細胞   cell

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細胞分裂」「人体をつくる組織」「染色体」「病気」「アポトーシス」「オートファジ」「ホルモン異常
細胞 cell
  • 造語
    • =徳川時代の津山藩医、宇田川家の養子「宇田川榕菴」(洋学者)の造語。
  • 人体の最小単位。
    • 生体組織を構成する微細な原形質塊、
      1つの核、それを取り巻く種々の小器官を含む細胞質、さらにそれを包む細胞膜または形質膜からできている。
      • ほとんどの細胞は直径が10〜30µmの幅におさまるが、中にはかなり大きいものもある。
      • 神経細胞の中には直径が100µmにも達し、しかも、その細胞体から1メートルにも及ぶ細い突起を伸ばすものもある。
        細胞体の直径で比べれば、受精直後の、ヒトの卵細胞は200µmにも達する。
        それとは対称的に、最小の細胞はミコプラズマという最も原始的な細菌だ。
        その直径は0.25µm程度なので、ウイルスより一回り大きめである
        (山科正平著「細胞を読む」講談社p98)
    • 細胞内は核物質(DNAを主体とする)と、その周囲を取り巻く細胞質からなる。
    • 生きている細胞は無色透明。
    • 細胞は信号で動く
      「一度に沢山の信号を聞き分けることが出来る。」
      「生きていなさい」という信号が必要
  • (細胞を構成する元素)
    • 人体の約99%は「水素」「酸素」「炭素」「窒素」の4元素からできている。
      1. 水素(H)・・・・・63.0%
      2. 酸素(O)・・・・・25.2%
      3. 炭素(C)・・・・・・9.5%
      4. 窒素(N)・・・・・・1.4%
        • カルシウム(Ca)・・・・・・0.31%
        • リン(P)・・・・・・・・・・・・・0.22%
        • 塩素(Cl)・・・・・・・・・・・・0.03%
        • カリウム(K)・・・・・・・・・・0.03%
        • 硫黄(S)・・・・・・・・・・・・・0.05%
        • ナトリウム(Na)・・・・・・・・0.03%
        • マグネシウム(Mg)・・・・・0.01%
        • その他・・・・・・・・・・・・・<0.01%
    • 人体重量の約70%以上が水分である。
  • (細胞の機能)
      • 遺伝子を含み、細胞増殖に重要な役割を担っている。
    1. ミトコンドリア
      • 細胞の様々な活動のエネルギー源となるATPを大量に合成し供給する装置
    2. 小胞体
      • 表面にリボソームという小顆粒がならぶ粗面小胞体と、これを持たない滑面小胞体がある。
    3. リボソーム
      • 粗面小胞体の表面の小顆粒のこと。
      • RNAを多く含み、タンパク質合成の場となる。
    4. ゴルジ装置
      • 分泌物の生成に関与する
    5. リソソーム
      • 加水分解酵素を多く含み、不要な物質を分解処理する。
    6. 中心小体
      • 細胞分裂に際して働く。
  • 細胞と細胞のあいだにあるもの・・
    • 細胞が集合して組織を形成している。



cytoplasm
細胞質
=細胞形質
細胞体を構成する原形質で細胞膜(形質膜)に包まれている。
角質を除いた細胞の原形質。
連続的水様液(細胞ゾル)とその中に懸濁された小器官および封入体からなる。
細胞膜 細胞膜の興奮
(静止電位)
  • イオン分布の違いにより、静止状態では細胞外がプラス(+)、細胞内がマイナス(−)の電位になっている。これを静止電位という。
(細胞膜の静止電位)
  1. 静止電位の成因はKイオンである。
  2. 静止状態の細胞膜のKとCl-に対する透過性は高いが、Naの透過性は低い。
  3. ナトリウムポンプは静止電位の維持に必要。
(細胞膜の活動電位)
  1. 細胞内は細胞外に比べて通常電気的に負(マイナス)であり、これを静止電位と呼び、Kイオンの内外の量に依存している。
  2. 細胞を刺激すると細胞内電位は細胞外電位に近づく(これを脱分極という)
  3. この電位が臨界値以上になるとNaチャンネルが瞬時に開き、細胞内電位は正(プラス)となる(これを活動電位と呼んでいる)
  4. このあと、Naチャンネルが閉じ、細胞内に蓄積されたNa+イオンはナトリウムポンプによって細胞外に排泄される。このことによって細胞内電位は再び負(マイナス)電位となる(この現象を再分極という)。

