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出血性膀胱炎



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膀胱炎 広告


  
出血性膀胱炎とは?   (厚生労働省
膀胱は尿をためるための袋状の臓器です。容量は300 mL程度で、筋肉とその内面をおおう粘膜からできています。左右の腎臓でつくられた尿は尿管というパイプを通り膀胱に蓄えられ一定量に達すると尿意を感じて排尿します。

膀胱炎は膀胱の粘膜に何らかの原因による炎症が生じたもので、炎症にともなう刺激により痛みや排尿に関わる症状(膀胱刺激症状)が起きてきます。

出血性膀胱炎は出血を伴う膀胱炎で、尿が赤みを帯びる(血尿)という症状がみられます。出血については膀胱粘膜の一部からというより全体からの出血が特徴的とされます。


主な症状としては、尿意が増すことによる尿回数の増加(頻尿)、排尿時の痛み、尿の残っている感じ(残尿感)、血尿がみられます。軽症では肉眼ではわからない程度の顕微鏡的血尿ですが、中等症では肉眼的血尿、重症では血の塊が見られるようになります。発熱は膀胱の炎症のみではあまり見られません。


原因は小児ではアデノウイルスによるものが多いとされますが、健康女性がかかりやすい細菌性のものでもみられることがあります。
また、放射線治療の晩期後遺症で問題となることがありますが、この場合は以前の放射線治療歴から判断されます。


出血性膀胱炎は医薬品によっても起きることがあります。多くの薬品が原因としてあげられており、抗がん薬(シクロホスファミド、イホスファミド)、免疫抑制薬、抗アレルギー薬が以前から知られていますが、抗生物質、漢方薬(小柴胡湯など)などでも報告があります。ただ、最近ではシクロホスファミド、イホスファミドについては投与方法が工夫され、メスナというお薬を併用することにより起きることは少なくなりました。


早期発見と早期対応のポイント
「尿が赤みを帯びる(血尿)」、
「尿の回数が増える」、
「排尿時に痛みがある」、
「尿が残っている感じがする」
  • などの症状が出現した場合で、医薬品を服用している場合には、放置せずに医師、薬剤師に連絡してください。
    受診する際は、服用した医薬品の種類、量、服用開始からの期間、症状や血尿の程度などを医師に知らせてください。
    なお、出血性膀胱炎をよく起こす可能性のある医薬品、すなわち抗がん薬、免疫抑制薬などの治療を受ける方で、あらかじめ担当医から使用医薬品の種類、特徴、効果、副作用(出血性膀胱炎を含めた)、検査の予定などについての説明がある場合は、その指示に従ってください


(1)早期に認められる症状
  1. 本マニュアルにおける出血性膀胱炎とは、通常の細菌感染による急性膀胱炎とは異なり、特殊な条件下で発症する難治性、遷延性のものを示しており、その中でも発症背景が薬剤性のものを取り上げる。ただし、診断治療に際してはその他背景として、感染性(特にウイルス感染)、放射線性などを鑑別する必要がある。
  2. 一般に、本症は用量もしくは濃度、また、接触時間依存性に起こるが、低用量の内服でも長期にわたれば遅発性に起こってくることがある。
  3. 薬剤としては、免疫抑制薬・抗がん薬であるシクロホスファミドおよびその誘導体であるイホスファミドがよく知られているが、他の薬剤でも起こりうる(表1参照)。
  4. 鑑別すべきものとして、感染によるものは、移植患者等における免疫抑制状態で発症が懸念されるアデノウイルス膀胱炎がその代表であるが、他のウイルスによっても惹起されることがある。
  5. ウイルス性出血性膀胱炎は一般に難治性であり、症状も激しく出血は遷延することが多い。原因ウイルスの同定もさることながら、移植患者では免疫システムの再構築に要する時間的問題が存在し、その点からもきわめて難治性となることが多い。
  6. 放射線性のものは、1980年代初期まではコバルトを核種とした放射線治療が行なわれていたこともあり、照射後早期から晩期にいたるまで種々の程度に認められたが、リニアックが導入されてからは重篤化するものは少ないように思われる。ただし、要観察期間は2〜3年とされており、この間の血尿出現に対しては常に出血性膀胱炎を念頭に置いておくべきである。
以上のように、早期発見、早期対応にあたっては、患者の治療経過や処置、使用薬剤の既往等の背景因子を把握しておくことが重要である。また同時に、患者に出血性膀胱炎についての十分な教育をしておく必要があり、患者に排尿状態を問診することにより、早期に異常を発見することが可能と考えられる。また治療の基本となる利尿と尿の膀胱内滞留の回避については、患者の自己管理に依存するところが大きく、その重要性を周知徹底すべきである。
  • 表1 出血性膀胱炎の原因
    (一般的原因) (特異的原因)
    医薬品 蛋白同化ステロイド
    ブスルファン
    シクロホスファミド
    イホスファミド
    免疫抑制薬
    メテナミン マレイン酸塩
    チオテパ
    病気 がん
    アミロイドーシス
    関節リウマチ
    ウイルス アデノウイルス
    BKウイルス
    サイトメガロウイルス
    単純疱疹[ヘルペス]ウイルス
    A型インフルエンザ
    JCウイルス
    パポバウイルス
    毒素 染料
    殺虫剤
    テレビン油
    放射線治療


