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薬剤による低血糖 | |
血液中のブドウ糖濃度が異常に低い(50 mg/dL 以下)状態をいう。
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原因となる 主な薬剤 |
インスリン、 糖尿病用剤(スルホニル尿素系、ビグアナイド系、α−グルコシダーゼ阻害剤)、 合成抗菌剤(ニューキノロン系、ST 合剤)、 不整脈用剤(ジソピラミド、シベンゾリンなど)、 脳循環代謝改善剤(ホパンテン酸カルシウム)など |
低血糖とは? | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
(厚生労働省) 低血糖とは、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が低くなった状態です。 血糖値は、健常人では空腹時でも70 mg/dLより低下することはほとんどありません。 血糖値が60‐70 mg/dL未満になると、
これは低血糖に対して血糖を上昇する働きのあるアドレナリンやグルカゴンが分泌されるために生じる症状で、交感神経症状と呼ばれます。 さらに 血糖値が30 mg/dL未満になると
これは、脳の機能が低下するために生じる症状で、中枢神経症状と呼ばれます。低血糖になっても直ちに治療を行えば危険はありませんが、中枢神経症状が数時間以上続くと、稀に脳の重大な後遺症や生命の危険が生じることがあります |
副作用の概要 |
(1)自覚症状
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副作用の判別基準(判別方法) |
低血糖の重要な所見としてはWhippleの3徴が有名である。すなわち、
これらはインスリノーマの所見として有名であるが、インスリノーマに特有のものではなく、空腹時低血糖症に一般的に認められる所見である。 交感神経症状や中枢神経症状は低血糖を疑う所見として重要であるが、これらの症状だけでは低血糖とは診断できない。低血糖を疑った場合には必ず血糖値を測定し、60‐70 mg/dL未満である場合は低血糖と診断する。また、症状がなくても、血糖値が60‐70 mg/dL未満である場合は低血糖と診断してよい。 インスリンや経口糖尿病治療薬(とくに、スルホニル尿素薬か速効型インスリン分泌促進薬)の治療が行われている症例に低血糖が起きた場合は、これらの薬物投与が低血糖の要因である可能性が高い。薬物投与の中止や投与量の減量により低血糖が消失または軽減したならば、薬物投与量の過剰が原因であったと考えてまず間違いない。 |
判別が必要な疾患と判別方法 |
(1)反応性低血糖
(2)インスリノーマ
(3)詐病性低血糖
(4)インスリン自己免疫症候群
(5)膵外性腫瘍
(6)インスリン拮抗ホルモン低下
(7)糖原病(I型、III型、VI型)
(8)新生児、乳児、小児の低血糖
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治療方法 |
(1)低血糖が起きた場合の緊急対応
(2)低血糖の原因となった薬物の中止や減量
(3)低血糖の予防
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典型的な症例 |
[症例1] ナテグリニドによる低血糖 症例:50歳代、男性 既往歴:心房細動、心不全、甲状腺機能亢進症 上記疾患にて下記薬が投与されている。 ロサルタンカリウム(50mg)1日1錠 朝食後 ベラパミル塩酸塩(40mg)1日2錠 朝夕食後 フロセミド(40mg)1日1錠 朝食後 チアマゾール(5mg)1日0.5錠 朝食後 シロスタゾール(100mg)1日2錠 朝夕食後 ワルファリンカリウム(1mg)1日2錠 朝食後 現病歴:4年前、糖尿病と腎機能障害を指摘され、ナテグリニド(90mg)1日3錠、各食直前投与が追加投与された。低血糖のエピソードはない。 1か月前、HbA1c 6.0%、血清クレアチニン 1.5mg/dL 4日前から嘔吐・下痢のため食事摂取が困難となったが、服薬は続けていた。