割を占める。進行は遅いが、抗がん剤が効きにくい。 |
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腫瘍マーカー | 漿液性嚢胞腺癌 | ムチン性嚢胞腺癌 | 類内膜腺癌 | 明細胞腺癌/クリア | 転移性卵巣癌 |
BFP 塩基性フェトプロテイン |
70 | 50 | 60 | 13 | |
CEA 癌胎児性タンパク抗原 |
12 | 33 | 37 | 22 | 71 |
CA125 糖鎖抗原125 |
82 | 47 | 77 | 58 | |
CA602 糖鎖抗原602 |
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CA130 糖鎖抗原130 |
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CA19-9 糖鎖抗原19-9 |
38 | 53 | 48 | 41 | |
CA50 糖鎖抗原50 |
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CA546 | 67 | 75 | 63 | 41 | 88 |
CA72-4 糖鎖抗原72-4 |
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STN シアリルTn抗原 |
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IAP 免疫抑制酸性タンパク |
71〜88 | 33〜89 | 50〜100 | 100 | |
SCC 扁平上皮癌関連抗原 |
13 | 15 | 22 | 29 | |
SLX 扁平上皮癌関連抗原 |
46 | 50 | 20 | 43 | |
SSEA-1 ステージ特異的胚抗原1 |
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TPA 組織ポリペプチド抗原 |
43〜57 | 24〜46 | 33 | 43〜57 | |
フェリチン (Fer) |
25 | 51 | 89 | 29 |
自己診断 |
以下の症状が2週間以上続く。 <1>早期ガンに見られる症状:
<2>頻度は少ないが、要注意な症状:
<3>進行ガンor他の疾患も考えられる症状:
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危険因子 |
原因遺伝子・・・・BRCA |
血液から調べる |
国立がん研究センター わずかな量の血液からがんの有無を調べる検査法を2018年開発。 ガンが血中に分泌する「マイクロRNA」に着目。 冷凍保存された卵巣がん患者のを含む4046人の血液を使って調べた。 10種類のマイクロRNAを特定し、これらの分泌量を調べることでがん患者を発見(99%) ガンでない人を誤って陽性と判定するケースはゼロだった。 |
排卵周期と関係 |
米デューク大学の研究チームは卵巣ガンの発症率が排卵周期と関連が深いとする研究結果をまとめた。 約3500人の女性を対象に調べたところ、周期の短い女性の卵巣細胞からはガン抑制遺伝子である「P53」の異常が周期の長い女性に比べて2倍近い割合で見つかった。 研究チームは排卵周期が短いほど遺伝子に異常が起きるのではないかとみており、ピルなどで排卵回数を減らせば卵巣ガンが防げる可能性があるとしている |
卵巣がんの病期 | ||||||||||||
●TNM分類
●UICC分類
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がんの深達度(がんの深さ) | ||
T因子 | TX | 原発腫瘍の評価が不可能 |
T0 | 原発腫瘍を認めない | |
T1 | 卵巣内限定発育(片側または両側) | |
T2 | 腫瘍が片側または両側に存在し、骨盤内への進展を認める | |
T3 | 腫瘍が片側または両側に存在し、骨盤外の腹膜播種を顕微鏡で認めるならびに(あるいは)所属リンパ節転移を認める |
リンパ節転移 | ||
N因子 | NX | 所属リンパ節の評価が不可能 |
N0 | 所属リンパ節に転移を認めない | |
N1 | 所属リンパ節に転移を認める |
遠隔転移の有無 | ||
M因子 | MX | 遠隔転移の評価が不可能 |
M0 | 遠隔転移を認めない | |
M1 | 遠隔転移を認める(腹膜転移は除く) |
病期 | T | N | M |
Ia期 | T1a | N0 | M0 |
Ib期 | T1b | N0 | M0 |
Ic期 | T1c | N0 | M0 |
IIa期 | T2a | N0 | M0 |
IIb期 | T2b | N0 | M0 |
IIc期 | T2c | N0 | M0 |
IIIa期 | T3a | N0 | M0 |
IIIb期 | T3b | N0 | M0 |
IIIc期 | T3c | N0 N1 |
M0 |
IV期 | ー | ー | M1 |
卵巣ガンの標準治療と化学療法 | |
