糖鎖
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核酸」「単糖」「タンパク質」「グルコース」「糖鎖工学研究センター

糖鎖 糖鎖とは
  • タンパク質や脂質に結合して細胞表面に張り出している物質で、ブドウ糖や果糖など複数の糖が樹状につながったもの。
  • 他の細胞や毒素・ホルモンなどと結合して情報のやり取りをする「アンテナ」の役割を果たしている。
  • グルコース(ブドウ糖)やガラクトースなどの単糖類が鎖状に多数結合した分子。
  1. 一般には生体の細胞表面に存在する糖鎖を示す場合が多い
  2. 核酸タンパク質に次ぐ『第3の生体物質』とも言われる
  3. 細胞膜のタンパク質と結合した糖タンパク、脂質と結合した糖脂質の形をとる。
  4. タンパク質や脂質は細胞膜中に埋もれているため、糖鎖は細胞表面からヒゲのように生えた状態になっている。
  5. 糖鎖は複数の糖が結合して出来ている。
  6. 細胞の表面にあって細胞同士の認識で目印になっている。
  7. ガン化やウイルス感染に深く関係している

糖鎖は糖の分子が何個も結びついて鎖状になり、途中で枝分かれもする複雑な構造を持った高分子。報告されているだけで1000種類あり、タンパク質や脂質とくっつくと[糖タンパク質][糖脂質]などを構成する。細胞表面にも多数存在する。
その働きは多彩で、糖鎖と結びついたタンパク質などの制御で、その安定化や体内輸送、活性化を司る。ヒトゲノム解読終了後でタンパク質の機能解析が進んでいるが、多くのタンパク質には糖鎖がくっついていて、糖タンパク質として分析しないと正確な働きは分からない。
細胞表面に出ている糖鎖は、各種ホルモンや生理活性物質と結びついていて細胞間の情報伝達の一翼を担い、細胞同士の接着にも関係する。
糖鎖構造は体内組織によって異なり、血液型も糖鎖の違いによるものだ。
細胞のガン化でも糖鎖構造が急激に変化することが知られており、ガン診断に使う腫瘍マーカーも多くは糖鎖だ。
ウイルスや病原菌は細胞表面にある糖鎖を認識して内部に入って増殖する。
第3の鎖 糖鎖は生命第3の鎖。
糖鎖を知れば病気も分かる。
第1の鎖である人のゲノム(全遺伝情報)が解読されて約8年、「ゲノムの直接産物で第2の鎖とされるタンパク質を解析するだけでは生物全体は分からない」。糖鎖転移酵素を発見した産業技術総合研究所の成松久糖鎖医工学研究センター長は、こう強調する。糖鎖が結びついた『グライコプロテオーム』(生体内のタンパク質の多くは糖鎖修飾され活性を有する。すべての糖鎖付加されたタンパク質を総称してグライコプロテオームと呼ぶ)の研究こそが需要という。
人を含む真核生物のタンパク質の過半数には糖鎖がくっついている。糖タンパク質として存在することで、体の中でいろいろな役割を果たすことができる。たとえば、インフルエンザウイルスが人のノド周辺の細胞を狙って感染するのも、上皮細胞に特有の糖鎖をウイルスが認識するからだ。
糖鎖は単糖の鎖だが、細胞によってどんな形になるかまちまち。細胞膜からニュキニョキと枝分かれして生えている糖鎖が細胞の性質を表すとも言われるほどだ。
同センターの池原謙・分子医用技術開発チーム長は“糖鎖はタグ(荷札)みたいなもの。タンパク質だけだとどの臓器のどの部位の細胞が作ったものかは分からないが、糖タンパク質として検出できれば由来が明確になる”と解説する
種類 糖タンパク質
糖脂質
プロテオグリカン(細胞と細胞の間を埋める細胞外基質)
高分子に 京大、糖鎖を高分子に組み込む。
「宮本教授らはスチレンに似た物質に糖の一種でありラクトースを結合した分子を多数結合させ、枝部分にラクトースをぶらさげた構造の高分子を合成した。反応の温度や時間、反応開始のきっかけとなる種物質の濃度などを最適化することで、臨む大きさの高分子を合成出来るようにした。」
コスト
1/10
で合成
半導体製造装置などを手がける○○は製薬原料となる糖鎖を量産できる簡易合成技術を開発した。2005年中に従来と比べ合成コストが1/10の合成装置を実用化し、販売を始める。