(2)患者側リスク因子
  • がん化学療法中の患者、移植後の患者、骨盤部に放射線照射を受けた患者を高リスクとするが、これに加えて以下のような補足事項に留意する。
    1. 高齢者
    2. 抗凝固剤使用
    3. 出血性素因(肝硬変・血小板数低下等)
    4. 慢性尿路感染
    5. 神経因性膀胱
    6. 糖尿病の合併
    7. 長期の副腎皮質ステロイド薬(以下ステロイド)使用
    8. 抗がん薬の累積投与量および投与期間
    9. 尿路結石・水腎症 等

(3)患者もしくは家族等が早期に認識しうる症状
  • 一般に、血尿のほか頻尿・排尿困難・尿意促迫・排尿痛などを認める。ただし、突然、無症候性肉眼的血尿で発症することも稀ではない。

(4)治療前に行なっておくべき検査
  • 腎機能評価 (BUN、クレアチニン、クレアチニンクリアランス、電解質、尿PH等)、
  • 尿一般検査、尿沈渣、尿培養、
  • 腎尿管膀胱単純エックス線撮影(KUB)、
  • 腎膀胱超音波検査(水腎・結石の有無確認)、
  • 残尿測定(膀胱超音波)、
  • 排尿状態の問診(過活動膀胱・前立腺肥大症の症状評価表)脚注1)などを行っておくとよい。


(5)予防および早期発見のために
  • 患者には、以下について十分説明を行なっておく。
    1.出血性膀胱炎発症のリスクがあることおよびその初期症状
    2.一日の尿量を増やすこと →飲水励行
    3.膀胱に尿を滞留させず頻回の排尿を心がけること。
    (特に薬剤性ではこれらが最大の予防法であること)
    担当医は定期的に患者の排尿状況を問診し、かつ頻回に尿検査を行なう。潜血反応は簡便な検査であるが、できるかぎり尿沈渣を確認する。



副作用の概要
薬剤性出血性膀胱炎の原因薬剤及びその代謝産物は腎から尿中に排泄されるため、尿中に濃縮されたこれらの物質と膀胱上皮は直接に長時間接することになり、それらの毒性を受けやすいとされている1)。

原因薬剤としては化学療法薬のアルキル化剤ナイトロジェンマスタード類、ペニシリン系抗生物質、抗アレルギー薬のトラニラスト、漢方薬(柴苓湯、小柴胡湯、柴朴湯など)が報告されているが、特にアルキル化剤ナイトロジェンマスタード類のシクロホスファミド、イホスファミド、ブスルファンによるものが高頻度で重篤なものが多いため、主にこれらの薬剤による出血性膀胱炎について述べる。


