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| 関連情報 |
「不整脈」「TdP」「心下痞」「むかつき」「吐き気」 |
| 心室頻拍 英語名: Ventricular tachycardia 同義語:なし (厚生労働省) |
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| お薬を服用中に、不整脈が発生することがあります。また、不整脈を治療するための薬により、ときに不整脈を悪化させたり、新たな不整脈を引き起こしたりすることがあります. お薬を服用中に、 のような症状がみられた場合には、危険な不整脈の初期症状の可能性がありますので、すぐに医師・薬剤師に連絡してください。また、
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| 心室頻拍とは? | |
| 不整脈を治療するためのお薬は、ときに、不整脈を悪化させたり、新たな不整脈を引き起こしたりすることがあります.しかし、今ある不整脈を放置することの方が危険な場合もあるので、治療が優先されます。また、不整脈の治療薬以外にも、抗精神病薬、抗うつ薬のように不整脈を起こす可能性のある薬があります。また、一つの薬だけでは起こらなくても、薬の飲み合わせにより、起こることもあります。 心室頻拍は不整脈の一種で、本人の自覚症状がないまま正常に戻り、本人の知らないうちにこれを繰り返すこともあります。また、心室頻拍は、突然の意識消失やけいれんを起こすことが多く、しかもこれが短時間のうちに回復して反復したり、さらには心室細動に移行して突然死へといたる可能性もあります。心室頻拍の主な初期症状として、「めまい」、「動悸」、「胸が痛む」、「胸部の不快感」などが知られています。 |
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| 早期発見と早期対応のポイント | |
| 薬物投与後、不整脈が新たに出現した場合、または既存の不整脈が増加するか重症化した場合、薬物の催不整脈作用と定義される1)。β作動薬やジギタリスもその投与量・患者の基礎疾患によっては催不整脈作用を示すことが以前より知られている。 最近、特に臨床的に問題となっているのは抗不整脈薬の催不整脈作用で、QRS 波がサインカーブ様となる心室頻拍(VT)(6の症例1を参照)とtorsades de pointes (TdP)と呼ばれるQT 延長に伴う多形性VT(6の症例2を参照)がその代表である。 TdP は、QRS 波の振幅と極性が基線を軸としてねじれ(torsade、英語ではtorsion)、典型的にはQRS 波の先端(pointe、英語ではpeak)が統一性のとれたローテーションを示す。 ともに突然死の危険性が高いため、その予防と早期発見・早期対応は極めて重要である。 サインカーブ様のVT は強力なNa チャネル遮断作用を有する薬物(I 群抗不整脈薬、とくにIa 及びIc 群抗不整脈薬)の投与後に起きやすく伝導抑制作用によるQRS 波の幅の拡大とともに0.2 秒前後の非常に幅広いQRS の頻拍を呈する。このVT は一旦停止しても直ちに再発し停止しにくい(反復性VT)。多くは重症の陳旧性心筋梗塞や拡張型心筋症などの器質的心疾患を有し、持続性VT の既往を有する患者に生じる。予防策として、とくにVTの既往を有する重症の器質的心疾患患者に対してはIc 群抗不整脈薬を投与しないことが重要である。 早期発見のポイントは症状と投薬後の心電図検査である。
早期対応のポイントは、被疑薬を中止し助長因子(低カリウム血症や徐脈など)を補正し、また電気的除細動器を含む救急蘇生具を準備することである。対応が困難であれば専門施設へ搬送する。繰り返し発生するTdPの予防には硫酸マグネシウムの静注(2g を2〜5分間で投与)が有効である。効果が不十分であればさらに2 g 追加投与する。徐脈はTdP の誘因となり、イソプロテレノールの点滴静注や硫酸アトロピンの静注、体外式ペーシングにより心拍数を増加する。サインカーブ様VT は反復しやすく、その対応はしばしば困難で、薬物を中止するとともに、血行動態が悪化すれば一時的に補助循環を行う必要がある。 |
