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葉緑素
遺伝子組み換え
イネ
キチン
キトサン
ペクチン
セルロース
モズク
栄養素





病原菌迎え撃つ
「森の植物は様々な病原菌に侵される。
  • 緑の葉に斑点が生じたり、褐変が生じたり、しぼみかけたり、その症状も様々である。植物に病気を起こす病原菌は約10000種存在するといわれている。しかし植物を種類別に見たときに1種の植物に病気をもたらす病原菌は以外に少なく、多くてもせいぜい50種以下だと言われている。
    これは植物が、襲いくる病原菌をただ黙ってみているだけでなく、病原菌から身を守る術を持っていることを意味している

  • 硬い葉や樹皮・葉面のワックスは物理的に病原菌の侵入を抑えるし、植物によってはその成分が病原菌に対する栄養源にならないことも病原菌の繁殖を抑えるのに役立つ。
  • 植物にもともと含まれる抗菌性成分も病原菌の襲撃を抑え撃つ強力な武器である。病害に強い植物には抗菌性成分を含むものが多い。

<1>ドウダンツツジ:
  • ツツジやサツキの葉が樹病菌に侵され変色したり、変形したりしているのをよく見かけるが、同じツツジ科のドウダンツツジは葉に抗菌成分を含むので樹病菌には侵されれにくい。


<2>ヒバ・スギ・タイワンヒモキ:
  • 木材腐朽菌やカビに侵されにくいのも、強い抗菌性成分を持つためである。
    これらの成分は、植物病原菌以外の病原菌にも抗菌作用を示す。
    例えば・・・・・
    ヒバに含まれる
    ヒノキチオールは、院内感染の原因となるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)や食中毒を引き起こした大腸菌O-157の繁殖を抑制する。胃炎・胃ガンの原因となる病原菌ヘリコバクター・ピロリにも効果がある。
    これらの抗菌成分は病原菌が現れるか否かにかかわらず植物に本来含まれるものである。


<3>ニレノキ・クワ・ジャガイモ・ダイズ・エンドウ:
  • 病原菌の侵入をを受けてから、抗菌成分を作る植物もある。この物質は健康な植物には存在せず、感染後に初めて作り出される。
    作る植物には・・・・オウシュウアカマツ(フェノール類)



<4>抗菌成分は次のように作られる:
  • 植物が病原菌の襲撃を受けると、糖が150個ほどつながる植物の細胞壁成分が分解され、数個〜10数個の糖からなる『オリゴ糖』と呼ばれる低分子化合物が出来る。
  • そのなかには『オリゴサッカリン』という物質があり、これが抗菌性物質の合成を指示するのである。
    オリゴサッカリンには抗菌作用のほかにも花や実をつけたり、茎を伸長させたりする働きがある。
    (谷田貝光克・東京大学大学院農学生命科学研究科教授)




が無くても2週間
乾燥に強い植物を作る
  • 東京大学の篠崎和子教授らのグループは、遺伝子操作で乾燥に強い植物を作る新たな手法を開発した。成果は2006年2/13米科学アカデミー紀要に発表。
    理化学研究所・国際農林水産業研究センターとの共同研究で、シロイヌナズナを使い、「AREB」という遺伝子を変化させた。

  • AREBが働いて出来る「AREBタンパク質」が、植物に乾燥耐性を持たせる20以上の遺伝子の働きを高めることが分かっている。タンパク質は乾燥しないと機能しないため、最初から活性化したAREBタンパク質を作るようにAREBを変化させた。
    種を育てたところ、2週間、水をやらなくても枯れなかった。遺伝子操作をしなかったシロイヌナズナは枯れてしまった

2017/01/12
  • 東京大学の篠崎和子教授らは、乾燥に強い植物が持つ仕組みを解明。
  • 水分が不足すると、
  • 不要なメッセンジャーRNA(mRNA)が分解され、新しくmRNAが合成されていた。
  • 研究グループは乾燥状態で活性化するSnRK2と呼ぶ酵素に注目した。
  • 詳しく解析したところ、VCSと呼ぶタンパク質にリン酸を結合させる機能があるのを突き止めた。
  • タンパク質生産の情報を伝えるmRNAにくっつき、分解から守る働きがある。




根毛が伸びる仕組み
RHD2
  • 「奈良先端科学技術大学院大学と東京理科大学、英ジョンイネス研究所の研究チームは、植物の根に生える「根毛」が伸びる仕組みを解明した。
    植物が体内で作る特殊な酵素が根毛の先端部で働き、根毛細胞の成長を促す活性酸素を合成する。この酵素を大量に作れるように植物を改変すれば、根毛が長くなり乾燥地帯でも成育の良い植物が作れる。
    成果は2008年2/29付けのサイエンスに掲載
    根毛は植物の根に無数に生える細い毛で、土中の水分や栄養素を取り入れる役割を果たしている。
    研究チームはシロイヌナズナが体内で作る『RHD2』という酵素に注目。
    この酵素が根毛の先端部だけに集まり、活性酸素を作ることを突き止めた。
    活性酸素は植物の細胞壁を柔らかくし、細胞が成長しやすくなる。根毛の先端部に集まった活性酸素が一定方向の細胞壁にだけ作用するため。根毛が伸びやすくなる。