(1)自覚症状

肉眼的血尿、排尿痛、残尿感、頻尿および尿意切迫感などの膀胱刺激症状脚注2)。
男性では膀胱のけいれん的収縮により亀頭部に放散痛を感じることもある。
軽症では顕微鏡的血尿、中等症では肉眼的血尿時と時に排尿時に凝血塊の排出が見られる。
重症では膀胱内の凝血塊により膀胱タンポナーデ脚注3)・尿閉の状態となり、膀胱痛を生じ、時に腎後性腎不全脚注4)の状態となる。
  • 脚注2)
    • 膀胱刺激症状
      頻尿、排尿時痛、残尿感等の強い症状。
  • 脚注3)
    • 膀胱タンポナーデ
      高度の血尿に伴う凝血塊で膀胱頚部が閉塞され、尿閉となった状態
  • 脚注4)
    • 腎後性腎不全
      何らかの原因による両側尿管の閉塞または下部尿路の通過障害や神経因性膀胱による尿閉で両側水腎症を来たし腎機能が低下した状態


(2)身体的所見

膀胱タンポナーデの状態では下腹部の痛みと膨隆を認める。出血の程度が強く、貧血が進行するときには輸血が必要になることもある。



(3)検査所見

初期の所見として尿検査での尿潜血を認めることがある。尿細菌培養は陰性、尿沈渣では薬剤による化学的作用による尿路上皮細胞の変性を認めることがある。血尿の程度が強いと血算でヘモグロビン値、ヘマトクリット値の低下を認め、腎後性腎不全を合併したときには血液生化学でBUN、クレアチニンの上昇を認めることがある。



(4)画像検査所見

腹部超音波検査やCTスキャンでは全周性に膀胱壁の不整・肥厚の所見を呈し、出血の程度が強い場合は膀胱内に凝血塊が確認されることもある(症例1図1、症例2図3、症例3図6)。 排泄性尿路造影では膀胱壁の不整、萎縮膀胱、水尿管、水腎を示すことがある2)。膀胱鏡検査は確定診断において重要な検査であり、膀胱粘膜の発赤、浮腫、びらん、潰瘍化、血管の怒張と蛇行および粘膜からのびまん性の出血を認める(症例2図4)。



(5)細胞診、病理検査所見

確定診断のための病理組織検査は通常は行わないが、悪性腫瘍との鑑別が困難である場合は行うことがある。報告によると、シクロホスファミドやイホスファミドによる膀胱粘膜の組織学的変化としては浮腫と充血が投与後4時間以内にみられ、36時間まで進行し、平滑筋も萎縮および浮腫状になる。さらに高用量で繰り返し薬物に暴露されると、膀胱壁はうっ血、浮腫、白血球の浸潤などの炎症、肉芽形成、そして繊維化が進行し最終的には不可逆性になり萎縮膀胱となる。
尿細胞診では細胞径の増大、球形〜紡錘形細胞または変形細胞(bizarre configuration)、細胞核の増大、クロマチンの濃縮や構造の不整、核崩壊、細胞質内の空胞変性など多彩な像を呈する。



(6)発生機序

アルキル化剤ナイトロジェンマスタード類のシクロホスファミドやイホスファミドは、肝で代謝されその活性代謝産物であるアクロレインが腎から尿中に排泄され、それが直接的に尿路上皮細胞を障害する。尿中に排泄されたアクロレインは尿路上皮細胞に取り込まれ、細胞質内で活性酸素物質を誘導し核内に取り込まれ、それがDNAを損傷して尿路上皮細胞を障害するとされている4)。また、イホスファミドはシクロホスファミドよりも出血性膀胱炎の頻度が高いとされ、それはイホスファミドの代謝物クロロアセトアルデヒドも尿路上皮細胞を障害するためと考えられている。さらにクロロアセトアルデヒドは急性、慢性に、腎毒性があり、糸球体や尿細管にも障害を及ぼすペニシリン系抗生物質による出血性膀胱炎では、膀胱組織にIgG、IgM、C3など沈着が確認されており、何らかの免疫反応によるものとされている。
漢方薬による出血性膀胱炎では、膀胱組織に好酸球の浸潤が確認されており、これも何らかの免疫反応によるものとされている。


