Cardiomyopathy心筋症
肥大型心筋症(HCM)/不整脈原性右室心筋症(ARVC)

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関連情報
特発性心筋症」「拡張型心筋症」「突然死」「ファブリー病」「C型肝炎」「心室細動

肥大型心筋症(HCM):Hypertrophic Cardiomyopathy
[左心室、ときに両心室の肥大]
[拡張期弾性低下]
[非対称性の中隔肥厚]
[心筋肥大]
[錯綜配列]
を特徴とする心疾患。
左心室流出路障害を伴うものや、遺伝性もある。
症状の進行は、一般に緩除。
突然死を解剖したときに見つかることがある。
胸部X線・・・軽度心拡大、左四弓の突出
心電図・・・・左側高電位差、高度のST-T変化
UCG:
   ・高度の心肥大(特に中隔壁の肥厚)
   ・三尖弁逆流から右室圧上昇
心カテーテル:
   ・差室拡張期末期圧の上昇
   ・左室流出路圧較差
   ・右室肺動脈圧の上昇
心筋生検


不整脈原性右室心筋症(ARVC)
Arrhythmogenic Right Ventricular Cardiomyopathy
右室心筋の線維が脂肪変性して、この部位の興奮の伝導遅延を生じて心室頻拍などの心室性不整脈の原因となりうる疾患。
20〜30歳代の突然死の原因
心筋の脂肪変性の原因として
     心筋細胞の自殺死説
     心筋の脂肪組織への異常分化説
     心筋炎説
がある。
約半数に家族歴があり、常染色体優性遺伝を示す



アルコール性心筋症  Alcoholic Cardiomyopathy
特定心筋症の1つ。
アルコール依存症があり、不整脈、心拡張、心不全などの症状が出現するが、アルコール以外に原因が無く、禁酒により心室拡張などの症状が軽快(アコーディオン心徴候)することで診断される。
アルコールには、心筋収縮抑制作用と催不整脈作用があるとされる

高血圧性心疾患
高血圧の既往歴がある
・心後負荷(心臓が全身に血液を送り出すのにかかる力)の増大による求心性心肥大
・広範囲の相対的虚血による心筋病異変
があるときの、相対的に冠動脈病変が軽い場合に付ける診断名。


心筋症 心室が拡大したり、心室の壁が肥厚したりして心臓が正しく働かなくなる病気。(心室は心臓の下方にあり、ポンプの役割を担っている。)
心臓の筋肉が変質して伸び、収縮力が低下する心臓病。
非炎症性の線維性変化を主とした心筋障害。

重症になると心臓移植でしか助からない。
原因不明の難病。約6000人の患者
厚生省の特定疾患治療研究事業の対象
全身性の代謝障害(ex.慢性肝疾患、重症ネフローゼ)によって引き起こされる。
発熱・不整脈・伝導障害などがあれば心筋炎を疑うこと。

一般に、心筋症の発症には、
  ミトコンドリア代謝(酵素・DNA)
  収縮タンパク質(ミオシンなど)
  アドレナリン受容体
  刺激伝導系の異常
  心筋炎
  自己免疫疾患
  アミロイドーシス
など種々の原因が関与していることがある。
病態 【肥大型】心筋の一時的病変により高度の心筋の肥厚を呈する慢性心疾患。
【拡張型】→「拡張型心筋症
WHO ○WHOは心筋症を「心筋障害を伴う心疾患」と定義している。そして
拡張型心筋症(DCM)
肥大型心筋症(HCM)
拘束型心筋症
不整脈原性右室心筋症
分類不能の心筋症
に分けている。さらに、「原因および全身疾患との関連が明らかな心筋疾患」は、特定心筋症として、心筋症とは区別している。
周産期心筋症 妊娠中や腫産後半年の間に女性に起こる。
発症原因には免疫やホルモン、胎児に血液を送るための心臓に負担増など関係していると見られているが、原因不明。
2010年、国立循環器病研究センターが患者の調査に乗り出した。



