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(医薬品による)
消化性潰瘍




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潰瘍
胃潰瘍
十二指腸潰瘍



消化性潰瘍  (厚生労働省
英語名:peptic ulcer

同義語:
  ・胃潰瘍 (gastric ulcer)、
  ・十二指腸潰瘍 (duodenal ulcer)、
  ・急性胃粘膜病変 (acute gastric mucosal lesion)、
  ・NSAIDs潰瘍 (NSAIDs ulcer)


  • 胃や十二指腸の粘膜があれる「消化性潰瘍」は、医薬品によって引き起こされる場合があります。
    総合感冒薬(かぜ薬)、痛み止め、解熱消炎鎮痛薬あるいは、ステロイド剤、骨粗鬆症治療薬でもみられることがあるので、何らかのお薬を服用していて、次のような症状がみられた場合には、放置せずに医師・薬剤師に連絡してください。 などがみられ、これらの症状が持続する
1.消化性潰瘍とは?
  • 消化性潰瘍とは胃や十二指腸の粘膜があれることをいいます。消化性潰瘍の一番大きな原因はピロリ菌という菌が胃の中に感染していることですが、その次に多い原因が医薬品、特に解熱消炎鎮痛薬の服用です。この他、ステロイド剤、骨粗鬆症治療薬、市販の総合感冒薬(かぜ薬)でもおこることがあります。
    • 解熱消炎鎮痛薬には熱を下げたり痛みを和らげたりする作用があり、大変良く使われるお薬です。しかしながら副作用として消化性潰瘍になる場合があります。
    • 消化性潰瘍になると胃のもたれ、食欲低下、胸やけ、吐き気、胃が痛い、空腹時にみぞおちが痛い、便が黒くなるなどの症状が現れます。便が黒くなるのは潰瘍から出血するためで、出血の量が多いと吐血することもあります。解熱消炎鎮痛薬(非ステロイド性抗炎症薬など)服用中の消化性潰瘍は必ずしも痛みを伴うわけではなく、突然吐血や下血する事もあるために注意が必要です。潰瘍が深い場合は胃が破れる(穿孔:穴があく)こともあり、この場合は強い腹痛が続きます。

2.早期発見と早期対応のポイント
  • 痛み止め、総合感冒薬(かぜ薬)、解熱消炎鎮痛薬などの服用中に、 などの症状に気づいた場合で、医薬品を服用している場合には、放置せずに医師・薬剤師に連絡してください。
    1. 潰瘍によって出血が起こった場合は、吐血や便が黒くなるなどの症状が現れます。
    2. 出血による貧血によっておこる症状としては、労作時息切れ、めまい立ちくらみなどがあります。
    3. 強い腹痛がおこった場合は、穿孔の可能性があるため、早急に医療機関を受診する必要があります。
    4. 解熱消炎鎮痛薬による消化性潰瘍は、痛みなどの自覚症状が出現しないことが多く、突然の吐血や下血あるいは貧血症状の検査で発見されることもあります。
    5. 貧血症状が現れた場合や血液検査で貧血を指摘された場合には、積極的に上部消化管内視鏡検査を受ける必要があります。
    特に解熱消炎鎮痛薬は高齢者を含め幅広く使用される医薬品ですので、早期に消化性潰瘍を発見することが重要であり、上記の初期症状に気づいたら医師、薬剤師に連絡してください。
    患者さんご自身も大便の観察を行い、黒色便に気づいたら速やかに医師、薬剤師に相談してください。