根や茎の形成に関わる植物ホルモン
オーキシン
  • 2011年、理化学研究所などの研究チームは、オーキシンの主な合成経路を解明した、
    これまで別々の経路で働くと考えられてきた2つの酵素が同じ経路で働き、合成量を調節していた。
    オーキシンの合成には最大で4つの経路がありえると考えられており、数多くの酵素が関わっている。なかでも「TAA1」と「YUCCA」という2つの酵素がオーキシンの合成量を調節する重要な酵素として知られる。
    研究チームはモデル植物のシロイヌナズナを使い、原料となるアミノ酸「トリプトファン」からオーキシンが合成される過程を分析した。その結果、トリプトファンをTAA1が別の物質に変え、続いてYUCCAが働いてオーキシンを合成していることが分かった。




枝分かれ
『CUC2』『CUC3』
  • 枝分かれを促す遺伝子をイヌナズナから見つけたのが田坂昌生・奈良先端科学技術教授。
    枝分かれは葉と茎の付け根の細胞分裂によって起きる。枝が作れなくなったシロイヌナズナの遺伝子を調べて、CUC2CUC3が共に働かないと枝分かれ自体が起こらなかった。


(ストリゴラクトン)
  • 2008年、植物の枝分かれを決める新しい植物ホルモンを理化学研究所・植物科学研究センターの生長制御研究グループディレクターの神谷勇治、促進制御研究チームリーダーの山口信次郎らが発見。
    ストリゴラクトンは、もともとは「ストライガ」という寄生植物の種子を発芽させる物質として知られていた。
    ストリゴラクトンがあらゆる植物に作用し、植物の枝分かれを抑制して真っ直ぐに伸びるように働いていることを明らかにした。




花でなく葉に変化
花でなく葉に変化
  • 2011年、東京大学の難波成任教授らは、植物に病気を起こす細菌の一種が、本来は花やガクになるはずの部分を葉に変えてしまうことを突き止めた。
    成果はプランント・ジャーナルに掲載。
    研究チームは植物に病気を起こす細菌の一種「ファイトプラズマ」に着目。
    ペチュニアに感染させると、ガク、花びら、めしべの部分が葉のような形に変化した。
    器官の遺伝子の状態を調べたところ、本来の器官になるのに必要な遺伝子の一部が発現していなかった。
    健全な花びらにはA、B、Eという遺伝子が必要だが、感染後はB遺伝子が機能しなくなり、葉のような形態になった。
    ガクにはAとE遺伝子が欠かせないが、感染後はE遺伝子だけしか機能していなかった。





細菌が侵入してくると、
2009年、イネの最大の敵である「いもち病」で農薬の効かない原因菌が数年前から出現している。
  • コメの収量や味を落とすいもち病は糸状菌というカビの仲間で引き起こされる。それ以外にも植物に病気をもたらすものに、枯病因(イネを葉先から枯らす)やタバコモザイクウイルスなど、いろいろある。


植物がこれらに犯されたときには
@菌を殺す酵素やタンパク質を分泌する
A周囲に高分子の壁を築く
B感染した細胞が自殺して、病気の拡大を防ぐ
  • 植物に病原体が浸入すると、感染した細胞が死んで拡大を抑える、という方法で免疫を高める化合物は、すでに水稲栽培向けの薬剤として販売されている。
という3つの手段を主に使う。
では、どうやって侵入した敵と味方(自身の細胞)を区別するのか?
外敵を検知する<見張り番>が見つかったのは、ほんの少し前。


細菌が侵入してくると、

その鞭毛に含まれる『フラジェリン』というタンパク質を、植物は「敵の旗印」とみなす。菌が近づくと、植物の細胞膜から突き出たセンサーがこれをキャッチし、抗菌物質などを出す。

カビ類では細胞壁を作るキチンというタンパク質が目印になり、それを捕らえるセンサーも見つかった。

そのセンサーを見つけた渋谷直人・明治大学農学部教授は、“驚いたことに、これらのセンサーは動物にもあって免疫を活性化する働きを持っていて、共通点も多い”、“植物の免疫系は生物進化の中でかなり古いとみられ、ヒトなど動物の免疫でも土台になった可能性がある”と語る。