(細胞膜でのタンパク質の働き)
  • 細胞膜に埋まるタンパク質が膜の機能を決定する。
  • 膜タンパクは・・・「酵素」「受容体」「輸送体(チャネル)」として働く。
  1. 酵素
    • 基質分子に酵素作用で分解等の化学変化を加える。
  2. 受容体
    • ホルモンなどの物質と特異的に結合して細胞内への情報を発信する。
  3. チャネル
    • 膜タンパクのチャネル(輸送体)を通過してイオンや水の輸送が行われる。
plasma membrane
形質膜
真核細胞(eukaryotic cell)の形質膜は、脂質二重層と内在性膜タンパク質及び表在性膜タンパク質からできている。
脂質二重層の主な成分は[リン脂質]である。
[コレステロール]も脂質二重層に存在している。
これによって 膜の流動性が適正に維持されている。
「糖脂質」は表在性膜タンパク質を形質膜に固定するのに役立っている。
膜タンパク質 の細胞機能
生物学的に重要な物質の輸送(イオンチャネルなど)
細胞認識(表面抗原など)
細胞間のコミュニケション(神経伝達物質/ホルモン受容体など)
組織の構造維持(細胞接着分子など)
transporter
トランスポーター
内在性膜タンパク質であり、多様。
生物学的に重要な物質を細胞内(あるいは細胞外)へ輸送する。
トランスポーターはそれぞれ特異的な物質を、膜を横切って輸送する。
トランスポーターによる輸送は細胞によって制御される。

トランスポーターによる輸送
イオンチャネル (イオンチャネルを介する促通拡散)
イオンチャネルは内在性膜タンパク質であり膜を貫通している。
イオン(Na+、K+、Cl-、Ca2+など)が通過できる孔を持つので、膜を横切るイオンの移動が可能になる。
Na+
Cl-
2
+
Ca2+
促通トランスポーター 共役輸送体ー共輸送体
Na+/ヘキソース
Na+/2Cl-/K+
Na+/3HCO3-
Na+/アミノ酸
H+/オリゴペプチド
共役輸送体ー対向輸送体
Na+/ H+
3Na+/Ca2+
Cl-/HCO3-
透過酵素(単一輸送体)
D-ヘキソース
尿素




形質膜 親水性 疎水性
リン脂質 アルコール 脂肪酸(尾部)
リン酸
糖脂質
(ガラクトースなど)
脂肪酸(尾部)
コレステロール 水酸基 ステロイド(部分)
脂肪酸(尾部)


細胞の情報伝達
細胞情報伝達系
(第1次情報伝達物質)
1.神経系 神経伝達物質
2.内分泌系 ホルモン
3.免疫系 インターロイキン(IL)
○細胞外情報伝達物質の多くは以下のような少数の例外を除いて、細胞膜の表面に存在する各情報伝達物質に特異的な受容体に結合することによって、その情報を細胞内に伝える。
(例外):
細胞情報伝達系
(第2次情報伝達物質)
Gタンパク質共役系
イオンチャネル系
ロシンキナーゼ系
グアニレートシクラーゼ系