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| (1)副作用の好発時期 | |
| QT 延長作用のある薬物は通常K チャネルのひとつであるHERG チャネルに結合し、遅延整流K 電流の活性化が速い成分(IKr)を抑制することから活動電位再分極を抑制する。当然ながら、HERG
チャネル抑制作用を持つ薬物はその濃度が高くなるとその抑制作用が増強し、QT 延長も高度となる。QT 延長作用のある薬物は通常、服薬後直ぐにその電気生理学的作用を発現する。 従って、薬物服薬後数日後にQT 延長、TdP が起きるが、必ずしもそうでない薬物も存在する。例えば、高脂血症治療薬のプロブコールは服薬後数週から数ヵ月後にQT が延長してくることも知られている。また、この薬物は中止してもすぐにQT 間隔が正常化せずに、その回復にも同じように時間を要する。抗不整脈薬のベプリジルも服薬開始後まもなくQT 延長作用が発現するが、その作用が徐々に増強してくることもある。これらの薬物は脂溶性が高く、長期投与によって心筋組織に蓄積してくるためと考えられている。 |
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| (2)患者側のリスク因子 | |
TdP を助長する患者側の因子として、
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| (3)投薬上のリスク因子 | |
| 薬物の併用によって薬物相互作用がおき、QT 延長作用が増強する可能性も考慮しなければならない。薬物相互作用には薬力学的薬物相互作用と薬物動態学的薬物相互作用がある。前者は複数の薬物の薬理学的作用が重なることでQT 延長が増強するものであり、後者は薬物を併用することでQT延長作用を持つ薬物の代謝や排泄が抑制され、その血中濃度が上昇して作用が増強するものである。薬力学的薬物相互作用の例としては、ループ利尿薬やチアジド系利尿薬を用いた場合、低カリウム血症を引き起こすため、HERG チャネル抑制作用を持つQT 延長作用のある薬物の作用を増強させる。細胞外カリウム濃度が低下するとIKr ばかりでなく、内向き整流K 電流(IK1)も流れにくくなり、活動電位再分極が遅延することが知られている。薬物動態学的薬物相互作用の例としては、抗生物質のエリスロマイシンやクラリスロマイシン、抗真菌薬のイトラコナゾール等の薬物はそれぞれ自身でもQT 間隔延長作用の報告があるが、チトクロームP450(具体的にはCYP3A4)という薬物代謝酵素活性を抑制するため、この酵素で代謝される薬物の作用を増強する。例えばエリスロマイシンはキニジンやジソピラミドの血中濃度を上昇させ、それらのQT 延長作用を増強させる可能性もある | |
| 副作用の概要 | |
| (1)自覚症状 | |
| VT が出現すると心臓が有効に収縮できないため、全身へ十分な血液を駆出できなくなる。ある程度、血圧が維持されていれば動悸や胸部不快感、冷汗、全身倦怠感などを訴える。しかし多くの例では十分な脳血流を維持することができなくなるため、めまい、頭から血が引く、目の前が暗くなる、あるいは意識消失(失神)などの訴えがある。これらは動悸や胸部不快感などの前駆症状を伴うこともあるが、何の前触れもなく突然出現することも多い。さらに頭を起こしたり、立ち上がることによって意識消失を来たしたり、症状が増悪することがある。VT が停止すれば一過性であるが、持続すると意識消失が遷延し、死に至ることもある。 | |
| (2)他覚症状 | |
| 血圧低下に伴い顔面蒼白、発汗、動脈拍動消失が認められ、脳虚血を来たすと意識消失、眼球上転、呼吸停止なども伴う。VT が持続し、脳虚血時間が長くなると尿失禁や大便失禁、さらには痙攣を来たすこともある。また、意識消失時に転倒し、外傷や打撲、出血などを呈していることがあり、頭部や顔面部分にも認められることがある。 | |
| (3)検査所見 | |