動物はその後の進化で、白血球やリンパ球など免疫を担う専門部隊を獲得し、一度侵入した敵を記憶して、次に侵入に備えるという仕組みを獲得した。
一方、植物は免疫細胞を持たないまま、通常の細胞で敵と戦う戦略をとって進化した






免疫力を向上させる化合物
2012年、理化学研究所と岡山大学は植物が病原体から身を守る免疫の働きを高める化合物を、シロイヌナズナを使って5つ見つけた。

分子構造の違いから2つのグループに分け、
  • 「インプリマチンA」
  • 「インンプリマチンB」
と名づけた。

詳しく調べたところ、植物ホルモンの一種で免疫機能を制御する
サリチル酸が多くできていた。


本来、サリチル酸は酵素によって代謝され活性を失うが、化合物の働きで代謝が阻害され細胞内でサリチル酸の蓄積量が増えて、耐病性が高まるという。




新品種を作り出す
文部科学省は2014年度から農作物の生産性を大幅に高める研究を始める
  • メタボローム解析(メタボロミクス)
    • 代謝物の増減による生存や成長、繁殖などを解析
  • フェノーム解析
    • 葉や茎の大きさ、成長速度などの情報を解析

植物は約20万種の代謝物を生産している。
  • シロイヌナズナを使った研究で、リンを含むリン脂質が減少しても脂質を補う「グルクロン酸脂質」を発見をしている。
  • メタボローム解析とフェノーム解析を組み合わせることで、作物の増産技術を開発する。












(赤色)
  1. 波長が660nmの赤い光をあてると、光合成の高率が一番高くなり、レタスやイチゴの生育速度が速まる
(青色)
  1. 赤より波長が短い青色の光合成の効率は赤色の1/2。
  2. 青い光は植物に花をたくさん作らせる。イチゴの青い光をあてると花の数が増えるので、収量が増す可能性がある。
(紫外線)
  1. 青に波長が近い紫外線には、ビタミンA、ビタミンC、ポリフェノールといった抗酸化物資を作らせる。




ビタミンC
  • 植物は強い光を受けると、細胞内のミトコンドリアでビタミンCを作り、葉緑体へ運んで葉焼けや枯れを軽減したり防いだりする。




フロリゲン
「開花」

花を咲かせる物質「フロリゲン」を奈良先端科学技術大学院大学の島本功教授らのチームが突き止めた。
1937年に植物学者チャイラヒャンが予測していたもの。

毎年決まった季節に花を咲かせるのは、気温や日照の長さなど環境変化を植物自身が感じて、成長を調整するため。
日照変化などの刺激を受けると葉で作られ、茎の先端まで運ばれてつぼみをつけるのがフロリゲン。


(メカニズム)
日照時間が短くなる
複数の遺伝子が働く
フロリゲンが葉から茎へ移動
花のつぼみができる
島本教授らは世界各地の開花時期が異なるイネ64品種を栽培し、フロリゲンを葉垂らせるのに重要な遺伝子「Hd1」を比較した。その結果、進化の過程で品種ごとに微妙な差が生じて、フロリゲンの量を増減して開花時期を調整していた。
フロリゲンは遺伝子「Hd3a」が作るタンパク質。



開花調節の仕組み
2011年、奈良先端科学技術大学院大学の島本功教授と大阪大学の児嶋長次郎准教授らは、植物の開花時期を調節する仕組みを解明した。


開花を促すタンパク質はイネでは「フロリゲン」が知られている。ただ植物の中でどのように働くのかが不明だった。研究チームは細胞内の物質の動きを詳細に観察した。

フロリゲンが茎の先端にある細胞内で受容体となるタンパク質と結合。核内でもう1つのタンパク質と結合してDNAに作用すると、花芽を作る遺伝子が働く仕組みを見つけた。


遺伝子操作でフロリゲンと受容体の結合力を変えると、開花時期を調節できた。




受精に欠かせない物質
花が咲いた後、実を付けるには受精が必要。

被子植物では雌しべについた花粉から花粉管という細い管が伸びて、雌しべの奥にある卵細胞にたどり着いて受精する。1898年に植物学者ナバシンがユリで発見。
なぜ、花粉管は迷わずに卵細胞まで到達できるのか?
19世紀以来のナゾを解いたのが東山哲也・名古屋大学教授。

少なくとも2種類のタンパク質が花粉管を誘導しているのを見つけ、疑似餌にちなんで
  • ルア-1
  • ルア-2
と名付けた。

2009年、名古屋大学のチームが受精に欠かせない物質を見つけた。
めしべの組織から分泌されるタンパク質で、花粉から花粉管が伸びて、卵細胞にたどり着くのを手助けする。
この物質を利用すれば、交配が難しかった植物の新品種を作ることができるようになる。成果は3/19のネイチャーに掲載。