1.早期発見と早期対応のポイント

(1)副作用の好発時期
  • 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)では、服用初期に多く発生し、特に最初の1 週間の間が高率とされている1)。3 ヵ月以上NSAIDs を服用している関節リウマチの患者では上部消化管内視鏡検査を行うと15.5%に胃潰瘍が発見された2)と報告されているが、NSAIDs 長期投与時での発生時期は様々である。
  • 副腎皮質ステロイド薬でも、投与開始から潰瘍形成までの期間は比較的短く、潰瘍を発症した症例の25%が服用開始後1 ヵ月以内、50%は3 ヶ月以内であった。
  • カリウム製剤では、服用後10 日、また、1〜2 ヶ月で発症したという報告がある。
(2)患者側のリスク因子
  • NSAIDs では、高齢(65 才以上)、消化性潰瘍の既往、抗凝固薬と抗血小板薬の併用などが患者側の主なリスク因子である。
  • ビスフォスフォネート系などの骨粗鬆症治療薬やカリウム製剤では、服用後上体を起こしていることができなかったり、心肥大による食道への圧迫や狭窄などがあると医薬品が停留し、消化性潰瘍発症のリスクが高まったりする。
(3)投薬上のリスク因子
  • NSAIDs では、抗凝固薬と抗血小板薬の併用、ステロイド薬の併用、高用量、複数のNSAIDs の併用は、消化性潰瘍発症のリスクを高める。
  • アスピリンもNSAIDs であり、低用量でも消化管出血のリスクを高めることが報告されているので、他のNSAIDs との併用には注意を要する。
  • なお、患者側のリスク因子や投薬上のリスク因子を勘案し、消化性潰瘍発症の可能性が考えられる場合は、プロトンポンプ阻害薬を中心とした抗潰瘍薬の予防投与が有効との報告もある。
(4)患者若しくは家族等が早期に認識しうる症状
  • 胃のもたれ、不快感および上腹部痛などが主要症状である。
  • 潰瘍によって出血が起こった場合は吐血や便が黒くなるなどの症状が現れる。
  • 出血による貧血症状としては、労作時息切れ、めまい、立ちくらみなどがある。
  • 強い腹痛がおこった場合は穿孔の可能性があるため、早急に医療機関を受診する必要がある。
(5)医療関係者が早期に認識しうる症状
他覚的所見として、
  • 心窩部や上腹部の圧痛、
  • 貧血をきたした場合は顔面の蒼白、眼瞼結膜の貧血、頻脈などの貧血の所見が、
  • 穿孔を合併した場合は筋性防御や反跳痛などが出現する。
(6)早期発見に必要な検査と実施時期
血液検査では、
  • 出血が合併した場合には血算で貧血を呈し、
  • 生化学ではBUN/クレアチニン比が上昇する事がある。
消化性潰瘍の早期発見には、何らかの消化器症状や上記の血液検査所見がある場合には積極的に、またリスクの高い患者では無症状であっても定期的に、上部消化管内視鏡検査を行う事が重要である。


2.副作用の概要
  • NSAIDsは、わが国において主に胃潰瘍を惹起することが示されている。胃潰瘍の症状は心窩部や上腹部の疼痛である。
  • NSAIDs潰瘍では疼痛の訴えがHelicobacter pylori(H. pylori)関連潰瘍より少ないとされている。
  • 吐血や下血などの消化管出血を来すことも多い。
  • NSAIDs 潰瘍の発症頻度は予防薬を併用しない場合、4〜43%と報告されている。NSAIDs を3 ヵ月以上継続的に投与されている症例で上部消化管内視鏡検査を行うと、15.5%に胃潰瘍が発見される。十二指腸潰瘍の発症頻度は1.9%と低い。NSAIDs 投与が中止可能であれば中止し、通常の消化性潰瘍の治療を行えば潰瘍は比較的容易に治癒する。
  • NSAIDsが中止出来ないときは、プロトンポンプ阻害薬やプロスタグランジン製剤を中心とした治療および予防を行う10)。出血例では内視鏡的止血術を行い、止血不能である場合はカテーテルによる動脈塞栓術、または手術を行う。穿孔例では手術を行う。
  • なお、NSAIDs 以外の医薬品の場合でも、原則的に投与が中止可能であれば中止し、通常の消化性潰瘍の治療を行う。
(1)自覚症状
胃潰瘍では、
  1. 一般的に胃内容が排出される食後60〜90 分後に上腹部を中心とした疼痛を来すとされている。
  2. 鈍い、疼くような、焼けるような痛みであり、一般に持続的である。
  3. 疼痛は2/3 以上の症例で認められるとされているが、NSAIDs 潰瘍では約半数に留まり、頻度は低い。これはNSAIDs の鎮痛作用によることが推定されている。
  4. 上部消化管出血を合併した場合は、吐血、黒色便が出現する。
  5. 出血による自覚症状としては労作時の息切れ、めまい、立ちくらみがある。
  6. 穿孔を合併した場合は、強い持続的な腹痛が認められる。
(2)他覚症状
  1. NSAIDsを服用中の場合には、上腹部の圧痛を伴わないことがある。
  2. 出血を合併した場合は、眼瞼結膜の貧血や頻脈が出現することがある。出血が大量である場合は、血圧低下、頻脈、乏尿となる。
  3. 穿孔を合併した場合は、筋性防御や反跳痛などが出現する。
  4. 但し、副腎皮質ステロイド薬服用中は発熱や腹膜刺激兆候がマスクされやすいので注意を要する。
(3)臨床検査
  1. 血液検査ではNSAIDs 潰瘍に特徴的な所見はない。
  2. 消化管出血を来した場合は貧血を呈し、BUN/クレアチニン比が上昇する場合が多い。
  3. H. pylori の陽性率は7 割程度である。
(4)画像検査所見内視鏡検査でのNSAIDs潰瘍は非NSAIDs潰瘍と異なり、胃角部には少なく、長期投与では幽門部に多く出現するが、短期投与では体部にも出現する。約半数は多発性で、不整形を呈するものが多い(図1)。NSAIDsを継続した場合、極めて難治の慢性潰瘍が発症することがある
(5)病理検査所見
  • 病理組織所見で特徴的なものはない。





