八味丸(八味地黄丸) |
・慢性腎炎・糖尿病・自律神経失調症状 ・老人性痴呆症・白内障・無月経 ・難聴・腰痛・座骨神経痛 |
八味地黄丸 | ||
A | 方剤分類 | 補益剤 |
B | 八綱弁証 | 裏寒虚 |
C | 六淫 | 寒 |
D | 四傷 | 気 |
E | 六経弁証 | 少陰病 |
F | 衛気営血弁証 | 営分 |
G | 三焦 | 下焦 |
H | 方剤帰経 | 腎経 |
I | 臓腑弁証 | 腎陽虚 |
J | 効能 | ・温補腎陽 |
K | 適応 | 陰萎 脚気 高血圧症 座骨神経痛 前立腺肥大 糖尿病 難聴 白内障 変形性膝関節症 慢性腎炎 腰痛 |
八味丸(八味地黄丸)の応用 | ||||||||||
足に力が入らない | 足がほてる | |||||||||
足がむくむ | ||||||||||
IgA腎症 | 慢性化し軽度の浮腫やタンパク尿、高血圧を伴う者に用いる。老化に伴う腎機能低下のある者に用いられる。浮腫が無くて、タンパク尿と高血圧を主訴とするももには「![]() |
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息切れ | 呼吸促迫 | |||||||||
意識がもうろう | ||||||||||
遺精 | ||||||||||
遺尿 | ||||||||||
萎縮腎 | 萎縮腎の多尿《大塚敬節》 | |||||||||
萎縮腎では糖尿病のような口渇を訴える者は少ないが、夜間に眼が覚めると、口が乾いて、舌がうまく回らないという者に用いる《大塚敬節》 | ||||||||||
胃腸 | 普段から胃腸が丈夫である | |||||||||
うっ血性心不全 | ||||||||||
運動障害がある | ||||||||||
黄疸(おうだん) | 脾胃虚寒、脈沈にして細、身冷え、自汗し、瀉利し、溺白し。これを陰黄と名づく。凡そ黄疸、脈弱、口中和し、小便濁り、困憊ことに甚だしき者、効あり。 《勿誤薬室方函口訣》 |
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顔がむくむ | ||||||||||
かすみ目 | 高齢者に多い。白内障。 | |||||||||
角膜炎 | ||||||||||
角膜潰瘍 | ||||||||||
角膜ヘルペス | ||||||||||
下肢がマヒする | 《金匱要略》に“崔氏八味丸は脚気上って小腹に入り、不仁するを治す”とあり、この脚気は近代医学の脚気を指すばかりでなく、足の麻痺するもの一般を指している 《大塚敬節》 |
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肩こり | ①腎陽虚。 ②口渇。 ③尿利減少or増加。 ④腰痛。 ⑤下腹部軟弱・無力。 ⑥(臍下)腹直筋拘攣。 ⑦舌湿潤無苔。 |
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脚気(カッケ) | 軽症脚気等にして、下腹部軟弱、麻痺特に著しき証《奥田謙蔵》 | |||||||||
此に脚気上り入り、少腹不仁と云ふは、その初、脚部麻痺し、或いは痿弱、微腫し、小便利せざる者等の症、遂に少腹不仁と作るにして、本と陰症に非ず。故に治も亦難からざる也。若し腹中に毒充満し、ひいて四肢に及び、遂に水気を見はす者に至っては、少腹不仁、小便不利等の症有りと雖も、此方を能く功を立つる所に非ざる也。急に大承気湯を与えて、以て之を下す可し。若し疑殆して決せず、姑息の治を為すときは、則ち短気、煩躁し、衝心して死せん《類聚方広義》 | ||||||||||
喀血(かっけつ) | ||||||||||
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眼瞼炎 | ||||||||||
眼精疲労 | かすみ目、羞明、手足の冷え、口渇、腹証で小腹不仁(腎虚)があるもの (漢方診療医典) |
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間欠性跛行症 | 本方を服用していると、1ヵ月もたつと、だんだん長距離の歩行が可能になるが、軽快しても服用を続けることが必要である (漢方診療医典) |
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乾癬(かんせん) | ||||||||||
頑癬(がんせん) | ||||||||||
ギックリ腰 | ||||||||||
ギランバレー症候群 | 脊髄炎で、歩行不能のものが、これで治った例が報告されており、筆者もこれで著効を得たことがある。効果があるときは1~2ヵ月で好転の兆候がある(漢方診療医典) | |||||||||
気管支喘息 | ||||||||||
狭心症 | ||||||||||
虚労 | 疲れやすい | |||||||||
筋肉痛 | ||||||||||
口の渇き (口渇) |
