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造語 「水素」=徳川時代の津山藩医、宇田川家の養子「宇田川榕菴の造語。
3つの 粒で
身の回りのあらゆる物質は、「電子」「陽子」「中性子」の3つの種類の粒で出来ています。
同じ元素でも、原子核に含まれる中性子の数が異なる場合があり、そのような原子を同位体と呼びます。
たとえば、普通の水素は、原子核が陽子1個だけからなり、中性子をもちませんが、水素にはほかにも、原子核に中性子を1個持つ重水素、中性子を2個持つ三重水素(トリチウム)という同位体があります。
陽子と中性子は3個のクォークで出来ている。
  • 陽子=アップクォーク2個、ダウンクォーク1個
  • 中性子=アップクォーク1個、ダウンクォーク2個
水素 宇宙で一番多い元素
7重水素 これまでで最も重い水素の同位体である7重水素を作ることに谷畑勇夫・理化学研究所主任研究員らの国際共同チームが世界で初めて成功、3/14米物理誌フィジカル・レビュー・レターズに発表した。
普通の水素の原子核は陽子1個で出来ているが、7重水素の原子核は陽子1個と中性子6個が結びついた構造。
普通の水素の約7倍の重さがある。
7重水素をつくったことで陽子や中性子の間に働く力の理論を検証するのに必要なデータがそろった。
 水素をつくる 水から分離
二酸化炭素を出さない「人類究極のエネルギー」と言われている水素を安価なシリコンを使い、従来の30倍の効率で水から取り出せるチップ型の触媒の開発に、関西学研都市の財団法人「地球環境産業技術研究機構」(RITE)が世界で初めて成功した。
光に反応して水素を分離させる働きを持つ光触媒で、水素燃料の自動車やジェット機の実用化に大きく道を開くことになりそうだ。
これまでの光触媒は主に酸化チタンや酸化鉄などの粉末で、光のエネルギーに変換できる率は0.1%に過ぎなかった。しかも酸素と混合して出てくるため、分離が困難だった。
これに対し、RITEが開発に成功したのは、シリコン素子半導体とコバルトモリブデン、鉄ニッケル酸化物などの金属を重ねて厚さ2ミクロンの膜状にしたもので、光を当てると膜から水素と酸素が分離してできる水素への変換率は従来の30倍にあたる3%にまで向上。チップ型で、用途に応じて加工もしやすい。
水から
2009年、三菱化学、東京大学、北海道大学のチームは、太陽電池と光触媒を組み合わせて、水を効率よく電気分解する技術を開発した。
光触媒は水を水素と酸素に分解する働きが知られている。

可視光線で
独立行政法人の産業技術総合研究所は太陽光の半分を占める可視光の力で水から水素と酸素をつくる触媒を開発した。無尽蔵の水と太陽光でクリーンな水素エネルギー製造に道を開く成果という。
開発した光触媒はニッケルを混ぜた無機酸化物半導体(インジウムタンタレート系化合物)の微粉末。
水に入れて波長402ナノメートル(1ナノ=1/10億)の可視光を当てたところ、水素と酸素ができた。
水素の量が酸素の2倍できるほか光を消すと発生しないことから、触媒の働きで水が水素と酸素に完全分解しているという。
太陽光のわずか3%の紫外光で水を水素と酸素に分解する触媒はあったが、可視光で成功したのは初めて。
DMEから安価に
東大の菊池隆司准教授らと京都大学、出光興産、科学技術振興機構のグループは、ジメチルエーテル(DME)を原料に水素を効率よく作る触媒を開発した。
成果は2008年9月の触媒検討会で発表。
開発した水素製造触媒は、酸化鉄の表面に微少な銅が分散して結合した立体結晶構造をしている。新触媒は、350℃という低い温度で反応できる。1000時間の利用も可能。劣化しても空気中で加熱すれば再利用できる。
人工光合成で
2010年、東京大学と三菱化学は、植物のように光を利用してエネルギーを生み出す「人工光合成」の技術を開発した。
特殊な化合物を水に入れて光を当てると、二酸化炭素(CO2)を出さずに水素を得られる。この化合物を様々な波長の光に反応させられれば、太陽の光で水素を作り出す製造プラントが可能になる。
東大の堂免一成教授、前田和彦助教らが、三菱化学と開発したのは、光触媒である酸化タングステンと酸窒化タンタルを組み込んだ化合物。水に入れて光を当てると、水を水素と酸素に分解する。
水素イオン 日本原子力研究所関西研究所(京都府木津町)などは、2003年11/18、レーザーを使って高エネルギーの水素イオンを発生させる実験に成功した。実験は原研関西のほか、東京大学・京都大学・広島大学の研究グループが参加した。最大出力3兆ワットのレーザー光を50フェムト秒(フェムト=1/1000兆)秒照射し、鏡で反射させて水素を含む金属の薄膜に集光する。
レーザー光はまず、強度の弱いタイプが発生し、物質がプラズマ(電離ガス)状態になり電子とイオンに分かれる。数ナノ秒遅れて本来の強いレーザーが発生し、レーザーの進行方向に電子と水素イオンが加速されてビームになる仕組み。
細胞内のエネルギー生産で重要な働きをしている水素イオンを、1平方ナノbレベルで監査できる技術を東京大学・奈良女子大学・英クイーンズ大学のグループが開発した。
発生の仕組み 熱水と岩石の反応が水素発生に深く関わっていることが分かった。
2009年、海洋研究開発機構は、東京工業大学と共同で、約40億年前の初期の地球で火山岩から水素が発生した仕組みを再現実験で確認した。
初期の地球では、マントルが溶けてできた鉄とマグネシウムを含む火山岩「コマチアイト」が、地殻中に豊富にあったと考えられている。研究チームは二何アフリカでコマチアイトを採取し、加熱して当時の状態に加工したうえで、深海の高温高圧状態にあたる300℃、500気圧の実験装置に入れて純水と反応させた。
実験開始から1500時間経過後、測定した水素の濃度は4.8ppmに達した。
これは生命の祖先とされるメタン生成菌などの生態系を維持できるほどの高濃度である。
現在の海底の主な岩石は「玄武岩」で、“玄武岩ではここまで高濃度にならない”(鈴木勝彦主任研究員)という。
地球で生命が誕生したのは、約40億年前の海底の熱水の中であることが知られている。
見る 蛍光物質を使って水素イオン濃度(pH)の分布を視覚化することに内山誠一・東京大学薬学系研究科助教が成功した。
成果は2008年5月のドイツ化学誌「アンゲバンテ」に掲載。
可視光で 2010年、東京工業大学の八島正知准教授と東京大学の堂免一成教授、前田和彦助教らは、可視光のエネルギーで水を分解して水素と酸素を発生させる触媒の電子構造を解明した。
八島准教授らは、堂免教授らが見つけた可視光で水を分解する「可視光応答型光触媒」を観察。電子状態をX線と中性子線で測定する一方、理論計算で分析した。
この触媒は、青色発光ダイオード(LED)の基板材料として知られる窒化ガリウムのガリウムの一部を亜鉛に、窒素の一部を酸素に置き換えた物質。亜鉛と酸素が入ると、電子構造がより波長の長い可視光を吸収する形に変化することが分かった。
触媒が可視光を吸収すると電子と電子の穴ができて表面に移動し、触媒と接する水を水素と酸素に分解する。