これまでの研究では、卵細胞の近くにある「助細胞」が、花粉管を引き寄せる物質を出していると考えられていた。
名古屋大学の東山哲也教授らは、園芸品種のトレニアを使い、助細胞の複数の遺伝子を解析。働きが特に強い2種類の遺伝子が、花粉管に進入する部に分泌するタンパク質を作ることが分かった。このタンパク質の働きを妨げる物質をトレニアの細胞に注入すると、花粉管の誘引が止まったという。





種子の発芽に必要なタンパク質『PNC』を発見
発芽に必要な脂肪の代謝メカニズム
2008年、自然科学研究機構・基礎生物学研究所は種子の発芽に必要なタンパク質『PNC』を発見した。

脂肪を糖に変える反応のエネルギー源となる物質を、細胞の外から中に運び込む役割を担っている。
米植物科学誌「ザ・プラント・セル」12月号に掲載。

ダイズもやしから、細胞中で酸化を担当するペルオキシソームを抽出して分析した。

種子は光合成していないので、ペルオキシソームで脂肪などの貯蔵物質を分解してエネルギーにしている。

PNCはその際に必要なリン酸の一種であるATPを細胞内に運び込んでいる。

大腸菌をつかった代替実験でも、細胞内にATPを運び込む機能を確認した。PNCを少量しか持たない植物では、貯蔵された脂肪の分解を進まず、正常に発芽できなかったという。






オートファジー
2014年、基礎生物学研究所の西村幹夫教授らは、植物の細胞内にある小器官「ペルオキシソーム」の機能が損なわれた際に除去する仕組みを突き止めた。


ペルオキシソームは1つの細胞内に数百個あり、植物では光合成に深く関わる。

働く過程で有害な過酸化水素を溜め込んで徐々に傷んでいく。

実験植物のシロイヌナズナも遺伝子を改変し、傷んだペルオキシソームが細胞内で集まるタイプを作って観察した。

傷んだ分を除去する仕組みが正しく働かない原因を調べると、病原体などの異物や不要になったタンパク質を分解するオートファジー (自食作用)機能が壊れているためだった。
  • 古くなったペルオキシソームはオートファジーによって分解されることが分かった。







突然変異
遺伝子変異を効率的に
  • 2010年、農業生物資源研究所は、植物の特定の遺伝子を狙って働きを無くし、効率的に遺伝子変異を起こさせる新技術を開発した。
    特定の遺伝子のDNAに結合するジンクフィンガータンパク質と、DNAを切断するヌクレアーゼタンパク質を組み合わせた「ジンクフィンガーヌクレアーゼ」(ZFN)を利用する。
    ZFNの遺伝子を植物に組み込み、特定の遺伝子を切断する。すると植物は切断部分を修復するが、一部はエラーを起こして元通りにならず、変異が発生する。
    シロイヌナズナの乾燥耐性に関係する遺伝子を対象に実験し、成功した。
    ZFNで切断するだけで変異を作ったのは植物で初めて。


重イオン照射
  • 2012年、理研と理研食品は岩手県の協力を得て東日本大震災で被害を受けたワカメ産業再生に乗り出す。2/5に理研の装置を使い重イオンをワカメに照射する。
  • 昨年、理研は8種類の酵母に鉄イオンなどのビームを照射して遺伝子が変異した565種類の中から、吟醸用酵母「埼玉G酵母」を選抜。「仁科誉」というブランドの清酒を発売。
  • 重イオンビーム育種は日本が独自に開発した技術。
  • 重イオン粒子1個が持つエネルギーは大きくDNAの二重鎖を切断できるため、1種類の遺伝子だけがなくなった突然変異体を高い確率で作れる。




成長ホルモンの受容体
  • 大阪大学理学研究科の柿本辰男助手らは、植物の細胞が増殖し成長するときに働くホルモンの受け手となる分子(受容体)を突き止めた。植物の基本メカニズムの解明に役立つだけでなく、この受容体を改変することで、成長が早く収量の多い穀物や老化しにくい品種の開発につながるという。
    発見したのは『CRE1』と呼ぶ受容体。植物には6種類のホルモンの存在が確認されているが、このうち細胞の分裂や増殖に不可欠な「サイトカイン」というホルモンと結合する受容体だ。CRE1は細胞の表面にあり、サイトカインが結合すると信号が細胞内部に伝わり増殖が促される。





ストレス耐性
  • 2009年、東京大学の田之倉優教授らのチームは、植物が乾燥や塩害などのストレスにさらされたときに働くホルモンの立体構造を明らかにした。
    立体構造が明らかになったのは植物ホルモン「アブシジン酸」。乾燥状態などにさらされると、このホルモンが働きかけて耐性を付ける遺伝子からタンパク質が作られる。