(6)発生機序

@ NSAIDs
  • NSAIDs による胃粘膜傷害の機序としてはプロスタグランジン合成酵素であるシクロオキシゲナーゼ(COX)の抑制によるプロスタグランジン(PG)産生低下、酸依存性の傷害、好中球の関与等が知られている。
  • NSAIDsによる胃粘膜傷害におけるPG の重要性
    • NSAIDs はPG 産生低下以外の機序で胃粘膜傷害を来たす可能性もあるが、胃粘膜で産生されたPG の胃粘膜防御における重要性を示すユニークな動物実験が報告されている。PG に抗原性を持たせてウサギを免疫すると、PGの抗体が出来たウサギには胃、十二指腸、小腸のびらん、潰瘍が出現することが報告されている。また、消化管病変が形成されたウサギの血清の投与により、免疫されていないウサギに消化管病変の形成が確認されている。ヒトの胃粘膜傷害においてもPGE1製剤であるミソプロストールによって胃粘膜病変の発生が有意に抑制されることが、多くの無作為比較試験で証明されており、NSAIDs による胃粘膜傷害にPG の低下が関わっていることはヒトにおいても確実と考えられる。
  • 胃粘膜におけるPG の作用
    • G は胃粘膜で多彩な作用を制御していると考えられる。PG は胃酸分泌を抑制する。この点H2受容体拮抗薬はPG と同程度もしくはより強く酸分泌を抑制するが、欧米の報告では、H2 受容体拮抗薬がNSAIDs による胃粘膜傷害の発症を明らかに抑制するとのエビデンスは認められない。したがってPG では胃酸分泌抑制以外の機序も重要であることが推定される。ただしH2受容体拮抗薬の効果については、日本人の酸分泌能がそれほど高くないので我が国での検証が必要である。※(2008 年4 月修正箇所)
      PGE は膜受容体を介して多くの作用を発揮するが、ノックアウト・マウスを用いてPGE 受容体の役割を検討した報告がある。これらの検討によれば、NSAIDs による胃粘膜傷害において中心的な役割を果たすのは、胃運動の亢進であり、PG はEP1 受容体を介して胃運動を抑制することにより防御作用を発揮することが示唆される。しかしながら、EP1 受容体は一般に平滑筋の収縮をもたらす作用が知られており、ヒトにおける検討も今後の課題と考えられる。
      一方PG は、EP2 やEP4 PGE 受容体を介して強力に肝細胞増殖因子(HGF)や血管内皮増殖因子(VEGF)などを誘導することが報告されている。これは、NSAIDs によるPG 欠乏によって増殖因子が低下した状態になることが粘膜の傷害や修復遅延の機序である可能性を示唆しており、新しい機構として注目される。
  • COX-1、 COX-2 と胃粘膜傷害
    • PG の合成酵素は恒常的に発現しているCOX-1 と刺激により誘導されるCOX-2 に分類される。COX-1 とCOX-2 の性質の差からCOX-1 は“housekeeping gene”、すなわち組織の恒常性の維持に重要な遺伝子であり、COX-2 は組織傷害により活性化される遺伝子であるとの仮説が提唱された。NSAIDs はCOX-1 とCOX-2 の両方を阻害する事により消炎鎮痛作用を発揮するが、副作用として胃粘膜傷害を来す。従って胃粘膜の恒常性の維持にはCOX-1 の方がCOX-2 より重要であり、炎症に対してはCOX-2 の抑制を主に行えば胃粘膜傷害を軽減し消炎鎮痛作用が発揮出来ると考えられた。COX-1 とCOX-2 の阻害薬を用いたラットの検討では、これらの阻害薬は単独では胃粘膜傷害を生じないが、両者を同時に投与すると胃粘膜傷害が生じると報告されている。即ちノックアウトマウスの検討ではCOX-1 が胃粘膜の恒常性の維持に重要な働きをしているという結果は得られていないが、特異的阻害薬を用いた検討では一方のみの阻害では胃粘膜傷害は生じない