脳梗塞 日本医科大学の太田成男教授らは、水素に脳梗塞の治療効果が期待できることを動物実験で確認した。
水素には細胞を傷つける活性酸素の働きを抑える抗酸化作用があるため。
成果は2007年5/7のネイチャーメディシン電子版に掲載。
脳の血管の一部が詰まった後に活性酸素が発生して脳を傷つける『虚血再灌流』状態の脳梗塞ラットで実験した。
2%の水素を含んだ空気を2時間吸わせた後、1日経過してから脳を詳しく調べた。
吸わせなかったラットと比較すると脳の神経細胞が死滅した範囲が半分ぐらいだった。
現在、脳梗塞に使っている薬剤よりも効果が大きかった。
活性酸素には体に有害なものと、必要なものがある、現在使われている抗酸化物質の一部は、どちらも抑制してしまうため体に害を与える可能性が指摘されている。
太田教授らによると、水素には有害な抗酸化物質だけを抑制する作用があるという。
電解水素水 腎臓病に
2011年、東北大学と日本トリムのグループは、ラット実験で、水素ガスを含んだ水を飲むと慢性腎臓病の症状を抑えられるとする研究成果をまとめた。
水素ガスが細胞の老化などを引き起こす活性酸素を減らすためと考えられる。
詳細は欧州腎臓・背負う咳移植学会の学会誌に掲載。
水の電気分解を利用し。水素ガスを多く含んだ「電解水素水」を作製。慢性腎臓病を起こしたマウスに6週間飲ませたあと、腎臓の血流を一時的に止めてストレスを与え、さらに1週間後に血液や組織を調べた。
通常の水を飲ませたマウスでは腎臓の組織が線維化するなど腎臓病の症状が進んでいたが、電解水素水を飲ませたマウスでは症状の進行が抑えられていた。
炎症や酸カス路レスの指標となる血中物質などの数値も電解水素水を飲ませることによりあがりにくくなりことを確認。

反陽子
  • 測定
    • 2011年、東京大学の早野龍五教授らとドイツのマックスプランク量子光学研究所のチームは、電荷が陽子と反対の反陽子の質量を高精度で測定した。測定誤差は約10億分の1で、2006年に自ら記録した世界記録を半減した。
    • 物質を構成する原子は、正電荷の陽子とゼロ電荷の中性子からなる原子核と、周囲を包む負電荷の電子で構成。早野教授らはヘリウム原子の電子2個のうち1個を負電荷の反陽子で置き換えた「反陽子ヘリウム」を合成。真空容器に入れ、正反対の2方向からレーザー光を同時に当てて分光と呼ぶ手法で陽電子の質量を導き出した。