(7)医薬品ごとの特徴

シクロホスファミドの点滴静注では投与翌日から数日以内に血尿を主体とした激しい膀胱炎様の症状で発症することが多い。一方経口投与では、1日100〜175 mgの投与で20から30ヶ月で発現した症例が多いと報告されている。頻尿、排尿困難、灼熱感、尿失禁などの症状が投与中止後に2〜8年間続いた症例や投与中止後10年たっても出血性膀胱炎をくり返した症例も報告されている3,10)。
ペニシリン系抗生物質9)、漢方薬11)、トラニラストによる出血性膀胱炎は、原因薬剤の中止によって治癒するとされている。



(8)副作用の発現頻度

シクロホスファミドが使用され始めた頃は、出血性膀胱炎は40〜68 %とされていたが2,5)、その代謝産物アクロレインの中和剤であるメスナ(Mesna:sodium 2-mercaptoethanesulfonate, a sulfhydryl compound)を併用するようになってからは、出血性膀胱炎の発症頻度は5%程度まで減少している。現在までのところ、出血性膀胱炎を予測する因子はなく、化学療法開始後短時間でも発症しうるが、シクロホスファミドの経口投与による出血は晩期に発生することもある。メイヨークリニックのシクロホスファミドを投与した100例の集計では、90 g以上の経口投与、あるいは18 g以上の静脈注射で出血性膀胱炎が発症し、20 %の症例で輸血が必要になったが、多くの患者では回復が得られた。出血のコントロールが困難な例では、9例に膀胱摘出術が施行され、10例が合併症のために死亡したと報告された。
ペニシリン系抗生物質による出血性膀胱炎は非常にまれであるが、広域性ペニシリン系薬剤は嚢胞性線維症の広域性ペニシリン系抗生物質で治療した既往のある患者で出血性膀胱炎を引き起こすと報告されている



副作用の判別基準(判別方法)
  • 診断は現病歴や既往歴の詳細な聴取により原因と推定される医薬品の使用の有無と投与量そして投薬期間を確認すること、そして最も類似した症状や他覚所見を呈する放射線性膀胱炎を鑑別するために放射線照射の治療歴の有無を確認することが重要である。さらに尿検査所見、尿培養検査、血清クレアチニンなどで腎機能の評価、超音波検査、腹部単純エックス線写真、尿路造影そしてCTなどの画像所見そして膀胱鏡所見を照らし併せて総合的に診断する。
    肉眼的血尿の鑑別診断としては、尿路結石、尿路上皮癌や腎細胞癌そして良性および悪性の前立腺疾患などがあり、小児ではウイルス性膀胱炎や好酸球性膀胱炎などの鑑別が重要である。

  1. 病歴の聴取
    1. 現病歴、既往歴の聴取
    2. 原因と推定される医薬品の使用の有無
    3. 放射線照射の治療歴の有無
  2. 必要な検査
    1. 尿検査所見
    2. 尿培養検査
    3. 血清クレアチニンなどで腎機能の評価
    4. 超音波検査
    5. 腹部単純エックス線写真、
    6. 尿路造影やCTなどの画像所見
    7. 膀胱鏡所見
  3. 肉眼的血尿の鑑別診断
    1. 尿路結石
    2. 尿路上皮癌
    3. 腎細胞癌
    4. 良性および悪性の前立腺疾患
    5. 小児はウイルス性膀胱炎
    6. 好酸球性膀胱炎


