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血の道症



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血の道の漢方薬
茵蔯蒿湯


烏梅丸
  1. 患者、46歳女性。
    病歴、5年前から、ゲップ・悪心・不眠・多夢・肩凝り・頭が重く何かがかぶさっているようだ、めまいもすることがある。寝たきりで全然起きられない。婦人科では手術を受けたが反って悪くなったような気がする。現在はブドウ糖とビタミンの注射をしてもらっている。
    現症。初診6/11。かなり痩せていて見るからにピリピリするような神経質でどげどげしさが感じられる。以上の訴えの他に時々カーッとのぼせる。イライラする。咽に刺激感を覚える。足は冷たい。動悸、胃部が張る感じ、左手がシビレるなどの自覚症がある。大便は普通だが、小便は1日2、3回で時々出にくい感じがする。
    望診上では、唇が乾燥気味で青味がかっている。舌は黒っぽい。脈は非常に沈んで弱い。腹診すると、腹壁は軟く、胸脇苦満や胃部振水音、腹動などはない。
    治療と考案。病名は血の道症とつけた。一名更年期症候群。一名婦人精神身体症である。ノイローゼ、神経質、ヒステリー、卵巣機能障害、自律神経不安定症などと診断され、性ホルモンや精神安定剤を用いられるが、心因性のものがあるのでなかなかさっぱり行かないのが常である。
    漢方的にみても厄介で、医者と患者の両方が忍耐と工夫をしなければ うまく行かない。
    先ず考えられるのは柴胡桂枝乾姜湯で、大体の症状は合っているが、悪心と腹証はぴたりとしない。柴胡桂枝乾姜湯は条文にも嘔せずとあり、実際味が悪いのでよく吐いてしまう人も有るくらいだ。
    シビレ、小便難がある点では苓桂朮甘湯を考えないわけにはいかないが、ゲップ・胃部膨満感などがあるのでどうもぴったりと来ない。
    咽中炙肉感があるからといって半夏厚朴湯の専売ではない。咽に来る経絡を考えたら他にいろいろなものが出てくるし、のぼせなども合わない。
    残るのは黄連だが、黄連湯、黄連阿膠湯、甘草瀉心湯など一渡りしても脈その他ぴったりするものがない。まだ烏梅丸が残っている。
    何しろ症状が複雑多岐で頭が混乱するから整理分類してみよう。この患者は上が熱して中が詰まって下が冷えている状態である。厥陰病は寒熱錯綜というが、寒と熱が一緒にごちゃごちゃになっているのではなくて、部分的に熱しているのは上の陽気が盛んなためで、下が冷えているのは下の陰気が盛んなためで、そうなったのは中が支えているので、上 の陽気が降れず、下の陰気が昇れずにいるからである。
    のぼせは頭部の充血によるものだが、陽気が盛んになっていると見る、烏梅丸には黄連と桂枝が入っているから適合する。
    不眠は外の陽気が盛んなために起こるから、この場合は黄連で良い。黄連が一番多量に入っていることも意味があるようだ。
    イライラするのは心肝の障害で、やはり黄連でよい。
    動悸はこの場合心熱と見られるから、心の陰気を補う黄連でよろしい。
    なお、上熱には黄柏も作用するし、のぼせ、動悸、めまい、頭重などを上衝も手伝うものとすれば桂枝が物を言うことになる。
    次に中の症状だが、ゲップはこの場合は胃の虚寒のために起こるとしてよいだろう。胃の虚寒は足が冷えることや橘皮竹茹湯の証からも考えられる。乾姜蜀椒が入っている。
    胃部の膨満感は胃虚である、人参が入っている。
    悪心は“嘔せんと欲す”と、“吐せんと欲す”では病理が違ってくる。上に熱があるためなら“嘔せんと欲す”とし、胃に虚寒があるなら“吐せんと欲す”とすべきだが、今の場合はどちらの条件もあるからどちらにとっても宜しい。
    下の冷えは、胃の虚寒と共に腎の陽虚陰盛と解釈すべきであろう。舌が黒いのは、腎陰が盛んなためとする。小便難は腎の陽虚であり、陽気が上ばかり集まっていて下に降りてこないためとも解釈できる。
    以上の症状には桂枝・細辛が腎の陽気を補っている。
    手のシビレは、表虚で、附子で経を温めるほか血行をよくするために当帰がある。特に左手がシビレるというのは難しい所だが、恐らくは女子は右を逆とし、左を従とするものだが、陽は左に症状が現れることが多いと解釈すれば、この場合シビレは表の陽虚だからそれが左手に起こったとしてよいだろうか、先輩の教えを仰ぎたい。
    咽は咽と食道とを指している。咽の異常感はスチグマータとかヒステリー球とか云われるもので、食道の粘膜の知覚過敏、浮腫、食道筋層の痙攣などで起こるもので、食道神経症とも云われている。
    漢方的にみれば気痞であり、経絡的にみれば胃・肝・腎などの経絡が絡っており、果たしてこの例で何経の作用であるかは明らかにし難いが、胃経であっても腎経であっても前述のように烏梅丸証の中に含まれるものだから、半夏厚朴湯ならずともよいのである。
    経過。異常の如くにして烏梅丸を考え、烏梅丸の証を割り出し、薬能と症状とを引き合わせてそれに決め、1日量6.0を用い、9.0~12.0と漸次増量した。勘定合って銭足らずのこともあるから、結果如何と大いに興味を持っていたが、この患者は遠方で再往診も困難な事情があるため電話で連絡して経過を尋ねた。半月すると不眠症、ゲップなどの主訴が著しく軽快し、大変感謝されたが、1ヶ月後には起きられるようになった。5年間ほとんど寝たきりの病人だったので、その喜びようは並々でなかった。(龍野一雄・漢方の臨床誌第8巻第2号)