突然死

原因にも
体育死亡
2002年2月、大阪府豊能町の町立吉川中学校で、幼いときから肥大型心筋症で通院し、医師から激しい運動を禁止されていたのに、体育の授業中に倒れて突然死した。豊能署は業務上過失致死の疑いで校長・教諭ら計5人を書類送検した。
最近。若い人に多いと言われる心筋症はどのような心臓病ですか?
 「心臓の筋肉が筋肉が侵されて、心臓拡大や心臓肥大を起こす疾患の総称です。主に、原因の分からない特発性心筋症のことを指します。日本では比較的若い20〜40歳代の発症が多く、全心臓疾患の3〜15%を占めています。突然死の原因にもなっており、近年注目されているため、発症も増加傾向にあります」と伯蓍徳武・大阪府立病院心臓内科部長。
●症状や診断方法は?
 「まず、倦怠感があり、動悸や息切れが激しくなります。ひどいときには呼吸困難に陥ってしまいます。WHOの診断基準もあるのですが非常にチェック項目が多くて、確定診断がとても難しいのです。
●では、どんな診断方法が確実なんでしょう?
 「不整脈が頻繁に起こるので、異常な心電図も有力な決め手ですが、心臓の超音波撮影で壁の肥厚や内腔の著しい拡大などの心筋症の顕著な特徴が現れればより正確になります。その上で、心臓カテーテル法で心筋組織を採って検査をするのが一番確実です。心筋に糖原物質が蓄積するのですが、検査出来る施設が少ないのが問題です。
●治療法は?
 「心筋症にはポンプ機能に余り支障をきたさない肥厚型と、心筋の繊維化が起こり、ポンプ機能不全が特徴の拡張型があります。いずれも、原因がはっきりしていない為、対症療法しかありません。ジギタリスのような利尿剤や急激な症状には強心剤にも使われるドパミンを活用するなど治療の基本ラインができています。
●特効薬のようなものはあるのですか?
 「狭心症や不整脈などの循環器疾患に広く臨床応用されているβブロッカーが有効です。8年前から使っていますが、症状が進んだ例は有りません。しかし、投与量をどれぐらいにするかの判断が難しいです。最近は血管拡張剤のAC1を併用して効果を挙げています。肥厚型の中には外科的手術が適応される症例もありますが、拡張期の末期になれば、心臓移植しか助かる見込みは今のところありません。
●原因はかなり究明されてきたのですか?
 「約2年前から大阪医科大や東京大で心筋症の心筋にヘルペスウイルスが残っていたり、ウイルスの遺伝子の一部も見つかっており、ウイルスならばインターフェロンの投与も考えられます。遺伝的な面でも研究されていますが、まだはっきりした結果は出ていません。原因がはっきりすれば、治療もしやすいのですが
種類
特発性心筋症
ウイルス感染、飲酒、妊娠、抗ガン剤の服用など、心筋症を起こす明らかな原因が無い場合には、特発性心筋症と呼ばれる。

続発性(2次性)心筋症
原因 C型肝炎ウイルスが原因
「C型肝炎ウイルスは最近、肝臓以外の病気に引き金である可能性を示す事実がいくつも見つかっている。
この事実を突き止めたのは京都大病院第三内科(篠山重威教授)の松森昭講師。心筋症は心臓の壁が薄くなって大きく広がる拡張型と、壁が厚くなる肥大型に大別される。大半は原因が不明で、拡張型では風邪によく似た症状の原因となる[コクサッキーウイルス]が有力原因とみられていた。
松森さんは1991年、腎臓病で入院中の患者が拡張型心筋症になり、C型肝炎陽性と分かったため、保存してあった拡張型心筋症患者31人の心筋細胞中のウイルス遺伝子を詳しく調べてみた。見つかったウイルスは2つだけで、C型肝炎ウイルスが6人(19%)、コクサッキーウイルスは1人(17%)だった。
さらに患者36人の血液を調べたところ、6人(17%)がC型肝炎に感染したことを示す抗体陽性だった。一方、遺伝が多いとみられていた肥大型心筋症患者でも53人中9人(17%)が抗体陽性だった
勝守さんによると、心筋症患者に肝炎患者はあまりなく、ウイルスの細かなタイプが違っている可能性もある。「心筋症の2割ほどはC型肝炎ウイルスが原因。心筋症の最大原因であることは間違いない」と結論づけている

