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腫瘍崩壊症候群






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腫瘍(しゅよう)

尿酸


急性腎不全




腫瘍崩壊症候群
腫瘍崩壊症候群とは?
  • 腫瘍崩壊症候群とは、悪性腫瘍の治療の際に抗がん剤治療や放射線療法の効果が優れており、腫瘍が急速に死滅(崩壊)するときに起きます。
    1. 体内の尿酸が増える、
    2. カリウム、カルシウム、リンなどの電解質 のバランスが崩れる、
    3. 血液が酸性になる、
    4. 腎臓からの尿の産生が減少する
    などの異常が出現します。
    腫瘍を死滅させることが悪性腫瘍の治療の目的ですので、治療がうまくいった時に起きる副作用ともいえます。
    • 通常治療開始後12時間〜72時間以内に起きてきます。

    腫瘍細胞が大量に崩壊するときに、それらの細胞より大量の核酸(細胞の中にある核、すなわち遺伝子を形成している物質)、カリウムなどの電解質、酸などが放出されます。通常、核酸は尿酸に分解・代謝されて腎臓より尿中に排泄されます。
  • 核酸が大量に放出されるので、大量の尿酸が体内で作られます。
  • 尿酸が痛風の原因とご存知の方も多いと思いますが、尿酸が足の親指の関節などで結晶化した時に痛風になります。もともと、尿酸は結晶化しやすい物質です。尿酸は尿中に排泄されますが、尿中に多量に排泄され、尿の中の尿酸が高濃度になると、尿中で結晶化されます。この尿酸の結晶が尿細管や尿管という尿の通る管の内側に詰まってしまうと、尿が外に出られなくなってしまいます。尿が出なくなると急性腎不全となり、場合によっては一時的に人工透析が必要になります。
    腫瘍崩壊症候群を予防するために、効果の高い治療を行う際に色々な工夫が行われます。その予防法を下に列挙します。腫瘍崩壊症候群の起きやすさを目安に、これらの予防法のいくつかを組み合わせて行います。
    1. 水分を多く摂る:水を飲む、点滴で水分を補給することが大切です。水分を多く摂ると、尿が薄められ、尿酸が結晶化しにくくなります。電解質のバランスが崩れることも予防します
    2. 核酸から尿酸を作ることを抑制するアロプリノールという薬を治療前から予防的に服用します。
    3. 体をアルカリ性にするためにクエン酸塩、重曹(炭酸水素ナトリウム)を服用します。アルカリ性にすると尿酸の水(尿)への溶解度が増し、尿酸が結晶化しにくくなります。同時に、血液が酸性になることを防ぎます。
    4. 尿酸を分解するラスブリカーゼという薬を使います。
      • 2010年に販売を開始した薬です。この薬は尿酸を分解することで血液中の尿酸を減少させます。










早期発見と早期対応のポイント
  • 腫瘍を急速に死滅(崩壊)させる治療は、一般的に入院しておこないますので、この副作用は入院している時(治療開始後12時間から72時間以内)に起こることがあります。ご自身が気づくこの副作用特有の早期の症状は少なく、大切なことは上記予防法をしっかり実行していくことです。さらに、副作用を的確に把握するには、血液検査、尿検査、尿量測定が重要となります。
  • 治療開始後、特に48時間以内は時間ごとの尿量測定、血液中の尿酸濃度や腎不全の目安となるクレアチニン濃度などの測定、血液の酸性度の測定などを頻繁に行います。
  • 患者さんが感じる症状が出ないうちの早期に腫瘍崩壊症候群の兆候を捕まえる大切な検査ですのでご理解ください。予防対策、頻回の検査にもかかわらず、この副作用がおきても重くならないように各種の治療法が用意されています。
    ただし、最近では外来での化学療法が増えており、ご自身にも理解していただき、予防法を実行していただくことが重要です。また、来院していただくスケジュールの間に万が一尿量が減ったと気付いたら、ただちに医師、看護師、薬剤師におしらせください。