判別が必要な疾患と判別方法


(1)判別が必要な疾患(参考までに出血性膀胱炎をきたす原因を表1に示す。)
  • @ 移植患者におけるウイルス性膀胱炎:骨髄等移植患者の場合、生着前は尿中白血球の出現を見ないことが多い点に注意する
    A 放射線性膀胱炎:放射線治療歴を確認する。
    B 急性細菌性膀胱炎または慢性膀胱炎の急性増悪:尿培養は抗生剤使用下では陰性結果となることが多い
    C 尿路結石:下部尿管結石や膀胱結石では、血尿とともに膀胱炎様症状を呈することがある。
    D 泌尿器科悪性腫瘍:とくに膀胱腫瘍・前立腺癌など。CT・超音波・細胞診・マーカーチェックのほか、膀胱内視鏡および生検等を泌尿器科医まで依頼する。
    E 婦人科・消化器系悪性腫瘍の膀胱浸潤:CT・MRI・超音波・マーカーチェックのほか、各専門医に診察を依頼
    F 悪性リンパ腫・白血病の膀胱浸潤:間質性変化として画像上認められる。細胞診のほか内視鏡下生検を考慮する。原疾患の治療経過に合わせて消長を示す。
    G 間質性・アレルギー性膀胱炎:膀胱内視鏡および生検を考慮する。
    H 原疾患(悪性腫瘍)増悪によるDIC:全身状態および血小板数の推移・DIC スコアを確認の上判断する。

(2)判別方法
  • 詳細な問診や身体所見のチェックをおこない、あわせて薬剤使用歴、放射線治療歴を確認する。諸検査として、尿培養、尿貯留下での超音波検査、腎尿管膀胱単純エックス線撮影(KUB)・CTスキャン、MRIなどを指示する。なお、尿路悪性腫瘍の鑑別については、尿細胞診は必須検査である。
    また可能な限り膀胱鏡を行うことが薦められ、この点から泌尿器科受診が必要である。膀胱鏡では、出血源の特定や原因の判別に有用な情報を得ることができる。





治療方法
出血性膀胱炎の予防方法について

出血性膀胱炎は抗がん薬治療で、シクロホスファミドやイホスファミドなどを大量に点滴静注した症例によく見られる副作用である。予防に膀胱の持続灌流、水分補給、メスナの投与がある。


@点滴による利尿
時間250 mL以上の生理食塩水の点滴とフロセミド投与による時間150 mL以上の利尿を高用量のシクロホスファミドの化学療法で100例に行った報告14)がある。その結果、出血は7 %に生じたが、重篤なのは2例だけであった。メスナよりコストも安く有用と考えらえる。

Aメスナ(Mesna)
メスナはシクロホスファミド、イホスファミドを投与される患者には有用な薬である15)。静脈から投与後メスナは酸化され血清中で安定したジスルフィドになって尿中でアクロレインと結合し不活性なチオエーテルになり排泄される。シクロホスファミドやイホスファミドの血中半減期は6〜7時間であるが、メスナの血中半減期は90分であるため、メスナが化学療法中膀胱に存在するように投与しなければならない。
重篤な出血に進行しないように予防する上で重要な点は、膀胱炎症状に対する注意深い観察である。高用量のシクロホスファミドやイホスファミドを投与された患者は少なくとも一日2 Lの飲水が励行される。寝る前まで飲水をし、夜間も一度は膀胱を空虚にするために排尿するべきである。ただし、膀胱刺激症状だけでシクロホスファミドの治療を中止する必要はない。



出血性膀胱炎発症後の治療について

予防方法の普及により出血性膀胱炎の発症は減少したが、一旦発症した事例については基本的に泌尿器科医などの専門医に相談することが必要である。
出血性膀胱炎の程度を軽度、中等度、重度の3つのグループに分けている報告もある1)。軽度の出血はヘマトクリットの低下がないもので、膀胱の生理食塩水持続灌流や硝酸銀、ミョウバンでコントロールされる。アミノカプロン酸(注)も有効とされる。中等度の出血は数日でヘマトクリットが減少し、6単位以下の輸血を必要とするもので、血塊により尿路が閉塞することもある。