ファブリ病が原因?
「心臓の筋肉に異常が起きる心筋症患者を調べたところ、軽いファブリ病が多かった。中尾正一郎・鹿児島大医学部助教授、田中弘充学長がこのほど東京で開かれた特発性心筋症国際シンポジュウムで発表した。ファブリ病は全身の臓器に糖脂質が溜まり、腎臓や心臓障害が起こる極めてまれな先天性代謝異常とされてきており、この病気や心臓病のイメージが大きく変わりそうだ。
中尾さんは約4年前、60歳代の肥大性心筋症患者が、心臓以外の症状が無いファブリ病だったことから関心を持った。循環器外来で心臓肥大が見られた患者230人の酵素量を調べたところ、正常人の4%〜14%低い患者が7人もいた。55〜72歳の6人は肥大型心筋症、1人は高血圧性心臓病と診断された患者だ。肥大性心筋症患者に限れば10%近くがファブリ病だった。ほかに「不整脈患者から2人見つかっており、ファブリ病が原因の心臓異常は驚くほど多い」と中尾さん

原因遺伝子発見
心臓移植でしか助からないとされる難病の拡張型心筋症と、重い不整脈で突然死する事がある肥大型心筋症に共通すると見られる原因遺伝子が見つかった。理化学研究所の坂本英二特別研究員、東京大医学部の豊岡照彦教授らのグループが心筋症ハムスターによる解析で突き止めた。この遺伝子が働かない為に、心臓の筋肉を形作る細胞(心筋細胞)の動きが協調しなくなり、機能が低下するという。
 日本では、心筋が薄くなって収縮力が失われる拡張型心筋症は数万人に1人、逆に心筋が厚くなって動きが悪くなる肥大型心筋症は数千人に1人の割合で起きている。肥大型の約2割は心筋細胞中のタンパク質遺伝子の異常によるものを分かっているが、残りの原因ははっきりしなかった。
坂本さんらはどちらの心筋症でも患者の心筋細胞同士の結びつきが弱くなっていることに着目。心筋症を持つ系統のハムスターで細胞と細胞の結合に関連しているタンパク質群の遺伝子異常を探した。その結果、細胞表面にあるはずの[δサルコグリカン]というタンパク質合成に関係する遺伝子の異常が見つかり、このタンパク質が作られていない事が分かった。この異常は肥大型3系統、拡張型1系統の心筋症ハムスター全部に共通していた
カルシウム

カリウム
カリウムが関連
「心臓が正しく拍動し、ホルモンが正常に分泌されるには細胞以内のカルシウムイオンがうまく放出される必要があるが、この作業にカリウムイオンの助けが必要であることを竹島浩・京都大学教授が付く止めた。
カルシウムイオンの放出異常は心筋症など心臓の病気と関連が深い。
成果は2007年7/5のネイチャーに掲載
細胞内の小胞体には、カルシウムイオンをため込んで必要に応じて細胞外へ出す機能がある。研究チームは効率よく放出するには、放出とほぼ同時に別のイオンが小胞体内に取り込まれる仕組みが必要だと考えた。
遺伝子を詳しく調べると、小胞体の膜にTRICチャネルというタンパク質があることが判明。このタンパク質がカリウムイオンを小胞体内部に引き込む役割を担っていた。
TRICチャネルにはA型とB型があり、いずれも欠いた遺伝子改変マウスは、小胞体にため込んだカリウムイオンがうまく放出されず、心拍が弱まり、生まれる前に死んだ。
手術 ダイナミックカルディオマイオプラスティ手術
「広背筋(背中の筋肉)を心臓に巻き付け、ペースメーカーを使う。岡山大医学部心臓血管外科・佐野俊二教授
補助心臓 小型の人工心臓
補助人工心臓は、本体が膨張・収縮を繰り返して血液を送り出す拍動型が欧米で普及している。
2010年、国立循環器病センター研究所と産業技術総合研究所、三菱重工業は日本時の体格に合わせた小型の埋め込み型補助人工心臓を開発した。
ねじのような羽根車の回転で血液を送り出す仕組み。
本体は直径2.9cm、長さ7.5cmの円筒形。体外の電源やコントローラで制御する。
毎分9000回転で5gの血液を送り出せる。
チタン合金製で150gの重さ。体重20kgの小児にも使える。
子牛4頭に移植し、血液を送り出すリズムの乱れや血栓の発生などを起こさずに90日間生存させる実験に成功。
漢方薬あれこれ 括楼薤白半夏湯
九痛丸
九味檳榔湯
桂枝生姜枳実湯
柴胡加竜骨牡蛎湯
大陥胸湯
大柴胡湯
木防已湯