糖尿病や尿崩症では激しい口渇とともに、多尿がある。このような者に八味丸証が多い《大塚敬節》 | |||||||||
老人には地黄剤の証が多いから、何病であれ、口渇or口乾を訴える者があれば、先ず地黄剤である八味丸・炙甘草湯・滋陰降火湯などの証でないかを考えてみる必要がある。《大塚敬節》 | ||||||||||
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血尿 | ||||||||||
下痢(げり) | 八味地黄丸は胃腸の弱い下痢する傾向の者に使ってはいけない | |||||||||
八味丸の効く下痢はまれである。むしろ八味丸を用いたために下痢を起こす者すらある。事に悪心・嘔吐・心下痞硬などの胃の症状を伴う下痢には禁忌である。《大塚敬節》 | ||||||||||
糖尿病や腎臓炎などからくる下痢には、八味丸でなければならないものがある。このような代償性の下痢と思われるものには五苓散を用いて良い場合もある《大塚敬節》 | ||||||||||
健忘症 | ||||||||||
高血圧症 | 慢性腎炎、萎縮腎、糖尿病などがあって貧血・息切れ・腰の痛み排尿異常・夜間多尿・むくみ・精力減退などを訴える腎性高血圧 | |||||||||
高血圧症で、すでに腎硬化症を起こしている者《大塚敬節》 | ||||||||||
声がれ | ||||||||||
更年期障害 | ||||||||||
五十肩 | ||||||||||
腰が痛い | 四肢の冷えやシビレを訴える高齢者で、胃腸がしっかりしている人には、第一選択となる可能性がある。腰部脊柱管狭窄症に有効。(EBM) | |||||||||
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骨粗鬆症 | 下半身の疲労脱力、多尿、頻尿、尿利減少、腰痛などを目標に用いる。地黄が胃にさわることがあり、胃腸が丈夫なものに用いられる。四肢のしびれを伴うときは牛膝、車前子を加えて牛車腎気丸として用いる(漢方診療医典) | |||||||||
ころびやすい | 変形性膝関節症 | |||||||||
座骨神経痛 | 糖尿病に続発するもの | |||||||||
寒がり | ||||||||||
ぢ | 内痔核、痔出血、痔瘻、脱肛 | |||||||||
湿疹 | 冷え症で口が渇き、小水の出が悪い老人。 | |||||||||
患部は乾燥、またはやや湿潤。 | ||||||||||
萎縮腎がある老婦人で、夜間温まると、腰の周りが痒くて困ると訴える者《大塚敬節》 | ||||||||||
シビレる | 腰のしびれ、足のしびれ | |||||||||
嗜眠(しみん) | ||||||||||
小腹拘急 (しょうふくこうきゅう) |
下腹部で、恥骨の近くで、腹直筋がつっぱている状で、八味丸の腹証である。 | |||||||||
小腹不仁 (しょうふくふじん) |
下腹部の知覚鈍麻または麻痺の意で八味丸の腹証では下腹の脱力感をみとめることが多い | |||||||||
臍の下の皮膚がやわらかく、圧迫すると指が皮下に抵抗なく入っていく感覚がある。 | ||||||||||
失禁 | 咳をするたびに小便がもれる者がある。老婦人および妊婦にみられることがある。熱もなく気分も対して悪くないはが、セキをすると少しずつ小便が漏れて困る。これには苓甘姜味辛夏仁湯の証が多い口渇があって、尿量の多い者には八味丸の証がる。 | |||||||||
足が冷え、顔色のすぐれない者で、脈の弱いものには真武湯の証がある。 | ||||||||||
また咳をする時に大便のもれる者には、芍薬甘草湯の証がある。《大塚敬節》 | ||||||||||
小便不利 | 腎虚、小便通ぜず、あるいは涼薬を過服して、閉渋いよいよ甚だし き者、及び、虚人下元冷え、転胞小便するを得ず、膨急切痛、45日を経て、困篤死せんと欲する者を治す。《雑病論識》 | |||||||||
視力減退 | 緑内障、白内障 | |||||||||
ジンマシン | 腎炎患者に併発したジンマシン《大塚敬節》 | |||||||||
腎炎 | 急性。慢性。 | |||||||||
腎盂炎 | 急性・慢性の腎盂炎 | |||||||||
サルファ剤や抗生物質でどうにもならない者に有効 | ||||||||||
婦人科手術後に起きる腎盂炎に有効 | ||||||||||
腎臓結石 | ||||||||||
心悸亢進 | ||||||||||
心臓性喘息 | ||||||||||
神経衰弱 | ||||||||||
頭痛 | 片頭痛 | |||||||||
精力減退 | ||||||||||
脊椎症 | 変形性脊椎症 | |||||||||
前立腺肥大 | ||||||||||
脱力感 | だるい、疲れやすい、 | |||||||||
尿量多い | 小便が出にくかったり、多尿に。 | |||||||||
タムシ | ||||||||||
タンパク尿 | ||||||||||
痴呆症 | ||||||||||
糖尿病 | ||||||||||
動脈硬化症 | ||||||||||