| 心電図が診断に重要である。VT にはQRS 波形が単一の単形性とQRS 波形が変化する多形性のTdP がある。VT が認められなくてもQRS 幅の増大(25%以上)やQT 間隔の過度な延長(0.50 秒以上)はVT 発現の予知になる。とくに後者ではTdP 発現の危険性が高い。また、低カリウム血症、低マグネシウム血症はQT 間隔を延長しVT 発現を助長する。抗不整脈薬の血中濃度モニタリングも有用であり、高値の場合は注意が必要である。 | |
| (4)発症機序 | |
| 薬物による心室性不整脈発生のメカニズムは心筋細胞活動電位の立ち上がり(脱分極)相の変化と再分極相の変化に分けて説明することができる。 活動電位の立ち上がりはNa チャネルを通る速い内向き電流(INa)により形成される(図1)。I 群抗不整脈薬はINa を遮断することで活動電位の立ち上がりを緩やかにし、心筋の興奮性・伝導性を低下させる。この作用は虚血などにより傷害を受けた心筋でとくに著しく、病巣部位における伝導の局所ブロックと再侵入(リエントリー)が発生しやすくなる。その結果、反復性VT10)が生ずる場合がある。 活動電位の再分極はNa チャネル(不活性化されない成分)やCa チャネルを通る内向き電流と、種々のK チャネルを通る外向き電流のバランスで規定される。心室では遅延整流型のK チャネル電流(IK)の果たす役割が大きい。IK には速い活性化を示すIKr と遅い活性化を示すIKs がある。IKr チャネルは、その主要サブユニットをコードする遺伝子の名前をとってHERG チャネルと呼ばれる。I 群抗不整脈薬の一部(Ia 群)とIII 群抗不整脈薬の大部分はHERG チャネルを抑制することで外向き電流を減らし、活動電位持続時間(APD)の延長をもたらす(心電図ではQT 間隔が延長)。この変化は心室有効不応期の延長をもたらし、通常はリエントリー不整脈の成立を妨げるように作用する。しかし、APD が過度に延長すると、再分極の途中から膜電位振動(早期後脱分極EAD)が始まり、反復性の自発興奮(トリガード・アクティビティ)が発生するようになる。心室内の再分極不均一性も著しく増大する。心電図ではQRS 軸の捩れを伴うTdP が発生する。始まりの1〜2 拍はEAD からのトリガード・アクティビティによるが、それにつづく頻拍は心室内を不規則に移動する渦巻き型のリエントリーによると考えられている。 このリエントリーが細かく分裂すると心室細動に移行する。 抗不整脈薬以外の薬物(マクロライド系抗生物質、三環系・四環系抗うつ薬、抗アレルギー薬、消化器用薬、抗真菌薬、精神神経用薬など)にもHERGチャネルを抑制するものがあり、QT 延長からTdP が発生する危険性がある。徐脈、低カリウム血症、心不全などの病態では、心筋活動電位再分極時の内向き電流に対する外向き電流の割合が減少しており(再分極予備力の低下)薬物によるIKr 抑制がEAD やトリガード・アクティビティを発生させすい。 |
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(図1) 心臓の活動電位と各時相で流れるイオン電流![]() |
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| 副作用の判別基準(判別方法) | |
| 薬物の投与に伴って、それまでなかったVT が新たに出現したり、既存のVT が悪化したりする徴候が観察された場合、薬物の催不整脈作用によるVTの可能性を考える。心電図記録によってVT の発生を確認し、診断する。12誘導心電図のほか、ホルター心電図、携帯型イベント記録心電図などを駆使して記録を試みる。薬物の副作用として出現するVT には、以下の2種類がある。 | |
(1) VT(6の症例1を参照)
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(2) TdP(6の症例2 を参照)
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| 判別が必要な疾患と判別方法 | |
| VT の多くは薬物以外の原因でも起こる。虚血性心疾患、心筋症、心筋炎、うっ血性心不全などさまざまな基礎心疾患を有する症例でVT が発生するので、VT
を見たらまず基礎心疾患の検討を充分に行い、その心機能を正確に把握しておくことが鑑別診断はもちろん治療方針を決定する上でも重要である。また基礎疾患のない症例における特発性VT