温経湯
  1. 骨盤内うっ血症候群:効率は84.0%であった。内診所見では子宮圧痛、仙骨抵抗、分泌物の量は有意に改善した。《EBM》


黄連解毒湯
  1. 顔が赤くのぼせ、不眠・心悸亢進してイライラする者
  2. 赤ら顔で、のぼせ、不眠、心悸亢進、鼻出血があり、イライラして精神が不安定な者。


黄連湯


加味逍遥散
  1. いろいろな神経症状があり、イライラして怒りっぽく、熱感と悪寒が交互に現れ、不足が不快にほてったり、頭重・めまい・顔面紅潮・寝汗・不眠・食欲不振・全身がだるいなどを訴える者
  2. 27歳女性。
    10ヶ月ほど前に、死胎を分娩し、その後、頭痛、めまい、動悸、不眠、肩凝り、便秘を訴えるようになった。月経は不順で ある。体格中等度で、栄養も血色も悪くない。
    私はこれに加味逍遥散15日分を与えた。これを呑むと、気分が軽 くなり、頭痛も、めまいも忘れた。便通も毎日つくようになり、治ったように思った。
    そこでしばらく休薬していたが、また頭痛がするようになったからといって、1ヶ月分の調剤を乞うた。こんなことを繰り返して、しっかり全快した。《大塚敬節》


加味逍遥散陳久散


加味逍遥散四物湯


甘麦大棗湯
  1. 目標
    • ①ヒステリーの発作に繁用。
      ②腹直筋がひきつり、神経の興奮がひどい者。
      ③少しのことに泣き悲しんだり、不眠、生あくびする者。
      ④狂躁状態の者
  2. 少しのことに泣き出したり、不眠、生あくびがでて、ヒステリー気味の興奮しやすい者に用います。腹直筋が突っ張っていることが多い


  1. 産後の血の道による神経症に用いる。脈・腹ともに軟弱で、おりもののある者が多い


陳久散


桂枝加竜骨牡蛎湯
  1. 神経がたかぶり、驚くやすく、動悸を感じて、のぼせ・頭痛・不眠の者
  2. 虚弱体質で、神経が亢ぶり、のぼせ、頭痛、不眠、心悸亢進、驚き やすく汗が出やすい者。