反水素原子 通常の水素原子とは逆に、マイナスの電気を持つ反陽子とプラスの電気を持つ陽電子からなる「反水素原子」の大量合成に日本や欧州の国際共同実験チームが成功。2002年9/18付けの英科学誌ネイチャー電子板に発表した。
反水素原子と水素原子の違いを探り、物理学の基礎を検証する実験に道を開く画期的な成果。
実験チームは欧州合同原子核研究所(CERN、ジュネーブ)に反陽子と陽電子を作る装置を建設。真空にした金属管の内部で、強い電磁力で閉じこめた約1万個の反陽子と、約3億個の陽電子を混合させた。
反陽子と陽電子が1個ずつくっついて反水素原子が出来ると、電気的に中性となり、電磁気力の閉じこめから逃げだし、周りの物質にぶつかって消えるという特有の反応が起きる。チームはこの反応を検出、約3分間の混合で反陽子全体の1/4が陽電子とくっついて反水素原子になったことが分かった。東京大学の早野龍五教授は「20時間で少なくとも約5万個を合成した証拠を得た」と話している。
反水素原子の合成はスイスなどのチームが1995年、、最初に成功した。ただ、できた反水素原子は9個、ほぼ光速で飛び約40ナノ秒(1/2500万秒)で消滅した。
2010年、理化学研究所と東京大学などのチームは、通常の物質と性質が違う「反物質」の反水素原子を効率よく作ることに成功した。1b角の装置で磁場を出し、マイナスの性質の「反陽子」とプラスの性質の「陽電子」をぶつけた。生成効率は7%ほど。
プロトニウム 反陽子水素原子
早野龍五東京大学教授と欧州合同核研究期間などの研究グループは、通常の物質と、それとは電気的性質が反対の『反物質』とを化学反応させ、原子始を作ることに成功した。
電気がLの水素分子イオンとYの反陽子を反応させ、『反陽子水素原子(プロトニウム)』をつくった。こうした反応で原子を作ることが出来たのは世界で初めて。
この原子の直径は理論計算では約0.1ナノbだが、実際の観測値は約0.5ナノメートルで、約5倍大きかった。


金属材料
  • 脆弱化の常識を覆す
    • 2010年、九州大学の村上敬宜理事・副学長らのグループは、金属に極めて多量の水素を侵入させると強度が向上することを見つけた。
    •  これまで水素は金属材料に侵入すると強度を著しく弱めるとするのが常識になっていた。
    • 今回の成果は常識を覆す新発見。
    • 米国の専門誌「メタラジカル・トランザクション・アンド・マテリアルズ・トランザクションA」に掲載。
    •  研究グループは、直径7mm、長さ約10cmの円柱状のステンレス綱の表面に直径0.1mm
    • 深さ0.1mmの穴を開け、ステンレス綱を圧縮したりひっぱたりして、穴から亀裂がどのように広がるかを調べた。
    •  水素を2.2ppm(1ppm=1/100万)しか含まないステンレス綱は亀裂が0.2mm〜3mmまで拡大するのに必要な圧縮・ひっぱりの試験回数は8200回だった。
    •  一方、高温・高圧で飽和状態になる109.3ppmまで水素を詰め込んだステンレス綱は大気中でテストすると、0.2mm〜3mmまで亀裂が拡大するのに3万2600回かかった。
    •  金属に水素が侵入してもろくなる現象は『水素脆弱化』として知られる。
    • 30年間使用可能と想定されて作られたインフラ機器も水素脆弱化が起きると1年程度で壊れることもある。
    • 材料に水素が侵入しないような技術や水素が侵入しても影響が少ない材料の開発が急がれている。
    • 九州大学と産業技術総合研究所の成果。材料分野では、水素を含むと金属の強度が落ちるというのが常識。従来の試験よりも約50倍の水素が金属に侵入すると常識が覆る成果に、投稿した学術誌の審査委員もとまどい、1年ほど議論が続いて論文掲載が遅れた。

水素ガス
  • 下水汚泥から
    • 2011年、東北大学の斎藤文良教授らは下水の汚泥から高純度の水素ガスを製造する技術を開発した。
    • 開発したのは康応や過程の排水をろ過した後に残る汚泥から水素を作る技術。
    • 加熱炉の中に湿ったままの汚泥と、約2倍の重さの消石灰(酸化カルシウム)を入れる。
    • さらに反応を促進させるためにニッケルメッキの廃液である水酸化ニッケルを1%弱加える。
    • 炉内の圧力を大気圧よりわずかに高くし、かき混ぜながら約600℃に加熱すると水素が発生する。汚泥の80%を占める水分はいったん水蒸気となって水素ガスと一緒に炉から出る。
    • 水蒸気は室温になると液体の水に戻るので、水素ガスを分離できる。
    • 得られた水素の純度は約90%。残り8%が二酸化炭素。約2%が一酸化炭素。
    • 汚泥は排水中に5〜8%含まれている。
    • 新技術は稲ワラも水素の原料として利用できる。稲に含まれるシリコンはセシウムと結合しやすいので、放射能汚染対策にも有効。