再生医療
  • 人工心筋
    • 2007年、山家智之・加齢医学研究所教授らが開発した人工心筋システムは、温度変化で形が変わる形状記憶合金を利用したもの。厚さ2_b、タテ5ab、ヨコabのシリコーンゴム板に直径100マイクロbの形状記憶合金10本を埋め込んでいる。
      電気を流すと合金が変形してゴム板がたわみ、電流を切れば元の形に戻る。この板で心臓を覆い、患者本人の心臓の拍動に合わせて回路のスイッチでon/ofを繰り返すことで、心臓マッサージのように収縮を助けることができる。
      耐久性は連続で9億回以上問題が無かった。心臓は1日に約10万回、休み無く拍動している。仮に1日に4〜5時間、動かしても18年間は大丈夫。
      人工心筋は心臓の外側を包んでいるため血液にはふれない
  • ES細胞
    • 2009年3/4、九州大学の中山功一特任助教らは、マウスのES細胞(胚性幹細胞)から作った心筋細胞を用いてハート形の立体構造を作製することに成功した。通常、生きた細胞を立体化すると内部に栄養が届かず、細胞が死滅してしまうことが多かった。
      立体構造になった心筋細胞は3日間拍動を続けた。
  • 万能細胞から
    • 2009年、国立循環器病センター研究所の森崎隆幸部長と日高京子室長らは、iPS細胞やES細胞などの万能細胞から、心臓の筋肉に成長する細胞を効率よく選別する手法を開発した。
      心筋の表面にだけ出てくる正常なプリオンタンパク質を目印に、約90%の確率で他の細胞と区別できる。
      成果は11/13米心臓協会雑誌・電子版・に発表
      万能細胞を培養すると心筋や神経、血液などの元となる細胞が混在して育ってくる。この中から心筋だけをより分ける簡便で確実な方法がなかった。
      従来は遺伝子操作が必要だった。
      研究チームはマウスのES細胞が様々な細胞に育ち始めて5〜7日目に、心筋の一歩手前の前駆細胞の表面にプリオンタンパク質が現れるのを発見。他の細胞にはプリオンタンパク質が出ていないため、これを目印に使い、高い確率で心筋前駆細胞を選別した。
      正常なプリオンタンパク質は脳や筋肉など様々な組織にあるが、詳しい働きは不明。変異して異常になるとプリオン病を引き起こす。
  • 細胞外マトリックス
    • 2009年、米ジョンズホプキンス大学と韓国ソウル大学の共同チームは、生体内にある実際の心筋細胞と同じ構造を持つ細胞群を再生できる技術を開発した。
      ナノサイズの小さな溝と山を刻んだ基盤を置いた細胞培養血を使って心筋細胞を育てたところ、細胞と細胞の間にあり、細胞に刺激を与えたり組織の形を維持したりする「細胞外マトリックス」まで再現できた。
  • 心臓組織シート
    • 2010年、物質・材料研究機構とローマ大学は、厚みのある心臓組織のシートを作る技術を開発した。高分子材料の上で、細胞が5層ほど積み上がる。
    • 従来の手法で1層までだった。
    • 高分子材料は波を打った形のポリ乳酸の膜。微細な穴が規則的に多数開いている。
    • 約0.1_メートルの厚さに3枚重ね、心筋細胞に成長する手前の前駆細胞を心筋細胞と一緒に培養した。
    • ネズミの細胞を使った実験では、前駆細胞が心筋細胞に成長。厚さ約0.3_bの心臓組織ができた。