Ta期 | 手術(場合によっては、術後補助化学療法) |
Tb期 | |
Tc期 | 手術+術後補助化学療法 |
U期 | |
V期 | |
W期 | (場合によっては術前化学療法) 手術+術後補助化学療法。 手術不能例には化学療法 |
化学療法 | |
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抗ガン剤
進行期卵巣ガンの多剤併用療法 再発性卵巣がん |
スタチン(脂質異常薬)が有効 |
2015年、慶應義塾大学の小林佑介特任助教らは、コレステロールを抑える既存薬が効く可能性をマウス実験で突き止めた。 米ジョンズホプキンズ大学との共同成果。 遺伝子操作で卵巣ガンを発症させたマウスに口から「スタチン」を投与。 あらかじめ与えておくと異常が無かった。 ヒトの卵巣ガンをマウスに移植して調べた。
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オプジーボ |
再発した卵巣ガンに効く 2015年、京都大学の小西郁生教授らは、悪性黒色腫を治療する新薬「ニボルマブ」(一般名)=「オプジーボ」(商品名)が再発した卵巣ガンに効果があることを、医師主導の臨床試験(治験)で確認したと発表。 がん細胞が免役の攻撃を逃れる仕組みを壊す働きがあり、患者20人のうち3人でガンが消えた。 通常、がん細胞ができると体の免疫機能がガンを攻撃するが、ガン細胞は「PDーL1」というタンパク質を作り、免疫細胞のPDー1というタンパク質と結びつくことで免疫機能にブレーキをかける。 患者の体内にあるガン細胞はT細胞(免疫細胞)の攻撃を避けるため、双方の細胞表面にあるタンパク質を介してT細胞と結びつく。 ニボルマブはこの結合に割り込んで、がん細胞への攻撃を再開させる。 研究チームは、抗がん剤が効きにくくなった再発卵巣ガン患者20人にニボルマブを2週間ごとに最長で1年間投与したところ、2人でガンが消え、1人は縮小した。 |
明細胞タイプに有効 2016年、京大は他の抗ガン剤が効かなくなった卵巣ガン患者20人にオプジーボを投与、3人でガンが消えたり縮んでいた。 投与から20日後〜数ヶ月後に血液中のリンパ球が持つ受容体を作る塩基配列の多様性が失われると、その後に薬がよく効くことが分かった。 オプジーボは 卵巣ガンの中でも、内部が透明に見える「明細胞」が多いタイプに薬が効きやすかったという。 |
MRI
CT
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転移に・・・ |
エクソソーム が関与していた 卵巣ガンは、腹腔内にガン細胞が散らばる「腹膜播種」という転移を起こしやすい。 この転移に卵巣ガンが出すエクソソーム が関与していることを、マウス実験で確認。 2015年、国立がん研究センター研究所の落谷孝弘分野長、横井暁特任研究員らの成果。 研究チームは、卵巣ガンの中でも特に悪性度が高く転移しやすいタイプのガン細胞から放出されるエクソソームを採取。これをヒトの卵巣ガンを卵巣に移植したモデルマウスの腹腔内に注射した。 2週間後にマウスの腹腔内をしらべたところ、悪性度の高いガン細胞が放出するエクソソームを注射したマウスは、正常な細胞のエクソソームを注射したマウスに比べて4〜5倍の割合で腹腔播種が起きていた。 エクソソームは、 @ほとんどすべての細胞が分泌しているカプセル状の小胞。 AマイクロRNAという遺伝情報物質が封入されている。 Bガン細胞の飛び道具として機能している。 |
放射性物質を使って卵巣ガンを死滅させる |
2009年、スウェーデンのシャルグレンスカ大学病院などの研究チームは放射性物質を使って卵巣ガンを死滅させる治療法を開発した。 8人の女性患者に投与した結果、実際にガンの腫瘍が小さくなったことを確認した。 運搬役の分子とくっつけた放射性同位体を患者の腹腔内に注入する。すると、運搬役の分子が卵巣ガンの細胞の表面に結合し放射性同位体がアルファ粒子を放出、ガン細胞のDNAだけを壊すという。目立った副作用はなかった |
卵巣保存 |
2010年、順天堂大学医学部付属順天堂医院は、ガン治療などの副作用で不妊になるのを防ぐため、患者から卵巣組織の一部を採取して凍結保存し、ガン治療後に移植する治療法を始めると発表。 ホルモンなど卵巣の働きが元に戻り、妊娠も可能になるという |
粘液細菌から抗ガン物質 |
(エポティロン) ドイツ国立バイオテクノロジー研究所(GBF)は、土壌中に生息する微生物から有望な抗ガン剤の候補物質を発見した。このほど来日した同研究所のG・マース所長が明らかにした。新物質の特許実施権を米大手製薬会社、ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(BMS)社に供与したという。 新たに発見した物質は『エポティロン』と呼ばれ、粘液細菌(ミクソバクテリア)から見つけた。構造はマクロライド系の抗生物質に似ているという。 試験管内の実験の結果、新物質はBMSが販売している卵巣ガンの治療薬「タキソール」に比べて水に溶けやすく、ガン細胞を殺す効果が「2・5倍」高かった。