      という結果である。ヒトでは選択的COX-2 阻害薬は従来のNSAIDs より胃粘膜傷害が少ないと言われており、COX-1 とCOX-2 の役割の差に関してはヒトでも明らかにされていると考えられる。
  • その他の傷害機序
    • 酸性NSAIDs は酸環境下で脂質膜に透過性となる。細胞内に侵入したNSAIDs は、中性の環境下で再び細胞膜に不透過性となって細胞内に蓄積し傷害を来す。プロトンポンプ阻害薬による強力な酸分泌の抑制は、NSAIDsによる胃粘膜傷害を予防することがヒトで示されているので、酸性NSAIDs
      による酸依存性の直接の傷害作用も重要である可能性がある。その他の機序として好中球の関与が示唆されている。動物実験では、NSAIDs の投与により好中球が腸間膜の血管内皮細胞に接着しやすくなることが示されている。また、好中球の抗体の投与によりNSAIDs 潰瘍の発症が抑制されることも実験的に示されている。しかしながら、ヒトにおいてNSAIDs 投与により好中球が胃粘膜に著明に集積するという報告はない。
  • アスピリンの傷害機序
    • NSAIDs の胃粘膜傷害は、プロスタグランジン合成酵素であるCOX 抑制の程度とほぼ平行する。NSAIDs による胃粘膜傷害の頻度は量にも依存するが、低用量で頻繁に用いられている医薬品としてアスピリンがある。アスピリンは他のNSAIDsと異なり、血小板に恒常的に発現しているCOX-1 をアセチル化により非可逆的に阻害し、トロンボキサンA2の産生を阻害して血小板凝集を抑制する。この作用から、わが国においても心筋梗塞や脳硬塞後の再発予防に低用量(80〜325mg)で広く用いられている。アスピリンによる胃粘膜傷害には用量依存性が認められるが、剤型による発生頻度に差がないとされている12)。しかしながら、全体としてアスピリンによる上部消化管出血は年率1.2%で認められ、内視鏡検査を用いた検討では、再出血の頻度は14.8%と報告されている。アスピリンの作用は、血小板に見られるように、粘膜防御に重要なCOX-1 に対して強いとされている。従って低用量であっても傷害を来すことが考えられる。また、他のNSAIDs ではH. pylori 除菌の潰瘍再発に対する抑制効果は軽微であるが、低用量アスピリンでは、H. pylori 除菌により潰瘍出血の再発予防が認められた。
A 副腎皮質ステロイド薬
  • 副腎皮質ステロイドが、PG の原料となるアラキドン酸がリン脂質より合成される段階で作用するホスホリパーゼA2の働きを阻害することでPG 減少を来し、その結果、胃粘膜PG、胃粘液分泌が減少し、胃液中粘液量・粘稠度が減少して粘液の組成が変化する。この結果、胃液やペプシンに対する胃粘膜の抵抗性が減少し、胃粘膜の防御作用が減弱する。そこに、コルチコステロイドのもつ胃酸分泌促進作用、胃液分泌量増加作用、ペプシン分泌の増加作用など胃粘膜攻撃因子の増加作用が加わり、ステロイド潰瘍が発症するとされているが、ヒトでの発生に関して、NSAIDs との併用で潰瘍発生のリスクが増加するが、単独での潰瘍発生に関しては否定的な報告が多い。
B その他の医薬品
  • カリウム製剤では、局所に停留して溶解することによる高浸透圧とカリウムイオンによる直接粘膜傷害によって消化性潰瘍が発症する15)。レセルピンや塩化アセチルコリンでは、副交感神経優位となって胃酸分泌が亢進し、消化性潰瘍が発症する。
(7)医薬品ごとの特徴
  • 選択的COX-2 阻害薬(セレコキシブ、平成19 年8 月現在)は、胃潰瘍発症の頻度が従来のNSAIDs より低いとされている。
  • 従来のNSAIDs のなかではエトドラクとメロキシカム及びナブメトンがCOX-2 に対する選択性が高いとされているが、胃潰瘍発症頻度に関しては不明である。
(8)副作用発現頻度
  • NSAIDs 投与中の関節炎患者では、胃潰瘍が15.5%、十二指腸潰瘍が1.9%、胃炎が38.5%に発症していたという報告がある