  1. 副作用の好発時期
       原因治療薬の開始後、通常12〜72時間以内に発症する。
  2. 患者側のリスク因子
    • もっとも大きなリスク因子は患者の罹患している疾患である。急性白血病(急性骨髄性白血病、急性リンパ球性白血病)、悪性リンパ腫などが大きなリスク因子となる(表-3)。もともとの腎機能が低下、脱水、尿の濃縮、酸性尿などもリスク因子である。
      (表-3)腫瘍崩壊症候群を生じ得る腫瘍の種類と頻度
      AML 11〜27 %, 17 %
      ALL 19〜63 %, 47 %
      CLL 0〜10 %, 3.5 %
      CML 0.9〜9 %, 4 %
      悪性リンパ腫 18〜28 %, 22 %
      多発性骨髄腫 0〜3.9 %, 1.4 %
      固形癌 1〜5 %, 3.6 %
  3. 早期に認められる症状および検査異常
    • 典型的な症状は治療開始6時間以内において、まず高カリウム血症が現れる。少し遅れて24〜48時間後にリン、カルシウム、尿酸が変動し、それ以後に血清クレアチニン値が上昇し急性腎不全が生じやすい。
      高カリウム血症については、腫瘍細胞内は細胞外に比べカリウム濃度が高いため、崩壊されると生じる。症状として、筋力低下、知覚異常や嘔気、嘔吐などの消化器症状が含まれるが、血清カリウム値が6.5 mEq/L以上となると致死性不整脈の危険が高まる。
      高尿酸血症は細胞崩壊により大量に放出された核酸より産生される尿酸によって生じる。腎尿細管は元来、皮質から髄質側にかけて尿酸の濃度勾配が存在し、尿が尿細管を移動して集合管に至るとき、尿酸濃度が最大となる。このとき、尿酸結晶が集合管内で析出すると尿細管閉塞が起こり、急性尿酸腎症となり、急性腎不全に至ることがある。また、腫瘍崩壊症候群(tumor lysis syndrome:TLS)の高尿酸血症に対して予防的、治療的によくアロプリノール(保険適用外)が用いられるが、尿酸産生は相対的に減少するものの、その代りに前駆体のヒポキサンチンとキサンチンの尿中排泄が増大する。キサンチン様結晶の存在を尿中に高頻度に認めた急性腎不全の場合、高キサンチン尿症が原因となっている可能性もある。高キサンチン尿症を予防するために尿酸酸化酵素であるラスブリカーゼを使用する機会も増加している。
      リン・カルシウムについては、白血病治療開始24-48時間に尿細管でのリン酸の再吸収は元のレベルの20-70 %に低下し、尿中の排泄が3-24倍に増量するといわれている。尿細管でのリン酸濃度の上昇により、リン酸カルシウム塩の尿細管内析出がはじまり、急性腎不全を生じる。
      また、TLSに伴って発現し得る徴候の1つとして、乳酸アシドーシスが挙げられ、その出現と程度がTLSの重症度に相関するとされる。乳酸アシドーシスは、血中乳酸値が4 mEq/L以上となり、pH<7.37を示す代謝性アシドーシスで、anion gap ([Na+]-([Cl-]+[HCO3-]))が開大する。Kussmaul型過換気、血圧低下、頻脈、無気力、嘔気などの症状を呈し、さらに増悪すると意識障害に至る。
    • 乳酸アシドーシスの一般的な原因は、ショックや敗血症などにより、組織の循環血流の低下や低酸素の病態で生じ、糖尿病やアルコール中毒などの基礎疾患は危険因子である。TLSにおける乳酸アシドーシスの原因は明らかではないが、乳酸産生の機序をミトコンドリアの機能不全に続く代償性の嫌気性解糖の亢進の結果とみており、大量の腫瘍細胞が一挙にアポトーシスを起こす時に、一過性に乳酸産生の亢進が起きる可能性が示唆されている。
  4. 推定原因医薬品
    • 報告頻度の高い医薬品は レナリドミド(Lenalidomide), イマチニブ(Imatinib), ニロチニブ(Nilotinib), フルダラビン(Fludarabine), サリドマイド(Thalidomide), リツキシマブ(Rituximab), LBH589(Panobinostat、平成22年12月現在国内未発売), カペシタビン(Capecitabine), セツキシマブ(Cetuximab), スニチニブ(Sunitinib),ドセタキセル(Docetaxel), ゲムシタビン(Gemcitabine), ベバシズマブ(Bevacizumab)である。
      各医薬品の副作用発現頻度は不明である。TLSの発生頻度は、リスク対象となる症例の設定基準、TLSの予防処置の有無と内容、さらにTLSの診断基準の取り方によって、大きく異なってくる。