ガス性情報伝達物質
  1. 一酸化窒素
  2. 一酸化炭素
  3. 硫化水素
    • 2011年、東京大学の長野哲雄教授らは、細胞内でつくられる極微量の硫化水素を蛍光物質で検出する技術を開発した。
      細胞内の硫化水素と似た物質(グルタチオン)と区別できるようにした。
      致死性ガスとして有名な硫化水素には、体内の血圧抑制や抗炎症など有用な生理作用があることが知られている。
      長野教授らが開発したのは、硫化水素と反応すると光る「HSiP-1」と呼ばれる蛍光物質。物質内に含まれる銅イオンが硫化水素を反応すると、蛍光物質は銅イオンを放出して緑色に光る。
      ただ、細胞内には硫化水素と同じ水素と硫黄を含んだ物質「グルタチオン」が存在する。2つの物質を見分けるために硫化水素とグルタチオンの分子量の違いに着目。銅イオンを囲む構造を複雑にすることで、分子量の小さい硫化水素は蛍光物質の銅イオンの近くまで進入できるが、分子量の大きいグルタチオンは進入できない。
      硫化水素は1989年〜90年にかけてラットや人間で存在することが報告され、血管の拡張や抗炎症作用と関係していることが分かってきた。
      体内でガスとして存在し、一酸化窒素、一酸化炭素に次ぐ「第3のガス性情報伝達物質」として注目を集める。だが、細胞内でも生成から生理作用に至るまでの仕組みは、細胞内での具体的な濃度などは不明のまま。


オータコイド
  • 細胞間連絡物質
    • ある細胞から分泌され、近くにある細胞に働きかけて、その機能に影響を与える物質の総称。
    • 以下のものがあるが、「ホルモン」は含まれない。
      • アンジオテンシン(angiotensin)
      • インターフェロン(タンパク質)
      • インターロイキン(タンパク質)
      • ヒスタミン
      • プロスタグランジン

自食作用
  • オートファジー
    • 細胞の自食作用
      「岡崎国立共同研究機構基礎生物学研究所の大隅良典教授らは、細胞が自らのタンパク質を分解する現象『オートファジー』(自食作用)に見られる新しい反応機構を解明した。
      これまでは分解されるタンパク質のファジーがどのように決まるのか不明だったが、『Apg8』という遺伝子がその境界を作っているという。細胞の自食作用の異常はアルツハイマー病や肥満症などと関係があるとされている。
      自食作用は栄養が乏しくなった際に細胞が自分のタンパク質を分解して栄養源にする基本的な生理現象で、あらゆる背温経湯物が備えている。
      研究グループは、酵母細胞を使ってこの現象がどのように起きているかを調べている過程で、[Apg8]が作り出すタンパク質が膜構造を作る働きをしていることを突き止めた。
      新たに見つかった反応では、このタンパク質の末端に細胞膜を形成するリン脂質が集まって『オートファゴソーム』という袋状の組織を作っているという。分解されるタンパク質は、オートファゴソームの中に包み込まれることが分かった。研究内容は2000.11.23日発行の英科学誌「ネイチャー」に掲載される。