難聴 | ||||||||||
ノイローゼ | ||||||||||
便秘 | 兎の糞(コロコロ便) |
八味地黄丸の目標 |
中年期以降の者で、 ・下肢の脱力感 ・冷え ・シビレがあり、 排尿異常・・・特に夜間の頻尿・・・を訴える者
腎虚とともに、冷え・寒気などの虚寒の症候が見られる時に用いる。 足腰が疲れやすく、痛みやしびれがある。
副腎や泌尿器・生殖器の機能が低下した人で、以下の症状や疾患に用います。
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(不定愁訴と和漢薬) |
肩がこる、頭が痛い、食欲がない、腰のあたりが冷えるなどと訴えて病院に行っても、血液検査などの結果はすべて正常で、「あなたはどこも悪くありません」といわれた経験をもつ人も多いだろう。
はっきしした原因がない、いわゆる“肩こり症”“頭痛もち”“食欲不振”“冷え症”といったような症状は、総称して不定愁訴と呼ばれている。 肩こりを考えてみよう。
交感神経は、副交感神経とともに自律神経と呼ばれる。
脂肪の合成は、インスリンによって促進され、副交感神経の支配下にある。一方、脂肪の分解はノルアドレナリンによって促進され、交感神経の支配下にある。したがって脳の自律神経中枢のアンバランスは、脂肪細胞に反映する。
脂肪細胞は簡単に動物から取り出せる。これを試験管に入れ、ノルアドレナリンを作用させると脂肪が分解し、脂肪酸とグリセロールが遊離する。また、放射性グルコース(血糖)とともにインスリンを作用させると、脂肪の合成が促進するのを検出することができる。
薬用人参からまず見つかったのはアデノシンである。
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(八味地黄丸の投与基準) |
厚生省長寿科学総合研究事業の研究班
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(注意)
(原典)
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中国漢代(金匱要略)に記載。中高年の体の組織や機能の老化に伴って起きる様々な疾患に応用されています。
後世の医者は、八味丸を以って、補腎剤となす。何ぞその妄なるや。張仲景曰く、脚気(=下肢の知覚麻痺、疼痛、歩行困難などの症状があるもの。Beriberiではない )上って少腹に入り不仁(=麻痺)する者は、八味丸之を主ると。 また曰く、小便不利の者、又曰く、転胞病(=尿のつまって出ない病気)、小便利すれば則ち愈ゆと。 また曰く、短気(=呼吸促迫)・微飲(=かくれている水毒)あり、当に小便より之を去るべしと。《薬徴》 「不仁」はこれ水の病なり《薬徴》 |
(腹診) |
“臍下拘急して、之を撫するも知らず。此れ所謂不仁也”《腹診配剤録》 “地黄は臍下不仁、煩熱を治する傍ら強心作用を呈し、 地黄・沢瀉・茯苓・附子は利尿作用を発し、 薯蕷・山茱萸は滋養強壮作用を現し、 牡丹皮は地黄を扶けて煩熱を治すると同時に血を和し、 桂枝は水毒の上衝を抑制し、 附子は新陳代謝を刺激して臍下不仁等の組織弛緩を復旧せしむると共に、下体部の冷感及び知覚運動の不全、或いは全麻痺を治するを以て之等諸薬を包含する。 本方は臍下不仁を主目的とし、尿利の減少或いは頻数及び全身の煩熱或いは手掌・足蹠に更互的に出没する煩熱と冷感を副目的とする”《皇漢医学》 “八味丸は小腹不仁を目的とする。その状は左右臍傍の直筋拘攣して、臍下虚張し、これを按ずるに力弱く、静血脈見はれ、或いは臍下任脈のあたり陥りたるが如く、或いは腹陥て背につき、或いは腹に宿水あり、或いは小腹和せず羸痩する者あり”《老医口訣》 “臍下不仁は、臍下が脱力して軟弱無力で、甚だしい場合は、この部分が陥没している。古人が腎虚と呼んだ場合に見られる腹証で八味丸を用いる目標である。 ところで八味丸の腹証は、この臍下不仁だけでなく、小腹拘急がある。小腹拘急は、臍下不仁と異なり、下腹部が硬く突っ張っているのである。 腹直筋が最下部で緊張している。之も又八味丸の腹証である。”《大塚敬節》 |
山 茱 萸 |
山 薬 |
沢 瀉 |
茯 苓 |
牡 丹 皮 |
地 黄 |
桂 枝 |
附 子 |
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六味丸 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 6 | ||||
八味地黄丸 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 5 | 1 | 1 | ||
八味地黄丸 (金匱要略) | ||
地黄5.0 | 茯苓3.0 | 桂枝1.0 |
沢瀉3.0 | 附子1.0 | 牡丹皮3.0 |
山薬3.0 | 山茱萸3.0 |
(鑑別) |
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