副作用の概要
  • 腫瘍崩壊症候群(tumor lysis syndrome:TLS)は、何らかの原因による腫瘍の急速な細胞崩壊のために、細胞内成分とその代謝産物が腎の生理的排泄能力を越えて体内に蓄積し、尿酸・リン・カリウムの血中濃度上昇、低カルシウム血症、乳酸アシドーシス、さらには乏尿を伴う急性腎不全を含む多彩な病態を生じる。急激な細胞崩壊の原因として、抗がん剤や放射線、その他の治療開始
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    が契機となるのが通常であるが、細胞回転の著しい亢進と腫瘍量の増大のため、既に治療前にTLSの徴候がみられる症例もある。2008年米国臨床腫瘍学会(ASCO)ガイドラインによると、laboratory TLS とclinical TLSに分け、前者はリン, カルシウム, カリウム, 尿酸のうち2つ以上に基準値と比べ25 %以上の変動がある場合に定義され(表-1)、
    • (表-1)Laboratory TLS ガイドライン
      元素 血中測定値 基準値からの変化
      尿酸 8mg/dL 25%増加
      カリウム 6.0mmol/L以上
      リン酸 2.1mmol/L以上(小児)
      1.45mmol/L以上(成人)
      カルシウム 1.75mmol/L以下 25%低値
    後者は血清クレアチニン値、不整脈、けいれんをもとにgrade0-5まで分けて定義している(表-2)。
    • Clinical TLSガイドライン
      合併症
      クレアチニン 1.5倍以下 1.5 1.5〜3.0 3.0〜6.0 6.0以上 死亡
      心臓不整脈 なし 処置不要 薬物療法 症状あり 重篤 死亡
      ケイレン なし なし 短時間
      一過性
      意識低下 長時間
      反復性
      死亡




治療方法(予防・治療)
  • 腫瘍細胞が大きい場合、薬剤または放射線に対し、高い感受性を有する場合、たとえばBurkittリンパ腫、またはそのleukemic counterpartとしてのALL-L3やTリンパ芽球性リンパ腫(lymphoblastic lymphoma:LBL)、あるいは白血球数の多い急性白血病(ALLやAML)はリスクファクターとなるので留意しておく。また、脱水、尿量減少、酸性尿、濃縮尿はリスクファクターであるので、治療前には補正しておく。具体的には、水分負荷(補液)、利尿、アロプリノール投与、尿アルカリ化である。

(具体的予防法・治療法)
  • @ 水分負荷、利尿
    • 急激な細胞崩壊により大量に発生した尿酸・リン・カリウムを速やかに体外に排泄し、尿酸とリン酸カルシウム塩の尿細管内析出を防ぐために、大量補液を開始して尿流量を確保する。化学療法開始の少なくとも24〜48時間前より補液を始める。
    A アロプリノール(保険適用外)
    • 急激な細胞崩壊により生じる高尿酸血症を予防するために、アロプリノールを投与する。アロプリノール投与に伴うキサンチン腎症の予防のためにも水分負荷は必須である。
    B 尿アルカリ化
    • 尿酸の析出を尿アルカリ化によって抑制するために、アルカリの投与(重曹、クエン酸塩)を尿酸値が高い時期には行う。強度の尿アルカリ化は、高リン血症患者においてはリン酸カルシウム沈着を促すので注意する必要がある。またクエン酸塩にはカリウムも含まれるため高カリウム患者には十分注意して投与すること。
    C 高カリウム血症への対処
    • 高カリウム血症が著しい場合にはGlucose-Insulin (GI) 療法, 陽イオン交換樹脂投与、フロセミド投与、透析など適切に行う。
    D 乳酸アシドーシスの早期診断
    • ショックの是正、透析などであるが、死亡率が高いので早期診断早期発見が必要である。
    E 尿酸を分解するラスブリカーゼの予防投与
    • ラスブリカーゼは尿酸酸化酵素であり、尿酸を酸化しアラントインにする。主として腫瘍崩壊症候群予防のために使用する。化学療法開始前4〜24時間に初回投与を静注で行い、1日1回5〜7日投与する。副作用としてアナフィラキシー、溶血、ヘモグロビン尿、メトヘモグロビン血症がある。
    F 透析の適応
    • 腎不全、著しい高カリウム血症・高尿酸血症・乏尿など通常の治療にては対処不能な時は、人工透析を行う。








【典型的症例】ドセタキセル+ネダプラチン
  • 57歳、男性。胸部下部食道癌に対し左開胸、開腹食道亜全摘および三領域リンパ節郭清を施行した。病理組織診断は高分化型扁平上皮癌であった。術後の補助療法は本人が望まなかったため、いったん退院となったが、1年後にリンパ節転移、多発性骨転移、多発性肺転移を認め、化学療法目的で再入院となった。化学療法(docetaxel 30 mg/m2+nedaplatin 30 mg/m2を隔週投与)開始11日後の採血で、血清カリウム値 6.3 mEq/L, 尿酸値11.0 mg/dL,リン値 7.2 mg/dl, 血清クレアチニン値 8.57 mg/dLとなった。TLSと診断し、補液及び利尿薬の併用、アロプリノール投与、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム投与を行ったところ奏功し、救命された。
  • (癌と化学療法2008; 35: 2030-2032)







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