乾燥した気候に耐性を与える
  • 2013年、東京農工大学と理化学研究所などのグループは、乾燥した気候に耐える植物ホルモンの仕組みを解明した。乾燥だけでなく塩害や病気に強い品種の開発につながる成果。
  • 成果はサイエンス・シグナリング(電子版)に掲載。
  • アブラナ科のシロイヌナズナでは、植物ホルモン「アブシシン酸」が乾燥に耐える力を生むが、くわしい作用は不明だった。
  • アブシシン酸の合資絵には「SnRK2」というリン酸化酵素が関わるとされていた。
  • SnRK2の遺伝子を壊したシロイヌナズナで調べたところ、アブシシン酸がほとんど合成されず、この酵素が重要な役割を担うと分かった。




気泡ホルモン
  • 2009年、京都大学の西村いくこ教授らは植物の葉や茎の表面にある二酸化炭素の取り込み口「気孔」の数を増やすホルモンを突き止め、「ストマジェン」と名づけた。
    人工合成も可能。
    ネイチャー(電子版)に12/10発表。
    気孔は花をつける植物の葉や茎に備わっている。吸い込んだCO2で光合成し、デンプンを作る。そこから糖や油、セルロースなど成長に必要な物が作られる。



成長を制御するホルモン
  • 2010年、熊本大学の沢進一郎教授と東京大学のグループは、植物の成長を制御するホルモンが働く仕組みを解明した。
    解明したのは、植物の成長を抑える「CLV3」というホルモン。
    今回はこのホルモンの3番目の受容体を発見した。
  • これまでに見つかっていた2種類と合わせて、3種類の受容体すべてを止めると、ホルモンも働かなくなった。
    すべての受容体が見つかったことで、ホルモンの働きを自由に制御する技術を開発できることになる。








カプセルで
2010年、森下仁丹はカプセル製剤の技術を応用した人工種子を開発した。
ゼラチンの皮膜と硬化油脂の保護層、栄養分を含む培地によって植物の組織を包む。
直径6〜8_b。ゲルなどに植物組織を包む従来手法に比べて乾燥に強く、長期保存が可能になる。
開発したカプセル人工種子を使ってアスパラガスの発芽に成功した。
数週間〜数ヶ月は保存できる。遠距離の移送も可能になる。



2009年、K2R(環境ベンチャー)はを独自の光触媒に浸して紫外線と超音波を照射すると水中に活性酸素が増え、その活性酸素が植物の免疫力を高めることを確認した。
九州工業大学や湘南工科大学などと開発した酸化アルミニウム製の繊維を光触媒として使い、紫外線ランプ、超音波振動子などを組み合わせた。
この装置を通したは毒性が無く農薬の代替物になる可能性がある。




形成抑制RNA
基礎生物学研究所の塚谷祐一客員教授らは、植物が成長するにつれて成熟した葉をつける仕組みをコントロールするRNA(リボ核酸)を発見した。
動物や昆虫が年相応の姿に変化するのはホルモンが作用している事などが知られている。植物についてはよく分かっていなかった。
シロイヌナズナのうち、通常よりも早い時期に大きな葉をつける突然変異のタイプで実験した。
「異形葉性」と呼ばれる植物が年相応の葉をつける減少で、正常な葉と変異体の葉にあるRNAの発現などを詳しく調べた。
その結果、『miR156』というRNAが関わっていることを突き止めた。
また、成熟した葉は1枚の細胞数が増えるとともに、1つひとつの細胞の体積は減少していることも発見した。


低温下で生育する遺伝子
2009年、北海道農業研修センターのチームは、植物が冬の低温下でも凍結に耐えられる遺伝子を発見した。
同様の遺伝子は大腸菌でも見つかっているが、植物で分かったのは初めて。
研究チームはシロイヌナズナを使い、低温になると増えるタンパク質を作る4つの遺伝子を分析。細胞を凍りにくくする遺伝子『CSP3』を発見した。
遺伝子組み換えでCSP3を組み込んだシロイヌナズナを作りテスト。生育に耐えられる限界の温度を-7.2℃から-8.7℃に下げることができた。



タンパク質
理化学研究所は、植物が乾燥などのストレスにさらされたときに働くタンパク質を発見した。水分の流出を防ぐ乾燥耐性ホルモンが細胞から放出されるように働くホルモン。
発見したのは「AtABCG25」というタンパク質。
葉などの細胞の中で作られる乾燥耐性ホルモンの「アブシジン酸」を細胞の外へ放出する。乾燥状態になるとこのタンパク質が細胞の外へ乾燥耐性ホルモンを出して、葉の気孔を閉じさせるなどして水分の蒸散を防ぐという。
遺伝子組み換えでこのタンパク質をたくさん作るシロイヌナズナを作製したところ、乾燥下で葉から蒸散する水分量が4割抑えられた。