治療はまず、血塊を除去し、膀胱の生食持続灌流で再度血塊による閉塞が起きないようにする。アミノカプロン酸、ミョウバン、硝酸銀の膀胱内注入を行う。プロスタグランジンの膀胱内注入も考慮する。重度の出血は生理食塩水の灌流や膀胱内注入に反応せず、6単位以上の輸血を必要とするもので、ホルマリンの膀胱内注入による固定を考慮する。膀胱を支配する動脈塞栓術も考慮されることがある。
(注)2009年2月現在、日本では販売中止。

@膀胱持続灌流

膀胱内の凝血塊を洗浄し除去する。多孔式の尿道カテーテルを留置し、生理食塩水で持続灌流をする。出血が持続する場合は、麻酔下に膀胱鏡を挿入して、直視下に凝血塊を取り除きつつ、出血点を止血するようつとめる。できるだけ、膀胱粘膜面から凝血塊を取り除くようにする。

A高圧酸素療法

高圧酸素療法は一般に放射線性の出血性膀胱炎に行われ、薬剤性に対して実施した報告はないが有用性が示唆されている16)。実施時の気圧は徐々に2〜2.5気圧まで上昇させ、1セッション90分から2時間で30〜60セッションまで予定する。

Bミョウバン(Alum)

ミョウバンは簡単かつ安全に無麻酔で膀胱粘膜の焼灼が可能とされる。方法は、1%のミョウバン水で膀胱持続灌流をする、あるいは、400 gのカリウムミョウバンを4 Lの滅菌水に溶解し、この溶液300 mLに3 Lの0.9 %生理食塩水を加え灌流液とする。ミョウバンは膀胱刺激症状が少なく、膀胱粘膜には吸収されず、膀胱粘膜上皮に障害を与えない。膀胱尿管逆流症があっても使用できるが、急性のアルミニウム中毒症状が起きることがあるとも報告されており注意が必要である。

C硝酸銀(Silver nitrate)

硝酸銀は0.5 %〜1 %の溶解液で膀胱内に注入する。ミョウバンと違い持続灌流はせず、10〜20分間注入しておく。多数回の注入が必要なこともありうる。放射線あるいはシクロホスファミドによる出血性膀胱炎に対して硝酸銀を投与した小児例ではアミノカプロン酸より有効であったが効果は短かったと報告されている。硝酸銀が腎杯まで逆流し、尿路閉塞を来たし腎不全になった症例も報告されているため注意を要する以下は参考例であり、日本では現在使用できないか、主に海外で行われている治療方法である。

Dアミノカプロン酸

2009年2月現在、日本では販売中止となっている。アミノカプロン酸は経口あるいは非経口的に投与される。血中のプラスミノーゲンはフィブリンに結合してプラスミノーゲン活性化因子(組織プラスミノーゲン活性化因子tPA、ウロキナーゼ)により活性化され、フィブリンを分解する。アミノカプロン酸はここでフィブリンに拮抗してプラスミノーゲンに結合して活性化を阻害し、これによってフィブリンの分解による出血を抑制し、さらにプラスミノーゲンを抑制することで線維素溶解を抑制する。5 gを初期投与として経口投与あるいは点滴投与し、続いて点滴で1g/時〜1.25 g/時で1日最大合計投与量30 gまで24時間で投与する。最大効果発現時間は8〜12時間後である。凝血塊により、尿管口が閉塞され急性腎不全になることがありうるため、上部尿路の出血や膀胱尿管逆流症が疑われる患者には投与しない。24,25)

Eプロスタグランジン(Prostaglandins)

多くの場合プロスタグランジンE2が血管上皮に作用し、血小板を凝集し血管を収縮させる。粘膜と粘膜下の血管の平滑筋を収縮させることで止血作用があると考えられている。26)プロスタグランジンE2 0.75 mgを200 mLの生理食塩水に溶解して膀胱内に注入し、4時間経過観察する。27)治療は肉眼的血尿がとまるまで毎日行うが、多くの患者は24時間以内に血尿が軽快するとされている。膀胱刺激症状はすべての患者に生じるとされている。

Fホルマリン(Formalin)