細胞分化
細胞を対の組織に変身させる「分化」を調節する主役は、因子と呼ばれるタンパク質だ。因子が細胞表面につくとその情報が核に伝達され、様々な遺伝子が動き出す。ところが、ごく弱い電気をかけるだけで因子なしに分化する細胞があることを、東工大生命理工学部の相沢益男教授らのグループが突き止めた。
●指令役タンパク質なしで
「実験に使ってのは、[pc12]というネズミの細胞。普段は球形で、培養液のなかで増殖を繰り返す。しかし神経成長因子(NGF)を与えると増殖が止まり、神経細胞のように突起を出して「分化」する。このため、この細胞は神経のモデルに使われている。
東工大グループは、透明なガラス電極の上で細胞を直接培養し、周波数と電圧を様々に組み合わせた交流の電気刺激を与えた。このうち、周波数が100ヘルツで100mmボルトの電気を、24時間ごとに30分間ずつ加える刺激を3回繰り返したところ、細胞はNGFを与えた時と同じように突起を出して分化した。
分化細胞にはカルシウムイオンが流れ込んでいたが、電気刺激で細胞膜が傷ついてそこから入った訳ではないようだ。そこで浮上したのが、細胞膜が伸び縮みすると活性化する『SAチャンネル』という物質の通り道。この活動を抑えたときは電気刺激を与えてもカルシウムは流入しなかった。
グループは、細胞の中での情報の流れも調べた。NGFは細胞膜にくっつくと、その情報が細胞膜内の伝令役の酵素によって核に伝えられるが、その酵素の働きを封じておくと、電気刺激を与えたときも分化しなかった。細胞膜から核への情報の流れは、NGFのときも電気刺激のときも同じらしい。
これらのことから得た結論はこうだ。
「交流電圧による周期的な電場の変化のため、細胞膜が伸縮し、SAチャンネルからカルシウムイオンが入る。このイオンが細胞内の伝令系に作用し、NGFから始まる通常の情報伝達の経路に割り込んで、分化の指令を核に伝えた」
SAチャンネルは、様々な細胞にあることが分かっている。
グループはこれまでに、グリア細胞という脳細胞を培養して交流電圧をかけNGFの生産力を高めることにも成功している。これもネズミの細胞を使った。今回の成果と合わせて、分化や増殖にかかわる遺伝子の発現を電気などの刺激で制御出来る可能性がかなり高まったとみる。
「生物は、ある情報経路が邪魔されてもしのげるバイタリティーを持っているはずだ。別の割り込み経路もあるかもしれない」と相沢教授は話している。
はさみ 細胞の接着を切る「はさみ」を解明
「細胞同士はノリの役割を果はすタンパク質でくっついている。この細胞接着を切るハサミの役割を果たすタンパク質があることを、奈良先端科学技術大学院大学の黒田真也助手、貝淵弘三教授らが解明した。
ガンが転移する時も細胞接着がはがれることから、ガン治療の面からも注目される。7日発行の米科学誌サイエンスに論文が載る。
体を構成する細胞がバラバラにならずにいられるのは、接着のおかげだ。
『カドヘリン』『βカテニン』『αカテニン』というタンパク質の複合体がノリとして働いている。ところが生物が発生するときや、傷を修復する時などには接着が一時的にはがれる。ノリとしての機能を発揮させない仕組みがあるはずだが、何がそのような制御をしているのか、よく分からなかった。
貝淵教授らは[IQGAP1]というタンパク質に注目。
これがカドヘリンとβカテニンに結合するが、αカテニンには結合しないことを発見。IQGAP1がカドヘリンとβカテニンと結合すると、αカテニンがはがれ、接着出来なくなることを突き止めた。細胞増殖などに関係する[Cde42]と[Rac1]からの信号によりIQGAP1が制御されていることも確かめた
細胞の接着 細胞同士の接着力を測る
2011年、奈良先端科学技術大学院大学の細川陽一郎特任准教授や近畿大学の伊藤彰彦主任教授らのチームは、細胞同士が接着する力を測定する手法を開発したと1/17発表。
特殊なレーザーを使って衝撃波を起こし、その大きさから割り出す。
試験管で培養した細胞間のくっつく力を測るときに使う。
「フェムト秒」を照射できる装置や原子力間顕微鏡(AFM)を使う。
細胞の近くにレーザを1/10秒当てる。レーザーがあたった場所では微小な衝撃波が発生し、結合していた細胞が離れる。そのときの衝撃波の大きさを近くに設置したAFMの微小な針の動きから測る。
実験では、血管内皮細胞の方が白血球の接着よりも接着力が1ケタ強かった。
会話 安田賢二・東京大学助教授が開発した装置は細胞同士を接触させてネットワークを人工的につくることが可能。その装置で、心筋細胞の拍動や神経の構造と記憶との関連など、細胞集団が生み出す働きを再現できる。
2つの心筋細胞をつなげてしばらくすると、1つの細胞が「まるで相手の会話を静かに聞くように」なり、動きが一瞬止まることを発見し、その瞬間を映像でとらえることに成功。64個の神経細胞を碁盤の目のように並べると、刺激を加えた細胞から順々に信号が流れることも確認。
細胞間の“会話”によって細胞の振る舞いがどう変わるかが初めて目に見えるようになった
骨格形成 細胞の骨格形成・酵素発見
「奈良先端科学技術大学院大学の貝淵弘三教授らは、生物の細胞を構成する細胞骨格の形成過程で重要な役割を果たす新しい酵素を見つけた。機能の詳細は分かっていないが、細胞骨格を作ったり壊したりする関与している。
ガン細胞の浸潤・転移とも深く関連しているとみられ、医学面からも注目されそうだ。
発見したのは、『タンパク質リン酸化酵素N』(PKN)という酵素
細胞骨格の形成に関連があるとされてきた『Rhoタンパク質』の働きを調べ、このタンパク質がPKNを活性化することを通じて、細胞骨格作りの過程を制御していることを見つけた。
2種類の核 核を2つ持つ単細胞生物「テトラヒメナ」(ゾウリムシの仲間)は、人と同様に角膜に覆われた核を持つ。ただ、代謝など生命維持のために機能する核と、生殖などで機能する核の2種類を持ている。
参考文献 団まりな著「細胞の意思」NHK出版