の機能を解析する技術
2010年、米カーネギー研究所などが開発。19600異常の遺伝子をお互いに関連づけた計算モデルを使って遺伝子の機能を調べる。
植物遺伝子に関する5000件以上の研究成果に基づき、遺伝子の相互作用を考慮に入れたネットワーク構造をもつ計算モデルを作った。
代表的な実験植物であるシロイヌナズナでも約30%の遺伝子の機能が未解明。

2010年、立教大学の黒岩常祥特任教授らは、植物細胞にある「液胞」という小器官を、細胞分裂の時に分配する遺伝子を発見した。
遺伝子の働きで液胞が別の小器官「ミトコンドリア」に張り付き、分裂後の細胞に均等に分配される。
花の色が決まる仕組みの解明に役立つほか、ヒトなどの動物で起こる代謝異常の原因解明にもつながる。
原始的な植物であるシゾンの細胞で分裂する時に働く遺伝子を調べたところ、液胞が分配される時にだけ働く遺伝子を見つけた。
この遺伝子からできるタンパク質に印をつけて観察すると、液胞をミトコンドリアに張り付け、分裂とともに液胞が均等に分配された。
遺伝子の働きを抑えると、液胞がミトコンドリアに結合せず分裂後に液胞が無い細胞ができた。
発見した遺伝子は『TSUKISOI』と名づけた。
液胞は不要な物質を溜め込んだり分解したりする小器官で、液胞にたまる色素が花の色を決める。
動物の細胞では液胞は「ライソゾーム」と呼ばれ、老廃物の分解などに働く。
ライソゾームの働きに異常があるとファブリー病ムコ多糖症などが起こる。




を効率的に
2010年、農業生物資源研究所は、植物の特定の遺伝子を狙って働きを無くし、効率的に遺伝子変異を起こさせる新技術を開発した。
特定の遺伝子のDNAに結合するジンクフィンガータンパク質と、DNAを切断するヌクレアーゼタンパク質を組み合わせた「ジンクフィンガーヌクレアーゼ」(ZFN)を利用する。
ZFNの遺伝子を植物に組み込み、特定の遺伝子を切断する。すると植物は切断部分を修復するが、一部はエラーを起こして元通りにならず、変異が発生する。
シロイヌナズナの乾燥耐性に関係する遺伝子を対象に実験し、成功した。
ZFNで切断するだけで変異を作ったのは植物で初めて。
背丈 背丈を左右するタンパク質
2012年、奈良先端科学技術大学院大学の打田直行助教らは、植物の背丈を左右するタンパク質を発見した。
2種類のタンパク質は、いずれも植物の茎内の細胞に存在した。
成果は4/3の米科学アカデミー紀要(電子版)に掲載。
内田助教らはシロイヌナズナを使い内皮細胞にある「EPFL4」と「EPFL6」という2種類のタンパク質を調べた。これらが「ERECTA」というタンパク質と結合すると、植物の背丈が伸びることを突き止めた。


2010年、植物の骨格となる「微小管」が成長する様子を観測。
微小管は繊維状のタンパク質で、植物の場合は細胞の表面にあって細胞壁を作る鋳型となる。
奈良先端科学技術大学院大学の橋本隆志教授や中村匡良研究員、米カーネギー研究所などは、微小管の起点となる「重合核」に、目印となる蛍光タンパク質をつけて成長する様子を観察。
すでにある微小管に重合核がくっつくと、そこが起点となって新たな枝が成長。さらに、別のタンパク質の働きで重合核が切り離され、再び細胞内をただようことを突き止めた。
微小管はセルロースを合成する酵素の働きに関わっている。
微小管がどのように誕生して成長するかはセルロースを作る仕組みの解明につながる。




2010年、植物が葉の大きさを決める仕組みを、塚谷祐一・東京大学教授らが解明した。細胞の中にある遺伝子から、鮮度低下ニトもなって働きが変化するアルコール分解酵素や病原菌が侵入してきた時に働く酵素、タンパク質を分解する酵素、細胞壁を分解する酵素を選定。これらの遺伝子の働きをポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法で測ると、収穫してからの日数の経過に応じて、どのように変化するからが分かった。



4遺伝子特定
2012年、東京大学の小田祥久助教と福田祐穂教授らは、植物の細胞の形を決める仕組みを突き止めた。
成果はサイエンス(電子版)に掲載。
植物の細胞は動物と違って外側がセルロースと呼ばれる繊維でできた堅い細胞壁で覆われている。細胞壁によって植物の形が決まる。
研究グループはシロイヌナズナを使い、約2万3000個あるID値市のうち細胞壁の形成に関係しそうな30個を選んで調べた。
そのうちの4つの遺伝子が作るタンパク質が連携することで、細胞壁の厚みや形が決まることが分かった。
たとえば「ROP11」という遺伝子が働いて細胞膜のところどころに酵素と呼ぶタンパク質ができる。これに「MIDD1」というタンパク質がくっつくと細胞壁に穴が開き、模様や形ができる。