糖鎖の合成は特殊な微小ビーズを溶媒に入れて単糖を表面に付着させる方法などがあるが量産化は難しい。モシテックスは東京農工大学の研究者と共同で、溶媒の温度管理だけで簡易に糖鎖を大量合成できる技術を開発した。
開発した技術は試験管などの容器の中にアルコール系の溶媒と、石油や天然ガスの主成分であるアルカン系などの溶媒を入れる。この2種類の溶媒は温度に応じて混合や分離する組み合わせを選ぶ。
両溶媒が分離した状態で、アルコール系にしか溶けない単糖とアルカン系にしか溶けない化合物を注入。その後に両溶媒を特定温度に加熱すると化合物と多糖が一定の法則に従って反応し、糖鎖になる。この後で溶媒を冷やすと再度2種類に別れ、内容物も糖鎖と単糖に分離。糖鎖だけを取り出せる
糖鎖はグルコースなど複数種類の単糖が繋がった物質で、すべての人体細胞の表面を覆っている。細胞と細胞の接着や人体の品質管理などの機能を発揮しているが、体内に侵入した細菌やウイルスを受容し、病気などの原因にも成る。
糖鎖を医薬品にする場合は体内に入ったウイルスの活性を中和する治療薬や細菌の感染予防薬、特定の細胞にだけ作用して他の細胞には影響しないDDSや細胞の状態を知る検査などの利用が考えられている。
糖転移酵素 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、極めて困難とされてきた構造解析・自動合成の基礎技術確立を目指している。
「あくまでも基礎研究だから早く分けてほしい」という要請がNIH(米国立衛生研究所)から来ている。NIHが求めているのは産総研が持つ糖鎖関連の遺伝子群。その中心は人体内でも糖鎖の構造や働きを決めている糖転移酵素をつくる遺伝子だ。
産総研は成松久副研究センター長を中心に、NEDOが実施したプロジェクトで100以上の糖転移酵素の遺伝子を突き止めた。全体で約300あると言われる糖転移酵素遺伝子のうち220種を標本としてそろえており、世界最大の規模を誇る。
ヒトゲノム解読ではそのアイデアや解析装置で先行した日本だったが、最終的には欧米主導に終わった。その反省から始まったのがタンパク質解析と糖鎖解析だ。
人体の設計図であるヒトゲノムだけでは、生体の実際の仕組みは分からないとして次のステップとしてタンパク質が注目されたが、体内では実はタンパク質の約半数が糖と結合した形で存在する。
糖鎖は細胞表面のタンパク質や脂質などにくっつき、タンパク質の輸送先決定を手助けするなどしている。また病原菌やウイルスは糖鎖を認識して細胞内に侵入している。
構造はブドウ糖やガラクトース、マンノースなどの約10種類の単糖が樹状に連なる。
同じ遺伝子から出来た糖鎖でも、その枝振りの微妙な違いから1兆種類ぐらいになる。
体内で実際に働いている糖鎖の数は明らかになっていないが、少なくとも数1000種類はあるとされている。
レクチンを使って糖鎖を分類できる自動解析装置は1晩に100個を調べられる。糖鎖プロジェクトは2003年3月〜2006年2月。
糖鎖遺伝子 遺伝子は1種類のタンパク質しか作らない。その機能を変えるのは表面に着く糖鎖。疾病と関連する生体分子との反応を変えるため、メカニズムの解明には糖鎖の違いをみることが不可欠。そのカギを握るのが糖をつなげて結合させていく酵素。
これまで約180種類見つかっている。その第1号を見つけたのが成松久・産総研・糖鎖医工学研究センター長。
産業技術総合研究所糖鎖光学研究センター副センター長の成松久氏は糖鎖合成に関係する遺伝子群『糖鎖遺伝子』の研究で世界に先頭に立つ。
ウイルスや病原菌の多くは細胞表面にある特定の糖鎖を手がかりに細胞内に入り込む。膨大な種類の糖鎖を基板表面に規則正しく配列した検査チップがあれば、ウイルスが狙う糖鎖がたちどころに判明する。この情報を手がかりにすれば、ウイルスの増殖を防ぐ薬や、ウイルス感染を早期に検出するシステムが開発できる。
成松がいる茨城県つくば市の産総研糖鎖工学研究センターには世界でココにしかない糖鎖の分析装置や器具がいくつもある。設計通りの糖鎖を迅速に自動合成出来る糖鎖合成ロボットはその1つ。