3.副作用の判別基準
消化性潰瘍が確認された場合、NSAIDs 服用歴(期間の厳密な定義はないが、概ね5週前から当日まで)があればNSAIDs 潰瘍と診断する。
その他の医薬品もNSAIDs に準じて判別する。
.判別が必要な疾患と判別方法
  1. 消化性潰瘍の原因は、NSAIDs 以外にはH. pylori 感染が挙げられる。
  2. NSAIDsの服用歴の有無が最も重要な鑑別点である。
  3. NSAIDs潰瘍の特徴とは異なり、胃角部には少なく幽門部や体部に多く認められる。
  4. 約半数は多発性で、不整形を呈するものが多い



治療方法 (NSAIDs 潰瘍を中心として)
(1)NSAIDs 潰瘍の治療
  • NSAIDs 内服中に発症する胃潰瘍は、NSAIDs を中止するとプラセボ投与によっても比較的高率に治癒する週治癒率 47〜61%、8 週治癒率 90%)。プラセボに比較し、PG 製剤は有意に、H2受容体拮抗薬は有意差はないものの治癒を促進する。
  • H2 受容体拮抗薬あるいはスクラルファートによる治療下で、NSAIDs を継続した場合、中止した場合に比較して潰瘍の治癒は有意な遷延あるいは遷延する傾向がみられる。
    NSAIDs 投与継続下での胃潰瘍の治療に関しては、プロトンポンプ阻害薬による治癒率が最も高く、PG 製剤がこれに次ぎ、H2 受容体拮抗薬の効果はPG 製剤よりやや弱い。
  • H2 受容体拮抗薬とプラセボとの比較では有意差はみられていない。
  • スクラルファートはH2受容体拮抗薬と同等の効果を示すが、プラセボとの比較試験はなく、有効性は確認されていない。
    NSAIDs 継続投与下において、H. pylori 感染の有無は潰瘍治癒に影響を与えないとされる。
  • またH. pylori 除菌の潰瘍治癒に及ぼす影響については、有意の影響を与えないあるいは有意に遷延するとの報告があり、一定の見解はないが、治癒を促進するとの成績はみられない。
    NSAIDs 継続投与下における胃潰瘍治癒後の再発に関しては、プロトンポンプ阻害薬、PG 製剤あるいは高用量のH2 受容体拮抗薬に、再発防止効果が示されている。プロトンポンプ阻害薬は、PG 製剤あるいは常用量のH2 受容体拮抗薬より有効であるが、プロトンポンプ阻害薬と高用量のH2受容体拮抗薬との比較成績はない。
(2)NSAIDs 潰瘍の予防
  • NSAIDsは予防薬を併用しない場合、高率に胃潰瘍を発症させる。その頻度は4〜43%と報告されている。従って高齢(65 歳以上)、消化性潰瘍の既往、抗凝固薬・抗血小板薬(血液をさらさらにする薬)の併用などの危険因子を有する場合、特に出血性潰瘍(吐血、下血などで発症)の既往がある例では、抗潰瘍薬が使われる場合がある(適応外)。
    胃酸分泌の抑制は、H. pylori 関連潰瘍では治癒・再発の予防に極めて有効である。NSAIDs による胃潰瘍の発症に関しては、強い酸分泌の抑制が必要であるが、常用量のヒスタミンH2受容体拮抗薬による有効性を示すエビデンスはない。予防的に使用する場合は、高用量(潰瘍治療に使用する倍量)のH2受容体拮抗薬またはプロトンポンプ阻害薬での有効性が示されている。防御因子製剤に関しては、スクラルファートを含めてNSAIDs 潰瘍を予防する明確な根拠はないが、一部の薬物で有効性が期待される。
    PGE1 製剤であるミソプロストールの予防における有効性は多くの検討で証明されているが、ミソプロストールはさまざまな消化器系の副作用、特に下痢を惹起する。また、子宮収縮作用があるため妊婦には禁忌であり、必要に応じて投与前に妊娠の有無の確認が必要である。ミソプロストールは低用量でも有意にNSAIDs による胃潰瘍を予防することから、低用量の併用での効果が期待される。
    NSAIDs による胃潰瘍の発症予防を目的としたH. pylori 除菌の有効性に関しては、ランダム化比較試験で効果が示されており、特にNSAIDs 投与開始予定者では顕著である。しかしながら、H. pylori 除菌はプロトンポンプ阻害薬に比して予防効果は劣るとされている。低用量アスピリンに関しては、H.
    pylori 除菌により、再出血の予防効果があるが、その後のプロトンポンプ阻害薬の投与が必要とされる。最近、胃粘膜傷害が少ない消炎鎮痛薬として選択的COX-2 阻害薬が開発された。選択的COX-2 阻害薬は、従来のNSAIDs より胃潰瘍の発症は短期的には有意に少ないと報告されている。しかしながら、選択的COX-2 阻害薬は、従来のNSAIDs より脳や心臓の血管障害が多い可能性も
    指摘されている。長期使用時における有効性と安全性に関しては更に検討が必要であると考えられる。