ホルマリンによる止血は重篤な副作用を生じる可能性が高く、専門医に相談することが必要である。難治性の膀胱出血に使用される。ホルマリンはホルムアルデヒド37 %溶解液である。この溶解液を滅菌水で薄めて1 %〜10 %とし、50 mLを4〜10分間膀胱内に注入する。タンパクを変性し、表面の組織を固定することで粘膜および粘膜下からの出血を止める。治療は体位を反Trendelenberg体位にすることで、できるだけ尿管への逆流を防ぐ。欠点としては、膀胱内注入は疼痛が強く麻酔が必要である。また膀胱尿管逆流症の有無を確認する必要があり、逆流を確実に防止するためには、尿管内に閉塞用カテーテルを留置するなどの処置が必要なことがある。ホルマリンは膀胱粘膜、膀胱壁を固定するため、高率に萎縮膀胱となる。徐々にホルマリンの濃度を上げて接触時間を延ばすと、萎縮膀胱の程度が軽くなる可能性も指摘されている。
以下は外科的な処置としてあげる。

G動脈塞栓術(Arterial Embolization)

前立腺や膀胱から出血している際は動脈塞栓術が有効である。内腸骨動脈の分枝を選択的に塞栓することで止血される。

H外科治療

最終手段として外科的な処置が必要になることがあり、出血により生命に危機が及んでいる際の最終手段である。回腸膀胱形成術、膀胱全摘出術および尿路変更術、あるいは尿路変更術単独(回腸導管、両側腎瘻造設、尿管皮膚瘻術など)、内腸骨動脈の結紮などから選択する30-32。
その他に、あえて膀胱タンポナーデをおこし、水腎症を呈してから腎瘻造設による尿路変更を行い、待機して止血を待つ方法も考えられる。



典型的症例の概要
症例−1):40歳代、男性
【診断】成人型T細胞白血病
【現病歴】
1989年:30歳時にくすぶり型、皮膚型成人型T細胞白血病(ATL)を発症した。
1990年10月〜1996年10月:経口シクロホスファミド100 mg/日、プレドニゾロン10 mg/日を投与された。
1996年11月〜1998年8月:上記治療を自己中断していた。
1998年9月〜2000年4月:経口シクロホスファミド100 mg/日、プレドニゾロン20mg/日を再度開始した。
2000年5月〜8月:プレドニゾロン 10 mg /日のみで経過観察された。
2000年9月〜2001年6月:経口シクロホスファミド50 mg/日、プレドニゾロン5 mg/日と再度シクロホスファミドを開始した。
2001年6月〜2003年5月:プレドニゾロン15〜5 mg/日とシクロホスファミドを休薬した。
2003年6月〜2005年1月:経口シクロホスファミド50 mg/日を再開した。
2005年1月:肉眼的血尿が出現。他院で膀胱洗浄、止血剤が投与されていた。
2005年4月:出血のコントロールが出来ず、膀胱タンポナーデが持続するため紹介受診した。



【入院時検査成績】

血算生化学:WBC 3,700 /μL, RBC 139x104 /μL, Hb 4.0g /dL, Ht 12.7 %, Plt 29.6x104 /μL, BUN 8mg /dL, Cre 0.74mg /dL, Na 139 mEq/L, K 3.9 mEq/L, Cl 104 mEq/L, Ca 8.4 mg/dL , AST 13 IU/L, ALT 14 IU/L, T-Bil 0.1 mg/dL, ALP 234 IU/L, LDH 125 IU/L, CRP 5.46 mg/dL
尿検査:蛋白(3+), 尿糖(-), 潜血(3+), ビリルビン(-), 赤血球 無数 /HPF, 白血球 11-15 個/HPF


【入院後経過】

入院後は膀胱内の血腫(図1)を完全に除去した後(図2)、膀胱持続洗浄を施行。その後、肉眼的血尿は軽快した。


【退院後の経過】
その後、肉眼的血尿が間欠的に認めたが、自然軽快を繰り返していた。
インターフェロンγ療法も行われていたが、ATLが悪化し2007年4月に死亡した。










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