死んだ細胞が出す物質が周囲に命令
  • インターロイキン11
    • 2012年、順天堂大学の中野祐康准教授は、死んだ細胞が放出する物質が周辺の細胞に増殖の指令を送っていることを突き止めた。
      この物質に異常が生じると、細胞増殖が正常な範囲を超えて、ガンになるという。
    • 成果は米科学誌サイエンス・シグナリング(電子版)に掲載。
      細胞は死ぬとまず活性酸素を放出する。
      • この活性酸素の蓄積量が上がってくると、
      • 死んだ細胞は次に「インターロイキン-11」(IL11)と呼ぶ物質を放出する。
      • これが周辺細胞の増殖に関与していることを見つけた。
    • IL11の働きに異常が生じると、細胞が過剰に増殖し、ガンを引き起こす。
      • 抗ガン剤や放射線で治療すると細胞が死に、死んだ細胞が周辺に増殖を働きかけるのでイタチごっとになりかねない。
      • IL11の働きを弱めることで、抗ガン剤の効果を高められるかも。
    • 中野准教授によると、IL11の働きの調整でほかの病気の改善も見込めるという。
      肝炎を起こしたマウスでは、IL11が肝細胞の増殖を誘導し、肝障害の軽減に働いていることを実験で確認した。
      死んだ細胞が周辺細胞の増殖を誘導することは「代償性増殖」として知られている。だが、そのカギとなる物質は不明だった。


