レプチン
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脂肪肝肥満」「マウス

ob遺伝子 遺伝子の変異で重症に
「1950年、米国メーン州にあるハクソン研究所の遺伝子学研究チームが重症の肥満を示すマウスを見いだした。
この突然変異のマウスが世界で最初に確立された遺伝性肥満マウスである。
その原因となる未知の遺伝子は、英語の「obese(肥満した)」という語から、『肥満遺伝子(ob遺伝子)』と命名された。
また、その系統の肥満マウスは『ob/obマウス』と呼ばれる。
ob/obマウスは正常マウスに比べて体重が3倍以上、体脂肪量が5倍以上にもなる。そしてこの異常は、たった1つの遺伝子変異のために生じる。
ob遺伝子が肥満の病態解明のカギとなることが明らかとなり、多くの研究者がその本体を突き止めようと競争を始めた。そしてついに94年末、ニューヨークにあるロックフェラー大学のフリードマンらがob遺伝子の同定に成功した。
その後の研究により、ob遺伝子は生体内では主に脂肪細胞で発現し、ホルモンを作って入ることが分かった。ob/obマウスはob遺伝子の産物であるホルモンが作れないため肥満になる。
では、人工的に作ったホルモンをマウスに投与すると、どうなるだろうか?。
  • マウスの腹腔内にob遺伝子に由来するホルモンを投与すると、食欲が抑制され、エネルギー消費が増大した結果、体重が激減した。さらに臓器別に調べると、この体重減少の原因は脂肪組織だけが減少して起きることが分かった。
フリードマンらはob遺伝子が作るホルモンを『レプチン(leptin)』と名付けた。95年7月のことである。
レプチンという名前はギリシャ語で「やせ」を意味するレプトス(leptos)」に由来する。
ob遺伝子(レプチン遺伝子)は、ヒトにもマウスにも存在する。では、ヒトの肥満もレプチン遺伝子の変異が原因なのだろうか?
レプチン遺伝子の変異によるヒトの肥満が、97年に世界で初めてイギリスで報告された。近親婚の両親を持ち、いとこ同士であるパキスタン人の子供2人の症例だ。年長の女児の方は8歳の時に体重が86kgにも達し、体脂肪の割合は57%と診断された。いとこの男児は2際の時点で体重はすでに29kgを超え、体脂肪の割合は54%に達した。
これらの症例に続いて、98年には、トルコ人の家系から3人のレプチン欠損症が見いだされた。
このようにレプチン遺伝子に変異があると重度の肥満症を示すことが明らかになっている。ただし、単一遺伝子の変異に基づく肥満はヒトでは非常にまれだ。一般にヒトの肥満は、複数の遺伝子変異の組み合わせに環境因子が加わって生じる(藤原聖可・東京医科大学病院総合健診センター)
レプチン ・脂肪細胞が出すホルモン。(レプトスは「やせる」のギリシャ語)
・体脂肪から分泌されるタンパク質。
  • 脳の視床下部に作用して満腹感を感じさせ、エネルギー代謝も制御し、体重を適正に保つとされる。
・痩せ型は、レプチンに対する感受性が強く、早く満腹感を覚える。
しかし肥満の人や動物では、血中のレプチン濃度が高くても、摂食の抑制が起きない。
肥満の原因 糖尿病遺伝子・肥満遺伝子に関連。
糖尿病・肥満の遺伝子はいずれも『レプティン』というタンパク質の密接に関係していることを、米ロックフェラー大学とミレミアム製薬の研究グループが動物実験で突き止めた。両遺伝子とも突然変異するとレプティンへの感受性が異常に高くなり、症状が悪化するという。
2つの病気とレプティンとの関係はマウスとラットの2種類の動物で確認した。研究グループは“ネズミ類と人間の遺伝子の関係からすると、人間の第一染色体に関係遺伝子が有るはず”と指摘している。
京都大学医学部の研究チームは肥満で高血圧のモデルラットの肥満の原因を遺伝子レベルで突き止めた。肥満を抑制するレプチンというホルモンに結合する受容体タンパクが欠落しているため、食欲が抑制されずに肥満になるという。このラットは肥満の遺伝子診断や肥満治療薬の開発に役立ちそうだ。
 京都大学の研究チームがコレツキーラットと呼ばれる遺伝的に肥満で高血圧のラットの遺伝子を調べたところ、レプチン受容体が完全に欠落していることが分かった。
レプチン受容体は脳や肝臓などに少しずつ構造が違うものが5種類あるが、すべての種類が欠落していた。
 マウスやラットではレプチンが脳にある受容体と結合すると満腹中枢を刺激して食欲が落ちることが明らかになっている。人間では今のところ、レプ チンやレプチン受容体の遺伝子異常で肥満になった例は報告されていないが、京大の小川桂宏研究員は「人間にもレプチン受容体の遺伝子の異常で肥満になっている人が見つかるかも知れない」と話している。
 レプチン受容体の遺伝子異常が人間で見つかれば、肥満の遺伝子診断が可能になる。このモデルラットにレプチン受容体や受容体の遺伝子を導入して減量効果を調べれば、肥満の治療薬開発にもつながりそうだ。
(肥満治療)
レプチンを別の薬と併用することで、肥満治療薬として活用できることを米ハーバード大メディカル・スクールの研究で分かり、2009年1/7のセルメタボリズムに掲載した。
肥満マウスを使った実験で、ヒト向けに認可された2種類の薬をレプチンと併用ことで、脳がレプチンに反応しなくなる抵抗性を抑えることに成功し、マウスの脳が再びレプチンに反応するようになった。
妊娠 ネズミの妊娠関与のホルモン。
カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究グループは、食欲の調節ホルモンが雌ネズミの妊娠に関与しているのを見つけた。
『レプチン』と呼ばれるホルモンで、病的に肥って不妊の系統のネズミに与えたところ、体重が減少しただけでなく妊娠して子ネズミを生むようになった。
 レプチンが脳の視床下部に作用し、雌ネズミの生殖系を活性化する。妊娠に関わるホルモンが新たに見つかったことは、不妊の仕組みの解明に役立つ。
レプチンは95年に見つかった新しいホルモンで、食べる量を調節する働きしか知られていなかった。
骨の破壊 東京医科歯科大学の野田政樹教授らと米ベイラー医科大学との共同チームは、食欲を調節するホルモンの一種である「レプチン」に骨の破壊を促進する働きがあることを発見した。2005年2.21のネイチャー電子版に掲載。
体内の様々な骨は、骨を作る「骨芽細胞」と骨を壊す「破骨細胞」の2種類が新陳代謝を繰り返している。このバランスが崩れると骨がもろくなって骨粗鬆症になったり骨折しやすくなる。
研究グループは遺伝子を組み換えた特殊なネズミを使って実験。食欲に関わるレプチンと呼ぶホルモンが脳の視床下部に作用。興奮を司る交感神経を介して破骨細胞を活性化し、骨の破壊を促進する機構を明らかにした。
交感神経に異常によって骨がもろくなりやすいことは知られていたが、詳しい仕組みは不明だった。
また、この仕組みとは別に、レプチンが視床下部に作用して『CART』と呼ぶ物質を分泌させ破骨細胞の働きを抑える機構があることも発見。