も稀ではないので、これら薬物と関連のないVT との鑑別を要する。 TdP およびその前兆と考えられる心電図QT 時間の延長も、先天性QT 延長症候群(LQTS)で見られるほか、低カリウム血症などの電解質異常、徐脈、脳神経疾患、自律神経異常など、薬物以外のさまざまな後天的原因によって発生するので、鑑別が必要である。反復型VT に関しても、基礎心疾患の悪化や心機能の低下、心不全の併発などによって、それまでの非持続性から反復型VT に移行することも多い。 ある薬物の投与中に新たに発生したVT が、その薬物の副作用(催不整脈作用)によると断定するのは困難なことが多い。被疑薬の再投与によって同じVT が再発するのを確認する(チャレンジテスト)のが最も確実な診断法であるが、専門スタッフの揃った医療機関でQT 時間を正確にモニターすることができ、かつVT 再発に直ちに対処しうる体制が整っていることなど、特殊なケースを除いてきわめて危険性が高いので一般的には勧められない。 通常は、薬物以外の可能性を一つ一つ除外していく除外診断に頼らざるを得ない。 また薬物の可能性を考える場合も、一つの薬物が単独でVT 発生に関与したと断定しうることは稀で、同時に投与されていた複数の薬物の相互作用と考えられる場合や、薬物と他の要因が複合的に関与したと判断されることも多い。 |
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| 治療方法 | |
TdP が生じるのはQT 間隔が延長しているからであり、根治させるには、現在生じているTdP を消失させるだけでなく、予防のためにQT 間隔を正常化させることが必要である。可能であれば、救命治療のできる病院へ搬送することが望ましい。
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| 典型的症例概要 | |
| 【症例1】 50 歳代、女性 | |
| 主訴:動悸 数年前から5 分間程度持続する動悸を自覚するようになった。しかし外来での心電図やホルター心電図で頻脈性不整脈は検出されなかった。最近2ヶ月で動悸の頻度が増したため近医を受診、動悸の性状から発作性心房細動によるものではないかと判断されピルジカイニド(150mg/日)の内服を開始されたところ、持続性動悸が出現した。 既往歴・家族歴に特記事項なし。来院時は心電図でVT が認められた(図2)、ピルジカイニドの服用を中止し、その後、反復性VT がしばらく頻発していたが、時間経過とともに心室期外収縮へ移行し消失した。血液生化学所見、心機能に問題なく、基礎心疾患を合併しない正常心機能の特発性VT と診断した。内服薬中止後、7 日目にピルジカイニド負荷試験を行ったところ、ピルジカイニド50 mg 静注後に入院時と同波形のVT が生じた。一方、運動負荷およびイソプロテレノール負荷ではVT は誘発されなかった。以上の所見から本症例のVT はピルジカイニド誘発性と診断した。 |
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| 【症例2】60 歳代、女性 | |
| 主訴:失神 12 年前より心房細動を認めている。7 年前、僧帽弁口面積0.82cm2 の重症僧帽弁狭窄のため、僧帽弁置換術を受けた。このとき一過性に洞調律に復したため、ジソピラミド 300mg/日が開始された。4 年前より年1 回程度、数秒間の失神発作が出現するようになった。ホルター心電図にて初めてTdPが認められ入院となった。血清K 値は 4.7mEq/L であった。ジソピラミド投与前は心房細動で、QT 時間 0.44 秒、QTc 0.40 秒と、正常範囲内である(図3)。ジソピラミド投与後QT 時間(0.68 秒)の著明な延長を認めた(図4)。 失神発作時のホルター心電図では典型的なTdP を認めた(図5)。 家族歴および血清電解質に異常なく、頭部CT でも明らかな異常所見を認めなかったため、薬剤性QT 延長症候群に伴うTdP と考えた。直ちにジソピラミドを中止したところ、QT 時間は数日で正常化した。 |
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