死なない細胞 HeLa細胞
ヒト由来の細胞であり、1951年に当時の細胞培養研究の第一人者であったジョージ・オットー・ゲイ (George Otto Gey) により分離され、細胞株として確立された。
採取されたのは黒人女性の子宮頸ガンから。
1951年2月8日、勤務していたジョンズホプキンス病院で1つの小さな病理切片を入手した。子宮頸癌で診察を受けた、ヘンリエッタ・ラックスのものであった。彼は、この切片から世界初となるヒト細胞株の培養に成功し、彼女の名からアルファベット2文字ずつを取って、HeLa細胞と名付けて発表した。
観察 光る分子で増殖を観察
2008年、理化学研究所は、細胞の増殖する仕組みを観察できる蛍光分子を開発した。細胞がDNAを複製して分裂する次期にだけ発光し、細胞の形の変化を調べることができる。
この分子は、細胞増殖の特定の時期に起きるタンパク質の反応を利用して、細胞全体で光り出す。マウス実験で確認。
従来は細胞の核だけだった。
細胞の形が浮かび上がるため、神経細胞などがDNAの複製とともに形を変える様子を観察することが可能になった。
生きたまま小器官
2010年、金沢大学の安藤敏夫教授と福森嘉宏教授らのチームは細菌内にあり、これまで見ることができなかった微細な小器官の観察に成功した。
独自開発した原子間力顕微鏡(AFM)を使い生きた細菌を観察した。
ナノb単位の小器官の構造を生きたまま画像に捉えたのは初めて。
AFMは見たい試料の表面を針でなぞって観察する仕組み。動きのある生きた細胞を直接観察するには針の動きのスピードが問題。
針を通常の1000倍に高速化し、海や川の泥中にいる磁性細菌を観察した。磁性細菌内にある直径約50ナノbの小器官の撮影に成功。
実験 細胞1つずつ補足し分析
2011年、東京大学とフランス国立科学研究センターは、約1600個の微小な穴に細胞を1つずつとらえる装置を開発した。
とらえた細胞をそのまま電流で破壊し、内部の成分を分析できる。
ヒトのリンパ球由来の細胞を多数含む水に装置を入れて実験した。電極に電流を流したところ、穴の周囲で電場が発生。「誘電泳動」と呼ばれる現象が起き、細胞が穴の中に吸い込まれた。装置の上からシリコンゴム製の蓋をすれば、細胞を穴に固定できる。
今までは、多数の細胞を試験管内どでまとめて破壊し成分を調べていた。この手法では多くの細胞の成分の平均値しか分からなかった。
温度 2009年、生きた細胞内の温度を詳しく計測する技術を内山聖一・東京大学助教らが開発した。
測定に使う材料はゼリー状の微粒子で、大きさは50マイクロb。温度が上がると膨らみ、紫外光を当てると蛍光を放つ。この微粒子をほ乳類の細胞の集まりに入れ、培養液の中で28℃から33℃に温度を上げたところ、蛍光温度を上げたところ、蛍光強度が変わり、0.5℃上がり刻みで温度が把握できた。材料は体に無害だという。
これまで生きた細胞内の物質を調べる技術はあったが、温度を測る技術はなかった。
ガン細胞の温度は周辺より高温になる。
2012年、東京大学と奈良先端科学技術大学院大学のチームは、生きた細胞の温度分布を視覚化して観察できる試薬を開発した。
温度に応じて光を発する時間が変わる化合物を使い、0.18℃の温度差を検出する。
成果はネイチャー・コミュニケーションズ(電子版)に掲載。
ヒトの培養細胞にこの試薬を注入して観察すると、
  1. 細胞内でエネルギーを作る「ミトコンドリア」、
  2. 細胞分裂に関わる「中心体」、
  3. 細胞核の近辺
が温度が高いことが分かった。
動き再現 細胞内物質を分子レベルで動きを再現
2010年、理化学研究所はオランダの原子分子物理研究所と共同で、細胞内の物質の動きを分子レベルで再現するシミュレーションソフトを開発した。
独自開発の計算手法を使い、計算時間を約1/10万に短縮し、短時間で細胞内の複数の分子の動きを再現できる。
2012年完成予定の次世代スーパーコンピューターを使えば、細胞の状態をそのまま再現できる。
開発したソフトはHPで無償公開
輸送体 2010年、京都大学の岩田想教授、島村達郎客員研究員ら日英共同チームは、細胞膜にある『輸送体』というタンパク質が、物質を細胞以内に運び入れる詳しい仕組みを解明した。
成果はサイエンスに掲載
最近の細胞膜にある『ヒダントイン輸送体』の立体構造をX線で解析した。
この輸送体は膜の内と外のナトリウムイオンの濃度差を利用し、アミノ酸のもととなる物質を運ぶ。人の細胞膜にも類似の輸送体が存在しており、同じ輸送メカニズムがあると考えられている。
研究チームは、アミノ酸ももとtなる物質を取り込んだ後、内側に口を開けた「内向き構造」になった輸送体の構造を解明した。らせん状のペプチド(タンパク質断片)でできた12本の筒が輸送体を形成しており、筒は井桁状と束状、ゲート状などの大別できた。
