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| 情報伝達 | 金沢大学医学部の狩野方仲教授らは、学習や記憶に関わる情報伝達物質、グルタミン酸の受け渡しを調節する神経細胞の仕組みを解明した。この調節が乱れると、記憶障害が起きる。痴呆症などの予防や治療法の開発につながる。 狩野教授らは、マリファナに含まれる成分カンナビスに似た情報伝達物質、内因性カンナビノイドと呼ぶ脂質成分に着目し、マウスの小脳の神経細胞を電気刺激しながら、細胞の結合部の様子を観察した。 情報を発信する側の神経細胞がグルタミン酸を放出し、受け手側の神経細胞にあるタンパク質(mGIuR1)に結合すると、内因性カンナビスが細胞内で作られ、発信側に送り返されることが分かった。この脂質成分が上流の神経細胞表面にあるタンパク質(CB1R)にくっついて、グルタミン酸の放出量を減らし、情報伝達を抑制しているという。 マリファナを吸うとCB1Rにカンナビスがくっついて、神経細胞間の調節機能が働かなくなり、幻覚や記憶鍾愛を引き起こす事が知られている。類似の症状が出る病気が、これと同じ仕組みの乱れによって生じる可能性がある |
| 独特の性質 | 神経細胞は他の細胞とはいろんな点で異なる。体の細胞の多くは生涯、分裂を続け、人の中身は新しい細胞に入れ替わる。ところが神経細胞が盛んに分裂を繰り返すのは3歳ぐらいまで。その後は死ぬまで同じ神経細胞が生き続ける。もとをたどれば、神経細胞も体の細胞も同じ1つの受精卵。 なぜ神経細胞だけが独特の形態や性質を持つのだろう。 その秘密は、細胞内の遺伝子のスィッチを「切って」いる。科学技術振興事業団の研究員・森望さんは、複数の異なる遺伝子をひとまとめに切ってしまう小さな因子があることを突き止めた。1990年のことだ。ネズミも人間も、その因子が良く似ていることも分かった。 |
| 脊髄 | 神経の成長機構解明 国立遺伝学研究所の研究チームは、神経細胞が成長して脊髄を作るメカニズムを解明した。神経細胞が互いに結合するため長い線維(軸索)を伸ばすとき、細胞内にある『フラズルド』というタンパク質が軸索の成長方向を決める道しるべになっていることをショウジョウバエの卵を使った実験で見つけた。これまで軸索の成長方向は『ネトリン』という物質の濃度勾配によって決まるとされていたが、今回これとは異なる見方を示した。24日発行の英科学誌「ネイチャー」に発表した。 遺伝研の堀田凱樹所長らのチームが研究で用いたのは産卵後10時間で経過したショウジョウバエの卵。この時季に神経細胞の成長が始まり、2〜5マイクロメートルの大きさの神経細胞が0.1マイクロメートルほどの軸索を伸ばし始め、神経細胞同士の結合ができあがっていく。 遺伝子操作技術を利用して、ショウジョウバエの神経細胞内にある物質の機能を調べたところ、ネトリンと結合したフラズルドが細胞膜内に整然と並んで壁を作り、軸索を接続先の神経細胞へと誘導することがわかった。 フラズルドと同じような構造のタンパク質が人間の細胞にもあることが知られているが、その機能は明らかになっていない。 ただ、このタンパク質が壊れていると大腸ガンの発生率が高まる傾向があることが指摘されており、「フラズルドのメカニズム解明は人間の大腸ガン発生の仕組みを知るヒントになるかもしれない」と堀田所長は話している。 |
| アポトーシス | 東北大学の宮沢陽夫教授らのグループは、神経細胞の死を抑える物質を発見した。マウスで効果を確認した。」 脳の神経細胞膜の表面にあるリン脂質の一種、プラズマローゲンが細胞の自然死(アポトーシス)を抑制することを突きとめた。 マウスの脳から取りだした神経細胞を栄養のない状態で培養すると、アポトーシスを起こす。ところがプラズマローゲンを加えると、この現象が起きにくくなったという。 プラズマローゲンは、アルツハイマー病の脳で著しく減少することが知られている。 |
| ナビ役 |
神経回路つくるナビ役見つけた 神経回路が出来るとき、位置情報を出す物質をナビゲーター役のタンパク質が正確な位置まで動かし、神経細胞を誘導していることが分かった。国立遺伝学研究所の堀田凱樹所長や広海健教授、科学技術振興事業産の平本正輝研究員らがショウジョウバエを使った実験で解明した。24日発行の英科学誌ネイチャーに発表する。 多様な神経細胞(ニューロン)から出来ている脳が計算機としての機能を果たすためには、1つ1つの神経細胞が役割に応じて正しい方向に伸びていくことが必要だ。神経の尖端には方向を探るため、情報を受け取るタンパク質があり、位置情報を伝える物質のあるところまでたどり着ける、と従来考えられてきた。 ところが、平本さんらは位置情報を受け取るタンパク質が神経の尖端にはなく、その周辺に存在することを発見した。このタンパク質はネトリンという位置情報を伝える物質と結合した上で、特定の位置まで移動する「ナビゲーター」役を果たしていることが分かった。情報を伝える物質を特定の位置に「再配置」する仕組みがあることが示されたのは初めてだ。 |
