<1>胃内停水:
- ☆胃内停水ありて、消化障碍を訴え、気力衰憊し、精神沈欝の状ある証。《奥田謙蔵》
<2>咳嗽:
- ☆麦門冬湯を用いる際の咳に似て、咳をするたびに上気して顔を赤くするのが、この方を用いる目標の1つであるが、麦門冬湯証と違うところは、手足が冷え、脈が沈んで触れにくいことである。鳩尾で振水音を証明すること。動悸や息切れのあることである。風邪の後、熱が下がってから、咳の続く時に、この方を用いて良いことがある。《大塚敬節》
- ☆感冒の後、咳止まず甚だセキ入り顔赤く上気し、痰出でざる者は苓桂五味甘草湯を用いてよし《医療手引草》
<3>子宮出血
<4>歯痛
<5>湿疹:
- ☆26歳男性。数日前から、顔一面にカブレが出来て、灼熱感と瘙痒があり、其の部分は赤みを帯び、その上栗粒状の発疹がたくさん出来、ところどころに水疱がある。
正月の上旬に結婚式をあげることになっているのに、こんなオバケのような姿では、式場に出られないとあせっている。
私は以上の症状から、苓桂五味甘草湯の証ではないかと考え、次のような問答を繰り返した。
「足が冷えて、頭に何かかぶっているような感じはありませんか」
「其の通りです」
「小便は遠くありませんか」
「それは気づきません」
そこで私は脈を診た。おそらく沈微の脈であろうと考えながら、今までに滲出性中耳炎3例に、苓桂五味甘草湯を用いたが、その時はいつも、脈が沈微であったことを思い出した。ところが、この患者の脈は沈でも微でもなく、浮小である。
さて、この患者は上気して顔が赤い点では黄連解毒湯や温清飲の証にも似ている。しかしこれらの証では、水疱状の発疹を作ることはない。また足が冷えるということもない。
いろいろ思案したすえ、とにかく苓桂五味甘草湯を与えた。
患者は3日後に来院したが、その時は、顔面の潮紅は減じ、発疹の大半は去っていた。あと7日分の服薬で完治した。《大塚敬節》
<6>神経質
<7>頭冒感:
- ☆23歳女性。昨日より右耳より塞がって痛むという。脈は沈微で、ほとんど分からない。数日前から、食事をしたり、人と話をしたりしていると、ときどき顔がほてり、上気してくるという。同時に頭に何かかぶさっているように感じる。足は冷える。私はこれに苓桂五味甘草湯を与えたが、1日分で、耳の痛いのも、塞がったのも、のぼせるのも、足の冷えるのも、皆よくなった。《大塚敬節》
<8>せき
- ☆上気して顔が赤くなるせき。
- ☆熱が下がってから、咳が続く。
- ☆から咳
<9>血の道症
<10>中耳炎:
- ☆滲出性中耳炎に用いて著効を得たことがあった。これらの患者はいずれも、熱なく、耳痛もなく、頭に物がかぶさっているようで重く、中耳に浸出液がたまり、そのために難聴が起こるので、何回も水を注射器で取ってもらっていた。しかしその翌日は、元のように溜まる。脈は沈微で、足が冷えて、のぼせ、顔がほてるという症状であった。《大塚敬節》
<11>難聴:
- ☆中耳炎からくる難聴に用いる目標は、葛根湯の場合と異なり、脈が沈微で、足が冷え、のぼせて酒に酔ったような顔になり、尿量が減ずる。この顔のほてりは、食事をしたり、人と話したりしているときなどに発作的に強くなる。《大塚敬節》
<12>ノイローゼ
<13>のぼせ:
- ☆顔面と口唇の紅潮。
- 手足が冷え、上気して顔が赤い。
-
- ☆脈が沈微で、足が冷えて、のぼせ、顔が酒に酔ったように赤くなり、頭に何かかぶっているようで、尿量減少する者《大塚敬節》
<14>肺気腫:
- ☆肺気腫にして、その初期、軽証なる等の者。《奥田謙蔵》
<15>半身不随
<16>百日咳:
- ☆百日咳にして、痙攣性咳嗽を発し、熱性症候なき等の者。《奥田謙蔵》
<17>浮腫
<18>慢性気管支炎:
- ☆老人の慢性気管支炎等にして、熱候無き者。《奥田謙蔵》
<19>耳鳴り:
- ☆この苓桂五味甘草湯を用いる場合のように、足冷、のぼせ、脈沈の状があって、耳鳴りを訴える者に、「蘇子降気湯」の証がある。この方は中耳炎の場合に用いるのではなく、喘息または喘息様の咳嗽があって、耳鳴を訴える者に良い《大塚敬節》
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