輸送体は口を外側に開けてアミノ酸のもととなる物質を取り込むと口を閉じ、井桁状の筒が大きく開いて内向き構造に形を変えていた。
結晶構造をもとにコンピューターによるシミュレーションも実施し、細胞外から物質を受取物質を運び終えるまでの輸送体の一連の構造変化の流れも分かったという。
細胞の酸化度 2010年、京都大学の阪井康能教授らは、生きた細胞が酸化している度合いを調べる手法を開発した。
細胞内の酸化はガンや糖尿病、神経疾患、老化などと関連が指摘されている。疾病のメカニズム解明などに、生きた細胞で測る方法が求められていた
酵母菌のタンパク質「YaP1」の一部に、酸化すると構造が変わる分子がある。この分子の両端にそれぞれ別の色で光る蛍光タンパク質をつけて目印にした。
マウスの培養細胞の中にタンパク質を入れ、光を当てて観察した。細胞に薬品を加えて酸化させると青色の光を出し、薬品を取り除くと黄緑色の光を出した。色の波長を分析すると、そのときの細胞の酸化の程度を定量的に把握することができる。
細胞の酸化はさまざまなな疾病で関連が指摘されており、新薬候補物質などを探す際の検査指標の1つになる可能性がある。
増殖 の仕組み
2010年、東京工業大学などのグループはハエを使った実験で、細胞増殖を調節する新しい組みを発見した、
細胞の増殖に関わるタンパク質は「UBPY」と呼ばれ、シャーレの細胞実験では働きが確認されている。研究グループはUBPYの働きを止めたハエを作り、感覚毛と呼ばれる神経器官ができなくなることを確認。そのメカニズムを調べた。細胞の表面には増殖や分化を促す「増殖分化因子」と結合する受容体がある。UBPYはこの受容体が分解されるのジャマし、受容体の数を増やしていた。
逆にUBPYを無くすと受容体は減少し、細胞の増殖や分化が進まなくなった。
増殖分化因子が過剰に働くと、細胞がガン化することが知られれている。
UBPTは多くの生物が持っている。
細胞表面 の観察方法
2010年10月、京都大学の楠見明弘教授や鈴木健一特任講師らは、研究現場でよく利用されている細胞表面の観察方法を使うと、実際には起きていない現象も誤って認識してしまう可能性があるとする研究結果をまとめ、米科学誌ネイチャー・メソッズ(電子版)に掲載。
ウイルスの増殖やアルツハイマー病などの研究成果を見直す必要があるという。
  • 細胞表面の現象を調べるには、薬品を加えて細胞の分子が動かないように固定してから、目的のタンパク質にだけ結合する交代を加えて動きを追跡する。
研究チームは生物の研究で一般的な生体分子の固定方法の効果を調べた。
細胞の様々な分子に蛍光分子をつけて顕微鏡で観察したところ、既存の方法では脂質分子などをほとんど固定できないことが分かった。
固定が不十分だと細胞表面に無いはずの数十〜200ナノbの分子のかたまりを誤って観察してしまい、生体分子の相互作用を誤解する可能性があるという。
楠見教授は「引用回数の多い論文にも間違いがある。再検討しなければいけない」と話す。
GFP 緑色蛍光タンパク質で発光
2011年、米ハーバード大学などのチームは、レーザー光を放つヒト細胞を遺伝子組み換え技術で作り出すことに成功した。
細胞内のGP(緑色蛍光タンパク質)が光を増幅する。
通常のレーザーでは、半導体や水晶などの人工物を使って光を増幅し、強い光を作る。
研究チームは遺伝子組み換えでヒトの培養細胞に作らせたGFPを光の増幅に応用した。細胞に青いパルス光を当てると、増幅された緑色のレーザー光が数ナノ秒間放たれた。
球形の細胞そのものが、光を集めるレンズの役割も果たすという。

人工細胞
  • みずから増殖
    • 2011年、東京大学の菅原正名誉教授らのグループは、生物のさいぼうのように自ら分裂・増殖する「人工細胞」を有機合成物質で作ることに成功した。
    • 生命の設計図となるDNAを複製して伝える仕組みを備えており、生命の起源を解明するのに役立つ。成果はネイチャー・メミストリー(電子版)に掲載。
    • 研究グループはリン脂質などで直径が10マイクロbぐらいの球体を作製。この中に、1220個の塩基対からなる大腸菌のDNAとその合成を助ける酵素を入れた。
    • 球体を養液に入れて温度を95℃に上げたり65℃に下げたりして変化させた。その結果、球体はまるで生きた細胞のように5分間で4回分裂・増殖を繰り返したほか、球体の中のDNAは複製された。
    • DNAは分れるして出来た新しいDNAにも分配されており、生物の細胞が分裂・増殖する様子を人工的に再現できた。

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