桂枝茯苓丸
  1. 赤ら顔で、頭痛・腹痛・月経障害があり、へその横に抵抗を認める者


甲字湯


香蘇散
  1. 下痞え、肩こり、耳鳴、頭鬱冒、頭痛、眩暈などある婦人、気鬱に因するものに用いる《矢数道明》


柴胡加竜骨牡蛎湯
  1. 胸に圧迫感があり、心下部が不快で、ドキドキしする者。頭痛・のぼせ・めまい・不眠・疲労を感じる人が多い


柴胡桂枝乾姜湯


柴胡桂枝湯


三黄瀉心湯
  1. 瀉心湯は家君、血暈及び俗に血の道の薬と称する者にこの方を用いる《証治摘要》
  2. 58歳女性。7、8年前の、丁度月経の閉止する頃に、腎盂炎にかかり、それが治ってのち、腎盂炎の時に経験したような悪寒が、1日の中に数回背中を通り、その後で背中が燃えるように熱し、その熱感は下から起こって上に通り過ぎる。その時、体温を測っても、平温であるという。その他、絶えず、気分がイライラして落ち着かず、耳鳴があり、大便は秘結する。こんな症状が7、8年の間、毎日続き、医師の診察を受けても、神経だとて相手にしてくれないと云う。
    昔からこのような症状を、血の道と呼んでいる。一種の神経症である。この気のいらつく感じ、背中が燃える感じ、便秘という症状は、三黄瀉心湯を用いる目標である。
    そこで10日分の三黄瀉心湯を与えた。これで症状はたいへん軽快したが、患者は6ヶ月間引き続きこの薬を呑み、ついに全治した。《大塚敬節》


七物降下湯


四逆散


四物湯
  1. 貧血気味で、血行が悪く、脈・腹ともに弱く、皮膚カサカサの者に用いる。服用して下痢する者には不適
  2. 貧血を補い、血行を良くし、神経症を鎮静させる。
  3. 脈腹軟弱で皮膚がカサカサする者
  4. 婦人血脈不調、往来寒熱、状労倦の如きを治す。《本事続集》
  5. 調経:「莎草・茯苓」《方読便覧》


四物湯陳久散


小柴胡湯


真武湯
  1. 疲れやすく、冷え性で、腹部が軟弱で振水音があり、腹痛・下痢・めまい・動悸を感じる者


清心蓮子飲


竹茹温胆湯


調経補血丸


通導散


桃核承気湯
  1. 経時に気が荒くなって、イライラしたり、怒こったりする者にも用いる。又、月経時に気が狂ったのではないかと思うほど乱暴する者にもよい。《大塚敬節》


当帰芍薬散
  1. 色白の貧血気味で、足腰が冷え、疲れやすく、頭重・めまい・耳鳴り・動悸・下腹部痛などがある


女神散
  1. のぼせ・めまいを目標に


半夏厚朴湯
  1. のどに異物感や、かゆみ・刺激を感じ、脈・腹ともに軟弱者に用いる
  2. のどにかゆみや刺激感があったり、声がかれやすく、脈腹軟弱でみずおちに振水音がある者。


防風通聖散


抑肝散加陳皮半夏湯
  1. 神経症で癇が強い者
  2. イライラして怒りっぽく、眠れない者で、腹部軟弱、ヘソの横~みずおちの近くまで、腹部大動脈の拍動が亢進する者。
  3. 神経症でカンが強い者。イライラして怒りっぽく、眠れない者。腹部大動脈で動悸を打っていることが多い


苓桂朮甘湯








○アケビ・イヌタデ・イノコズチ
針灸のつぼ 「三焦と言うのは、乳糜管と小腸と心臓の関係をいうので、ここが滞ると血の道などという病気が起こるのです。」
《沢田流聞書鍼灸眞髄》




血の道症
婦人故なく憎寒し、壮熱あり、頭痛眩暈し、心下支結し、嘔吐悪心あり支体酸軟し、或いは痺し、鬱々として人に対するを悪み、或いは頻々と欠伸する者。
  1. 婦人に起きる病態で、月経、妊娠、出産、産褥、更年期などの生理的現象や、流産、人工妊娠中絶、避妊手術などの異常生理によって発病し、器質的変化は見あたらないが、精神・神経症状が現れるのが特徴です。
  2. 更年期より広い概念です



月経・妊娠・出産・産後・更年期など女性ホルモンの変動に伴って現れる精神不安やいらだちなどの精神神経症状および身体症状のこと。
  • 1954年、九嶋勝司・東北大学教授
  • 所謂血の道症について、“婦人に見られる更年期障害類似の自律神経症候群”と定義づけた。








血の道症の症状
  1. 顔面紅潮
  2. のぼせ
  3. 手足の熱感・ほてり
  4. 体がカーッとする
  5. 心悸亢進
  6. 心臓が締め付けられる感じ
  7. めまい
  8. 血圧の変動
  9. 耳鳴り






関連情報 顔面紅潮
のぼせ
心悸亢進
めまい
耳鳴り
更年期障害








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