【症例1】60 歳代、男性

  • 変形性膝関節症
    使用医薬品:チアプロフェン酸
    使用量・使用期間:300 mg/日・6 ヵ月
    併用薬:塩酸ニカルジピン、ビンポセチン
    スリンダクによる胃障害が現れたため、直ちにチアプロフェン酸300 mg/日に変更した。約6 ヵ月間服用後、突然に吐血した。内視鏡検査の結果、胃にアスピリン潰瘍様のびらんが認められた。投与中止1 ヶ月後に回復した
【症例2】70 歳代、女性
  • 骨粗鬆症
    使用医薬品:イプリフラボン
    使用量・使用期間:600 mg/日・197 日間
    併用薬:塩酸ニカルジピン、塩酸ロキサチジンアセタート、塩酸セトラキサート、エルカトニン既往症に胃潰瘍、合併症として高血圧を持つ患者にイプリフラボン等を投与していたところ、半年程して服用のたびに胃部不快感が発現したためイプリフラボンの投与を中止し、塩酸ロキサチジンアセタートの増量、ソルコセリルの投与を開始した。中止約1 ヵ月後も症状が不変のため胃内視鏡検査を行ったところ、胃潰瘍の再発が確認された。中止後約2 ヶ月で回復した。
【症例3】70 代、男性
  • 心臓弁膜症術後
    使用医薬品:ロキソプロフェンナトリウム
    使用量・使用期間:180 mg/日・43 日間
    併用薬:ワルファリンカリウム、アスピリン
    既往症に胃潰瘍による吐血、また僧房弁閉鎖不全症にて弁置換術を受けたことがあり、上記医薬品とプロトンポンプ阻害薬を服用していた。プロトンポンプ阻害薬が中止となり、約2 ヵ月後に腰痛に対してロキソプロフェンナトリウムが処方された。吐血にて入院し、出血性潰瘍の再発が認められた。ロキ
    ソプロフェンナトリウムの中止とプロトンポンプ阻害薬投与で、潰瘍は1 ヶ月後治癒した。



ヘリコバクター・ピロリ菌の感染と除菌


胃潰瘍または十二指腸潰瘍の確定診断がなされた患者のうちヘリコバクター・ピロリの感染が疑われる場合に
右の検査法のいずれかを行う
[迅速ウレアーゼ試験]
[鏡検法]
[培養法]
[抗体測定]
[尿素呼気試験]



ランソプラゾール・アモキシシリン・クラリスロマイシンの3剤療法
以下の3剤を同時に1日2回、7日間経口投与。
ランソプラゾール [タケプロンOD] 30mg
アモキシシリン [アモリン][サワシリン][バセトシン] 750mg
クラリスロマイシン [クラリス][クラリシッド] 200mg(上限400mg)
(一般名) (商品名) (1回使用量)




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