| 神経再生 | 切れた神経再生 ■ニプロは切断された神経を再生する医療用具を開発、動物実験で神経を結びつけることに成功した。神経切断部を覆う管状の用具で、神経細胞に備わる再生能力をうまく引き出す。 切れた神経の接合は難しく、患者自身の別の神経を移植する必要があった。年内にも臨床試験を始める |
| ■○○研究グループは共同で、切れた神経や血管、尿道の再生に使う伸縮性に富んだ管状の生分解性材料を開発した。開発したゼリー状の材料は神経などに細胞が増殖する足場となり、一定期間経過すると体内に吸収される性質があるという。太さ0.5mm以上なら自由に作ることが出来る。 | |
| 「20世紀の初頭にノーベル生理学医学賞を受賞した神経科学の巨人ラモニ・カハール博士は“一度成長して完成した神経は再生しない”と言った。 しかし、岡野栄之・慶応義塾大学教授は「それを書き換えたい」と宣言する。そして、大人の脳にも神経の元になる幹細胞があることを突き止めた。 脊髄損傷になっったサルを使い、人の神経幹細胞を移植すると症状が改善することも世界で初めて証明した。 常識を覆してきた岡野教授が取り組んでいるのが、慢性期の脊髄損傷の再生だ。神経再生を妨害する物質がかさぶたのように溜まり、壁となっている。それを切り崩す物質の1つが、○○と共同で見つけたカビの分泌物。 妨害物質の働きを抑え神経の再生を促す作用がある。 |
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| 脊髄を完全に切断したラットに化合物を与え続けたところ、動かなかった後ろ足が回復することを確認。 損傷した脊髄の神経が再び伸びる様子を光学顕微鏡で確認した。この化合物がセマフォリン3Aに結合し、セマフォリン3Aが神経細胞の受容体にくっついて再生をジャマするメカニズムも解明した。 大日本住友製薬・ゲノム科学研究所の木村徹上級研究員や慶大教授を中心としてチームの成果。 脊髄内には、一度切れた神経が再び伸びることを妨害する物質(神経伸長阻害因子)が多数ある。その中でも『セマフォリン3A』という分子がもっとも強く神経再生をジャマしていることを発見。研究チームは、人工合成した10数万種類の化合物を集めたライブラリーの中から数年かけて探したが、ついに見つからなかった。しかし、次に手をつけた天然化合物のライブラーの中から、強い阻害活性を持つ低分子化合物を見つけた。なんとそれは、大阪城公園の土から採取したカビが生み出す化合物だった。 『SMー216289 』と名づけたこの化合物が神経再生を可能にした。 2006年ネイチャーメディシン掲載 |
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| 神経突起 | 九州大学の中山敬一教授と科学技術振興機構は、体内で神経細胞同士をネットワーク状につなぐ『神経突起』ができる新たな仕組みを解明した。 突起が伸びるために不可欠なタンパク質を発見した。マヒの発症メカニズムの解明につながる成果で、2006年11/3付けの米科学誌サイエンスに掲載。 神経突起は、細胞膜の一部が突起の先へ運ばれ、ときには長さが1mにもなる。だが、膜が運ばれるメカニズムはナゾだった。 中山教授らは『プロトルーディン』と名付けたタンパク質を神経細胞ではない細胞に作らせると、神経突起に似た部分が出来ることを発見。詳しく調べたところ、このタンパク質が細胞膜を特定の方向へ運ばれるように制御し、突起が出来ることが分かった。 |
| 軸索 | シューティン 神経細胞は軸索という突起を長く伸ばし、他の神経細胞に近づいて複雑な神経回路を形成している。 伸びている軸索では ▼エンジン役・・・・・・・・・・・・アクチン(タンパク質) ▼路面をとらえるタイヤ役・・・L1(タンパク質) ▼クラッチ役・・・・・・・・・・・・・シューティン(タンパク質) 奈良先端科学技術大学院大学の稲垣直之准教授は京都大学や理化学研究所と共同で、神経が伸びる速度などを調節する役割を果たすタンパク質(シューティン)を見つけた。 突起を伸ばすのにシューティンが関わり、軸先先端でアクチンや[L1]と連結し、クラッチの役目をすることを突き止めた。 実験でシューティンを減らすと[L1]の動きが鈍くなり、軸索の伸びが遅くなった。逆にシューティンを増やすと[L1]も早く動き、伸びも早くなった。 シューティンは軸索が伸びる生後間もないラットの脳では量が増える一方、軸索再生が起きない大人のラットでは量が減るという。 成果は2008年6/2のジャーナル・オブ・セルバイオロジーに掲載。 |
| 関連情報 |
「脳」 「神経細胞成長因子」 「アミノ酸」 「グルタミン酸」 「ノルアドレナリン」 |