(ARA6)
2011年、東京大学の上田貴志准教授らは、植物が有害な塩への耐性を高めるのに役立つタンパク質を突き止めた。
「ARA6」というタンパク質で、細胞での物質輸送にかかわっていた。
成果はネイチャー・セルバイオロジー(電子版)に掲載。
生物には細胞の内外の正しい場所にタンパク質や脂質を運ぶ「膜交通」という機能がある。研究チームは、植物にだけ存在するタンパク質のARA6に注目。イヌナズナを使って調べた。ARA6はエンドソームという細胞内小器官から細胞膜への運搬に深く関わっていた。
シロイヌナズナでタンパク質の機能を壊すと塩に弱くなり、働きを高めると逆に強くなった。
細胞内に入ってきた塩分を外に出す機能を持つ可能性もある。




2012年、東京大学の上村知博助教らは、植物の免疫機能に関係するタンパク質を発見した。シロイヌナズナでこのタンパク質を作るのに欠かせない遺伝子を欠損させたところ、正常個体ではほとんどみられない病原菌が侵入し、病原菌の増殖が起きているkとw発見した。
免疫機能に関係することを発見したのは「SYP4」と呼ぶタンパク質。
植物の細胞内で様々な物質を、細胞外に出したり液胞に送ったりする「トランスゴルジ網」と呼ぶ場所に存在する。
研究チームはSTP4を作り出すのに欠かせない遺伝子を欠損させた。遺伝子は3種類あり、この中で2種類の遺伝子を欠損させたところ、「うどんこ菌」が侵入し、植物の葉や茎はうどん粉をかけたように白くなった。



守る
2012年、東京大学の難波成特任教授と山次康幸助教らは、植物に含まれるタンパク質の「レクチン」がウイルス感染から植物自身を守っていることを突き止めた。
  • レクチンは人などの免疫を活性化させたり、ガン細胞を抑えたりする働きが知られているが、植物での機能は不明だった。
研究チームはレクチンを作る[JAX1」と呼ばれる植物の遺伝子に注目。
ポテックスウイルスと呼ばれるウイルス群の感染に弱いタイプのタバコにこの遺伝子を組み込み、ウイルスに感染させる実験をした。
20日後でも遺伝子改変したタバコは全く感染しなかった。
通常のタバコでは茎や葉にウイルスが広がった。



形成に関わる遺伝子
2013年、産業技術総合研究所と農業食品産業技術総合研究機構は、植物を乾燥や紫外線、病原菌から守る保護膜の形成にかかわる2遺伝子をイヌナズナから発見した。
  • 「MYB106」
  • 「MYB16」
遺伝子組み換え技術でMYB106とMYB16の働きを高めると、葉でワックスが増えた。
バラの黒点病は表面のワックスがはがれ落ちて、そこに病原菌が入って発病する。
保護膜はクチクラと呼ばれ、花や茎、葉に存在する物質で、脂肪酸などでできたワックスなどからなる。



KNOX2(ノックス2)
2013年、榊原恵子・広島大学特任助教授は長谷部光泰・広島大学基礎生物学研究所教授らと共同で、陸上の植物で世代交代を支えている遺伝子を見つけた。
陸上の植物は遺伝子をおさめた染色体が2組のときと1組を繰り返し、世代交代を進めていく。
ノックス2は2組(複相)の染色体が1組(単相)に変わるときに働くことが実験でわかった。通常、コケの精子と卵子が受精すると、減数分裂が起きて胞子ができ、胞子から精子や卵子を作る糸状体ができる。 ヒメツリガメゴケの遺伝子「ノックス2」を取り除いたところ、通常なら胞子ができるはずの器官に、精子や卵ができた。
染色体数を調節する減数分裂で不具合が起きたとみられる。
成果はサイエンスに掲載。




抗菌物質を発見
ポアシン酸
  • 2015年、米ウィスコンシン大学、米ミネソタ大学、理化学研究所は共同で、植物から抗菌物質を発見した。
  • 稲わらや樹皮、木片を分解して、9種類の天然物質を調べた。
  • 最も抗菌作用のある物質「ポアシン酸」は、酵母の細胞壁にくっついて体が維持できないようにしていた。
  • 酵母以外に、ジャガイモやトマトに感染する糸状菌や、ダイズに被害をもたらす卵菌でも感染を抑える効果があった。