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麻疹ウイルス |
2009年、東京大学の中村貴志・特任准教授らのチームは、麻疹ウイルスを使ってのガン治療でマウス実験に成功した。 ウイルスは、 人の細胞に感染すると増殖した後で細胞を壊して細胞外へ出て行く。 ウイルスを使うガン治療ではこの性質を利用する。 研究チームは、ガン細胞にだけくっつく麻疹ウイルスを開発。 遺伝子組み替えで、ガン細胞に多い「葉酸」と結合するタンパク質を、麻疹ウイルスの表面に作った。このウイルスを注射すると、ガン細胞にだけ集まって、ガン細胞内に入り込み、ガンを死滅させる。 実験ではマウス約10匹にこのウイルスを注射して、何もしない卵巣ガンのマウス9匹と比較した。 20日後、ウイルスを注射したマウスのガン細胞は増殖しなくなり、30日後にはガン細胞の大きさが、治療をしないマウスの1/5〜1/6にまで縮小した。 また、治療しないマウスは60日後にすべて死亡したが、ウイルス治療したマウスは半数が生き延びた。 |
ドラクトン |
ガンの増殖を防ぐ化合物 2013年、がん研究会がん研究所の八尾良司主任研究員と理化学研究所のグループが開発。 ガン細胞は増殖する際に、小さな微小管が集まった紡錘体の形になることが知られている、この微小管を阻害する薬剤は実用化されているが、重大な神経障害を引き起こすなど問題があった。 研究チームは紡錘体の形成に関係するTACC3に着目。 TACC3を欠損したマウスでは腫瘍が増殖しないことを見つけた。 さらに約6800の化合物から、TACC3だけを特異的に阻害する化合物を発見した。この化合物を「ドラクトン(SPL)」と命名。 腸管から吸収され、成分が血液中に長時間とどまる性質があることから、ヒトの卵巣がんを移植したマウスに経口投与したところ、腫瘍の増殖が止まった。
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卵巣がんの増殖を抑制する遺伝子 |
2014年、東北大学の山元大輔教授らは、卵巣がんの増殖を抑える遺伝子を、ショウジョウバエを使った実験で突き止めた。 成果は、米科学誌サイエンスに掲載 研究チームは不妊のショウジョウバエを作製。その中に、卵の元となる生殖細胞が増殖し続ける突然変異のハエが見つかった。
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予防で卵巣を摘出 |
2013年、がん研有明病院は卵巣ガンを予防するために卵巣を摘出する手術についてついて、厚生労働省に高度先進医療の申請をすることになった。 米人気女優が乳がん予防で摘出したことで話題になった遺伝子「BRCA1」「BRCA2」は、特定の変異があると卵巣ガンや乳がんになるリスクを大幅に高める。 2つの遺伝子に変異がある人が手術の対象になる。 卵巣ガンの発症リスクは乳がんに比べ低いが、検査で早期に見つけるのが難しい。
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クスリで縮小しない卵巣ガンにプラズマ照射 |
2013年、名古屋大学の吉川史隆教授と堀勝教授らは、大気と同じ圧力で発生させたプラズマ を照射した培養液が、抗がん剤が効きにくい卵巣ガンの細胞の増殖を抑える効果があることを突き止めた。
プラズマ は イオンと電子から成る電離ガスで、高いエネルギーを持つ。 ガン細胞に照射して治療する研究が進んでいる。 研究チームは培養液にプラズマ を当てると、溶液中の活性酸素 が増えるのに着目。 この溶液には正常細胞をほとんど傷つけずにガンを縮小する効果があった。 |
再発した卵巣ガンの治験 |
2013年、東京大学医科学研究所は、再発した卵巣ガン患者を対象に新薬の臨床試験を全国5つの大学病院で始めると発表。 ジフテリア菌の毒素を元に作ったタンパク質を投与し、調べる。 福岡大学、大阪大学、北海道大学、東北大学も参加する。 計画では合計64人の患者を新薬と抗がん剤を併用するグループと抗がん剤だけのグループに分けて有効性を判定する。
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リムパーザ(一般名:オラパリブ) |
卵巣がんの特効薬? リムパーザはPARPの働きを阻害する。 リムパーザはDNAの突然変異を修復するメカニズムを2段階で阻害してガン細胞を殺す。 |
有精卵の中で卵巣がんをつくる |
2018年、鶏の有精卵の中で人の卵巣がんを人工的につくり、抗がん剤の効き目を試す。 玉野井冬彦・京都大学特定教授。 摘出手術を受けた患者の卵巣がんを細かく砕き、殻に穴を開けた鶏卵に入れた。すると、3〜4日で患者のものと酷似したガンができた。 |
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がん免疫療法 「がん」卵巣過剰刺激症候群 多嚢胞性卵巣症候群(PCO) 「腹水 」腫瘍マーカー 卵巣嚢腫 |
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