意識が混濁してきたため来院した。 来院時現症:Japan Coma Scale I-3度、血圧 86/62 mmHg、脈拍69回/分、舌乾燥 血液生化学所見:血糖26 mg/dL、HbA1c 5.1 %、BUN 108 mg/dL、Cr 8.8 mg/dL 経過:低血糖を認めたため、50%ブドウ糖を160 mL静脈注射するも低血糖が遷延、ブドウ糖点滴に切り替え6時間後にようやく100 mg/dL以上となった。入院加療にて2日後Cr 1.74 mg/dLまで改善、低血糖は消失した。ナテグリニドを中止して退院となった。 考察:ナテグリニドは速効型インスリン分泌薬であり、比較的低血糖は起こしにくいが、本症例のように、食事摂取不良や脱水による急性腎不全があると低血糖の危険が高くなる。このようないわゆるシックデイにはナテグリニド投与を中止するようあらかじめ指導しておく必要がある。 [症例2] シベンゾリンコハク酸塩による低血糖 症例:80歳代、女性 既往歴:高血圧、直腸癌で直腸部分切除、心不全 上記疾患にて下記薬が投与されている。 カンデサルタンシレキセチル(8mg)1日1錠 朝食後 ニフェジピン徐放錠(40 mg)1日1錠 朝食後 ワルファリンカリウム(1mg)1日2.5錠 朝食後 現病歴:9月、発作性心房細動を認め、シベンゾリンコハク酸塩(100 mg)1日3錠 各食後および、ベラパミル塩酸塩(40mg)1日3錠 各食後が追加投与された。 11月20日から心窩部不快感が出現した。 11月28日嘔気・嘔吐、食欲不振、全身倦怠感のため受診した。血糖値25 mg/dL と低血糖を認めたため、低血糖の精査・治療目的で入院となった。 入院時現症:意識清明、血圧142/80 mmHg、脈拍65/分整、神経学的異常所見なし 検査所見:血糖値25 mg/dL、血中インスリン28 IU/mL、血中C-ペプチド7.2 ng/mL、BUN18 mg/dL、Cr 0.76 mg/dL 入院後経過:5% ブドウ糖持続点滴(60 mL/hr)を開始したが血糖値30‐70 mg/dL の遷延性低血糖を示した。入院3 日目からは、8%ブドウ糖液持続点滴(60 mL/hr)静注と食事の開始によって低血糖が消失した。入院後の精査でインスリノーマは否定的であり、シベンゾリンコハク酸塩による低血糖を疑った。入院時血清を用いてシベンゾリンコハク酸塩血中濃度を測定したところ1,868 ng/mL と著明高値を示した。 [症例3] レボフロキサシンによる低血糖 症例:70歳代、女性 既往歴:高血圧症 現病歴:20年前から糖尿病がありスルホニル尿素薬で治療されていたが、血糖コントロール不良のため1月に入院した。 2月にグリベンクラミド10 mg/日にて血糖コントロール良好となった。 3月に咽頭痛、鼻汁、咳のため、レボフロキサシン400 mg/日を1週間投与した。投与終了時までに空腹時血糖値150 mg/dLから100mg/dLに低下したため、グリベンクラミド7.5 mg/日に減量した。 4月に右母趾に疼痛、腫脹を生じたため、レボフロキサシン400 mg/日を再投与した。投与3日目の朝、発汗多量、流涎、意識消失が起こり、血糖値を測定したところ17mg/dLだった。グリベンクラミドの投与を中止後も5日間低血糖が持続し、ブドウ糖点滴投与が必要だった。 |
コハク酸シベンゾリン・・・副作用 |
平成20年10/1〜平成21年2/28 |
アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加1 意識変容状態1 アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加1 血圧上昇1 徐脈1 心停止2 心不全1 心肺停止1 意識レベルの低下1 心電図QRS群延長1 肝機能異常1 低血糖症12 間質性肺疾患3 動悸1 肺水腫1 腎不全1 洞停止1 心電図異常P波1 ペーシング閾値上昇1 心房細動1 昏睡1 |
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