耕作不適地でも
ソルガム
  • 2013年、東京大学などの研究チームはバイオエタノールの原料として注目さているイネ科の植物「ソルガム」をゲノム選抜という遺伝子技術で品種改良する。
  • ソルガムは乾燥に強く成長が早い。茎にたまる糖が利用できる。
  • ゲノム選抜は、個別の遺伝子ではなく、ゲノム全体を総合的に評価して掛け合わせ新品種を作る。




外来植物を根絶
大林組が開発
  • 2009年、大林組は建設廃棄物と微生物などを使う緑化用土壌で、生物多様性保全の効果を確認した。
    土壌の発酵過程で70℃程度の高温になり土に含まれる植物の種を滅ぼすため、外来種が繁殖し生態系に影響するのえお防ぐという。
    「タイヒシャトル工法」は大林組と日清製粉が共同開発。
    脱水ケーキと呼ばれる汚泥に、日清製粉が開発した発酵を促す栄養剤を微量含ませ、その後、廃棄物の伐採材チップを混合。この土壌に植物の種などを混ぜ、緑化したい土に吹き付ける。





間伐材からプラスチック
酵母を開発
  • 2013年、神戸大学と三井化学、日本触媒などは、プラスチック原料の有機酸を間伐材や木くずなどの廃材から作る酵母を開発した。
  • 酸性度の高い環境に生息する酵母に、別の酵母が持つ遺伝子を1つ組み込み、糖類のグルコースを食べて有機酸の「3ヒドロキシプロピオン酸」(3HP)を作るようにした。
  • さらに酵母の細胞膜の外側に、特殊な酵素をタンパク質を介して多数結びつけた。
  • その結果、廃材を砕いた粉末を処理できた
    1. 糖類のセロビオースを酵素が分解して、
    2. 先ずグルコースに変え、
    3. 次にそこから3HPを作る一連の反応を1種類の酵母を起こせる様になった。





根から栄養分を効率よく吸収する仕組み
  • 2010年、東京大学の藤原徹准教授と北海道大学の高野順平助教らのチームは、植物が根から栄養分を効率よく吸収する仕組みを解明した。土壌中の栄養分を吸い上げるタンパク質が、土に接する部分に偏在していた。
    成果は米科学アカデミー紀要に掲載。
    植物の根では、細胞表面にあるタンパク質「トランスポーター」が土壌中の窒素やリン、ホウ素などの栄養分を取り込んだり、植物体に栄養分を輸送する導管に排出したりしている。
    研究チームは、シロイヌナズナの根の細胞に存在しホウ素を輸送するトランスポーターに蛍光色素をつけて詳しく観察した。
    根に接する細胞表面には栄養分を吸収するトランスポーターが多くあり、導管に接する細胞表面には栄養分を排出するトランスポーターが多く集まっていることがわかった。







栄養不足・・・遺伝子で特定
  • 2012年、岐阜大学の小山博之教授らのグループは、植物の栄養不足を遺伝子の働きから判定する技術を開発した。
    リン酸という栄養塩が乏しい土や水で育てたシロイヌナズナの葉では、約2万5千個の遺伝子のうちアントシアニンという色素の合成に関わる遺伝子などが活発に動き出していた。
    カリウムや窒素が不足していると、それらの輸送を促進させるための遺伝子も働きだしていた。
    葉をすりつぶしてDNAチップを調べれば、リン酸やカリウムが不足している状態が分かる





水を通す管が道管
デンプンを通す管は師管
  • 2010年、奈良先端科学技術大学院大学の出村拓教授と山口雅利助教らは、樹木や草花で水の通り道となっている「道管」の形成を一時的にジャマしているタンパク質を突き止めた。
    成果はザ・プラント・セル(電子版)に掲載
    道管は動物の血管の様な働きをしており、根から吸い上げた水や養分を茎や葉に運ぶ。研究チームはシロイヌナズナで道管形成を促すタンパク質「VND7」を解明しおり、これと結合するタンパク質を調べて「VNI2」を特定した。
    VNI2はVND7と結合し、その働きを一時的に抑えていた。VNI2を過剰に働かせたシロイヌナズナは、根や葉などで道管がうまく作れず途中で途切れた。
    植物の繊維細胞も道管と同様のシステムを持っているとみられている。





切らずに内部を観察する
  • 2015年、作物や園芸植物を透明化し、内部を観察できる試薬を名古屋大学のグループが開発した。
  • 透明になった植物の観察には蛍光タンパク質などを使って細胞を光らせる必要がある。
  • しかし、光を吸収するクロロフィル(葉緑素)がジャマしてうまくいかなかった。
  • グループはマウスの脳細胞の脂質を除いて透明化する技術を応用し、クロロフィルを取り除く試薬を開発した。
  • めしべの奥深くまで伸びる花粉管もハッキリ確認できた。







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