糖鎖合成では、糖転移酵素と呼ばれる酵素を使って、糖の特定部位に別の糖の特定部位を結びつける。このプロセスを繰り返すことで糖の鎖が伸びていく。
糖鎖研究はまずヒトゲノムの中から糖鎖移転酵素の遺伝子を解明することから始まる。成松氏は1983年から米国立衛生研究所(NIH)留学時代、糖転移酵素の遺伝子第1号を発見。
ヒトの糖鎖移転酵素は230種類程度とみられている。これまで約170種類が見つかった。その6割が日本の研究者の発見で、重要遺伝子の多くに成松氏がかかわってきた。
成松氏が実現した糖鎖合成ロボットは糖鎖チップと共に、複雑な糖鎖の構造を自動分析する装置の実現に道を開いた
自動合成 北海道大学の西村紳一郎教授らと産業技術総合研究所、日立ハイテクノロジーズは共同で、医薬原料で病気の研究に不可欠な『糖鎖』を自動合成できる商用機を開発した。開発した装置は酵素を利用して、水中で糖をくっつける。
@まず1つの糖をくっつけた水溶性の螺旋状高分子と結合させたい糖を水中に入れる。
Aここに、酵素を加えて糖同士を結合させる。
B酵素には磁性体がくっつけてあり、合成後に不要になった酵素を、磁石で取り除く。
C結合せずに残った糖は中空糸膜で濾過して取り除く。
DA〜Cの工程を繰り返して糖鎖を伸ばす。
E切断酵素をつかって酵素の働きを止め、糖鎖を分離する。合成反応が効率よく進むように温度管理などを徹底し、糖を3個つないだ糖鎖なら1日、8個つないだものなら3日以内に合成できる。
北海道大学の西村教授らはこの装置で合成した糖鎖を活用し、ガン細胞を殺すガンワクチンの開発や注射回数が少ないインスリンの開発に取り組んでいる
解析 5時間で
西村慎一郎・北海道大学大学院先端生命科学研究院教授は糖鎖の構造を高速解析出来る装置を開発。2006年11月ロサンゼルスで開かれた米国糖鎖生物学会で発表。今まで2週間必要だったのが約5時間でOK。しかも90人BUNの試料を一度に調べることが出来る。
糖鎖はブドウ糖などが樹状につながった生体高分子で、足棒表面のタンパク質や脂質に結合している。病気になると糖鎖の構造が変化するため、早期診断や創薬標的の探査などに応用できる。
検出 感度500〜1万倍
2010年、島津製作所は、タンパク質などに結合しガンやアルツハイマー病などの発症の目印となる糖鎖(鎖状につながった糖)を、高感度で測定する質量分析技術を開発した。
観察 2010年、理化学研究所分子イメージング科学研究センターは、マウスの生体内で糖鎖の動きを観察する手法を開発した。
世界最大の糖鎖集合体を作って投与し、PET(陽電子放射断層撮影装置)などで調べる。
大阪大学、キシダ化学、米スクリプス研究所との共同成果。
研究チームは、N-結合型糖鎖という形によって集積する臓器が異なる糖鎖に着目。この糖鎖が分岐状に16個集まった集合体を作製した。この集合体に特殊な化学反応を使い放射性物質や蛍光物質を結合させた後、生きたマウスに投与しPETや傾向イメージング装置で観察した。
集合体は投与4時間後に肝臓に集まり、腎臓や膀胱を経て体外に排出された。
一部は胆嚢を経てゆっくりと消化管から体外に出ることも分かった。
一方、糖鎖の構造を変えると、腎臓から約5分ですばやく排出されたり、4時間後に脾臓に集積されたりした
ヒトの大腸ガン細胞を植えたマウスでも実験。正常なら脾臓に集まる糖鎖が、ガンでは集まらなかった。
糖鎖チップ
  • 市販品
    • 2011年、住友ベークライトは創薬研究や臨床研究の際に使う「糖鎖チップ」を開発した。
    • 糖鎖を直接、基板に固定したチップの市販品は初めて。
    • スライドガラス状のプラスチック基板に、29種類の糖鎖と23種類の糖鎖をを固定した2種類。
    • 糖鎖はブドウ糖などの糖が鎖状に連なった分子。脂質やタンパク質と一緒に細胞表面から突き出ている。主に、細胞間の情報伝達を担っている。人間の血液型「ABO型」は細胞表面の糖鎖構造の違いから分類されたもの。
    • インフルエンザウイルスが細胞に感染する際にも糖鎖が関係している。
    • 糖鎖の異常が糖尿病や肝疾患、アルツハイマー病などの発症に関係しているとされる。