精巣(睾丸)に硬いシコリがあるのに気づいた
- ある日、右精巣(睾丸)に硬いシコリがあるのに気づいたが、痛みがないため約半年間放置していた。シコリは次第に大きくなり腰痛が出るようになった。痰に血が混じるため内科を受診したところ、泌尿器科を紹介された。精巣は握り拳大に腫れており、右精巣腫瘍、多発性肺転移、腹部リンパ節転移と診断され入院となった。
精巣腫瘍は比較的まれな疾患だが、20〜35歳の男性に発症する悪性腫瘍としては高い頻度を示す。痛みが無いことが多く、日常生活に支障が無い上、羞恥心から受診が遅れ、進行、転移した状態で発見されることも多い。治療は精巣を摘出し、放射線療法を行うことも有るが、一般的にはいくつかの抗ガン剤を組み合わせた多剤併用化学療法を行う。
進行ガンはかっては予後不良であったが、この20年間の精巣腫瘍の治療成績は、抗ガン剤の発達により飛躍的に向上した。転移した進行性精巣腫瘍であっても約79%で治療が期待出来る。しかし、「大きな転移巣」、「多臓器に転移を有するもの」、あるいは「再発例」は依然として予後不良であり、このような難治例の治療が大きな問題となっている。
近年になって、通常の化学療法の3〜4倍の抗ガン剤を使用する『大量化学療法』が行われるようになった。大量化学療法後には造血機能が著しく低下し、感染症などが致命的な打撃となる。このため、自家骨髄移植や末梢血幹細胞移植は麻酔を使わずに行えるので、体への負担は自家骨髄採取より少ない。精巣腫瘍は若年者に多く、化学療法に良く反応する
|